ゴリラが楽しかったマーダーミステリーのシナリオ(2022年1月~3月)
皆様、マーダーミステリー楽しんでいますか?
自分が最近(2022年1月~3月)プレイしたマーダーミステリーで、特に面白かった、オンライン、パッケージのマダミス作品をご紹介致します!
※割と新しめのマーダーミステリーを紹介していますが、あくまで筆者がプレイした時期で換算しているため、一部古い作品もあることはご承知おきください。
※レビューを見ても作品を楽しめるようネタバレには配慮してありますが、「どんな傾向のシナリオか」といったこともネタバレであると思う方は、ご自身の判断で読み進めて頂きますようお願いします
■蒸気の街には薔薇が咲く
最近プレイしたマーダーミステリーの中では特にイチオシの作品。
スチームパンクを舞台に、タイトル画像やココフォリアの盤面、HO等随所にデザインが拘っており、システム面も非常に作りこまれている。
それらの高いデザインやシステムが全て「外連味」的な、若干厨二的な独特のシナリオ・キャラクター・体験をさせるために用意されており、この雰囲気がハマる人にはとことんハマるように作品全体が構成されている。
キャラクターはどのキャラクターも魅力的でありながらも、どこかうさんくさく、それでいて固有のスキルや数多くの結末が用意されており、プレイヤーは刺激的な体験を間違いなくさせられることになる。
版権作品を持ち出すのが適切かは分からないが、「ブラックラグーン」や「ドリフターズ」のような、ああいうタイプの漫画が好きな人に向いている作品だと思われる。
自分がプレイしていた時は、HO読み込み、読み合わせ、推理、エンディングに至るまで常に笑いとツッコミが絶えず、これこそまさに自分の理想としているマーダーミステリーとしての枠組みである、と感じさせられた傑作。
随所に尖った所が見える作品ではあるものの、マーダーミステリーとしての品質は保たれているため、一部のマニア専用という訳でもなく、普通にプレイしてももちろん楽しめる作品なので、あまり怖がる必要はない。
最近プレイした作品の中では一番のヒット作であり、おすすめの作品。
独特な世界観を落ち着いて堪能し、RPも含めて作品を十全に楽しむためには、ある程度マーダーミステリーを経験してからプレイすることを推奨する。
■ブルークロスの純愛
こちらについては、もはや「皆が知る名作」の部類に入る作品だと思いますが、改めて紹介を。
近未来を舞台に怪盗団に扮してプレイする。その設定だけでもワクワクとさせられるが、このシナリオの特筆すべきはリッチなココフォリアの盤面。
APNG(アニメーション)やシーン転換の仕掛け、視覚的な効果等をフルに活用した調査盤面は、自分が経過してきたオンラインマーダーミステリーの中でも一位二位を争う素晴らしい盤面で、この盤面を体験するだけでも価値がある作品。
また、キャラクターイラストも非常に魅力的で、各キャラクターに男性/女性イラストが用意されていることに加え、それぞれが何かしらのスペシャリストとしてスキルや見せ場が用意されているため、ロールプレイも捗る。
HOのデザイン等にも余念がなく、総合的な「体験価値」という意味では一歩抜き出た名作。あらゆるプレイヤーにオススメできる名作です。
■隠し事の多い人狼村
名前からも明らかに分かるように、「人狼」をモチーフにした作品。
「人狼ゲーム」はマーダーミステリーと親和性が高く、「人狼村の祝祭」や「人狼ジャッジメント」など、人狼モチーフの作品はいくつか出されていますが、この作品はその中でも特に人狼モチーフの作品として完成度が高いと感じました。
人狼をモチーフにしている作品は
・人狼ゲームとしての側面
⇒昼間の「吊り」や、夜の「襲撃」「占い」、死亡による途中離脱
・マーダーミステリーとしての側面
⇒証拠品探し、密談、途中離脱は基本的に無しなど
この2つの側面が喧嘩もしくは一方が薄くなってしまうことが多いのですが、この「隠し事の多い人狼村」は、人狼ゲームとしてのテイストを全く損なわないままマーダーミステリーとしても成立しており、ここまで高いレベルで融和しているのかと感動しました。
作中に登場する「とあるギミック」は、人狼モチーフかつこのシナリオでなければ実現できないであろう非常にユニークかつ面白いギミックであり、このギミックの存在によって、人狼とマーダーミステリーを高いレベルで融和させ、さらに一歩踏み込んだマーダーミステリーとして完成度を高めています。ぜひこのギミックを皆様も味わって欲しい。
人狼ゲームとの融和性の高さを特徴として挙げてはいますが、人狼ゲームの専門知識は全く必要無く、プレイの障壁にはならないので、ご安心ください(とはいえ、どの役職がどんな役割を持っているか、という人狼ゲームの最低限のルールは知っていた方が楽しめるかも。)
■ブラッド・レウニオン
初めから犯人が判明しており「殺されないために犯人を説得する」という、かなり特殊な状況から始まるマーダーミステリー。
