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苫小牧市令和6年度6月第6回定例会「議案」「常任委員会(文教経済委員会)」

以下の内容は、令和6年6月に開催された苫小牧市令和6年度第6回定例会の議案および常任委員会(文教経済委員会)において、市議会議員である私、嶋中康晴が行った発言内容と苫小牧市の答弁をまとめたものになります。
文字数の関係で実際の言葉を簡略化していますが、内容については調整しておりません。(実際は全ての質問答弁がもっと丁寧な言葉でやりとりされています)

議案Ⅰ:スポーツ振興費「スポーツ習慣化促進事業」について

質問先:総合政策部・スポーツ都市推進課
目 的:スポーツ習慣化促進に関する新規事業の詳細確認
▼嶋中
先ず、本事業について「事業の目的」と、2つある「事業内容」の詳細について聞きたい。
▼答弁
本事業については、令和2年度に実施した「スポーツ活動実態調査」において、20代~50代の市民の40%が月3回以下の運動実施率であったことを踏まえて、これらの働き盛り世代や運動無関心層を対象として、本市の特色をいかした運動プログラムを実施し、市民のスポーツに取り組むきっかけづくりや、運動習慣の定着化を目的としている。
事業において実施する市民向けの運動プログラムは、レッドイーグルス北海道の協力を得て実施する、筋骨格を中心としたコンディショニングトレーニングとアイスホッケー体験の2本立てとなっており、1クール30名を対象に3か月間、全2クールで合計60名にご参加いただく予定となっている。
▼嶋中
昨年12月の議会、一般質問で、レッドイーグルス北海道の知見や指導者のノウハウを地域の健康増進に活かし、認知症予防や介護予防に繋がる取組みができれば、将来的な医療費や介護費の抑制に繋がるのではないかと提案した私にとって、今回の新規事業の企画・立案は嬉しい限りだが、内容を聞く限り効果を期待するにはもう少し参加人数の拡大が必要だと感じる。
こちら実施規模の拡大について検討の余地はあるか。
▼答弁
参加人数については、現在予定している運動プログラムの内容や会場スペースなどを踏まえ参加人数を設定しているが、事業を通じてより多くの方に運動への取組を働きかける必要があると考えている。
本事業では、教室以外の日にも家庭で運動に取組んでもらうために動画を作成する予定となっており、こちらの動画をレッドイーグルス北海道のホームゲームの会場で放映し、来場者に体を動かしてもらうとともに、運動の必要性を伝えることで事業効果の拡大を図っていく。
▼嶋中
プログラムに直接参加する市民以外にもアプローチすることは非常に良い取組み。
因みに事業内容の中に運動機能の測定や分析を行うと記されているが、どのような事業者が担うのか。また、事業者の選定基準や選定する際に重要視する実績等あれば聞きたい。
▼答弁
本事業については、参加者の事業参加前後の運動機能を測定・分析することとしており、これらの業務を各種検診や健康相談事業に取組んでいる生活習慣病予防検診指定機関等に担ってもらう予定。
また、事業者においてはこれまでの知見を活かして、事業内容に対しても助言いただけることを期待している。
▼嶋中
実績のある事業者を選定するということで理解した。
では、事業費に関しても知りたい。本事業は国庫補助金を活用するとなっているが、補助金の内容と採択の状況は。
▼答弁
本事業については、事業費の全額をスポーツ庁が所管する「地方スポーツ振興費補助金」を活用して実施する。
本年4月にスポーツ庁に対して事業計画書を提出し、5月下旬に内定の通知があったことから、この度事業化する運びとなった。
▼嶋中
では、本事業の継続性について、地方スポーツ振興費補助金の活用が前提になっていると思うが、事業効果も含め継続的な事業として考えているか。
▼答弁
事業の効果については、参加者の運動機能の改善状況やアンケート調査などをもとに分析したいと考えている。
また本事業の一環として、行政や教育機関のほか、スポーツや健康の関係団体などからなる実行委員会を設置することとしており、委員の皆さんからご意見を伺いながら事業の効果検証や次年度以降の取組を検討していく。
市としては、疾病を患う前に、健康なうちから運動に取組むことが重要であると認識していることから、実行委員会や関係部署と連携を図ることで多様な運動プログラムを実施し、市民の健康寿命の延伸に繋げていきます。
▼嶋中
運動の習慣化や食事改善などによる健康増進は、医療費や介護費の抑制効果が得られるまで時間を要し、個人差などもあるため見える化し難くく、事業の継続判断が難しいものだと理解している。
しかしこの事業の目的である、市民のスポーツをはじめるきっかけや、運動習慣の定着に繋がれば、中長期的な効果を期待できるはず。
これは要望だが、将来的な医療費や介護費の削減額まで試算するような効果検証を行い、補助金の有無に縛られず、積極的に継続できるよう前向きに検討していただきたい。
近年、経済産業省が「地域におけるヘルスケア産業の創出」と位置付けて進める「成果連動型民間委託契約方式」は、その事業により解決を目指す行政課題に対応した成果指標が設定され、その事業を民間事業者に委託した際に支払う額が成果に連動するもの。
簡単に言うと、専門家が算出した健康指標と、それに伴う医療費や介護費削減の理論上の金額を基に、運動成果による健康数値の改善状況に連動した報酬を支払うスキーム。
国の補助金などを活用し、市の財源を圧迫せず行う事業も良いと思うが、事業者が最大限の成果を目指し力を発揮できる仕組みを活用するのも一つの手法。是非、今後の参考にしてほしい。
最後に、本事業はレッドイーグルス北海道が持つスポーツコンテンツの魅力を活かし、スポーツを始めるきっかけや運動習慣の定着という事業の目的と同時に、レッドイーグルス北海道のファン拡大に繋げることも非常に重要なミッション。そこへの工夫や戦略はあるか。
▼答弁
レッドイーグルス北海道については、アイスホッケータウンを象徴する存在であるとともに、本市が有する重要なスポーツ資源であると考えているので、今回、市民の運動習慣化や健康増進の取組に協力いただくことは、大変意義であると考えている。
本事業では、チームから選手やトレーナーを派遣してもらい、運動プログラムにアイスホッケー体験も組み入れることで、ファンの拡大やアイスホッケーに対する関心を持ってもらう機会にしていきたい。
▼嶋中
アイスホッケーを軸としたスポーツ振興や健康増進の取組みは、氷都苫小牧として魅力ある、市民が誇りに想える事業になり得る。
たくさんのアイスホッケーファミリーを巻き込みながら、永く継続・拡大していくことを願って、本質問を終わります。

