苫小牧市令和5年度9月第3回定例会「一般質問」
以下の内容は、令和5年9月に開催された苫小牧市第3回定例会において、市議会議員である私、嶋中康晴の一般質問での発言内容と、苫小牧市の答弁をまとめたものになります。
文字数の関係で実際の言葉を簡略化したり、表現を若干変更している部分もありますが、内容については調整しておりません。(実際は全ての質問答弁がもっと丁寧な言葉でやりとりされています)
一語一句正確なやり取りをご覧いただきたい場合は、以下のURLよりアーカイブ動画をご覧いただければ幸いです。
Ⅰ:コミュニティ・スクールについて
質問先:教育部学校教育課
目 的:中学校区をベースとした新制度コミュニティについて目的や現状を確認する
▼嶋中
今年度から本市に一斉導入されたコミュニティ・スクールについて、現状どのような活動や取組が出来ているか。
▼答弁
今年度から全地域で導入されたコミュニティスクールは、4月から7月にかけて、各校区で第1回目の学校運営協議会会議が開催され、委員の決定や各学校の運営方針の承認などが行われた。
現状は導入から間もないが、地域合同避難訓練の実施、祭りや地域清掃といった地域行事への児童生徒の参加などの取組事例を学校側から伺っている。また、今後の取組予定については、各学校運営協議会から示されている今年度の活動計画の事例として、地域安全マップの作成や委員による小中学校活動の視察、給食試食会などが予定されている。
▼嶋中
次に、コミュニティ・スクールにおける学校運営協議会の構成員について。学校運営協議会委員に町内会関係者が入っているのは非常に良いことだが、複数の町内会に跨る学校運営協議会では、年度ごとに交代でしか町内会関係者が委員になれないと聞いた。
次年度以降で構わないので、地域の大きさや児童・生徒数により、委員の数を増やしたり、地域の関係者がオブザーバー参加できるようにならないか。
▼答弁
苫小牧市学校運営協議会規則により、学校運営協議会委員は15人以内と定められ、任期は2年となっている。現時点で委員数を増やす考えはないが、委員以外で学校運営協議会に関心のある地域関係者がオブザーバーとして参加することは可能なので、それぞれの協議会に相談、確認してほしい。
▼嶋中
是非、オブザーバー参加が可能な旨を各協議会に周知し、将来的でかまわないので、規模による人数制限変更も検討してほしい。
続いて、各学校運営協議会と市教委の連携について。地域独自のコミュニティを造成するため、各学校運営協議会に対して市教委側からの提案や積極的な介入は予定していないとのことだが、うまく仕組みや制度を活用できない地域に対してどのように支援していくのか。
▼答弁
市教委として、今年度はまず各学校運営協議会の活動や取組内容の把握をしたいと考えている。
各協議会からの活動報告を踏まえて活用事例集を作成し、全ての学校運営協議会に情報共有していきたい。作成は次年度となるが、可能な限り早い時期に配布したい。
▼嶋中
次年度活動に活かせるよう、可能な限り早い情報共有をお願いする。
続いて各教育機関との連携について。中学校区をベースに、主にその校区にある小学校関係者が構成員になっているが、各公立高校や幼稚園・保育園、国立高専、支援学校、北洋大学なども連携していくべきと考える。現時点で委員に含まれているのか。現状と、各機関との連携について市教委の見解は。
▼答弁
学校運営協議会委員については、公立高校や幼稚園・保育園の方が委員になっている。なお、国立高専、北海道苫小牧支援学校、北洋大学には現状、委員はいない。開成中学校区では、苫小牧東高等学校の生徒が、清水小・開成中に来校し、児童生徒の課題指導に協力しており、また、小学校等のグラウンドを幼稚園や保育園の運動会の際に貸すなど、地域において広く有用な教育活動が展開されている。
学校運営協議会委員は、地域住民・教育関係者などで構成されていることから、高校や大学などの教育関係者が委員となることは望ましい。市教委として各学校運営協議会に委員の推薦を強制することはできないが、活用事例集に教育関係先との取組事例を掲載するなど、連携促進を図っていきたい。また、地域住民の皆様との有用な活動事例等についても情報共有し、地域とともにある連携教育につなげていきたい。
▼嶋中
