苫小牧市令和5年度12月第4回定例会「常任委員会(文教経済委員会)」
以下の内容は、令和5年12月に開催された苫小牧市第4回定例会常任委員会(文教経済委員会)において、市議会議員である私、嶋中康晴の発言内容と、苫小牧市の答弁をまとめたものになります。
文字数の関係で実際の言葉を簡略化したり、表現を若干変更していますが、内容については調整しておりません。(実際は全ての質問答弁がもっと丁寧な言葉でやりとりされています)
Ⅰ:苫小牧型部活地域移行ロードマップについて
質問先:教育部学校教育課
目的:新たに制定されたロードマップにおける不明点や懸念点を確認
▼嶋中
ロードマップの詳細説明を聞き、非常に計画的なロードマップであり、段階的な改革は現場への負担や制度に合わせた組織やオペレーションの準備期間を考えても妥当だと思う。
いくつか質問ですが、拠点校移行型は送迎に関する配慮や支援は検討しているか。
▼答弁
拠点校方式の導入については、近隣校との距離やチーム編成に配慮したうえで、拠点校を決定することを想定していることから、送迎については、現時点で検討はしていない。
しかしながら、今後、生徒や保護者に対する支援等については検討が必要なものと考えている。
▼嶋中
今後、物理的な距離や活動時間が課題になることが予想できる。完全移行が完了するまでは、市教委としての支援も検討すべきと思うので、是非、今後の課題として何らかの支援や仕組みの構築を検討してほしい。
ロードマップでは総合型等のクラブチームや部活動指導員が増えていくことが前提となっているが、どのように増やし、育てていくのか。
▼答弁
「苫小牧型部活動地域移行」ロードマップにおきましては、令和6年度の秋の新人戦から教員と専門的指導者の双方を担い手とした拠点校方式の導入を段階的に進めることとし、その後、希望する教員を除いて、専門的指導者に完全移行することを目指している。
この専門的指導者には、総合型地域スポーツクラブや部活動指導員のほか、単一スポーツクラブの指導者も想定しており、現在、複数のクラブ関係者から小中一貫指導を前提とした地域移行の受け皿候補としてご相談をいただいている状況。
今後、受け皿先の確保と育成に向けて、スポーツ協会や競技連盟等と連携し、指導者の発掘に努めていく。
▼嶋中
続いてスポーツクラブへの移行に関する質問。
総合型等のクラブチームへの移行後は財源やオペレーションの支援はあるか。無い場合はかなり高額な受益者負担になることが予想できるがどのように考えているか。
▼答弁
地域移行後のクラブチーム等への財政面、運営方法などの支援については、現時点では検討段階に入っていない。
地域移行に伴い生じる費用負担については、受益者負担の観点から、保護者にも一定程度のご負担をいただく必要があると考えているが、過度な金銭的な負担が生徒の活動機会を奪うことがないよう、様々な視点から検討が必要なものと考えている。
▼嶋中
種目やエリアの特性に合わせて、様々な形で地域への移行を進めることには賛成です。
しかしその分、現場や市民への理解や計画の進行が難しくなることが予想できる。特に事業者の財政面に関しては、ロードマップを実現するうえで最大のハードルになるので、市としてどのような支援していくのか熟考してほしい。
因みに私のまわりでは、部活動指導員の存在や制度を知らない人がほとんど。部活動指導員の人数確保はもちろん、現状や計画の認知度を上げ、より社会全体でこの課題を考えてもらうためにも、本市の公式LINE等で定期的に募集広告を出してはどうか。
▼答弁
これまで、部活動指導員の募集につきましては、道教委作成の募集チラシを、本庁舎1階窓口ロビーとネピアアイスアリーナに掲示をしてきたほか、市ホームページで周知してきた。
今後、部活動の地域移行を推進する中で、部活動指導員のみならず、地域の指導者が多数必要となることから、今後は、市公式LINEの活用や広報とまこまい、を活用した募集を検討していく。
▼嶋中
募集については応募が情報発信量に比例するので、早急に強化してほしい。
本件は私自身が前職で携わっていた業種であり、今年度の委員会視察でも部活動地域移行の先進地域にインタビューしてきたが、現在、質を維持しながら地域移行を担っている団体は、指定管理事業や福祉事業など関連する収益事業を持つ財政的体力のある団体ばかり。しかし本市のロードマップは、担い手の存在と担い手の財源に関して、まだまだ現実的とは思えない。
独自のスキームを構築し、地域性を活かすことや、最終的に学校の手を完全に離れるという方針は大賛成だが、担い手の体力や財力が伴わなければ、絵に描いた餅、もしくは志半ばで破綻しかねない。
