苫小牧市令和5年度6月第2回定例会「一般質問」
以下の内容は、令和5年6月に開催された苫小牧市第2回定例会において、市議会議員である私、嶋中康晴の一般質問での発言内容と、苫小牧市の答弁をまとめたものになります。
文字数の関係で実際の言葉を簡略化、もしくは若干表現が変わっている部分もありますが、内容については調整しておりません。(実際は両者ともに丁寧な言葉でやりとりしております)
一語一句正確なやり取りをご覧いただきたい場合は、以下のURLよりアーカイブ動画をご覧いただければ幸いです。
Ⅰ:中学校部活動の地域移行について
質問先:教育部学校教育課
目 的:子どもたちのより良い部活動環境と、教職員の労働環境改善のため
▼嶋中
中学部活動の地域移行について、国が掲げるガイドラインでは令和7年度までが改革推進期間とされている。
本市については、民間事業者への委託や、教員以外の指導員を配置できている部活は全体の何割程度か。
▼答弁
現在、地域の民間事業者への委託実績は無い。
部活動指導員の配置状況は、市内中学全16校に18種目、計108の部活動に対し、令和5年度時点で10の部活動、全体の1割程度。
▼嶋中
部活動指導員は令和3年度より開始した「部活動指導員配置事業」における実績・成果かと思うが、事業開始から今年度までの部活動指導員の人数推移と配置競技は。
▼答弁
令和3年度が4名、令和4年度が7名、令和5年度が9名。うち1名は複数校の指導を兼務。配置競技は、アイスホッケー、陸上、バレーボール等。
▼嶋中
配置が少しずつ拡充され、兼務という事例もあるようだが、部活動指導員の配置によってもたらされている具体的な現場のメリットは。
▼答弁
指導者不足を要因として活動困難となる部活動があるなか、専門性を有する部活指導員の配置を以て生徒の活動機会の確保に繋がっている。
▼嶋中
専門的な知識や技能を有する指導者の存在は部活の根幹。今後も各学校・各種目に拡げてほしい。
次に、部活動指導員配置事業のスキームを見ると、教員が部活動指導員と連携・協力して運営するモデルになっている。これでは目的の一つである、教員の働き方改革には繋がらない。
部活動指導員の配置が完了している部活を例に、教員の実務が軽減される部分と残ってしまう実務を教えてほしい。
▼答弁
日常的な練習や大会引率を部活動指導員が単独で行えることから、教員の時間外勤務の削減に一定の効果を示している。
しかし、生活指導や大会運営等の業務が未だ教員業務として残っていることから、より一層の工夫と取組みが必要。
▼嶋中
他の地域では総合型地域スポーツクラブや民間企業と連携し、教員が携わらずに部活動を運営する事例も増えている。
本市も、市民から部活動指導員を募集するだけではなく、地域のスポーツクラブや関係機関との意見交換を含め、ノウハウや実績を持つ事業者の誘致など、民間事業者と連携していく計画はないか。
▼答弁
令和3年度に組織した「部活動の在り方に関する検討委員会」の構成委員に、市内の総合型地域スポーツクラブの代表者等も含まれており、地域移行の受け皿候補として調整を図っている。
現時点で事業者誘致等の予定はないが、部活動の種目や活動実態に応じた受け皿団体の確保が必要であるため、民間事業者も含め広く検討していく。
▼嶋中
中学校部活動の地域移行に関しては、自身も事業者として道内外各地の事例に携わってきた経験がある。だからこそ本件は、子どもの数や地域の特性など様々な環境によって課題が異なり、現状の把握や計画が難航することは理解している。
また、教員の負担軽減はもちろん、子どもたちの希望部活を叶えてあげること、専門知識や経験を有する指導者を配置すること、安心で安全な部活動環境を維持することなど、取組むべきことが無数にある。
今後は、学校の統廃合や生徒数の減少、校外施設の環境整備や移りゆく人口分布など、様々な視点から中長期的な計画も考慮していくべきで、指導者の募集や育成も含め、民間事業者や関係機関とより強く連携すべき。特に指導者については登録者を募集するだけではなく、指導者を発掘・育成する仕組みが必要。令和7年度までという推進期間はあるが、焦って実態やニードと合致しないものを作れば、結果として教員や子どもたちにしわ寄せがくる。それでも子どもたちの活動環境を維持するためには、着実に取組んでいく必要があるのも事実。
本市として新たな部活動の環境・仕組みを生み出すため協力は惜しまないので、着実に進めてほしい。
Ⅱ:子どもの体力低下について
質問先:教育部指導室
目 的:全国的な課題である子どもの体力低下や運動離れの対策について
▼嶋中