非常に前向きな見解をありがとうございます。
もちろん教育機関だけの連携がこの制度の本質ではないと理解しているが、市教委としては今後どのような事例が増えて欲しいと考えているのか。
▼答弁
コミュニティスクールは、保護者・地域住民・学校が連携・協働して、よりよい教育活動を実現していくことを目指している。
市教委としては、各学校において特色ある学校づくりの推進を掲げていることから、各地域の自然環境や人材を活用した学校づくりの推進が図られるとともに、保護者、地域住民などの参画による多様な体験学習や地域の愛着を育むような体験活動、学校、地域の連携による防災教育等など、さまざまな取組を通じて、小中学校9年間を見通した教育活動が推進され、未来を担う子ども達の健やかで確かな成長につながるような取組事例が増えていくことを期待している。
▼嶋中
最後の答弁にもあったように、この制度には小中学校9年間の義務教育をより良くする可能性を感じている。
小中一体の義務教育学校を実現するには、ハード面整備に要する高額予算というハードルがあるが、コミュニティ・スクールは小中連携しての実質的一貫教育を描くことができる。学校運営方針の承認機関も担い、開かれた学校経営の実現や、児童・生徒・教職員が地域社会と繋がる効果もあると感じている。また、町内会と子育て世代の接点が増えることにも繋がることから、「子どもを真ん中にした地域コミュニティ」を促進できると期待している。できればこの仕組みを活かして、本市がどのような「地域教育・社会教育を実現したいのか」というビジョンや想いを発信していただき、今後、学校から地域への相談や、地域から学校への提案が増えるように発展させてほしい。
Ⅱ:学校図書室について
質問先:教育部指導室
目 的:子どもたちの図書環境と図書司書の活用について現状と課題を確認する
▼嶋中
最近、子どもの読解力が下がっているというニュースを目にする機会が増えている。これは読書量の低下が理由として考えられるが、本市の児童・生徒の現状はどうか。
▼答弁
本市の児童生徒の読解力と読書量は、全国学力・学習状況調査の結果から、1日あたりの読書時間は全国平均とほぼ同等であり、読書量について大きな低下は見られない。読解力についても全国平均をやや下回っているが、ここ数年において大きな低下は見られない。しかし平成31年度調査の結果と比較すると「読書は好き」と回答した児童生徒の割合が低下しており、読書に親しむ児童生徒が減少していることが課題となっている。
▼嶋中
読解力は全教科の学力に影響すると言われているので、是非、取組を強化してほしい。
読書量については、学校によって一人当たりの児童・生徒に対する本の貸出し数など、状況が異なると思うが、学校間の差についてどのように分析しているか。
▼答弁
市教委としては、市内の全ての学校について個別の分析は行っていないが、学校図書館の貸出し数において、学校によって差が生じていることは認識しており、学校司書の勤務状況や授業における学校図書館の活用状況等が異なることが要因の1つと考えている。
▼嶋中
学校司書について、現在、学校図書館に配置されている学校司書の役割や影響力について教えてほしい。
▼答弁
学校司書については、学校図書館の環境整備や図書の貸出し業務等の役割を担っており、各学校のPTAによる図書ボランティアとの連携や、教師が授業で活用する資料の準備などのサポートも行っていることから、児童生徒の読書活動の充実において、効果的な存在であると認識している。
▼嶋中
学校司書が子どもたちの読書環境において重要な役割を担っていることは理解できた。
続いて各学校の図書予算について。昨年度に比べ、今年度の学校図書の予算が大幅に削減されているが、読書活動の充実には本が充分に蔵書されている必要がある。市教委としては、次年度に向けてどのような考えか。
▼答弁
学校図書館においては、文部科学省が学級数によって標準蔵書冊数の基準を定めている。文部科学省からは学校図書館図書標準の達成率、いわゆる充足率を100%にするよう通達が出ている。
議員からのお話のとおり、適切な学校図書館運営に努めていきたい。
▼嶋中