今後、どのように担い手を増やし、育てていくのか。特に移行期間は非常に重要で、この期間中に現場のハレーションが大きくなり過ぎれば、計画自体が難しくなる。指導者はもちろんだが、担い手団体についても「見つかりませんでした」「財政難で解散しました」とならないよう、移行期間こそ、様々な手厚い支援を用意しながら進めていただけるようお願いする。
Ⅱ:第五次苫小牧市子どもの読書活動推進計画(案)について
質問先:教育部学校教育課
目的:小中学校の学校図書室に関する次年度以降の計画を確認
▼嶋中
9月の一般質問で子どもの読書環境や学校司書について質問したが、今回の推進計画案では要望した内容について方針が定められており、非常に嬉しく思っている。
そこでより具体的な、来年度以降の計画について聞きたい。
先ず学校司書の配置は、令和10年度までに中学校への学校司書配置が完了するということ。合わせて来年度は2名の配置増員を計画しているということで、何卒計画通り進むことを願っている。
同様に、こちらも9月の一般質問で要望した、学校図書室に必須の貸し出し情報を管理するパソコンの老朽化によって貸出業務に支障があるという件。
こちらは「学校図書館のICTの整備及び活用」の項目に該当していると思うが、改善されるという認識で間違い無いか。
▼答弁
学校図書館に設置しているパソコンについては、図書の貸し出し、蔵書の管理などに必要不可欠であり、各学校からもパソコンの処理速度に関する改善要望が出ている。
令和6年度については、予算化の予定はないが、今後、改善に向けた検討をしていく。
▼嶋中
予算化はされていないということだが、決して最新のPC等が必要なわけではないと思うので、入替や修繕、ソフトのアップデートなど、何らかの方法で改善をお願いする。
もう一つ、今回の計画案を拝見して気になった案件ですが、「図書館相互協力の推進」の中に「北洋大学図書館との連携・協力の推進」とある。具体的にどのような目的でどんな取組をしていくのか、計画を教えてほしい。
▼答弁
この件については、社会教育委員からのご意見で、北洋大学図書館で子ども向けコーナーを計画的に活用してはどうかというご意見から、本市としても北洋大学との連携は大きなテーマであるため、今回の計画に盛り込んだ。
具体的な取組としては、北洋大学図書館の本を中央図書館等に取り寄せたり、また逆に中央図書館の職員が北洋大学図書館で読み聞かせイベントを行なったりするなど、現在も連携事業を行っていることから、こうした事業等を引き続き取組んでいくとともに、今後につきましても、さらなる連携を両図書館で進めていく予定。
▼嶋中
北洋大学の図書館の利活用が進めば、横に長い本市において西側の市民がたくさんの本に触れる貴重な機会を増やすことになるので、何卒、取組が市民に広く周知されるようお願いする。合わせて今回、「適切な廃棄も含めた学校図書館の蔵書数」も含め、以前お伝えした、学校図書館で実際に働く図書司書さんの声が反映されており、非常に期待している。
学校司書の配置は、部活動指導員と同様に、人が関わるため計画通り進まないことも多々あると思うが、子どもたちの今日しかない1日は着実に過ぎ去っていくので、可能な限り計画通り改善が進んでいくよう要望する。
Ⅲ:学校教育におけるタブレットの活用について
質問先:教育部指導室
目的:児童生徒が持つ学習用タブレットの活用方法について質問と提案
▼嶋中
小中学生の学習用タブレットについて、現状持ち帰りについては学校単位で対応が違うようだが、市教委としてはどのようなルール、もしくは推奨をしているのか。
個人的には、全校での持ち帰りを推奨していただき、時間割の周知や家庭学習への活用など、子どものうちからペーパーレスやデータ活用などに慣れさせてあげてほしい。
▼答弁
1人1台のタブレット型の学習用端末について、コロナ禍においては、臨時休業等の非常時にやむを得ず登校できない児童生徒に対し持ち帰りを認めていたが、令和5年度からは、非常時における学びの保障に加え、家庭学習の質を充実させるために、学校長が必要だと認めた場合においては持ち帰りを可能にしている。
各学校においては、家庭の通信環境等を考慮しながら、試験的に学習用端末の持ち帰りを実施しており、家庭学習におけるAI型ドリル学習を中心とした取組を進めながら、効果等について検証を行なっている。
▼嶋中
慎重になることは理解するが、持ち帰りが進めば家庭における学習や体験を学校と共有する機会が増える。安全優先で構わないので着実に進めてほしい。
