苫小牧市令和6年度11月第9回定例会「議案」「常任委員会(文教経済委員会)」
以下の内容は、令和6年11月に開催された苫小牧市令和5年度第9回定例会における議案と常任委員会(文教経済委員会)において、市議会議員である私、嶋中康晴の発言内容と苫小牧市の答弁をまとめたものになります。 文字数の関係で実際の言葉を簡略化していますが、内容については調整しておりません。(実際は全ての質問答弁がもっと丁寧な言葉でやりとりされています)
議案:指定管理者の指定について
質問先:総務部・行政監理室
目 的:指定管理制度における公募の課題や、制度の方向性について提言
▼嶋中
今議会に提出されている指定議案4件について。
指定管理者制度による事業者選定に至るプロセスについて、公募・非公募の違いも含めて聞きたい。
▼答弁
今議会に提出した「指定管理者の指定について」の議案は、現在の協定期間が今年度末を
もって終了する4つの施設について、新たに指定することについて議会の議決を求めるものであり、市は公募または非公募により事業者の選定を行った。
公募施設における指定管理者の候補者の選定プロセスとしては、市が募集要項等を公表後に事業者への説明会を実施し、事業者から提出された申請内容について施設所管部が評価案を作成。その後、指定管理者選定等委員会において評価案と事業者プレゼンテーションよる審査を経て選定している。
一方で、施設の設置目的において特定の団体により管理運営を行うことが適している場合など、規則の規定によって非公募による事業者の指定ができるとしており、この場合にも公募と同様に事業者からの提案を市が評価する仕組みとなっている。
▼嶋中
では非公募案件についてもう少し詳しく聞きたい。
非公募、いわゆる非公募随意契約については、時間や工数を削減できるメリットがある反
面、新たな事業者が参入する可能性を狭めてしまうデメリットもあると思うが、どのような審査を経て選定しているのか。
▼答弁
非公募施設の指定管理者の候補者の選定に当たっては、施設を所管する部で事業計画書及び収支計画書等の内容について、提案内容の実現可能性や収支の安全性、収支計画に無理はないか、算出の根拠等を調査及び評価し、適当と認めた場合に指定管理者の候補者として決定している。
▼嶋中
非公募について理解した。では公募した2施設についても聞きたい。
今回、応募事業者がそれぞれ1事業者ずつだが、条件が厳しかったという可能性はないか。
▼答弁
公募施設の募集に当たっては、募集要項などの概要について指定管理者選定等委員会の審査を受け妥当と判断された上で実施している。今回、選定の経過の中で関係事業者から募集条件が厳しいといった声は伺っていない。
▼嶋中
しかし結果として公募を行う最大のメリットである、「複数事業者の提案の中からより優れたものを選抜する」という利点を活かせなかったわけだが、今回、複数事業者の応募に至らなかった原因をどの分析しているのか。今後の対策も含め、本市としての考えを聞きたい。
▼答弁
今回の選定に当たり、公募施設はいずれも1団体のみの申請に留まったが、募集時の説明会には複数団体に参加いただいた施設もあったことから、少なからず申請に興味がある事業者も一定程度いると考えている。
本市としても、民間のアイディアによる市民サービスの向上のため、多くの事業者から提案を受けたいという想いを持っており、公募の際のPR方法など一歩進んだ周知方法の検討や他市の好事例を調査するなど、多くの提案を受けられるよう努めていく。
▼嶋中
本市の見解について理解した。ただ、私個人としては説明会への参加に至っているのであれば、やはり条件面にも課題があると推測してしまう。
最後に副市長に聞きたい。先日、本市のスポーツ協会から指定管理委託料の増額を求める要望書が提出されたという新聞記事を拝見した。
私自身、民間事業者のノウハウを活かす指定管理者制度は、今後更に拡充すべきと考えているが、現時点ではまだそのメリットを最大限活かすことができていないと感じている。
本制度に対する本市としての狙いや、今後の方向性について聞かせてほしい。