近年課題となっている子どもの体力低下について。現状の子どもの体力低下に関しては、数年間に及ぶコロナ禍生活による影響もあると理解しているが、全国的にそれ以前から子どもの体力低下が始まっていたというデータもある。
本市の小中学生の体力について、現状を教えてほしい。
▼答弁
令和4年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果では、小学5年男女は体力合計点が全国平均を上回り、中学2年男女については体力合計点が全国平均を下回り、近年は同様の傾向が続いている状況。
なお、コロナ禍以前と比較して、数値が極端に低下している事実はないが、走る運動については年々低下傾向が見られる。
▼嶋中
走る運動(走力)は、運動能力の基盤なので様々な動作や競技力に影響を与える。小学生年代の優位性を中学生年代まで維持できていない要因の一つになっているかもしれない。
それを踏まえ、今後の取組である「令和5年度苫小牧市学校教育推進の重点」を確認すると、重点1に「学力・体力の向上」とあるが、体力面については方策が「新体力テストの活用による体力向上の取組の充実」としか見当たらない。具体的にどんな計画か。
▼答弁
各小・中学校においては、全国体力・運動能力、運動習慣等調査や全ての学年で実施している新体力テストの結果を踏まえ、現状と課題を分析し、課題のある種目を複数回実施するなどの取組を進めている。
また、向上させたい能力に応じて、体育授業の短い時間で取組むことができる運動を紹介した「体力向上リーフ」を作成し、どの学校でも体力向上を推進できるように情報提供を行っている。
▼嶋中
続いて授業内容に関して、本市に限ったことではないが、現在の小中学校の体育授業は、知識や技術の習得を目的とし、それを評価する、という内容に偏っていると感じる。
もっと子どもたちに運動やスポーツの楽しさ・有益さを振興していくことが必要だと感じるが、本市の状況と市教委の見解を教えてほしい。
▼答弁
令和4年度の調査では「運動やスポーツをすることが好き」と回答した児童生徒が全国平均を上回った。
成果要因の1つとして、一人一台の学習用タブレット型端末の導入に伴い、子どもたちが自分の実技を撮影して技能を高めるためのアイディアを出し合うなど、児童生徒が主体的・協働的に学ぶ姿が見られる授業が増えたことが挙げられる。
今後も子どもたちがスポーツや運動の楽しさを実感できるよう授業改善の推進に努める。
▼嶋中
授業改善の取組が一定の成果に繋がっていることは理解できた。
近年、東京都や大阪市等では、体育の授業補助に外部指導員を活用し、運動が苦手な子への個別指導を行うなど、体育授業が苦手な子どもと教員、両者の助けになっていると聞く。
本市の体育授業への外部指導員導入について、市教委の見解は。
▼答弁
日常の授業に外部指導員を活用するのは難しいが、各小中学校においては、市の出前講座や、外部講師を招いた授業等に取組んでおり、今後はさらなる普及・啓発を進める。
また、現在本市には体育専科及び体育のエキスパート教員が3名おり、本市の教育研究所主催の研修講座において、指導力向上のための研修講師として活用している。
▼嶋中
様々な授業改善に努めていることは理解できる。
しかし、より良い環境を継続的に提供するには、教員の研修や単発的な外部講師の授業だけでなく、スポーツ指導に特化した民間事業者や、家庭の理解・連携も必要であると考えるがどうか。
▼答弁
子どもたちが卒業後もスポーツに親しみ、体力を維持していくためには、高い専門性をもった指導者による学習体験や、家庭における運動習慣等が必要と認識している。そのためにも、民間事業者や家庭それぞれとの連携が重要であり、これまでも地元スポーツクラブの選手による出前授業やアスリート派遣授業等に取組む学校もある。
家庭との連携についても、家庭で一緒にできる運動を家庭向け情報誌「ほむすく」で周知するなど、家庭や地域と連携したさらなる体力向上の取組を今後も推進していく。
▼嶋中
家庭との連携は非常に良い取組なのでブラッシュアップしながら継続してほしい。
スポーツ活動は子どもの非認知能力を伸ばすと言われているが、近年は運動能力や体力と学力の相関関係も認知されている。子どものうちに運動が身近なものになり、生涯スポーツの意識に繋げることができれば、将来的な糖尿病や認知症、鬱病やメタボリックシンドローム等を予防でき、医療費の抑制にも繋がる。また、生涯を通してスポーツに嗜むスポーツ人口を増やしていくことは、先程質問した部活動指導員の育成・増員にも繋がる。