因みに、タブレットに全教科の教科書をデータで入れることはできないか。毎日全ての教科書を持ち歩くことは、低学年にとっての体への負担だけでなく、紛失や破損などのリスクもある。もちろん紙の教科書にも様々な利点があるので、例えば学校では紙の教科書を使い、家庭での学習にはタブレットを使うなど使い分けによる効率化も期待できるのではないか。
▼答弁
現在、デジタル教科書については、すべての小中学校において外国語において導入されており、他の教科については、国の実証事業により特定の教科において導入されている学校があるという状況。
デジタル教科書については、教科毎に児童生徒1人ずつのアカウントを購入する必要があり、全ての教科で、全ての児童生徒のアカウントを購入するとなれば、多額の予算措置が必要となることから、現時点では全ての強化における導入は考えていない。
▼嶋中
財政的に現実的ではないことは分かった。
それでは今後の計画について、学習用タブレットは今後、どのようなアップデートや利活用の計画があるのか。
▼答弁
学習用端末については、近い将来に端末の更新を控えており、国の動向を注視しつつ、学校現場の声に耳を傾けながら、対応を進めていく。
先ずは、学習用端末のより効果的な利活用を実現するため、通信環境の改善を図り、児童生徒が学校で学習用端末を扱う環境の整備を進めていく。
▼質問
現状、具体的な計画は出ていないということで理解した。
ただ、先ほどの読書活動推進計画案の中で、「学校のWIFI整備」という表記もあった。少しずつ環境の改善が進むと期待している。
次に、現在タブレットの利活用における「学校(校長)による差」「担任による差」があると認識しているが、今後どのようにこの差を埋めていくのか。
▼答弁
GIGAスクール構想による1人1台のタブレット型学習用端末が整備されて3年が経過し、その活用については学校間の差や、教師の指導技術による差が生じていることは認識している。
市教委としては、ICTの活用についてのモデル授業を公開し、効果的な取組についてリーフレットや教職員限定で視聴できる情報共有動画サイト等で情報提供を行ったり、学校の要望に応じて指導主事を講師とした教職員向けの研修を行ったりするなど、どの学校においても、学習用端末を活用して、児童生徒が主体的に学習に取組むことができるように進めている。
次年度に向けて、市教委から授業改善の新たなポイントを提示し、推進していく予定であり、授業改善の実現には、ICTの活用が必要不可欠であることから、より一層、教師の指導技術向上を図っていく。
▼嶋中
劇的に進む技術革新に対応する、現場職員の皆さんの負担は計り知れない。それでも答弁の中にもあったように、子どもたちにとって必要不可欠な分野になるので、教職員の皆さんの支援を引き続きお願いする。
最後に、子どもたちが在学中に作成したデータ内の作品や資料など、卒業時や転校時に持ち出すことはできるのか。各教科のテストや図工の作品のように、思い出や記録として保管したい児童・生徒や保護者もいると思うが、基本的に端末は返却することになると思うので、この件について可能な対応方法を教えてほしい。
▼答弁
児童生徒が在学中に学習用端末を活用して作成した作品などについては、多くの学校では、印刷をして教室に掲示するなど、個別に対応を行なっている。
現在、導入されている学習端末については、1人1人にアカウントが付与され、作成したデータはクラウド上で管理されており、転出次や小学校から中学校への進学次には、アカウントをそのまま利用することにより、次の学校でも、前の学校と同様の活動を行うことが可能。また、データはクラウド上で管理されていることから、インターネット環境があれば、各家庭においてデータをご家庭のパソコン上に保存することも可能。
今後についても、児童生徒が文房具と同じように学習用端末を扱い、学びの質を向上させるための効果的な活用が広がるよう、学校への情報提供や研修の充実等に取組んでいく。
▼嶋中
本音を言えば、学習用タブレットの活用についてはもっとチャレンジングな取組も期待したいが、学校教育においては取組むべきことが膨大にあり、現場職員にかかる負担を思えば頑張ってくれていると評価すべきと思っている。
引き続きよろしくお願いします。
Ⅳ:体育エキスパート教員について
質問先:教育部学校教育課
目的:子どもの体力低下対策として体育エキスパート教員を有効活用できるよう求める
▼嶋中
6月の一般質問の際、子どもの体力低下に関する答弁の中にあった、体育のエキスパート教員について。
私自身、後日エキスパート教員の授業を見学したが、授業における運動指導の設定や声掛け、子どもたちの動線など非常にクオリティが高く、今後エキスパート教員の配置が進めば児童の体育に対する意識・技能の向上から、体力への好影響を期待できると感じた。