文部科学省からの通達が基準になっていることは理解できたが、充足率についてもう少し聞きたい。充足率、いわゆる「本が十分に足りているか」という基準だと思うが、その算出はどのようなルールやフローで行われているか。
▼答弁
充足率については、学校図書館にある蔵書冊数に対し標準蔵書冊数により算出され、充足率が100%であれば本が足りているという判断になる。しかしながら、廃棄できずにある活用できない本も充足率に含まれているため、「本当に必要な本が足りているか」については、充足率だけでは測れないと認識している。限られた予算ですが、各学校において、学校司書や司書教諭などの意見を踏まえて購入計画を策定するなど充足に努めている。
▼嶋中
子どもたちの読書環境に直接影響を与えるので、よりよい環境になるよう引き続き改善・努力をお願いしたい。
こういった現場の状況を把握し、的確な計画や改善を進めるには、各学校の現状を最も捉えているであろう学校司書の意見や考えに耳を傾けることが重要。数人の学校司書さんにヒアリングしたが、なかなか意見の反映がされないという声があった。実際、学校と学校司書のコミュニケーションが足りていないのではないか。
▼答弁
先の答弁のとおり、学校司書は授業における教員のサポートや児童生徒の読書活動の充実において、効果的な存在である。
議員から学校司書の意見や考えが反映されていないのではないかとあった。これまで学校司書は、学校や図書ボランティアと連携して、学校図書館の環境整備や貸出し業務などに取組んでいるが、いま一度、各学校に対して、図書の購入や処分等を含めた学校図書館の運営について、学校司書とコミュニケーションを図りながら取組むよう指導する。
▼嶋中
是非お願いしたい。因みに、中学校に目を向けると、なかなか学校司書の配置が進んでいないようだが、今後はどのような計画になっているか。
▼答弁
現在、3校の中学校に学校司書を配置しているが、他の中学校からも学校司書の配置要望があることから、引き続き、学校司書の増員について努める。
▼嶋中
予算や人材の確保が必要な案件になるので、簡単に全校配置とはいかないのは理解するが、子どもたちの読書環境充実のため早急な配置をお願いしたい。
本件最後の質問です。学校司書の担当校をコミュニティ・スクールの範囲と合致させることで、より地域密着型の観点で学校づくりや地域連携が可能になると考えるが如何か。
▼答弁
議員ご提案の、学校司書の担当校をコミュニティスクールの範囲の学校とすることは、小学校から中学校への連携という観点から有効と感じている。学校司書の配置拡大に向けた取組をすすめるとともに、コミュニティスクールの範囲と合致させた場合の学校司書の配置の在り方などについても検討していきたい。
▼嶋中
前向きな回答ありがとうございます。
今後も定期的に現場に足を運び、図書司書の皆さんの声に耳を傾けながら、子どもたちの成長に繋がる図書環境が実現できるよう、提案・提言させていただく。
Ⅲ:小中学校の暑さ対策について
質問先:教育部指導室
目 的:市内小中学校を対象とした、今すぐできる暑さ対策について質問・提案する
▼嶋中
今年度の猛暑に対し、冷房機器設置の検討はもちろん重要だが、計画次第で実現可能な対策として、小中学校の夏休み期間を本州のように8月末まで延長することを提案する。市教委としての見解は。
▼答弁
小中学校における夏季休業等の期間については、苫小牧市学校管理規則において、夏季休業と冬季休業それぞれ25日以内としているが、休業日の総日数の50日の範囲内でそれぞれの休業日を変更することが可能。様々な状況を踏まえ、今年度は夏休みを27日とするなど、2日間夏季休業を延長し冬季休業を短縮している。8月末までの延長については現時点で考えていないが、休業日の変更については校長会と連携を図っている。
▼嶋中
本件は実行するのであればなるべく早く準備を進め、日程を確定すべきと考えるが、実際はどのようなスケジュールになるか。
▼答弁
長期休業等の計画については、苫小牧市学校管理規則に基づき校長が定めることとなっているが、例年、前年度の12月末までに、小中学校の校長会が各学校の意見を踏まえて作成している。
▼嶋中
学校行事の調整や冬の暖房費の膨張など、言うほど簡単ではないのは理解しているが、何卒、子どもたちの安全を最優先した判断をお願いします。
