これからの時代に活躍する「個の力」を身に着ける秘訣<澤氏と山口氏の対談>
これからの時代に活躍するのに必要な「個の力」の育て方
先月9月 ファクトリエ企画オンラインイベント「これからの時代に活躍するのに必要な「個の力」の育て方」で澤 円さんと山口 敏夫さんとの対談にオンラインで参加させて頂きました。
これから必要な「個の力」について発見、気づきを頂きましたので、こちらで投稿します。
澤さんと言えば、8月末に日本マイクロソフト社を退社され、年間250回以上のプレゼンを行う「伝説のマネージャー」と呼ばれる方です。
また、山口さんもファッション、made in Japanにこだわり、ブランド「ファクトリエ」を運営し、ライフスタイルアクセント株式会社代表にて「ものづくり」に熱い情熱をお持ちの方です。
対談の内容は、そのお二人が、先日発売された澤氏著「個人力」の内容を踏まえながらCOVID19後に於ける「個の力」について熱く語った内容になっています。
私は、澤さんの話を聞くのは初めてでしたが、COVID19後の私たちにとって、貴重な気づきやヒントをもらい、正直「この人すごい!」と感じました。
なので、少しでもみなさんと聞いたお話を対話形式でシェアさせてもらえればと思います。
※本内容はメモ用ですので、全ての内容を記載しておりませんことをご了承下さい。
先ずは、澤さんが日本マイクロソフト社を退社された経緯や本の出版について語られました。
澤さんが日本マイクロソフト社を退社するきっかけは、23年間長く働いたなというというのとやりたいことをやり尽くしたという満足感があるとのことでした。
実際、会社は楽しいし、テクノロジーに触れていることに幸せを感じてはいたんだけど、大分長いよなーと感じていて、社外での活動が増えていくにつれ、影響力が大きくなってくると周りの人が自分に意見を言えなくなってくる。これは会社的にまずいよなーということを感じていたそうです。
そこで今後の身の振り方を考えようとした時に、今回のCOVIT19。
これが自分にとっていい機会なのでは?と思い今回の退社に至ったそうです。
その時、今回の出版された「個人力」の企画が来たのが、5月。
出版したのが8月ですから、企画から出版と考えてもものすごいスピードで出たんですね。
なんでそんなスピード感で出来たかというと編集やプロデューサ、ライターの方と“チーム”を組んでおり、この企画に双方意気投合し、澤さんの思いの丈をぶつけ、出版に至ったというから仕事での信頼関係って必要だなと思いました。
それでは、本題に入ります。
COVID19であたりまえのことが当たり前でなくなった。当たり前というのは、定時に会社行く、上司と定期的に飲み行くとか・・・。いままで、ビジネスマンとして普通にやっていたことが当たり前でなくなりましたね。
明らかに今までとは違う状況になって、今後働く上で、個というところ絞って、個をエンパワーすればぞれぞれの難局を乗り越えられるだろうなという思いもあり、今回の「個人力」を出版したとのことです。
山口氏:「個よりも集団でいたいとか個で不安になる人、大企業入って自分の身を守らなければという人もたくさんいると思うんですけど、そういう思考についてどう思いますか?」
澤氏:「もし、自分がハッピーになればそれでいいと思います。でも、そもそも大企業が従業員を守ってくれる時代は終わっているし、大企業の中でも株価が高く全世界から認められているトヨタのトップがもう無理だと言っている。豊田氏がもう終身雇用、年功序列ってもう無いですよ。と言っている。それなのに昭和の亡霊の価値観にすがるの?
