苫小牧市令和4年度決算審査特別委員会「一般会計」
以下の内容は、令和5年10月に開催された苫小牧市令和4年度決算審査特別委員会一般会計において、市議会議員である私、嶋中康晴の発言内容と、苫小牧市の答弁をまとめたものになります。
文字数の関係で実際の言葉を簡略化したり、表現を若干変更していますが、内容については調整しておりません。(実際は全ての質問答弁がもっと丁寧な言葉でやりとりされています)
Ⅰ:庁舎管理費・庁舎ゼロカーボン事業について
質問先:総務部総務課
目 的:庁舎LED化の効果と今後の計画の確認・提案する
▼嶋中
この事業によってLED化した箇所の電力削減量は、年間8,201kwhと記載されているが、LED化前と比較して年間消費電力量は何%の削減となったのか。
▼答弁
令和4年度の庁舎ゼロカーボン事業により40基の照明をLED化している。
この40基を年間約2,500時間点灯した場合、LED化前の年間消費電力量は12,060kwhとなる。
LED化後の年間消費電力量は3,859kwhとなるので、差し引きすると年間の電力削減量は8,201kwh、LED化前と比較して68%の削減となる。
▼嶋中
大きく消費電気量を削減できていることが分かった。
それでは1kwhあたりの電気料金を、令和4年度の料金に合わせて金額換算すると、いくらの削減になったと試算できるのか。
▼答弁
年間の電力削減量8,201kwhを令和4年度(10月)の単価で計算すると、年間約24万円の削減効果となる。
▼嶋中
年間24万円程度削減と、一定の効果があることは理解できた。
本件は、国の補助メニューを使って計画的に進めていると理解しているが、実際に電気量削減によって電気料金削減の効果がある以上は、市費負担を増やしてでも計画を前倒しにした方が中長期的には本市の負担軽減になるのではないかと思うがどうか。
▼答弁
公共施設のLED化については、昨年9月に採択されました環境省の重点対策加速化事業の補助を活用し、この補助が活用できる令和9年までの期間で計画に基づき全市的に進めることとしている。本庁舎及び第2庁舎のLED化事業については、計画上、令和6年度にLED化の工事設計を行い、令和7年度に工事を実施する予定となっている。
▼嶋中
計画に沿って進めていくとのことで理解した。
もちろん、計画をベースに進めていくことは尊重するが、近年の災害や電気代の高騰を受け、当初の想定とは変わってきている部分もあるはず。中長期的な視点も忘れず、臨機応変にコストカットできるようお願いする。
Ⅱ:コミュニティ振興費・町内合同事業促進補助について
質問先:市民生活部市民生活課
目 的:予算が活用されていない事業の目的と今後の方針について確認・提案する
▼嶋中
本事業の予算は、3年間予算が活用されていない状況かと思うが、本事業の目的と実情、令和4年度の本来の予算額を教えてほしい。
▼答弁
令和4年度の町内会合同事業促進補助の予算額は25万円だが、この事業を開始した令和2年度から4年度まで活用実績は無い。
本事業の目的は、町内会等が行う夏祭り、クリスマス会、こどもキャンプ等の行事を、総世帯数400世帯以下の町内会と合同で実施することにより、その後の町内会同士の交流を促進することを目的としており、実施した行事に要した費用の一部、1事業につき最大5万円を助成するもの。
▼嶋中
それでは今年度、令和5年度の活用状況はどうか。
▼答弁
本事業については、令和元年度に開催された各町内会が参加するブロック別意見交換会からの要望により創設した事業。事業創設から間もなく、コロナ禍の影響により町内会活動の縮小・自粛もあり、これまで事業実績が無かった。
令和5年度については、上半期において町内会から実施に向けた相談をいただき、実現に向けて調整を行ってきたものの活用には至らず、引き続き事業実施に向けて、町内会にお声掛けするなど取組んでいく。
▼嶋中
コロナの影響によって想定していた活動に至らなかった当時の状況は分かるが、補助対象を町内会のコロナ対策費まで拡大するなど、確保した予算を柔軟かつ有効に活用することはできなかったのか。
▼答弁
