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AIイラストにおけるマーダーミステリーやTRPG(CoC)キャラクター作成の「その先」 ~同一性の保持と拡張性~
陳腐化しました(挨拶)
約半年前に書いたこちらの記事で、AIイラストの進化がめざましく、思った通りの美少女を作成できると説明したわたくし
マーダーミステリーやTRPG(CoC)でキャラクター作成におけるAIイラストの進化と使い方について|yasu (note.com)
AIイラストは今もなお進化を遂げている段階なので、正直この記事もすぐに陳腐化するのが見えていて冷や冷やしますが
このような文章を末尾に書きましたが、案の定、陳腐化しました。
現状のAIお絵描きは、AIお絵描きv2.0、いやもうv3.0か5.0くらい行ってるかもしれません。
この記事を書いている最中も今なお進化を遂げており、「AIお絵描きは何がどう進化しているのか」、そして「それがマーダーミステリー制作やTRPGにどう活かせるのか」について、現状(2023/7現在)の在り方を述べていきたいと思います。
■NovelAIで「理想のキャラクターを作り出す」だけはもう古い
おそらく「AIお絵描き」と聞いて大多数の人が想像するであろうNovelAIによるキャラクター作成。これ自体は非常に素晴らしいサービスであり、ローカル環境を構築せずとも、プロンプトやパラメータをいじくるだけで、お手軽に理想のキャラクターを作れる夢のようなサービスでした。
![](https://assets.st-note.com/img/1688702849478-HquAtYpxUM.jpg)
この記事でいじくり回すためのオジリナルキャラです
novelAI相当で作ってみた美少女。
AI独特のこの絵のタッチはもう皆見たことがあるのではないでしょうか。
NovelAIだけでも既に夢のようなシステムなのですが、Stable Diffusionのローカル環境での拡張機能は既に「理想のキャラクターを作り出す」ことから更に先に進んでいます。
■何が進化したのか?
進化している点は正直書ききれないのですが、個人的に大きいと思っているのは、以下の3点となります。
「多様なモデルによる表現の拡張」
「ControlNETによる同一性の保持・拡張性」
「その他、数えきれない拡張機能」
■多様なモデルによる表現の拡張
AIイラストは、モデルによって、同じプロンプトであっても出来上がりが全く変わります。現在大多数の人が「AIイラスト」として想像しているであろうイラストは、NovelAIで利用されているモデルであり、そのモデルを入れ替えることによって、同じプロンプトでも全く違う仕上がりとなります。
アニメ風、実写風、水彩画風など、モデルによって表現の幅は大きく変わります。また、そのモデルも日進月歩で様々なものが作成されており、何かに特化したものや、高品質なものなどが用意されています。
先程のNovelAIで作成したものと同じプロンプトで作成し、モデルを差し替えたものの実例として
![](https://assets.st-note.com/img/1688691327194-SEzWjAxm2g.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1688691803676-vPl3gcIVst.jpg)
![](https://assets.st-note.com/img/1688691343379-IQ9woHkgTG.png)
ポップでキュートなモデルだったり
色々と表現の幅が増えたのが見て取れると思います。
モデルの選択はイラストの出来上がりに大きく影響を及ぼす所ですので、これを自在に組み替え可能なStableDiffusionが、AIイラスト生成においてどれほど優位に立っているかは想像に難くないでしょう。
■ControlNETによる同一性の保持・拡張性
AIお絵描き業界、特にTRPGやマダミス業界において強い武器となるのは、「ControlNETによる同一性の保持・拡張性」が第一に挙げられます。
ControlNETとは、StableDiffusion WEB UIにおける拡張機能であり、この機能の説明をするだけで記事が何個も書けるほどの途方もない技術であり、今もなお進化を遂げているバケモノです。(詳しく解説した記事をご紹介)
【画像生成AI】CharTurnerLoRAとControlNetを併用してキャラシートを安定して出力させる方法|ステスロス (note.com)
ControlNetでポーズや構図を指定してAIイラストを生成する方法|ddPn08 (note.com)
特に強力なのは「reference only」と「openpose」の2つの機能なので、こちらに絞って説明致します。
■reference only
簡単に言えば「画像参照による同一性の保持」です。
毎回プロンプトで出力する仕組みだと、どうしても出力毎にキャラクターの出力がブレてしまい、キャラクターの同一性を保持できないのはAIイラスト特有の悩みでした(そのため、一枚絵を出力するのは得意だが、バリエーションを生み出すのは苦手)