そっちの方がリスク高いのでは?って思うんです。それだったら個人の力を磨くということに力を入れたら?って思うんですよ。」
山口氏:「今、個というと、よく人と比べてしまう傾向があるんですが、どう思いますか?」
澤氏:「あの人には勝てないとか比較論に走る人がいたり、学歴がないので無理だという人がいるけど、そうでない。
個として考えれば良くって、あの人にかなわないとか比較することではない。個としてどうありたいかということを突き詰めた方がいいのでは?って思うんです。」
これは深いです。
今までは、自分の周りが当たり前だった、常識だったのが、SNSが現れ、個人の世界に対する発信が普通になると世界の視野が広がった分、あの人の年収が〇〇円、〇〇な生活とかいろんな人の価値観、生活感の情報が氾濫しています。いろいろな人の情報を知ることになり、ついつい自分が無くなり、人の価値観に感化されやすいような時に、他人と比較するのでなく、自分がどうありたいかを先ず考えろということは胸に刺さります。
山口氏:「それでは個として力を付けるにはどうしたらいいかということになりますね」
■個として力を付ける その一 Being / Think
澤氏:「一つ目がThink。このThinkの根っこにあるのが、Being。 どうありたいか。
自分はどういった状態が納得した状態なのかというのが始まりにある。それが分からないと全てテキトーになります。自分がこうなりたいと思ってやっている行動は誰にもウソをついてないし、自分にもウソをついてない。 失敗こいても学びになるんですよ。」
また、澤氏はこうも言ってます。
「自分が信じるものを定義した上で考えて行動していくということが大切で、自分がない状態で考えても自分に紐付いていないからプカプカ浮いている状態になるんです。
自分が信じているものから考え行動したものって少々のものでは揺るがないんですよ。
いま先行き不透明な状態だから答えなんかないんですよ。テンプレートもすべてひっくり返された。
インターネットの前後の世界が変わったようにCOVIT19 の前後で世界が変わったわけなんだけど、アフターCOVIT19の世界というのは誰も答えを持ってない。そのときに考えて行動できる人というのはものすごく面白い人生を歩めるのではないかと思っている。
その時に、自分がない状態で考えると他人の人生を歩むことになる。 他人が決めた価値観で一生懸命自分を合わせている人生が待っている状態なので、それで自分の人生満足しますか?って話なんですよ。」
ここで澤さんは、とても重要なことをいってます。
自分の軸がない状態でどこ行ってもダメで、なぜかっていうと、これから何がおこるかわからない世界、つまりタダッ広い荒野や海原で自分の指針(軸)がないとただただ浪費するだけ、逆に何もないから自分で軸を作ってやっていける時代じゃないかと。
山口氏:「Beingという自分のありたい姿を見つけるというのは、先ずは言語化ですか?」
澤氏:「言語化できると反復できますよね。立ち戻ることができる。ふんわりした状態だと再現ができないですね。自分のコトバにしておくといつでも立ち戻れる。」
・イチローがスランプに強いわけ
澤氏:「イチローさんは天才といわれることを嫌うんです。なぜか? イチロー自身が7割ぐらいの失敗をしている人間だっと言っている。3割打ってるけど、7割は失敗している。失敗から学んでいる人間だといっている。かつ自分は打ったヒットはすべて説明できる。狙ったものもあればたまたまのものもあるものも含め。説明できるというのは、再現できるというのとこれは再現できないというのも自分で説明できる。だから、彼はスランプにすごい強い選手だったんではないかと思う。天才って、スランプになった際、ダメになってしまう人がたくさんいるですよね。」
澤氏:「才能だけに頼ったりすると磨き方が分らなかったり、ちょっと調子が悪くなったときに再現ができなくなったりする。これをコトバにすれば、あぁ、そうだこういう風にすればいいのかと立ち戻りもし易くなる。
なので、なりたい姿をコトバにしておけば、なんか分かりやすいキーワードにすれば迷ったりしたときにあぁ、俺は、私はこうだと自分の考えに戻れる。」
・自分のポンコツさをさらけ出す
澤氏:「ポンコツであることオープンにする。これすごい大事です。
もっと自分のポンコツぶりを開示しなきゃだめだと奥さんに言われまして、いやいや毛穴からにじみでてるほどみんな分かってるだろうと思うけど、むしろ完璧に卒なくできている節があるよって言われたんです。」
「それでいろいろ自分のポンコツぶりを開示したら、すごい反響なんですよ。澤さんもそうだったんですか----!
