ブルージェイズ マンスリー・マイナーレポート
これを読んでくださる方、プロスペクトはお好きでしょうか? 私は大好きです。未来のスター候補たちの成長を見守るのはワクワクしますよね。今年はマイナーリーグが2年ぶりに開催されており、ワクワクの日々が戻ってきています。このシリーズではそんな私が、ひと月ごとにブルージェイズの傘下プロスペクトたちの成長をレポートしていきたいと思います。楽しんでいただけると幸いです。選手名の横に#と番号が書いてあるとき、それは公式プロスペクトランキングでの順位になります。ランキングは以下より
https://www.mlb.com/prospects/bluejays
早速参りましょう。
3A バッファロー・バイソンズ
今年はブルージェイズがロジャースセンターを使えない影響でセーレンフィールドをホーム球場として使用するため、ニュージャージー州トレントンでホームゲームを行なっています。
注目プロスペクト
公式のプロスペクトランキング1位で、本来ここにいるのは残念でしかないネイト・ピアーソンですが、5/9の対アストロズ戦で今季メジャー初登板し、2.1イニングを投げ3失点、四球を5つも与え三振はひとつも奪えないという悲惨な結果となってしまったため、現在はここバイソンズに送られています。直近の登板だと5/26に投げましたが、3イニングで4失点、四球を2つ与え7奪三振と、荒れ気味でした。メジャーで登板する前に力が入りすぎているというフォームを直しているという記事が出ていたため、まだまだ時間はかかるかもしれません。速球、変化球もレベルが高い彼に制球力がつけば鬼に金棒です。完成してエースとして君臨することを夢見つつ、今は辛抱強く待ちたいところです。
そしてもうひとり、開幕から3試合に投げ18イニング3四球 27奪三振でERA0.50と圧倒的な成績を残していたアレク・マノア(#5)ですが、5/27のヤンキース戦でメジャーデビューし、6イニング無失点、2四球7奪三振と見事なピッチングで初登板初勝利を飾りました!
ヤンキースの打者たちからことごとく空振りを奪っていた速球も素晴らしかったですが、オドーアから三振を奪った外に逃げていくチェンジアップは見事なキレでした。1番の武器であるスライダーは曲がりがさほど良くなかった分、このチェンジアップと速球との組み合わせが機能しました。ゾーンに投げ込める制球力もあるため、これから期待大のピッチャーとなってくれそうです。余談ですが、彼の母親が熱心に応援していたのも印象的でした。
6/2、マーリンズ戦でメジャー2試合目のマウンドに上がりましたが、3.1イニング4失点、3四球5奪三振とほろ苦い登板になりました。速球の平均がデビュー日より1マイル以上落ち、1番の武器であるスライダーは打者に当てられ、チェンジアップがことごとく甘く入るなど精彩を欠きました。高めに意図して投げた速球には力があり、5個の三振を奪ったのは見事でしたが、良いところは殆どないピッチングだったように思います。次の登板でどう修正してくるのかを見ていきたいところです。
さて、もうひとり紹介しておきたいプロスペクトがいまして、ピアーソンとドラフト同期で2017年ドラフト全体22位のLogan Warmothです。今年はプロスペクトランキングにはランクインしませんでしたが、開幕7試合で3HRを放つロケットスタートを切りました。なおその後は執筆時点までホームランはなく、失速してしまいました。.227/.310/.400でOPS.710と、メジャー昇格には打撃のアピールが足りない状況です。
今年は本職のSSではなくOF全ポジションでの出場が続きますが、メジャーではビシェットががっちりポジションを固め、彼がもし怪我等で離脱してもセミエンが入る形になりポジションが空かないため、チャンスがありそうなOFに慣らしたいという狙いだと思われます。高い身体能力を生かした守備は高校時代のコーチも認めているため、打撃を磨くのが今後のカギとなってくるでしょう。同期のピアーソンには大きく水を開けられてしまいましたが、彼も今苦しんでいるため、差を詰めるチャンスです。今後、個人的に注目していきたいプロスペクトのひとりです。
2A ニューハンプシャー・フィッシャーキャッツ
ここはトッププロスペクトが勢揃いしており、Austin Martin(#2)、Jordan Groshans(#3)、Simeon Woods Richardson(#4)、Gabriel Moreno(#7)などがいます。
20年ドラフト全体5位、ゴールデンルーキーのAustin Martin(#2)ですが、22試合に出場し.278/.402/.405でOPS.807と、開幕から低調でしたが最近ようやく上げてきました。ホームランも開幕から出ていませんでしたが、6/3にようやくプロ初ホームランが出ました。
ただ三振率32.9%とやや高めで、さすがに適応に苦労している印象です。守備はSSとCFが半々といったところでしょうか。どちらも需要が高いポジションなので、これからの進歩に期待です。
