マーダーミステリーの犯人役が苦手で苦手で仕方ない人へ ~中級者向け犯人マニュアル~
皆さん、マーダーミステリー楽しんでますか? 僕は楽しんでます!
気が付けばマダミス経験回数も300回を超え、自分の中でのノウハウもかなり溜まってきました。
時々それを言語化しているのですが、「推理側のノウハウ」をまとめた記事や、「犯人になった時の逃げ方」が2500RT以上されたりしました。
ただ、このバズった「犯人になった時の逃げ方」は、正直テキトーに書いたものであり、真面目に犯人としての戦略論を語っていません。
なので、一度「犯人としての逃げ方」を真面目に論じてみようと思い、記事にしました。
なお、ここで語るのは、何回か(10回以上)マダミスを経験して、マダミスのゲームとしての骨格や、犯人役の辛さなどを知っている中級者以上の人に向けた戦略論となっています。
犯人になった際に重要な点は、以下の5点です。
■黙るのは一番の悪手
犯人になった際に、よくありがちなミスとして「犯行当時の時系列は言えないし、下手なこと言って矛盾したらどうしよう…。」「犯人側だし、推理を進める必要はないよね…」と、黙りがちになってしまうことです。
これは本当によくある話で、犯人になった時とそうでない時で、あからさまに口数が少なくなってしまうのは誰しもよくあることですが、「黙っている」という行為は、犯人にとって最もやってはいけない行為となります。
理由としては、「議論というのは、話せば話すほど真相に近づいていく」という性質を持っており、あなたが黙っている間は「探偵側が真相に近づいていく時間」であるということです。
裏を返せば、あなたが発言している時間というのは、あなたが都合よく議論を進められ、他の人が黙っている時間、すなわち攻撃であり防御でもあるため、黙っているという行為は、生死を決める決闘の最中に無抵抗で棒立ちしていることに等しいです。
加えて「黙っている人間」は、それだけで怪しまれてしまいます。
たとえ犯人でないとしても「議論に参加しない」「情報も出さない」という人は、協力的ではないということで犯人ではないかと疑われ、心証面の悪さだけで投票されてしまうことも多いです。
よって「犯人が黙っていること」は百害あって一利なし。
犯人になった場合は、とにかく「いつも通りの発言ペースを心がける」ことを意識しましょう。
ただし、発言しすぎてむやみやたらに議論を遮ったり、あまりに意味のないことを言うだけでは反感を買い、ゲームを壊してしまう懸念があります。発言の割合はあくまで普段通りのペースで、多すぎず少なすぎないことを心がけましょう。
■クリティカル導線の事前把握が重要
犯人として念頭に置いておくべきこととして、マーダーミステリーとしてのゲームの性質上、あなたが行ったトリックや、疑わしい証拠というのは、絶対に発見されます。
例えばあなたが「ピアノ線を使った何らかのトリックで密室を作った」場合は、「ピアノ線」というアイテムや、「細工をした跡」といったものは必ず発見されます。(そうでなければゲームがフェアではないため。)
また、例えば「犯行に使ったナイフは谷底に放り投げておいた。これで絶対に見つからないはずだ」という行動をとった場合、絶対に見つかります。諦めてください。
じゃあ、自分だけが知ってても意味ないじゃん! …と思うかもしれませんが、あなたはその分のクリティカル導線の情報を持っているというアドバンテージを有しています。
先ほどの例だと「必ずビアノ線絡みの情報が出てくる」「谷底を調べるとナイフが発見される」そして「それ以外の情報は犯行に関係ない」という、クリティカルな導線を把握している事が、何よりのあなたの武器です。
クリティカルな導線を知っているというのは、推理側を偽装する際に非常に強力な武器です。
言うまでもなく、「ナイフが谷底にある」という情報を予め知っていれば、谷底を先回って調査して、物証や情報カードを握り潰してしまう、というのは犯人側の基本戦略です。
また、調査箇所を調べる際に「屋敷の周りよりも、まずは殺人現場周辺を調べよう」といって、クリティカルな調査場所から目を逸らさせるのも有効な手段だと言えるでしょう。
ですがこの方法は、フルオープンになってしまうような場だったり、後出しで情報を暴かれたときに立ち位置が悪くなってしまう諸刃の剣であり、犯人役の立ち回りとしてはこれだけで逃げ切れることはあまりありません。
(重要な情報を抱えたまま公開できず怪しまれて吊られる、情報開示させられて吊られるといった経験は誰しもがあるのではないでしょうか)
いずれ知られてしまうクリティカルな情報を、ただ隠すだけではなく、有効活用するためには、自分のコントロール下でクリティカルな推理導線の状況やタイミング管理するという手段が有効です。
情報を出す「タイミング」というのは非常に重要で、マダミスにおいて「情報の先出し」は非常に白く見られ、「後出し」は黒く、かつ注目度も高い情報として取り扱われることが多いです。
あらかじめクリティカルな導線を知っている立場として、情報を握りつぶすだけではなく、適切なタイミングでこの「情報を出す」、そしてその後の議論の主導権を握る上で、あなたの立場を優位に立たせることができます。
例えば、「ピアノ線での工作」について、まだ皆がそれに気づいていない時には黙って議論させておきつつ、議論が進んでバレそうになった時、あたかも自分が今気づいたかのように「もしかしてこれは、ピアノ線を使った何かしらのトリックが使われているのでは?」と言うことで、あなたは推理側の立場に立つことができます。