本事業は、町内会同士の交流促進につながる支援を求める声や意見が、町内会から寄せられたことをきっかけに創設した事業であり、コロナ対応では町内会活動助成金の活用や、自主防災組織への助成金により対応した。このような状況から、事業の主旨を変更して対応する判断には至らなかった。
▼嶋中
本件の最後に要望です。
今後の町内会活動は、地域毎の人口減少や人口推移に大きな差がある以上、町内会単位で活動することの限界・弊害が増えていくことが予想できる。将来的に町内会の合併なども検討することになると考えれば、このような事業を活かしながら町内会の横断的な連携を経験しておくことがハレーション防止などに繋がるはず。事業の柔軟性や各町内会への周知を・提案など強化しながら、何らかの形でこういった事業が継続していくようお願いする。
Ⅲ:企画調整費・市民自治推進事業について
質問先:総合政策部協働・男女平等参画室
目 的:事務事業評価シートの改善と活用法の提案
▼嶋中
市民自治推進事業に関連する、事務事業評価について何点か質問する。
令和4年度の事務事業評価に目を通したが、この評価を実施する目的とは。
▼答弁
事務事業評価については、各主要事業の目的や内容、実施結果を明らかにすることで市政の説明責任を果たし、市政の透明性を確保することや、評価結果を踏まえ、事業を見直すことで効果的な市政運営を実現することを目的としている。また、決算審査特別委員会における審議、予算編成の際の参考資料としても活用している。
▼嶋中
作成する職員の皆さんにとって負担になる部分もあるかもしれないが、非常に有意義で大切な評価であり、市政にとって財産とも言える資料。気になったのは、予算編成の参考資料としても活用しているのであれば、この評価シートに予算額や補正予算額なども記載し、予算額と決算額を比較できる資料に一元化したほうが良いと思うがどうか。
▼答弁
事務事業評価については、評価結果を公表することで、議会をはじめ、市民、企業、市民の皆さまに、市が行っている事業を知っていただくことが重要であると考えている。そのため、評価結果を分かりやすく伝える必要があると考えているので、今後、より分かりやすい事務事業評価となるよう、議員からいただいた御意見等も参考にしながら、評価シートの見直しを行っていく。
▼嶋中
この点に関しては是非、迅速な改善をお願いする。
もう1点、現在の事務事業評価では、事業内容や実施結果・活動指標の記載に各課で差がある。
結果や実数を目標と対比できている事業もあれば、計画時の理想や理論を評価理由として採点してしまっている事業もあるのが現状。予算策定の時点で目的や目標を可能な限り数値化・可視化するなど、定性面と定量面の両面でKGIやKPIを明確にすることで、評価結果はもちろん、成功要因や計画どおり進まなかった原因を分かりやすくすることができる。定期的に異動がある自治体組織において大きな財産になると思うがどうか。
▼答弁
事務事業評価シートの「事業の内容」については、評価年度に実施した事業内容を分かりやすく伝えるため、文字だけではなく図表や写真等も使用可能としている。また、「実施結果(活動指標)」については、評価をする上で、客観的な根拠となることから、重要な項目と考えている。事業によっては、記載できる事業内容が限られてしまうことや適切な指標の設定が難しい場合もあるが、分かりやすく伝えることが重要と考えており、これまでも事業内容の記載の充実や指標の設定に努めてきたが、議員からの御指摘を踏まえ、改めて各課へ働きかけを行っていく。
▼嶋中
事業に対する厳しくも正しい評価と記録は、職員の成長や、組織力の持続性においても有効。もちろん、現場の理解や浸透も必要かと思いますので時間を要するかもしれないが、今後のブラッシュアップに期待している。
最後に、この事務事業評価は、市民の皆さまが市で実施している事業を知ることができる資料としても大切なものと考えている。先ほどまでの提案のように、今後もより分かりやすく質の高いものにしてほしいが、今後の事務事業評価の在り方についてどのように考え、計画しているか教えてください。
▼答弁