Jordan Groshans (#3)は5/27に今季初ホームランが出ました。
ただ15試合で.233/.313/.317、OPS.630と低調です。こちらはMartin以上に時間がかかりそうです。三振率も30%とやや高めなのが気になるところ。守備はSSと3Bを守っており、Martinと同時出場する際はどちらかがSSに就いています。
Simeon Woods Richardson(RHP #4)は4試合に登板し19イニング、ERA2.37 四球8 奪三振31と順調そのもので、楽しみです。このまま調子が良ければ終盤にもメジャーで顔見せ登板があり得るかもしれません。なお彼はオリンピックのアメリカ代表のロスターに名を連ねており、日本でもピッチングが見られる可能性があります。ワクワクしますね。
今季大爆発しているのがキャッチャーのGabriel Moreno(#7)で、18試合に出場しHR3、21打点、.389/.458/.611 OPS1.069と絶好調で来年のランキング順位を大きく上げそうな存在となっています。まだ21歳と若くさらに伸びそうなため、要注目のプロスペクトです。
Otto Lopez(#11)は25試合で.346.389/.462とハイアベレージを残しています。ですが0HRと非力なため、メジャーではIF/OFのユーティリティプレイヤーとして活路を見出すことになりそうです。
1Aアドバンスド バンクーバー・カナディアンズ
去年まではショートシーズンAのチームでしたが、マイナー再編成に伴い1A +へと配置替えされました。
注目はAdam Kloffenstein(#9)ですが、5試合17.1イニングでERA7.27、15四球を与え14奪三振と惨憺たる状態です。直近5/29の登板では1.2イニング6失点と大荒れでした。20歳とまだ若いため、長い目で見た方が良さそうです。
CJ Van Eyk(#10)は20年ドラフト全体42位指名の右ピッチャーですが、5試合20.1イニングでERA5.75、10四球21奪三振と冴えません。大学卒のピッチャーであればこのあたりの階級はクリアしてほしいところですが…… ちなみに彼はフロリダ州タンパ出身で、ブルージェイズの複合施設がある場所から自宅が車で15分のところにあるそうです。さらに、ピアーソンとは子供のころ共にプレーしたことがあるとのこと。意外な縁があるものですね。
このチームのロスターを見ていて驚いたのがHagen Dannerでした。17年のドラフト全体61位指名の選手で、ロスター登録上はキャッチャーですが今シーズンはピッチャーへ転向しているようです。8試合に登板しERA2.57、14イニング6四球 17奪三振となかなかの成績。もともとドラフト時はキャッチャーだけでなくピッチャーとしても評価されていたため、おもしろい存在になりそうです。近い将来、ピッチャーとしてメジャーの舞台に上がってくるかもしれません。
1A ダニーデン・ブルージェイズ
去年までは1Aアドバンスドのチームでしたが、マイナー再編成で1Aロークラスのチームになりました。
このチームといえば注目は公式チームランキング6位のOrelvis Martinezです。25試合で.252/.330/.408 OPS.738 3HR 13打点とまずまずの成績です。下位クラスなのでどこまでアテになるかはわかりませんが、四球を11個選んでいるのはプラス材料ですね。守備はSS/3Bに就いており、3Bの出場が増えてきています。SSに残れるかは不透明ですが、このまま打力を伸ばしていけば3Bでも価値がある選手にはなってくれそうです。
そんなMartinezと交互にSSに入る形が多いのが公式ランキング8位のMiguel Hiraldoです。こちらも似たような成績で、.260/.348/481 OPS.740 HR3 14打点となっています。彼もまたMartinezと同じく、3Bがメインになるのであれば打力を伸ばせるかどうかがカギになりそうです。
もう1人おもしろい選手が20年ドラフト5位指名のZach Brittonです。ヤンキース所属のピッチャーとは読み方が同じですが、スペルが微妙に違います(ピッチャーのほうはファーストネームが“Zack”)。ルイビル大出身で、打撃力がウリのOFです。22試合に出場し.222/.426/.417 OPS.842 HR3 11打点と、打率2割台前半に対して出塁率が4割超えという数字が出色。四球を23個も選んでいます。登録上はOFなのですがOFとしての出場は2試合しかなく、高校時代のポジションだったキャッチャーとして13試合に出ていて、DHで7試合に出ています。キャッチャーとして出場しながら打てることを示していけば、おもしろい存在になるかもしれません。
レポートはここまでになります。今後は月1ペースでこのレポートを更新していく予定ですので、楽しみにしていただけると幸いです。以上、それではまた。