体育エキスパート教員は今後増員していく予定はあるのか。
▼答弁
体育エキスパート教員は道教委の事業であることから、道教委での予算編成後、本市に通知されるまでは、今後の増員等の計画については未定となっている。
▼嶋中
非常に良い施策なのでなんとか配置を増員拡充してほしいと考えるが、本市より要望など出すことはできないか。
▼答弁
配置人数については道教委内での予算編成に依ることと、本市では従来体育エキスパート教員が未配置であり効果が不明であったこともあり要望していないが、今年度体育エキスパート教員が配置されて初年度のため、学校からの意見を聞き取ったうえで、効果を分析し、次年度以降の配置継続や増員への要望を判断していく。
▼嶋中
目的や内容に関しても聞きたい。
私が見た体育エキスパート教員の体育授業は、複数の学級を同時にエキスパート教員が担い、担当教員は子どもの試技取組と安全確保を補助しながら、自クラスの児童の評価を担っていると見えた。この認識で正しいか。
また、このスキームで行う狙いは、単純な体育授業の質を向上させることか、それとも担任教員の授業力向上が本来の目的なのかどちらか。
▼答弁
内容については、委員のおっしゃるとおり、主にエキスパート教員が児童への指導を行い、学級担任は安全確保や児童の評価を担うが、そのほか、担任はエキスパート教員から指導助言を受け、体育授業に関するスキルやノウハウを学ぶものとなっている。
目的については、エキスパート教員から学級担任へ体育授業の改善及び授業以外の取組について支援や指導助言を行うことで、「体育の指導力向上及び体力向上の取組を充実させること」となっているが、その結果、体育授業の質の向上にも繋がり児童へも良い効果が還元されると考えている。
▼嶋中
非常に効果的な取組みなので、ぜひ道にも要望を出し、本市における配置人数が拡充されるよう注力してほしい。
因みにこの仕組みであれば、エキスパート教員は必ずしも教員免許保持者でなくてもよいのではないかと思う部分もある。本市の独自財源で、運動指導力のある、教員免許を持たない外部人材を配置していく可能性を視野に入れてほしい。
求められる能力が部活動指導員と近しいものがあると思うので、今後部活動指導員が増えていけば検討する余地もあると思うがどうか。
▼答弁
部活動指導員は特定の競技の指導に長けている人材ではあるが、小学校の体育授業では幅広い競技種目を指導する必要があることと、場合によっては一度に100人以上の児童に対して授業を行うこともあることから、教員免許を所有していない方が、体育エキスパート教員と同様のレベルで授業を行うことは難しいと考える。
▼嶋中
学校教育課としての考えはよく分かった。
小学生年代にとっての体育授業は「運動が好きになるか嫌いになるか」という、その子どもの「生涯スポーツ」に影響を与える、重要な役割を担っている。
先ほどのICT活用と同様に、体育という専門科目についても、教職員の個人的な努力で質を上げてくださいと背負わせるのは酷だと感じる。
そういった意味で、体育エキスパート教員については、担任の先生の実務を、エキスパート教員が一部担いながら担任の先生の成長機会にもなるという優れた取組だと評価している。
もちろん、正規のエキスパート職員の配置が増えてくれるのが理想ではあるが、先ほど提案したように、地域の人材や民間活力も視野に入れてほしい想いは変わらない。先ほど「教員免許を所有していない方が、体育エキスパート教員と同様のレベルで授業を行うことは難しい」と言われたが、私が知るだけでもそれができる人材は無数にいる。もちろん、指導力という意味であり、学校授業としての指導要領など理解しなければならないという意味では「即時にできる」という意味ではないが、より多くの学校に、より良い環境を広げられるよう、視野を広く今後も検討してほしい。
こちら要望として、質問は以上になります。
Ⅴ:委員会を終えて
今までは一般質問の準備や打合せに忙殺され、なかなか自分が所属する委員会を活用できずにいました。
しかし今回は事前に「教育に関しては委員会で質問する」ことにし、一般質問の制限時間を他の案件に有効活用できました。
もちろん委員会での質問は議場ではなく録画映像なども無いため、少し注目度は下がります。
しかし現場職員に寄り添い共に改革や改善を進めるには、日々のコミュニケーションこそが重要です。質問する場がどこかよりも、コツコツと課題や取組をピックアップし、想いや提案を継続して伝え続けたいと考えています。
変化と成長を楽しむことを忘れず、苫小牧の未来を描きます。