続いて登下校時の服装に関して。登下校時の服装指導は学校単位の判断になると思いますが、熱中症に関するガイドラインを明確にし、夏休み明け初日などでも各学校が児童生徒の安全を最優先した指導ができるようにするべきだと思うがどうか。
▼答弁
市教委としても熱中症に対して、迅速かつ適切に対応できるように、ガイドラインが必要であると認識しており、熱中症の予防や発症時の対応等についてまとめたガイドラインを策定して、各学校が児童生徒の命と健康を守る体制の整備に万全を期すことができるような取組を進める。
▼嶋中
非常に安心しました。
本件最後に、体育授業の工夫について提案します。
本市のスケートリンクは、通年どこかしらが稼働している。その特殊な環境を利用して、現在冬に行っているスケートリンクでの体育授業を夏休み明けに実施するのはどうか。氷都苫小牧らしく、夏場に子どもたちがスケートリンクで体育授業に取組む姿は、市外道外各地に良いPRになるし、何より子どもたちに安全な運動機会を提供できる。市教委の見解を聞きたい。
▼答弁
現在市内の小学校では、5月~9月がプール学習、11月~2月にかけてスケート学習を行っている。冬場にスケート学習を行うことについては、複数回、まとまった期間で行うことで技術の習得が見込まれる。また、プール学習とスケート学習の時期を分けることでバスの確保をしている現状。したがって、現状として夏場にスケート学習を実施することは難しいと考える。
しかし例えば、例年市内複数の小学校で実施しているレッドイーグルス北海道の選手を講師に招いた体育授業等を夏場のスケート教室として実施することなども考えられるため、今後検討していく。
▼嶋中
この暑さが突発的なものか、温暖化の影響として継続的なものか、判断は難しいが、立場や役割を超えて子どもたちの安全と学習環境を守るため団結すべき。私自身も引き続き全力で考えていく。あらゆる手を尽くして対策ができるようお願いしたい。
Ⅳ:避難施設について
質問先:市民生活部危機管理室
目 的:避難施設に指定されている私立学校の、営業時間外開錠について質問・提案する
▼嶋中
現在、市内の小中学校は全て指定避難所になっているが、小中学校が施錠されている土日や時間外に災害が発生した際、指定避難所として市民が速やかに立入できるのか。
▼答弁
本市では、指定避難所である学校施設のうち、小中学校について、学校周辺に居住する職員3名を地域指定職員に指名している。地域指定職員のうち2名は鍵を所持しており、夜間や休日等の勤務時間外に災害が発生した場合は、地域指定職員が学校に駆け付けて避難所を開放するとともに、避難所運営担当職員が到着するまでの間、避難者の受け入れ準備や誘導などを行う流れとなっている。
▼嶋中
道が管理する高校や、国立の工業高等専門学校、私立の大学についてはどうか。
▼答弁
地域指定職員については、市所有の施設である小中学校及び苫小牧支援学校を対象に指定している。高校や高専、大学については、施設管理上の理由から地域指定職員の指名には至ってないが、各管理者には予め避難施設開設の基準を示しており、災害発生等により施設開放が必要な際は、関係者の協力により速やかに対応してもらえる仕組みとなっている。
▼嶋中
あくまでレアケースにはなるが、地域指定職員が市内にいない、もしくは災害に巻き込まれて動けない際などの対策はあるか。
▼答弁
有事における避難施設の開放については、さらに迅速・確実な方法を求める声をいただいており、市としても全国の対応事例について調査・研究を行ってきた。こうした中、今年度、市内事業者から、公共福祉の増進を目的とした電気通信業務用無線(地域BWA)を活用し、指定避難所における自動開錠システムの研究を行いたいという動きもあり、その実現に向けて調整を行っていく。
▼嶋中
実現できれば非常に有効なシステムだと感じる。その地域BWAを市内の高校や大学にも設置することはできないか。
▼答弁
自動開錠システムについては、現在、実現の可能性を模索している段階にあるが、仮に電気通信業務用無線を活用したシステム導入の際には、津波などの切迫した状況においても職員等の手を借りることなく、施設を開放することが可能になるものと期待している。高校や大学への設置については、施設管理上の課題整理も必要なことから、システムの仕様や費用面が固まった段階で各施設管理者にご説明の上、対応を協議していきたい。