それからだんだん快感になってきて、今オレのポンコツぶりを見ろという感じになっている。」
「実際、開示することで生きるのが楽になったよね。また、他の人から共感してもらうことが多くなりましたよ。あと、自分の共感力もアップしたね。自分が他者にたいし、共感しやすくなった。他の人との距離がとりやすくなった。そういう変化はある。」
これって、私もすごく大切だなーと思いました。普通人って自分の弱点を出すことをこわがり、かたくなに鎧を着て自分を守ろうとしますが、自ら自分のポンコツを出すことで他人との敷居が低くなり、コミュニケーションのカベを低くすることができますよね。
また、会社での役職なんかが高くなると、自分で自分のカベを作ってしまう人多いと思うんですけど、そういう立場だと弱点なんか出したがらないし、変に弱点なんか出したもんなら、そこを突いてくる人っていると思うんですけど、あえて試しに出してみて回りの様子を見てみるのもひとつかなと思いました。
それで、他の人との意識のカベがなくなればそれはそれでいいきっかけになるのではと思います。
山口氏:「今, SNSとかいろんなもので他者と比較しやすい。だからこそ内側である自分の感じたことを言語化して、こういうことがうれしいとか怒っちゃうとか先ず知ろうということですよね。」
・自分の違和感を大切にする
澤氏:「COVID19で行動が限定され、社会との接点が減り、自分と向き合う時間がかなり増えたと思います。なので、まさに今がうってつけの瞬間で、その時に自分の棚卸をして、ホントにそうなんだっけ?と考えたり、元の状態に戻そうとという圧力になにかしら感じている人もいると思うんですけど、例えば「会社に出てこい」「昔の状態にもどす」という声もあるんだろうけど、でも、今まさにアップデートするには最適な環境なんで、それに違和感を感じたら、その違和感はめっちゃ大事にしたほうがいい。
違和感を無視して、元に戻す圧力に身をゆだねてしまうと、結局自分が壊れたりする可能性もある。」
■個として力を付ける その二 Transform
山口氏:「今, COVIT19によるアップデートという話が出たので2番目のTransformについて伺いたいんですけど、印象的だったのが、自分にタグをつけてみるということなんですけど、しかも他人目線ではなく客観的に自分のありたい姿を確認する行為としてタグをつけてみたらということなんですが、これはどういう意味ですか?」
澤氏:「自分のありたい姿を確認する行為としてやってみるということです。
タグはどれでもいい。自分で決めて、それに近づけるようにと思えばいい。
自分は世の中にこういう風に貢献したいというのも高尚なタグのひとつ。あるいは家庭の中でこうありたい。社会の中でこういう風に貢献していると見られたいという承認欲求からくるものでも構わない。そのタグにバカ正直に行動しようとすると一層アップデートしなきゃと思うはずなんですよ。一つタグをつけて行動すると意識も変わり行動もかわる。いわゆる言ったもん勝ち。そのとき他人からガヤガヤ言われても言ってくる連中はいるが、ほっとけばいいんです。」
・Give firstという考え
山口氏:「アップデートするというときに違和感を感じたりとかの話が出ましたが、やっぱり人に助けてほしいとか頼ることって今までは弱いこととされてきたんですけど、それって必要ってことですもんね」
澤氏:「まず、助けてって言わないと助けられないし、人に助けてと言いにくいなら、先にその人を助ければいいんですよ。そしたらその人に次、助けてねと言いやすくなる。これってGive firstって言うんですけど、自分が助けることに余力ある間は、助けてほしい人をちょっと助けてあげられる力はみんなあると思う。出来る範囲でいいのでやるとこれがGive firstになって、何かあったときに助けてというバーが下がる。助けてもらうえることとは限らないけど言いやすくなる。」
山口氏:「助けてっていうこと自体 勇気がいるという人って結構いますよね」
澤氏:「やっぱりそう言うことを許されない教育を受けてきたところがある。ちゃんとしなきゃとかなんで出来ないんだという圧迫を受け過ぎているところもあると思う。完璧にできなければダメという日本人気質として持っていたりする。自分もそういうところはあるんですけど、でも、そういうは無理なんで、自分の中でも無理というのを理解して、自分がポンコツだということを前面に出すことに抵抗なくなってきたんですね」
最近、自ら命を絶つ人がふえているんですけど、ここにヒントがある気がします。
自分の中の自分がこうだと決めてしまうとそれに合わないと自分を追い込んだりしてしまう。でも、考えを変え、自分のポンコツぶりを出すとまた違った自分が見えるんじゃないかと・・・。
■個として力を付ける その三 Collaborate
澤氏:「仕事って何かと突き詰めて考えると全てのビジネスは社会貢献。
こいつは社会貢献をしているとわかりやすいからみんな助けてあげる