▼答弁(山本副市長)
本市では平成18年度からの指定管理者制度開始以降、現在67の施設で指定管理者制度を導入し、民間のノウハウを活用した効率的な運営と市民サービスの向上を図っている。
指定管理者の更新も5期目を迎えている現在では、行政費用の削減とともに多様化・複雑化する市民ニーズに的確に対応するための施設運営の工夫が求められており、指定管理者の選定に当たり一定の競争性を保つことは、管理運営水準の維持向上のほか、利用者の利便性向上など、公共サービスの質の向上につながると認識している。
また昨今の変化する社会経済情勢の中で、安定した施設の管理運営を持続させていくためには、指定管理者との意見交換などの機会に、運営側の実情などついて広く声を伺うことも重要であると考えている。
これらを踏まえ、今後もより良い利用者サービス提供のための制度の充実と、適正な管理運営に向けた環境づくりを行っていく。
▼嶋中
私自身、指定管理や業務委託を受ける側の事業者としての経験があり、仕組みについては深く理解をしている。
着実に指定管理施設の数を増やしていることからも、本市における制度への姿勢や想いを図れるが、最後にこれは要望としてお伝えする。
それは「行政費用の削減」を、必要以上に求めないでほしいということ。もちろん施設のジャンルや特性によって違いはあるが、指定管理者がその施設の目的や目標を理解し、その強みを妥協無く発揮するためには市職員と同等、もしくはそれ以上に人件費を要する場合もある。
また直接的な委託料だけではなく、条件や条例を緩和することで、事業者が自主事業などで自ら稼ぐ体制を支援し、間接的に事業者の成長や持続性を支える手法もあるはず。もちろん共に目標を達成するパートナーとして、事業者の人の質・業務の質を厳しく評価することも含めて。
もうすでに取組んでいる部分もあると思うが、現在契約している指定管理者はもちろんの
こと、実績のある事業者や今後候補になり得る事業者も含め、情報交換や関係性の構築に注力していただきたい。
公共施設を通して、行政・民間事業者・市民の三者が信頼関係を築き、市民の健康や教育、シビックプライドに繋げ、施設単体の損益報告書では測れない「地域の魅力や地域の成長」を最大の目的に、指定管理制度を活かしていただけるようお願いします。
委員会:校内教育支援センターについて
質問先:教育委員会・指導室
目 的:本市が模索している不登校対策に国や道の予算が計上されたため、今後の方針を確認
▼嶋中
校内教育支援センターについて聞きたい。
先日、「文部科学省が不登校の小中学生向けに、校内の学習環境を整備する市町村の支援を強化するとして、空き教室を活用した『校内教育支援センター』に学習支援員を新たに配置する費用を補助するため、来年度予算概算要求に関連経費を計上した」という新聞記事があった。こちら、どのような内容、条件になっているか。
▼答弁
文部科学省は不登校児童生徒への支援の一つとして校内教育支援センターの設置を推進しており、それにかかる費用に対し、国が3分の1、道が3分の1の補助をする内容。
補助の条件として、新規設置であること、各自治体において予算を確保していること、単年度措置であること等が示されている。
▼嶋中
本市においても、こちらの補助金を活用する計画はあるのか。
▼答弁
現在、不登校対策支援員の市内小中学校全校配置のための予算確保に向け協議中であり、配置が可能となれば補助金申請を行う。
▼嶋中
本市においては既に学習支援員配置の実例があると思うが、今回の補助金が対象になる支援員も条件や役割は同じと考えてよいか。
▼答弁
採用および勤務にかかる条件は同様と考えている。不登校対策支援員の役割は、不登校の児童生徒および今後不登校になるかもしれない児童生徒に対する学習支援や教育相談を通して、子どもにとって安心・安全な居場所づくりをすることと考えている。
▼嶋中
全額ではないとはいえ国や道の財源支援は大きいと思うが、現実問題として、残り3分の1の財源確保や必要な人員数確保を考えた時、全ての学校に配置することは可能なのか。