LoRA(簡易学習)という技術をとることにより、キャラクターの同一性を保持することも可能なのですが、LoRA自体が技術的にかなり困難であることと、同一性を保持するLoRAを行うために同一性のあるイラストを用意しなければならないという、「服屋に行くための服がない」という状態となってしまっていました。
ですが、Reference Onlyは、参考画像として突っ込むだけで、キャラクターの特徴や絵のタッチをかなり高い再現性で再現できます。
勿論、これらは完璧な技術ではないので、これに加えて「Seed値の固定」「プロンプトの固定」、更にはガチャによる試行回数の組み合わせで、更に高い精度でキャラの同一性が保持可能です。
具体的に、先程の例で「ポップでキュートなモデル」を利用した場合、「画風は好みなんだけど、別キャラになっちゃってるじゃん!」というツッコミが考えられます。
これに対して、無理やりキャラクターの同一性を保持したまま再作成が可能となるのがReference Onlyです
![](https://assets.st-note.com/img/1688692750596-3bolIypGyQ.png?width=1200)
■openpose
「openpose」は、棒人間によるポーズの指定が可能になる機能であり、今までプロンプトで「立った姿勢で右手で正面を指さしつつ、ふんぞりかえっている様子で…」といった指定を行い、うまくそのポーズが生成されるか(そして、うまくそのポーズが生成されたとして、顔や指先が上手く生成されるかという地獄のような変数のガチャ)を繰り返すという作業でした。
ですが、openposeで指定することで、構図を固定することができるようになりました。これにより、キャラクターの一枚絵だけでなく、イベントシーン等で活用することが可能になります。
更に言えば、この「openpose」と「Reference Only」は併用が可能であり、併用することで「同一性を保持したまま、キャラクターの様々なシチュエーションで生成が可能」という、キャラクターのバリエーションを作成することができます。
例えば、先程の女の子のバリエーションとして、こんな感じに色々なポーズを作成することが可能です
![](https://assets.st-note.com/img/1688693470741-UWBtG4nex9.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1688693474660-hLyBSawZZ1.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1688719011461-AGRlPSBrzD.png?width=1200)
基本的に一度プロンプトと参照元画像が固定できればほぼ使いまわしなので、指定するポーズを変えるだけでこれらの画像は数十秒でバリエーションが生成可能です。すごいですね。
その他、数えきれない拡張機能
その他にも、100を超える数えきれないほどの拡張機能がStableDiffusionには用意されており、それらの機能を上手く組み合わせることで、AIイラストのできることは無限大です。
この記事では紹介しきることが難しいのですが、逆に言えば誰も把握できないくらい混沌とした可能性に満ちているのがAIイラストの状況です。
■ADitailer
例えば、拡張機能の一つである「ADitailer」は、キャラクターの顔の高画質化および表情を付けることに特化した拡張機能となっています。
これを活用することで、いわゆる「表情差分」と呼ばれるものについては、驚くほど簡単に作成することができます。
![](https://assets.st-note.com/img/1688695663966-35Pum0UkA2.png?width=1200)
■おまけ(ちびきゃら作成)
以上のような技術を活用して、最近ハマっているのが「ちびキャラ」の作成です。
![](https://assets.st-note.com/img/1688695765641-iaGNdEiobF.png?width=1200)
ReferenceOnlyの強みを活かし、既に完成しているキャラクター画像(オリジナル)を元に、細かく条件を指定しなくとも、同一性を保持したまま再作成してくれました。かわいい(かわいい)
■時間効率の良さ
AIイラストが何より恐ろしいのは、時間効率の良さです。
何と、この記事の参考として挙げたイラストは、全てこの記事のための新規に製作したイラストであり、全てのイラストの作成時間を合計しても1時間程度しかかかっていません。
恐ろしいほどに時間効率が良いため、倫理的・法律的な議論の是非は今なお進められている所ではありますが、イラストが欲しい創作者にとっては強力すぎるツールといっても過言ではないでしょう。
■最後に
AIイラストの分野は、世界中で現在研究が急速に進んでおり、もはや「魔法」といっても差し支えがないほどに進化が進んでいます。
これらのツールは「オリジナルキャラクターを作成する」「そのキャラクターを動かす」というマーダーミステリーやCoCとの親和性が非常に高いことは疑いようのない事実であると思うので、今後もこの技術、注視していきたいと思っています。
…とはいえ、この記事も半年後には陳腐化するんですかね?
すでに現時点で「予想された未来のその先」くらいまで技術が到達しちゃってると思うんですけど、果たしてこの記事すら「陳腐化」するとしたら、AIイラストはどこまでいってしまうのか…。