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苫小牧市令和6年度9月第7回定例会「常任委員会(文教経済委員会)」

以下の内容は、令和6年9月に開催された苫小牧市令和6年度第7回定例会の常任委員会(文教経済委員会)において、市議会議員である私、嶋中康晴が行った発言内容と苫小牧市の答弁をまとめたものになります。
文字数の関係で実際の言葉を若干簡略化していますが、内容については調整しておりません。(実際は全ての質問答弁がもっと丁寧な言葉でやりとりされています)


Ⅰ:学校におけるICT活用について

質問先:教育部・指導室
目 的:ICTを活用した不登校対策の可能性について確認

▼嶋中
昨今話題に上がる、学校教育における個人端末の活用は、どちらかと言うと「家庭での学習環境」や「SNSなどによるいじめ」「紛失や破損のリスク」などが議論されがち。個人的には1人1台の端末があるからこそ、現存する課題と新しい向き合い方ができるのではないかと感じる。
本市においても少しずつICT活用を進めているようだが、現状、注力している取組みや、現場が手応えを感じている取組みがあれば教えてほしい。
▼答弁
現在は授業等において、タブレットを文房具のように日常使いすることを推進している。各学校ではタブレットを活用して調べたり、まとめたり、発表や表現したりすることの他、AIドリル等を活用し、子どものレベルに合わせた問題に取組むなど効果的な活用がみられた。
また、他の地域や海外の小学校とオンラインで繋がり、子ども同士が英語でコミュニケーションを取りながら交流を深めた事例もあった。実践した学校からは、大変好評で今後も継続の方向で検討しているという報告を受けている。
▼嶋中
子どもたちが1人1台端末を持つもう一つの利点として、周りの目を気にせず、時には保護者すら飛び越えて学校に相談やSOSを発信できることだと思う。
一つの例ではあるが、文科省のメニューには、ICTを活用した「悩みや不安を抱えた児童生徒の早期把握・早期支援」に関して、「不登校児童生徒等の早期発見・早期支援事業」の中で、いじめ・不登校等の早期把握に向けた『1人1台端末等を活用した「心の健康観察」』を推進している。
本市としては、ICTを活用した子どもの心の健康観察や、子どもと学校をダイレクトに繋げるツールはあるのか。今後の検討事項も含め教えてほしい。
▼答弁
「心の健康観察」については、現在各校での教育相談の充実や北海道教育委員会が推奨している『子ども理解支援ツール「ほっと」』やアセスメントツール「心と身体のチェック」の活用が主な取組です。この他、1人1台端末を活用した「おなやみポスト」によるいじめや悩みの早期発見に取組み、相談体制の充実を図っている。
上記以外にも様々なツールがあるが、有償であるものがほとんどであり、市内全児童生徒を対象として実施する場合は多額の費用がかかること、専門業者の分析結果が出るまでに時間を要するなどの理由から、現段階では導入は検討していない。
今後、子どもの心の変化に対しスピード感をもった適切かつ的確な支援ができるよう、現状にあった支援ツールがあれば導入を検討していきたい。1つの例ですが、1人1台端末で自殺を予見するキーワード等を検索した場合、自殺を思いとどまらせ、相談機関を紹介する画面を自動的に表示する機能導入を検討している。
▼嶋中
推進指標としている「PC・タブレットなどのICT機器をほぼ毎日使用させている」と回答した学校の割合が、目標値85%に対し16.4%と大きく遅れをとっている。令和9年度末までに達成の見取りはあるのか、現状と今後の取組を教えてほしい。
▼答弁
目標値に対し低い結果となっていることは、ICT機器の効果的な活用方法や場面などがまだ十分に浸透していなかったことが主な要因と考えている。
しかし、今年度から市内すべての小中学校において個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実による授業改善策を進めている。その実現にはICTの活用が必要不可欠であることから、子どもが主語の4つの共通取組場面「見通す・決定する・協働する・振り返る」における活用の具体例を提示したほか、研修講座や公開授業において実際の授業における活用実践例を紹介している。
ICT機器の日常遣いの必然性が高まったことにより、授業改善ハンドブックやTomaTubeなどの研修ツールの活用を通して、さらに授業の質とICT活用の頻度が向上していくと考えている。
▼嶋中
授業での利活用が進めば自然と使用頻度が上がり、学習や生活に必須の機器となれば必然的に活用レベルが向上し、それらの結果として授業の質も上がると思う。
そしてICTの活用により授業効率や報連相の幅が広がり、授業や学習、コミュニケーションの質が上がれば、結果として「教員と子どもと向き合う時間」が増える。そういう意味で、ICT活用を活かし、一人でも多くの子どもたちが「社会において自立的に生きる基礎」を身につけられる学校を目指すことをお願いして、本件に関する質問を終わります。