▼答弁
教育部としては全校に校内教育支援センターの設置を目指すものであり、段階的ではあっても必要な学校に支援員が配置できるよう財源確保に努める。
▼嶋中
一斉配置が困難であろうことは理解できる。
リスクについても聞きたい。
支援センターの存在が子どもたちにとっての安心な場所になれば、学校に行くことができない子どもを減らすことに繋がると期待できるが、逆に教室よりも支援センターを希望する子どもが増え過ぎてしまい、教室に通う子どもの数が減ってしまうというリスクはないか。
▼答弁
あくまでも不登校児童生徒への支援、不登校の未然防止、教室への早期復帰、一時的な充電期間など教室に入りにくい児童生徒を目的に校内教育支援センターを設置する。
利用開始前に当該児童生徒との面談や体験を行うことで保護者、教職員、不登校対策支援員の共通理解のもと、児童生徒のニーズに合わせた学びを行える安心・安全な居場所づくりを進めていく。
▼嶋中
現場を担う教員の負担についても聞きたい。
あくまで子どものことや保護者との関りにおける責任者は担任の先生になると思うが、実際に子どもの様子を見れていない担任と、拘束時間に制限のある支援員の連携に不安は無いのか。
▼答弁
校内教育支援センターの設置の際は、校長のリーダーシップのもと、その目的を教職員で共有、共通理解してもらうよう周知する。また、個々の児童生徒の実態に応じた支援計画の作成やアセスメント、定期的な評価を行うことで、子どもたちにとってよりよい連携が担当者間で図れるよう指導・助言していく。
▼嶋中
支援員は教員免許を持ってない人材を採用する可能性もあるようだが、採用時の基準や採用後現場に配置するまでの研修なども計画しているのか。
▼答弁
不登校対策支援員の採用については、採用を希望する方と事前に面接を行い、人物像や経歴などから総合的に判断し採用を決定します。市教委として面接時には不登校対策支援員としての基本的な業務を説明するが、詳細については配置校の校長とも事前に打ち合わせを行ってもらった上で、業務を決定する。
また、市教委主催の研修会や個別面談を年複数回実施することで、不登校支援員の職能向上を図っていく。
▼嶋中
新しい取組には、様々な不安や疑問が付きまとう。私も本件に関しては色々と思うところがある。
だからこそ、現場の教員や保護者にも分かりやすく、仕組みや方針だけではなく、その最終的な目的や、懸念事項に対する対策を事前に共有してほしい。
本件は、金澤議員や大西議員も以前の一般質問で要求してきた案件ですから、指導室としてもその期待に応えるべく精力的に進めていただけると期待している。ただ、大本質である「教室自体の改革や改善」が遠のくことにならないようにしていただきたい。
「教室以外の居場所」が必要であるという考えを否定する気はない。ただ、本来追及していくべきである「誰もが安心して過ごすことができる教室」についても同時進行で取組んでいただく事を要望した上で、支援員の全校配置を進めてほしい。
第9回定例会開催までの経緯と感想
前・岩倉市長の辞職に伴い、11月5日に「第8回臨時会」が開催され、市長辞職に関する同意と、市長選挙に伴う補正予算の議案があげられました。(本来、第8回定例会は12月に予定されていました)
そして今回の議会は12月に予定されていた定例会を前倒しに、且つ短縮して行う形となりました。
市長不在であり、近々に市長選挙が執り行われることから、一般質問を省略し、議案と委員会のみの開催という特殊な環境下で行われる定例会となりました。
今年度最後の一般質問に向けて幾つかの提案を準備していましたが、本市において重要な時期ですので、気持ちを切り替え議案や委員会でできる範囲の質問や提案を行いました。
12月に市長選挙。2月3月に予算審査委員会。
議員活動2年目後半は、想像していなかった展開で進んでいます。
こういった状況でも自身の描いた苫小牧市の未来をブラさず、何が最善か、何が効果的か、どんな言動をすべきかを考え抜き、世論に流されることなく信念を貫きたいと思います。