犯人が判明しているならもう事件解決じゃん! ということは勿論なく、マーダーミステリーとしての推理・駆け引き要素はしっかりと用意されている。
この作品は非常に特殊な設定から始まり、キャラクターによってゲームの目的やロールプレイ方針が大きく異なる。特に「殺人鬼」役は、その性質上、本来マーダーミステリーの議論においては推奨されない、恫喝、罵り、多弁強弁、煽り等が平気で飛び出す可能性が高い。
逆に言えば、非日常体験が可能なマーダーミステリーにおいて、更に非日常的な強弁プレイが楽しめるのがこのシナリオにおける一番の特徴であることは間違いなく、他プレイヤーに対して恫喝することに躊躇しない(むしろそういうプレイをしたい)ということを前提において殺人鬼役をプレイするべきだろう。
同時に、殺人鬼じゃない役の人は、疑似体験とはいえ、かなり強いストレスを受けるため、予め「そういう目に遭う」ということを覚悟の上で臨まなければ、ただ不快な体験をして終わり、ということになりかねない。
すなわち「他人を恫喝・強弁したい殺人鬼役のプレイヤー」と「恫喝されることを覚悟した殺人鬼役じゃないプレイヤー」がお互いに覚悟を決めた状態でプレイする必要があり、そうすると必然的に、気心が知れたプレイヤーを集めてプレイする必要があるため、まずもってメンバーを集める段階でのハードルは非常に高い。野良でのプレイはあまり推奨できないだろう。
ハードルは高いが、尖った作品の方が、刺さる時には深く刺さるのは道理。
覚悟を決めた仲良しプレイヤーでこの作品をプレイすれば、いつもとは全く違ったプレイ感覚で、楽しく恫喝したりされたりすることは間違いなし!
なお、こちらはGMレスがいた方が深い没入感は得られますが、GMレス版でもプレイ自体は問題なく可能です。
■いまさら明日など望まない
説明不要の二人用マダミスの名作「アンノウン」のさくべえさんの新作。
二人用のシナリオとして非常に堅実な作りであり、「アンノウン」は宇宙を舞台としていたが、「いまさら明日など望まない」は脱獄をテーマにした現実に近い設定であるため、設定としてのとっつきやすさも問題なし。
総じて、万人にオススメできる二人用マーダーミステリーとなっている。
脱獄囚をテーマにしているものの、極端に嫌悪感を催すような非倫理的・グロテスクな描写があるという訳でもないため、そういった側面での参加障壁は特に考慮する必要はない。
懸念点としては、HOの文章量が多く、それに加えてカードから得られる情報量も非常に多いため、プレイヤーの文章の読み込み速度の速さが難易度に直結する。
筆者は「若干読むのが速い」くらいの速度(ググったら文章読み込み速度を計れるサイトがあったので測定してみたら、約1200字/分)でちょうどよいと感じたが、標準的な読む速度(600字/分)の速度で読むと、文章を読むだけで時間がかなりとられてしまうので、マダミスに慣れていない人、もしくは文章を読むのがあまり早くない人は若干時間を延長しても良いかもしれない。
■マダミスゴリラは殺人事件の夢を見るか?
マダミスゴリラは殺人事件の夢を見るか?【マダミス】 - シュレディンガーのタコ - BOOTH
タイトルの圧がまず凄まじい作品。「マダミスゴリラ」というパワーワードに加えて、有名なSF小説を彷彿とさせる文章で、作品名を聞いただけでただものではない雰囲気に圧倒される。
「マダミスゴリラ」って何だよ! というツッコミをまず入れたくなると思うが、それについてはあらすじで明瞭に説明されている。
あらすじを読んでもツッコミは止まらないと思うが、本編から真相解明に至るまでツッコミは止まらず状況は展開していく。
だが、この作品は決して「出オチ」でも「ギャグシナリオ」でもなく、マーダーミステリーとして成立するよう信念を持って作成されている。推理面を重視するシュレタコさん作品らしく、むしろかなり正統派かつ骨太な作品だと言える。
情報量が非常に多く、オチャラケから真面目な推理まであらゆるプレイングが要求されるため、4桁とまではいかないまでも、マダミス経験回数100回を超えたマダミスジャンキーがプレイした方が面白いだろう。忌憚なく議論できるジャンキー仲間を集めてプレイすれば更に面白さは加速するだろう。
■さざんがはち
(ウズにて配信中)
3人の男(彼氏、ストーカー✕2)が彼女を巡ってなんかやんやする、という、あらすじの時点からすでにツッコミ所が数多くあるシナリオ。
内容についても、終始ツッコミしながら盤面がめまぐるしく展開していき、まるでジェットコースターに乗ったかのような体験感を得ることができる。
基本的に議論は「彼女を巡っての男たちの言い合い」になるため、遠慮なくお互いに言い合える関係性の3人でプレイすることが望ましい。マウント、罵声、遮りなど何でもアリにした方がより議論は白熱するだろう(※あくまで知り合い同士の了承の元で、マーダーミステリーはマナーを守って楽しくプレイしましょう!)