社会貢献しているんだという観点でみれば、すべての仕事ってハッピーに見えてくるかもしれない。
あまりにも実感できないような仕組みの中にいるんだったら、会社で身の振り方考えてもいいし、社外に出てもいいと思う。」
具体的にはどうすればいいのか。
澤氏「具体的には、全く知らないコンペティションに出てみるとか、アイデアソン ハッカソンでトップを取ってみるとか・・・。ただし、会社の名前を使わずにね。
そこまでの勇気がないのであれば、ボランティアとかでもいい。
会社の名前でなく、個人でボランティアいくと役に立たないかもしれないけど、ゼンゼン学びがある。役に立たない時、自分で思うわけですよ。もし、会社辞めたら何もできない。個人の力をつけなきゃならないって。そこでつながっていくのが、3番目のCollaborate。
外部にもゆるやかな関係をもっておくということ。」
・組織は2次元、これからは3次元
澤氏:「組織の関係はもともと2次元だから、上下の関係にしかならないけど、関係を空間としてとらえて3次元のような球体でぷかぷか浮いていること考えることで、ゆるやかに関係をもつことで、お互い必要なときにくっつくと考えれば新結合が生まれる。
2次元の上下って嫉妬とか遠慮とか生みやすい概念。逆に3次元の球体の中は興味とか挑戦、希望とか入っていて、大きくなると遠くの人からも近づきやすくなる。その中心に自分がいるんだという考えが「自己中」という考え。」
この考えって、凄い新鮮だし、ステキです。
組織は2次元、これからの組織は3次元を意識して仕事をするともっとチャンスが増えるし、個人の可能性も広がると思います。
山口氏:「そのとき呼ばれるときに必要なことって何が必要なんですか?」
澤氏:「とにかくアウトプットすること。例えば、山口さんがどこかの工場とかと組むときに何の情報は必要? 情熱とかって定量化できないけど、だけど感じで決めるでしょ。その意欲って見せてもらえればいいだけじゃないですか。パッションとか見えた瞬間におっ、一緒にやろうと思うんですよ。」
「こいつ出来るかわからないけど一緒にやろうよと。これに尽きる。
だからCollaborationってこういう概念でやったほうがいいと思った。
自分はこういうのができるとか前に、私はこういう風にしたいんだ、こういう風に考えているだというパッションを出すことが大切。」
「後、自分で安心してアウトプットしていく場所はすごく大事。
コミニティ化していくのがまさにそれで、コミニティ化されることが作られるということは心理的安全性が担保される場所が作られるということ。」
山口氏:「今まで会社って、売上規模とは従業員とが指標になってたけど、コミニティ化した会社ってどういうものが指標になるんですか?」
澤氏:「指標っていう概念も新しく生まれてくる可能性がある。ファンになっている人がどのくらいファンになってるかも指標価値になりえる。どれだけ会社のことが好きかっていうことになる」
山口シュウさんのアート思考。ニュータイプの時代というのも参考になります。」
・最上級のありがとうを!
山口氏:「最上級のありがとうを伝えるスキルっということを本書でおっしゃてますが」
澤氏:「例えば、お店でお金を払うのになぜありがとうを言うの?って言う人いるじゃないですか。その人って非常に損していると思うんです。」
「何かをしてくれた人にありがとうというマインドセットってだれも傷つけないないし、失うものなにもないし、得することが圧倒的に多いわけです。
ありがとうってなんでも直に言えると仲間も増えるだろうし、結果的に自分の人生が楽しくなってくると思う。」
「自分の人生楽しくなる先行投資と考えたらめちゃくちゃ連発してもいいと思う。ありがとうというスキルを磨いていくと他のスキル磨くより効果絶大だと思う。」
「これって自分のバロメーターにもなりますよ。疲れているとき機嫌が悪い時って、すっと出てこない。そうすると自分は疲れているということを自分で知ることができる。」
まとめ:
・これから自分はどういう状態でありたいかを言語化する。
・自分のポンコツをさらけ出し、人との壁をなくす。
・感じた違和感を大切にする。
・自分にタグを付け、発信する。
・Give firstで相手に接する。
・外とゆるいつながるがいつでもできるよう自分の興味、挑戦、情熱を常に発信してゆく。
約1時間の対談と30分の質疑応答という内容でした。
COVID19により、様々な組織や考えが変化する時代に「個」として考え、行動することがますます大切になってきて、この変化に柔軟に適合していくことも必要なんではと改めて感じました。学びが多い対談でしたので、もっと具体的に内容を知りたくなりアマゾンで購入し、読んでみようと思います。
書籍情報
書名:個人力 やりたいことにわがままになるニューノーマルの働き方
著者:澤 円
発行:プレジデント社
ISBN-10 : 483344027X
ISBN-13 : 978-4833440271
定価:1,100円+税
判型:単行本
頁数:192頁