Ⅱ:子どもの体力・運動能力向上について

質問先:教育部・学校教育課
目 的:体育専科教員や体育エキスパート教員による成果と今後の方針の確認

▼嶋中
まず、近年の体育専科及びエキスパート教員の人数変化推移について教えてほしい。
▼答弁
令和6年度は小学校に2名、中学校に1名の計3名を配置しており、令和5年度と同人数となっている。
また配置教員の内訳としては、専門的な指導を担う体育専科教員1名、授業改善に向けた指導助言を主な役割とする体育エキスパート教員、体育授業実践スペシャリストが1名ずつ配置されている。
▼嶋中
それに伴う新体力テストへの影響についても教えてほしい。
▼答弁
道教委が公表した令和5年度の事業報告では、専科教員等を配置した学校の体力合計点が全道平均を上回るなど一定の配置効果が確認されている。
▼嶋中
一定の成果が出ているということで、やはり体力向上や運動技能の習得という観点では、エキスパート教員や専科教員の配置は非常に有効であると理解できた。
因みにエキスパート教員の事業計画や配置人数は、北海道教育委員会が主導していると聞いているが、道教委からはエキスパート教員の育成・配置・活用法について、どのような計画が示されているのか。
▼答弁
エキスパート教員などの運用方法については、北海道が事業の実施要項を定めており、市に対して配置計画などは示されていない。
配置にあたっては毎年希望調査が行われており、申請後、道から決定通知が来ることとなっている。
活用法については、体育専科教員が児童に対する専門的指導を担う一方、エキスパート教員やスペシャリストは教員の指導助言を主な役割としており、配置は3年が上限となる。
人材については市教委が市内の優れた教員を候補者として推薦しており、全道で配置人数が限られている中で、令和5年度は体育専科教員が17人、エキスパート教員が13人、スペシャリストが14人配置されている。
▼嶋中
確実に効果が出ているようですが、市教委として道教委への増員要望や、この事業を活かした独自の施策など計画は無いのか。
▼答弁
体育専科をはじめとする加配教員の配置については各学校の希望に基づいて申請しているが、道の予算上、全ての学校には配置されていない。
そのため、専科教員等の優れた取り組み事例を市内の小中学校に動画配信するなど情報共有を図ることで、専科教員が未配置の学校でも授業改善等に役立てている。
市教委としては、各校が抱える学習課題の解決に向けて配置を拡充できるよう道教委に対して増員の要求をしていく。
▼嶋中
子どもの運動離れ、体力格差が広がる近年において、このような効果の高い取組は非常に価値がある。是非、より効果を広げていけるように、道教委への要望や、本市独自の取組を検討してほしい。こちら要望として本件の質問を終わります。