全国で初めてスポーツ都市宣言を行なった本市が掲げる「市民すべてがスポーツを楽しみましょう」「力をあわせてスポーツのできる場をつくりましょう」の宣言に則り、地域団体や民間事業者との中長期的な連携も視野に入れて検討してほしい。
Ⅲ:子ども若者支援地域協議会について
質問先:健康子ども部青少年課
目 的:新協議会の設立目的や体制について質問
▼嶋中
6月に設立された「苫小牧市子ども・若者支援地域協議会」について。
この協議会は、令和4年3月に設置された「子ども・若者相談案内<KOWAKA>」とは何が違うのか。
▼答弁
「子ども・若者なんでも相談案内<KOWAKA>」については、困難を抱える40歳未満の子ども・若者、もしくはそのご家族からの相談を受付け、課題解決に向けた支援を行う適切な関係機関等に繋ぐサポートを行っている。
6月に設立した「子ども・若者支援地域協議会」は、このような複合的な課題に対し、多種多様な関係機関・団体等から構成される横断的な支援体制を構築し、当該者にとって効果的かつ円滑な重層的支援を行うことが目的。
従って、子ども・若者支援が目的であるため双方に違いはなく、案内機能となるKOWAKAと、その支援をする各種団体の集合体である協議会という整理になる。
▼嶋中
協議会の設立によって、現存する課題を例に、実働レベルで何が加わり、どんな変化を期待できるのか。
▼答弁
子ども・若者が抱える、いじめ、不登校、ひきこもり等の課題には、その背景に、虐待、ネグレクト、ケアラー、生活困窮等の当該世帯が抱えている課題が複合的に存在する場合があり、単独の部署や支援機関だけでは解決が困難なケースもある。
このようなケースにおいても、各関係機関・団体や市役所の関係部署が各々のノウハウを活かした支援を同時に展開することにより、子ども・若者の心のケアをしつつ、世帯の生活環境改善や就労支援等を進めるというような、ハブ機能としての変化が期待できると考える。
▼嶋中
では実際にKOWAKAにはどんな相談があったのか。設立後の相談件数や相談内容など、実績を教えてほしい。
▼答弁
昨年3月の相談窓口開設から本年3月末までの相談件数は31件となっており、そのうち学校生活や進路の関連が11件、子育て関連が6件等となっている。
相談の内容は分野も様々で、本人からの相談は、落ち込んでいる友人への対応方法や親子関係の悩み等。
家族からの相談としては、不登校気味の子どもへの対応、高校中退後の進路等があった。
▼嶋中
では、その相談実績からどのような分析をしているか。
▼答弁
相談事象の対象者は中学生から20歳未満が20件で、特に高校生世代が半数近くを占める。
これはこの世代の不登校や中途退学、進路相談などを、今まで市として受け止める窓口が存在しなかったことによるものと考えており、今後KOWAKAにおいて胆振教育局や高等学校、若者サポートステーション、就労支援機関等との連携を強化しながら課題の解決に努たい。
また、高校生世代の相談は家族等からの相談が多いことから、高校生世代が自分自身で相談できるような環境や体制づくりについても検討する。
▼嶋中
今後の課題として予測できるのは、現在、表には出ていない、相談に至っていない案件をKOWAKAでどう拾い、新たに設立した協議会のスキームに繋げていくか。精神的に相談できる状況ではない人や、直接相談ができない人を例に対策を教えてほしい。
▼答弁
少子高齢化や情報化等が急速に進行し、子ども・若者を取り巻く状況が大きく変化しており、これに伴う不安等から子ども・若者の孤立・孤独の問題が顕在化している。この問題を解決していくためには、協議会の各構成機関にご協力いただきながら、孤立している子ども・若者等の情報について相互連携を図りつつ、適切な支援に繋げられるよう当事者をサポートする必要がある。
今後、実務者会議を開催し、相互連携やサポート方法、援助希求が希薄な方への対応等について協議しながら、課題解決に繋げていく。
▼嶋中
答弁内容から、各構成機関との連携や実務者会議の内容が重要になってくると思われる。
今後は協議会の活動の質を向上させることが必須だと思うが、KOWAKAを相談窓口としながら、今後、協議会は何を指針に活動の是非や改善を図っていくのか。
▼答弁
協議会としての指針については、国が示す「子ども・若者育成支援推進大綱」を勘案して検討すべきだが、本年4月に施行された「こども基本法」に基づく「こども大綱」が、この「子ども・若者育成支援推進大綱」を包含する内容で年内に公表予定となっている。
今後国の動向等も注視しつつ「こども大綱」を踏まえたうえで、協議会の実務者会議等でご意見をいただきながら、必要に応じて協議会としての活動指針、もしくは行動指針的なものを策定していきたい。