ロールプレイした方が絶対に楽しいシナリオなので、彼氏役を選ぶ人は彼氏としての覚悟を、ストーカーを選ぶ人はストーカーとしての覚悟(?)を、しっかりと覚悟してから、全力で前のめりに楽しむと楽しいだろう。
■君のいないリライト
集英社マーダーミステリーエクスプレス | マンガで読めるマーダーミステリー (m-mystery-express.jp)
集英社から出ている、「漫画付きマーダーミステリー」の第一弾。
天下の集英社から出されているということで、非常に手堅く、隙無く作品が作られており、プレイした人の大多数が満足できるであろう作品となっている。
作品のテーマも、「思春期の少年少女の青春」や「タイムリープ」と、非常にとっつきやすいものとなっており、今までマーダーミステリーに触れたことがない人でも無理なくプレイできる、間口の低さは随一。(一方で、同時に出された「ゲッコウ島サバイバル」はやや特殊な設定であり、キャラも濃いため、まずはこちらを先にプレイした方が無難)
「間口が広い」「万人受けする」「集英社が出した第一弾」ということでジャンキーの皆様が逆に心配になるのは「推理難易度が低すぎて楽しめないんじゃないか?」という点だと思われるが、何だかんだでそこも上手く作られており、プレイヤーが全員ゴリラな卓でプレイしたが、最後までワイワイガヤガヤ楽しめた。
漫画付きでプレイできるマーダーミステリーとして、プレイして損はない、万人受けする作品として非常に良作。
■RED LINE
現時点でパッケージマダミスの最高峰と断言して問題ない作品。
誰もが目を奪われるパッケージデザインから、世界観、キャラクター、HO、議論全てにこだわりを持って練り込まれており、部分点においても総合点においても一線を画するクオリティ。
筆者が特に評価が高いのは専用BGMが用意されている点。マーダーミステリーにおけるBGMの存在というのは没入感において非常に重要な役割を持っていると思っており。
作品にマッチしたBGM>>>BGM付き>(超えられない壁)>BGM無し
という構図であり、「作品にマッチしたBGM」を用意できないことがパッケージマダミスをプレイする上でのどうしても超えられないハンデだった。
このRED LINEではパッケージ作品であるのに専用BGMが用意されており、初めて箱を開けたGMレスの集まりでも十分な没入感を得ることができる。
専用BGMが用意されているというだけでも100点満点で120点を付けたくなる豪華さだが、この作品はパッケージを開けた瞬間から、キャラクター選択、HO読み込み、議論、エンディングに至るまで全てこだわり抜いて作られており、GMレスでありながら、店舗開催のシナリオと同等の「ワクワク・ドキドキ・びっくり」を感じながらプレイすることが可能。
強いて懸念点を上げるとすれば、作品そのものの入手難易度の高さと、このクオリティをパッケージマダミスの標準だと定義してしまうと、他のパッケージ作品が相対的に薄味に感じてしまうこと。
突然変異的に生まれた圧倒的な化け物のようなパッケージ作品であるため、プレイするチャンスがあれば是非ともプレイすべき傑作。
最後に(宣伝)
毎回の如くの宣伝で申し訳ありません。
筆者の作品である「異世界転生者になろう!」と「サザンクロス20xx」についても好評発売中で、こちらもとっても面白いので、ぜひプレイしてみてください!
■異世界転生者になろう!
マーダーミステリー「異世界転生者になろう!」 - BlueBirdStore - BOOTH
「異世界転生」をテーマにした上級者向けのマーダーミステリーです!
オンラインではPax SEVEN様が公式GMを
オフラインでもNAGAKUTSU様でも店舗公演を開始しております。
■サザンクロス20xx
ペア選択型マーダーミステリー「サザンクロス20xx」 - BlueBirdStore - BOOTH
近未来をテーマにした、中級者向けのペア選択型マダミスです!
GMレスでもプレイ可能なので、お友達を集めてぜひプレイしてみてください