これまでも事務事業評価については、いただいた御意見を参考にしながら、評価項目や評価方法の見直しを行うなど、評価シートを少しずつ改善しながら取組を進めてきた。また、評価結果は、市ホームページや公共施設への設置により公表しているが、今年度、新たに事務事業評価の結果を市民自治推進会議の審議会において公表し、総括的な御意見をいただくこととしており、今後も事務事業評価の更なる充実を目指し、取組を進めていく。
▼嶋中
今後の取組についても理解できた。抜本的な改善を強引に進めると現場職員の大きな負担にもなるので、今の答弁の中にもあったように、少しずつ改善しながら、市民の皆さまにも分かりやすい形で公表・開示してほしい。
各取組が、より良い事業に発展・成長するよう、今後も気が付いたことは提案していく。
Ⅳ:企画調整費・市内大学インターンシップ支援事業について
質問先:総合政策部政策推進課
目 的:制度の活用状況と今後の方針について確認する
▼嶋中
先ずは予算執行率と決算の内訳について説明をお願いしたい。
▼答弁
当初予算額1,100万円に対し、決算額は747万3,270円となっており、予算執行率は67.9%。
主な内訳は、委託料として、学生と企業のマッチングや受入企業登録などの業務委託契約で298万832円、負担金補助及び交付金として、受入企業に対しての補助金で447万2,438円などとなる。
▼嶋中
執行率が67.9%とのことだが、100%に満たなかった要因について市の見解は。
▼答弁
令和4年度は、事業の初年度であり、学生への周知や受入企業の募集などに時間を要したことから、有償インターンシップの実習が下期からの開始となっている。また、実習時間数を大学との協議をもとに50時間から300時間と設定しているが、実習時間の平均が約68時間となったことで補助金の支出が見込みを下回ったことが、予算執行率67.9%となった要因の1つであると考えている。
▼嶋中
今回の執行率は今後の伸びしろであると捉えれば、参加学生数や登録企業の数は初年度としては大きな手ごたかと思う。実際に参加された学生や企業からはどのような声があったか把握しているか。
▼答弁
実習を終えた学生からは、「就職活動の企業選択幅が広がった」といった声が複数あったと大学から伺っており、学生にとって有益なインターンシップが実施できたと考える。受入企業からは、次年度も継続してインターンシップを受け入れたい、実習に行った学生を実習終了後も雇用したいなど、うれしい声が多くあると伺っている。さらには、学生に対し、市内の中小企業が直接PRできる機会は決して多くないのが現状としてある中、このように直接学生に働いてもらい、話せる機会を提供してもらえるのは大変素晴らしいと感じたなどの声もあり、企業側にとっても有益なインターンシップが実施できたと考えている。
▼嶋中
学生や大学側だけではなく、地元企業からも継続を求める声が上がっていることは非常に有意義だと思う。私自身も民間企業で採用面接やインターンシップ学生の対応、大学や専門学校の就職課との打合せなど経験しているが、そもそも複数の企業のインターンシップに参加する学生が多いのが実情なので、受入先への就職率が100%になることは無いのは理解している。
それでも学生や企業の両者にとって有意義なのがこの制度の重要性だと思う。最後に、本事業の今後の展開について、市としての方針はどうか。
▼答弁
本事業は、大学にとって職業意識を培うことで実践的な教育プログラムの実現ができ、学生にとっては、実際に企業の現場を知ることで就職した際のミスマッチを解消する効果があると考る。また、企業にとっても、人手不足という課題を抱える中で、学生との関係が構築されることで、企業の人材確保につながることを期待している。
人口減少が課題となっている本市としても、若者の地元就職を促す取組は今後ますます重要となるので、大学や受入企業の声を踏まえ、事業をブラシュアップしながら実施たい。
▼嶋中
直接的な本市企業への就職がもちろん理想だが、先ずは本市の若者・学生が成長できる、地元企業が学生と接点を持てる機会・環境が大切。本制度の充実が、将来的にはUターン移住や、大学の評判UPによる学生数の増加、子育て世代の移住など、間接的な効果も期待できる。
引き続き事業の成果を正しく評価しながら、市内に大学があるという環境が本市の強みになるよう継続をお願いしたい。