▼嶋中
いち早く、一つでも多くの施設に導入されることを期待している。
本件について、今後は、マンションなどの施設を避難所として増やしていきながら、民間の商業施設にも積極的にアプローチしてほしい。津波避難ビルの建設は、エリアによる必要性の有無、予算の確保、建設場所の選定など、どうしても時間を要してしまう。まずは現存するマンションやビル、高さのある商業施設に早急にアプローチし、同時進行で津波避難施設として活用できる商業施設の建設や、既存店舗の改修などに補助金を出すような仕組みを作り、一つひとつに極力予算をかけず複数箇所同時に増やしていくような対策はできないか。
▼答弁
津波一時避難施設の指定については、この間、ホテル業及び不動産関連団体の協力のもと拡充を図っているが、さらなる指定に向けては、夜間開放の問題や入居者等の理解をいただくのに一定の時間を要している。津波避難施設としての民間施設の誘致や施設改修に活用可能な国等の補助制度について確認したところ、現状はそのような制度はないが、令和5年4月には、イオン北海道株式会社と津波避難に係る協定締結をした事例もあることから、今後、商業施設についても活用可能な施設を抽出し、丁寧な説明・協議を行いながら指定につなげていく。
▼嶋中
一つでも多くの避難施設が増えていくことを願っている。
最後に、近年は津波対策に偏った災害対策が目立ちつが、災害は決して津波だけでは無い。もちろん、国の補助金などを活用できるタイミングで取組むことも重要な戦路と理解してるが、市民の安全を幅広く守れる危機管理をお願いしたい。
Ⅴ:西部西地域について
質問先 :総合政策部まちづくり推進課
目 的 :西部西地域のまちづくり政策と現状について質問・提案
▼嶋中
本市の特徴として、陸海空路の充実や過ごしやすい気候、東西の長さや海と山に挟まれた豊かな自然環境などが挙げられるが、東西バランスにおいては様々な課題があると認識している。
特に西側においては急激な人口減少や少子高齢化が進んでいるが、総合計画など、まちづくりにおいて、旧錦岡地区を含む西部西地区はどのような戦略になっているか。
▼答弁
地域別のまちづくりについては、平成31年4月に策定した「第2次都市計画マスタープラン」において、市街地を東西8つの地域に分類し、地域の成り立ちや現状を踏まえた上で「地域別構想」として、目指すべき将来像について示している。
旧錦岡の地域としては、澄川町・ときわ町から、北洋大学北側の北星町までの範囲を「西部西地域」と設定している。地域の特性となる大学や高専等の教育機関が立地する文教エリアであることを活かし、学生と地域住民による多世代コミュニティの形成や、アルテンを含む錦大沼公園等の豊かな自然環境との共生により、安全・安心な生活環境の形成を目指すとしている。
▼嶋中
おっしゃる通り、文教エリアとして、樽前小学校や支援学校など公共施設への投資もあり、決して軽視されてはいないことは理解しているが、住民のより良い暮らしや、地域事業者の活性化を促進するような具体的な計画はあるか。
▼答弁
本年3月に策定した「立地適正化計画」においては、人口減少が進行する想定のもと、20年先も人口密度が確保可能な範囲を、居住誘導区域と設定している。西部西地域は、将来も大部分の区域で一定の人口密度が確保され、生活に必要なサービス機能や、地域コミュニティが持続的に確保されるように居住誘導区域を設定しており、今後も地域の方々が、安心して生活できるまちづくりを目指す。また、地域事業者の活性化に対する取組みについては、市内全域を対象とした内容になるが、「空き店舗活用事業補助」や、商店会組織に対する「イベント・環境整備等助成金事業」などを実施しており、引き続き、潤いと魅力ある商店街づくりをバックアップしていきたいと考えている。
▼嶋中
実情として近年はコロナ禍の影響もあってか、西部西地区の住民が地域内で外食や買い物を済ませるような動きが見られ、飲食店などの定着率も高まっているように感じるが、総合政策部としてはどのように認識しているか。
▼答弁