常任委員会の座席


Ⅲ:部活動地域移行に伴う地域連携や教員の働き方について

質問先:教育部・学校教育課
目 的:部活動地域移行に伴う、地域との連携と教職員の働き方改革について提案

▼嶋中
部活の地域移行の核となるのは「送迎や後援会を担う保護者」「施設使用と希望する教員が関わる学校」「新たな受け皿となる地域住民」です。
そんな中、地域の支援を得るためにコミュニティスクールにも理解・協力をお願いするべきだと思いますが、現状、何らかのアプローチはできているか。
▼答弁
市教委としても、部活動の地域移行を進めていく上で、地域の理解・協力を得ていくことはたいへん重要なことと認識している。
現時点でコミュニティ・スクールへの説明等は行っていないことから、今後、地域移行の進捗状況についてコミュニティ・スクールの場で学校から情報提供するなど検討する。
▼嶋中
先日、苫小牧青年会議所が部活動指導員の人材バンクを作り募集をしていくという企画が立ち上がりましたが、今後、市教委としてはどのように連携していく予定か。
▼答弁
青年会議所では先日、独自に人材バンクを設置するなどご協力いただいている。市教委としては、専門的知識・技能を有した指導者の情報提供をいただいた上で、各競技団体や関係者へどのように活用・共有していけるか等を検討していきたい。
▼嶋中
今後、中学校の部活が好きな教職員が、地域移行後も参画してくれるかどうかが大きなポイントになると思うが、それが可能な働き方改革は進んでいるのか。現状の残業量の把握、また今後の目標値なども含め教えてほしい。
▼答弁
市教委では、教員の時間外在校等勤務時間数を出退勤システムにて管理している。
時間外在校等勤務時間数の目標は、令和5年度に策定した苫小牧市学校教育推進計画において、令和9年度までに時間外在校時間が1ヶ月45時間以内となる教職員の割合を85%(R4:79.4%)まで引き上げることを目標としていたが、令和5年度に85.4%と、目標値を達成できた。
今後についても、教員が地域移行後の指導に携わるためには「時間外在校等時間」と「兼職兼業に従事する1ヶ月あたりの時間」の通算時間が許可に関係することからも、時間外在校時間数の縮減などの取組みを今後も継続していく必要があると考えている。
▼嶋中
兼業に要した労働時間の合算管理など難しい問題もあると思うが、引き続き現場の働き方改革を進めてほしい。
中学校教員が地域の社会教育に関わり報酬を貰えるようになると、小学生世代のクラブチームや少年団指導に携わっている小学校教員から不平不満が出る恐れがあると思う。他の社会教育に携わる教職員にも副業を認めていく方針や、今後の懸念事項はあるか。
▼答弁
教員の兼職兼業については苫小牧市立学校管理規則に定められており、現在も小学校・中学校問わず教員から「教育に関する兼職等承認願」が出された場合、一定の条件が満たされた場合に許可している。現時点では教員が地域クラブの指導者として兼職する場合にあっても、同様の規則等に基づいて兼職兼業を認めていく。
▼嶋中
納得のいく回答ではあるが、それは全ての教職員が知っているのか。
わざわざ全職員に通知する必要はない、逆に過剰に副業を推進しかねないなど、懸念はあるかも知れないが、「教員は少年団指導や社会教育の場で報酬を貰えない」という歴史が永らく続いていたため、自然に浸透するには時間がかかりすぎるのではないか。
今後、部活の地域以降が進む中で、小学校を含めた教職員に進捗を共有する機会はあると思うので「知らなかった」という教職員がゼロになるよう、可能な限り努力してほしいが如何か。
▼答弁
兼職兼業のルールおよび必要な手続きについては、今後、小中学校の教員に対して資料を配布し周知することを予定している。
地域の指導者の確保に当たっては、教員の協力が必要になることも想定されることから、指導を希望する教員が円滑に手続きできるような体制を整えていく。
▼嶋中
ありがとうございます。安心しました。通常業務にプラスして、地域のために尽力してくれている全ての教職員が不公平感を持つことなく、今後も活躍してもらえるよう願っています。

Ⅳ:委員会を終えて

今回の議会では、一般質問でライドシェアや総合体育館を通して総合政策部(いわゆる「まちづくり」)に関する内容を集中させましたので、委員会では自分の一丁目一番地である教育についてピックアップしました。
3つの項目それぞれに想いや狙いがありますが、まだまだ視野を広げ視座を高める必要があります。
市民との対話や専門家との議論、全国各地域の情報を学ぶことを忘れず「苫小牧市の教育改革」が少しでも進むよう尽力いたします。

グリーンシード21の研究会で学生とまちづくりについてディスカッション


変化と成長を楽しむことを忘れず、苫小牧の未来を描きます。

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