Ⅴ:緑化推進費・緑の基本計画事業について
質問先:都市建設部緑地公園課
目 的:事業の内容と制作物への質問と、今後について提案する
▼嶋中
本事業について、事業の内容と決算額の内訳を知りたい。
▼答弁
本事業の事業内容と決算額の内訳は、町内会等が行う緑化活動への緑化資材等の提供を行う『町内会等緑化推進事業』として204万9,924円。花や緑の緑化活動を行っている団体への助成を行う『緑化推進基金活用事業』として99万7,797円。市内の樹木の維持管理で発生した木材でコースターを制作した『木材リサイクル事業』として27万4,560円。『市民植樹祭準備業務』として29万7,000円。『花壇造成事業』として 52万 6,350円となっており、合計額は414万5,631円となっている。
▼嶋中
ではそのうち、樹木リサイクル事業について詳しい取組内容を知りたい。
▼答弁
樹木リサイクル事業については、街路樹や公園樹木のうち、交通上の見通しの支障となっている樹木や枯れた樹木などを伐採した際に発生する木材を活用して、資源のリサイクルと木育の普及を目的に、木製品を製作する事業。令和4年度の樹木リサイクル事業は、とまチョップの焼き印を押した八角形の木製コースターを240枚、ネームプレート用の板材を60枚、作成した。これらは、緑化推進基金へご寄付をいただいた方々や、市民植樹祭へ参加された市民などへ配布をしている。
▼嶋中
街路樹や公園樹木は街の緑化や景観維持において重要でありながら、街路樹の寿命は10年前後と森林よりも寿命が短くなると言われている。しかし「街路樹が多い地域では住人の死亡率が低い」という欧米の研究チームが30年ほどかけて研究したエビデンスもあり、木育による幼児教育効果も注目されている。重要な役割を終えた樹木に新しい役割を与えてあげることは非常に良い取組。
因みに、伐採された樹木は全てリサイクルされているのか。
▼答弁
木製品としてリサイクルに適した木材の条件として、腐食していないこと、反っていないこと、節がないこと、などを総合的に判断し、これらの条件に合った伐採木について活用している。また、木製品として適さない伐採木のうち、丸太形状で直径5cm以上、かつ長さが 30cm以上のものについては、一般木質バイオマスの原料として売却している。
これらのリサイクルできるもの以外には、廃棄物として適正に処分している。
▼嶋中
全てが木製品というわけではなく、また一部はリサイクルできないということで理解した。
こちら、今年度も同様の事業内容か。
▼答弁
令和5年度の樹木リサイクル事業については、より多くの市民が手に取りやすく、木の香りが感じられる木製の『うちわ』を、400枚程度、作成する予定。
▼嶋中
単純に「再利用して何かを作る」だけではなく、プラスチック素材で製造することが多い「うちわ」を選ぶことによって、僅かでもプラスチック製品の製造・流通が減るならば、リサイクル事業として非常に有意義だと思います。
最後に要望ですが、本事業はSDGsの観点でも非常に価値がある。金額も話題性も小さいかもしれないが、市民により広く知っていただくことで意識や知識の向上に繋げたり、先月の一般質問にもあったベンチ設置の要望に繋げたり、支援学校の木工加工の授業に提供したりなど、様々な可能性を感じる。活用の幅を柔軟に広げながら継続していただきたい。
Ⅵ:決算審査委員会を終えて
初めての決算審査委員会を終え、行政が計画した事業や事業予算を審査・評価する立場の難しさを経験することができました。
今回の決算のベースとなる予算が組まれた当時、私はまだ議員では無かったため評価し難い部分もあります。
しかしそれ以上に、行政が担う業務や仕事の圧倒的な幅広さに圧倒されました。
委員会は一般予算と企業予算に分けられ、各議員がどちらかに参加する形式をとっていますが、それでも物凄い情報量でした。
「市議会議員が本領を発揮できるのは3期目(9年目)から」という言葉をよく耳にしますが、なるほどなという印象です。
先ずは自分の得意分野や想いの強いジャンルへの提案が中心になりますが、1日も早く市の全体像から細部まで目配りし、より良い市政へと導ける市議会議員になれるよう努めたいと思います。