当然、その結果真相には近づいてしまいますが、どの道気づかれるのであれば、ギリギリのタイミングまで引き付けてから自分から発表した方が、信頼感も得ることができて、後の推理の舵取りもしやすくなります。
プレイヤーの心理として、情報を適切に開示し、事件の真相に迫る情報をきちんと精査しようとする人間には、信頼感が生まれます。
その信頼感が、犯人役であるあなたの大きな武器になります。
先ほどのピアノ線の例でいえば、何かしらピアノ線を「部屋のドアに細工をして、鍵がかかるように密室を作った」という真相をあなたが知っていた場合、「ピアノ線が何かしらのトリックに使われていたのでは?」と発言し、間髪入れず「ピアノ線があれば部屋の外から何か仕掛けができますよね。例えば窓の隙間から何か細工できるんじゃないでしょうか。被害者の部屋の窓は裏庭から出入りが出来ます。その時間、裏庭にいた人はいませんでしたっけ?」などと言い、「ピアノ線を使ったトリック」であることは部分的に認めつつ、そこで得た信頼感を利用し、本来ありえない推理導線や意味のない時間帯精査を行うことで、調査を進めているように見せて明後日の方向を向かせる議論展開が可能になります。
次章では、その「信頼感」を十全に活用する方法について説明します。
■議論を歪めて無駄に皆にお喋りをさせる
マダミスの推理時間というのは、おおよそ「それくらいの時間をかければギリギリ真相に到達できる」ような時間配分となっています。逆に言えば犯人としては「どれだけ無駄な時間を議論に消費させるか」という点が勝負になります。
この際に、唐突に議論を遮ったり、突飛な言動をしたりするのは、あまりスマートな言動ではなく、無駄に反感を買うだけのことが多いです。
理想としては、推理を進む方向を誤認させて、間違った議論をさせることが、何よりのタイムイートになります。
ここが犯人プレイヤーとしての腕の見せ所で、先ほどの「クリティカル導線」の把握と「信頼感」を武器に、議論の方向性を皆に気づかれず歪ませることが重要です。
上記のような例で特に重要なのは、太字部分です。
タイムイートをするのに、あなた一人がしゃべり続けるのでは、どうしても限界はありますが、議論の方向性を捻じ曲げて、全員に喋らせれば、あなたが目立つことなく、無為に大量の時間を消費させることができます。
「細かい状況の報告」や「全員が順番に発表」など、時間がかかるような手順をしれっと混ぜることで、ボディブローのように時間をちくちくと消費していくことができます。
マダミスは会話のゲームであり、基本的に皆しゃべりたがりなので「あなたの考えを喋って欲しい」と言われて悪い気になる人はいません。
しかもこの議論の流れであれば、あなたは率先して真相を追求しようとしているように見えるため、信頼度を稼ぐこともでき、一石二鳥の戦略となります。
…ただしこれは、ある程度の信頼感と根拠があって「今、自分が進めている偽りの議論に対して皆の納得感がある」場合に限ります。
皆の理解を得られないまま無理やり議論を勧めると、それはそれで犯人として疑われるため、「その議論は今は必要無いんじゃない?」と疑問の声を上げられた場合は、素直に引くことも視野に入れ、黙っている間に別の手段で逃げることを考えましょう。
■堂々と開き直る
今までは戦略面での犯人としてのプレイングでしたが、パッション面で必要なのは堂々とした態度、一貫した主張です。
犯人役である以上、どうしても致命的な嘘をついてしまったり、言えない部分が出てくると思います。時には「あれ? この証拠と君の証言、矛盾しない?」と言われることもあるでしょう。
ですが、ここで「あっ…やべ。 バレちゃった…どうしよ…」という言動をしてはいけないのも勿論、それを表情に出してもいけません。
少しの動揺を見せてもいけません。嘘がバレて辛いのはわかりますが、それが他人に伝わると、犯人として即死します。
たとえ今までの証言と食い違っていようが、動じず、堂々と、一度言ったことが嘘であると認めず、自分が正しいんだと強い心で即答しましょう。
仮に嘘を認めるにしても、あなたが自発的についた嘘でなく、キャラクターとして誤認してもやむなしと思うような理由にしましょう。
どれだけ矛盾していても、自信満々に堂々と言っていれば、嘘も真になります。他のプレイヤーは、あなたがどれだけ堂々としているかによって発言の信頼感をジャッジすることも多いため、犯人役だからいつも堂々と毅然としていましょう。
■最後の最後まで抵抗する
犯人役のキャラクターは、マダミスにおいては探偵役よりも特別な、主役といっても良い位置づけです。
マダミスがマダミスとして成立するためには、プレイヤーの中に犯人がいるという緊張感、そしてそれが最後の投票時までわからないというドキドキ感がゲームとしての楽しさを成立させていると考えています。
だからこそ、犯人役はどれだけ絶望的な状況でも諦めずに、足掻きましょう。その場にいるほぼ全員から疑われていたとしても、何とか自分が逃げ切れるようにあらゆる手段を尽くしましょう。
安易に「自分が犯人だ」と認めることは、ゲーム性の崩壊、他プレイヤーの満足度の低下、ひいては自分の勝利の放棄にもつながるため、あまり良いことはありません。投票結果が確定する最後の最後まで、絶対に諦めず、犯人としての誇りを持って逃げ切りましょう。
(※ルールとして犯人COが認められている場合はこの限りではありません)
■最後に
非日常を体験できるマーダーミステリーというゲームにおいても、犯人役というのは更に特殊な体験が出来る、スペシャルな立ち位置です。
もし犯人役を引き当てた場合は、怖がるのではなく「全員、俺が騙しきってやるぜ!」という勢いで楽しみ、もしあえなく囚われた場合は高笑いを浮かべて盛り上げるくらいの勢いで楽しみましょう!