▼嶋中
最後に相談窓口の市民への浸透について、相談窓口であるKOWAKAの周知方法と、窓口の存在を知っていても相談できない市民の「心のハードル」を下げるため、具体的にどのような取組を考えているか。
▼答弁
これまでの広報やSNSによる周知を継続するとともに、周知用ポスターやチラシに相談の具体例を掲載する等、わかりやすい内容に刷新してまいりたいと考えている。
また、今年度開設した、担当課のインスタグラムを活用しながら情報発信を図りたいと考えている。
なお、対面や電話で直接相談することの困難な方が、悩みを抱えたまま相談を諦めてしまわないように、現在KOWAKAにおいて24時間メールで相談受付を可能としている。
窓口の存在がより身近なものと感じてもらい、悩みを抱えた人がためらわず相談できるきっかけを作るためには、周りの人が相談を後押しすることも必要と考えており、関係機関等を通じて広く周知に努めていく。
▼嶋中
支援が必要な人は時として、災害と同様に自分の身にそれが起きるまで「自分が当事者になるとは思っていない」という人が多くいると思う。
だからこそ、起きてからの対応以上に、全市民が「自分が当事者になるかもしれない」という意識になるよう、平常時から相談窓口の存在と役割を認知してもらうこと。相談窓口が身近になっていることが重要であると考える。
SNSはフォロワー数や拡散力のある投稿が求められるし、ポスターやチラシも余裕のない人は、なかなか目に入らないかもしれない。
市民生活のセーフティネットになる仕組みとして期待しているので、何卒、妥協なく周知活動及び構成機関との連携を強化してほしい。
最後にこの協議会を活用し、将来の苫小牧を担う子ども・若者に対してどのように育成支援に臨まれるのか、市長の想いをお聞かせいただき、質問を終了したいが如何か。
▼市長答弁
部長答弁にもあったが、本市はこれまで、青少年問題協議会、あるいは若者自立支援ネットワーク連絡会議などで、子ども・若者を取り巻く様々な問題について、各種団体の皆様と連携しながら取組んできた。
この4月から国の立方措置によって、こども基本法の施行、そして4月からはこども家庭庁も設置され、それに基づいて全国各自治体でも衣替えが必要となる中で、本市としても、子ども・若者支援地域協議会をスタートさせた。
今までも繋がりがあった関係を、緩みがないか、あるいは強化は必要ないのか、これから先に向かうために、どのような形で仕組みを再構築し、定着させることができるのか、子ども・若者にとって有効かという観点で、構成機関の皆さんから、率直な忌憚のないご意見をいただきながら、すべての子ども・若者が社会と繋がりをもてる道づくりに汗を流していきたい。
▼嶋中
ご答弁いただき、ありがとうございます。「横断的な支援体制」や「重層的な支援」を実現するには、私たち市議会議員全員の協力・団結も不可欠だと考えている。
すべての子ども・若者のために、疑問や提案があれば、今後も積極的に質問・提言していくことを約束し、全質問を終わります。
Ⅳ:議会を終えて
4月に初出馬・初当選してから、5月の議長選出の議会を除けば、これが初めての議会となりました。
議案説明会への出席、一般質問の題材選び、各担当課との打ち合わせや原稿作りと、何から何までが新鮮でした。
当日は緊張感と高揚感が入り混じりつつ、先に登壇した先輩たちの姿を見ながら感じた「初心」を表明させていただきました。
質問に込めた想いや描く未来もありますが、先ずは右も左も分からない新人議員に対し真摯に手を差し伸べてくれた全ての人に感謝いたします。
親切に助言していただいた会派の先輩方。
丁寧に打ち合わせしてくれた担当課の皆さん。
書類提出や進行に関する説明をしていただいた議会事務局の皆さん。
初登壇を傍聴してくれた支援者の皆さん。
今回は反省点よりも感謝の気持ちを大切にし、これからの成長で恩返ししていきたいと思います。
自身も初心を忘れないよう、冒頭の宣言をあえて以下に貼り付けて残します。
私の姿勢が宣言に反していた時は、遠慮なくご指摘ください。
「通告に従いまして
順次質問させていただきます。
ただ今回、初登壇になりますので、
先ずは最初に、今後これから議会に臨む自身の
想いを宣言させていただきます。
与えられた機会と時間に、
感謝の気持ちを忘れず。
返される全てのご意見・ご答弁を、
素直な気持ちで受け止め。
常に謙虚な姿勢で、
この場に立つことを誓います。
では、質問に入らせていただきます。
よろしくお願いいたします。」(礼)
変化と成長を楽しむことを忘れず、苫小牧市の未来を描きます。