西部西地域については、昭和40年代後半から住宅開発が進み、人口の増加とともに、飲食店や商業施設、診療所など日常生活に必要なサービス施設が立地された経過もあり、現在においても、一定のサービス機能が確保されているものと認識している。具体的な消費状況などの数値データについては把握に至っていないが、近年、地域商店会への加盟店舗が増加傾向にあることや、コロナ禍により休止していたイベント等が再開されるなど、地域の賑わいが戻りつつあり、商業施設等のさらなる定着・振興を期待している。
▼嶋中
もう少し具体的に伝えると、西部西地区は、JR錦岡駅や苫小牧西インターがあり、交通の利便性がありながらも不動産価格が安価。ここまでの質問・答弁と重複するが、特認校である樽前小学校や支援学校、国立高専や北洋大学など、地域内における教育の選択肢が豊富で、尚且つ大きな公園やアルテンのような自然体験施設、錦岡樽前山神社のような文化施設もあり、非常に恵まれた子育て環境であると感じている。
近年、同じ胆振管内の安平町が魅力的な教育環境を売りに子育て世代の移住を実現しているように、本市西部西地域でも『教育と子育ての錦岡(西部西地区)』のようなキャッチフレーズを付けて、移住や出生率向上の促進に寄与できると考えるがどうか。
▼答弁
令和5年度の市政方針において、政策における共通理念として「子育て世代に手厚いまち、とまこまいの実現」を掲げ、市全体として子育て世代における生活環境の充実を目指している。
移住される方の目的は様々ですが、移住相談の内容に応じて、議員からあった教育機関が充実しているなどの西側の地域特性についても御紹介するなど、きめ細かな相談対応を行いたい。
▼嶋中
もちろん、本市全体の政策・理念が重要であることは理解しているが、地区毎の特徴を活かすことが最終的に本市全体の政策実現に繋がると思う。
そういった意味で、西部西地域にある「オートリゾート苫小牧アルテン」は本市においても大きな魅力の一つで、本市の交流人口創出に大きく貢献しながら、まだまだ伸び代のある施設であるという見解である。そのアルテンの利用者が、施設利用の前後に本市内で消費行動を増やしてくれれば、本市の地域経済に決して小さくない好影響を与えてくれるはず。これまで、アルテン利用者の市内における消費行動を分析したことはあるか。
▼答弁
アルテンについては、市内外からの多数の集客を見込む重要な観光施設であり、議員ご指摘の通り、アルテン利用者が近隣店舗で買い物をしていただくことや、帰りがけに飲食店に寄っていただくことにより、地域経済への効果も期待される。利用者に対して、施設に関するアンケートなどを実施したことはあるが、消費行動に関する調査までには至っていない。
▼嶋中
携帯位置情報ビックデータ分析事業という、様々な分野で課題把握等につなげることを目的として、携帯電話の位置情報分析ツールを活用し、人流データの取得分析をする事業がある。
これは提案ですが、アルテン利用者の消費活動についても、この携帯位置情報を活用した分析を行えば、更なる地域経済の活性化を図ることができるのではないかと考えるがどうか。
▼答弁
アルテンは、本市において有力な観光施設の1つ。そのアルテンの利用者の消費行動を把握・分析することは、西側地域はもとより、本市の経済活性化に向けた施策展開を検討する上でも有効と考える。
提案のあった携帯位置情報を活用した人流データの推計も、分析の手法の一つになりうると考えるため、地域経済の活性化を図るための新たな視点として、取り入れるよう関係部署と協議を行い、活用に向けた取組を進めていきたい。
▼嶋中
前向きな回答に感謝する。私自身も地域の事業者に対し、アルテンの集客力を活かす提案をしていけるよう努める。
最後になるが、私自身は本市の東西に長いという特徴を活かすには、地区毎の個性を活かしたブランディングが重要だと考えている。特に少子高齢化が進んでいるエリアに、新たな地域の魅力を生み出すことは簡単ではない。そんな中でも教育環境の充実という本市計画のバックアップも含め、商店会や地域団体、町内会や地域の事業者による活発な動きも増え、着実に西部西地区の盛り上がりを感じている。こういった動きに市の計画を融合・連携させていくことで活性化スピードを最大化できると思い、今回の質問や提案をさせていただいた。
この人口減少社会において、重要なのは「住民による自治」の意識。「住民のための行政サービス」を待つのではなく「住民による自治」に意識転換していかなければ、人口減少に伴う税収や生産力の低下に立ち向かえない。「まちづくり」におけるゲームチェンジが必要。しかしそれは口で言うほど簡単ではなく、間違いなく市民にも行政にも大きな意識改革が必要。今、行政に求められているのは、そういった「住民による自治」の意識を促進するための計画や施策、地域事業者への支援や規制緩和、そして何より自分の地元に愛情と誇りを持てるような、行政からの熱意と、覚悟あるメッセージなのではないか。
若干、精神論になったが、できれば市長からも、西部西地区の地域住民が勇気と覚悟を持てるメッセージをいただきたいがどうか。
▼市長答弁
17年前、私の1期目のときから、私自身がこの町で生まれ育った市民の一人として、東西バランスの問題と中心市街地活性化の問題について提起してきた経過がある。その前提として、何度か申し上げておりますが、今議員は西部西地区と限定しているが、苫小牧の町は東西に長い町で、中央部と東部と西部と、都市計画上も3つに分けられているが、一番人口が多いのがまだ西部地区。人口構造上は東部と比べて確かに高化率が高いということがあるが、そのことをまずは踏まえて、人口は中央部、東部に比べて西部が一番多い、それが一つ。もう一つは、長きにわたって、やはり職住分離政策で西地区にどんどん町が広がって、いろいろな施設が広がった。その時は東部の人たちがぶうぶう文句を言っていた経過が実際ある。それが職住近接という考え方、これは時代の進化とともに変わり、ここ十数年は、沼ノ端地区全体の人口が3万人を超えた。そうした時代とともに町の変選というものを前提とした上で、私が市長になってからも、やはり西部地区を何とかしなければいかんと。苫小牧の成長を支えた地域が多いからです。
ただ、ここのところ、10年ほど前から、例えば美原に住宅着工戸数が増えてきた、そして昨今の物価上昇、あるいは健築費高勝によって、今は割と若い人たちが西部西地区で、土地代が安いということもあるが、土地を買って住む方が少しずつ増えているという状況がある。時代とともに、そうした人の住む流れというのはこれからも変わっていくのだろうと思うが、それとは別に、やはり苫小牧の課題として東西バランスの問題がある。やはり話題、情報量が東部に比べて西部が非常に少ない。ですから、西部地区から様々な情報発信ができるとしたら、それは何なのかということも私自身も常に感じながらまちづくりと向き合っているつもり。
そして地域の皆さん、または町内会という意味では西部地区が一番まとまりがいい。町内会同士も含めて。そういう歴史的な経過を含めた、そういった利点というか、コミュニケーションがそれぞれの町内会で取れており、そうした西部西地区の利点を、これからもぜひ発揮していただきたいし、我々も特に注目して、西部西地区についてはこれからもしっかりと見ていきたいなと思っている。
また議員のほうから今日のような提案があれば、ぜひこの議会の場でどんどん提案していただきたい。
▼嶋中
あくまで市長というお立場である以上、市全体を見なければいけないことは理解しているが、やはりこの東西に長いという特徴を活かすには、こういった西、東、中央のような談論を活発にすることが、より愛情を深めるのではないかと思っている。
私自身もこのような質問、提案をするからには、身を粉にして、市民、行政、事業者がそれぞれの垣根を越えて、一人ひとりがまちづくりに携わる、住民による自治を実現できるよう取組んでいく。
Ⅵ:議会を終えて
6月の反省を活かしつつ、自分が最も力を注ぎたい「子どもの教育環境」と「西部西地域」について熱い想いをぶつけました。
まだまだ取り上げたい事項はたくさんありますが、一つずつ状況を把握し、提案・要望をぶつけていきたいと思います。
因みに今回、最後の質問が終了した後、市長答弁に対する「動議」がかかり、翌日の新聞の見出しになる一幕がありました。
自分の描いたストーリーではありませんが、どんな形であれ注目されることはチャンスでもあります。
これも『持ってる男』の長所だとポジティブに受け止めつつ、次回の議会ではより成長した姿をお見せできるよう努めます。
変化と成長を楽しむことを忘れず、苫小牧市の未来を描きます。