議案Ⅱ:児童福祉総務費「生活困窮者支援子ども食堂等活動支援事業」について

質問先:福祉部・子ども支援課
目 的:本市における子ども食堂への支援内容と今後の支援方針
▼嶋中
本事業は既に3年目の実施になると思うが、昨年度実績を見ても事業者からの強いニーズを感じる。今年度予算を増額していることからも、本市としての支援の姿勢を感じることができるが、事業者側の年間計画など考慮すると早めに支援の有無や支援内容を伝えてあげたいと感じる。補正予算になってしまうのは何とかならないか。
▼答弁
本事業は、国の「生活困者就労準備支援事業費補助金」を財源として充当し実施するもので、本市の令和6年度当初予算の編成時は国予算が成立していないこともあり、当初予算での計上を見送った経過がある。
この度、令和6年3月4日付で国から当該補助金の実施要綱等が示されたことから、今年度の「こども食堂等活動支援事業」について本補正予算での提案となった。
▼嶋中
財源や国のスケジュールの影響という経緯で理解した。
では事業費の対象者について聞きたい。補助団体の要件は、個人事業主や株式会社など事業の形態や法人格等による縛りはあるか。
▼答弁
事業実施主体については、子どもの食事機会や居場所の確保を目的としている事業であり、原則、営利目的でないことや定期的に開催されること、必要に応じて市との連携を図ること等の要件はあるものの、実施主体に特段の制限は設定していない。
▼嶋中
事業者の形式的な縛りはなく、あくまで目的や実績に対する条件ということで理解した。
続いて本市の、こども食堂に対する認識についても聞きたい。
近年課題として挙げられる、子どもの貧困や居場所づくりについて、本市の子ども食堂がどのような役割を担っていると認識しているか。
▼答弁
子ども食堂については、地域にある様々な場所の活用を促し、子どもに対する地域の支援体制強化を目的に、安全安心で気軽に立ち寄ることができる食事等の提供場所になっている。
この活動によって支援が必要な子どもを早期に発見し、適切な支援につなげることに寄与していただいている。
▼嶋中
本事業は「生活困窮者支援」という名目で、あくまで食事等を中心とした支援になると思うが、子どもの居場所を増やしていくことによって何らかのサインを受信できることは、子どもたちの安全な未来を守るために重要なこと。
それは居場所自体も大切ですし、それ以上にこういった事業を担える事業者の想いや、そこで培った「子どもを見守る目」そのものが地域にとって貴重だと思う。
因みに、本事業はコロナ禍における事業者支援として始まったと認識しているが、今後、本市として子ども食堂をどのように支援していくのか。方向性やビジョンがあれば聞きたい。
▼答弁
様々な困難や特性を抱える子どもたちが孤独・孤立しないよう、本市が直接的な支援を行う場合と「子ども食堂」のような地域コミュニティの中で見守り支援する場合があると考えている。
この度のような事業を通して、両者が連携を取り合うことが重要であると考えており、今後も事業実施者と連携しながら関係強化を図っていきたい。
▼嶋中
是非、関係を構築していく中で、子どもたちへの効果的な支援を見取り、支援体制を事業者とともに強化してほしい。
私自身も何人かの事業者と話をしたが、やはり今後も継続的に補助金や何らかの支援があるのかどうかを気にする声をよく聞く。
制度や今後の方向性について、事業者とコミュニケーションをとる機会を増やしてはどうか。
▼答弁
国においても、子どもの居場所づくりや孤独・孤立の解消には力を入れており、今後も事業者に活用してもらえる補助制度を意識しアンテナを高く張っていきたい。
議員ご指摘のコミュニケーションについては、補助申請や実續報告時、子ども食堂開催時など、機会を捉えて意見交換を行いきたい。
▼嶋中
近年は「子どもを真ん中に」というフレーズをよく耳にする。しかし現在の子どもたちを取り巻く環境は、地域や各家庭によって状況は違うが、家庭教育・学校教育・地域教育の全てが連携し、強固な繋がりで子どもを真ん中にできているとは言い難く、それぞれの関係者が必死に頑張っているものの、支援の網をすり抜けてしまう子どもが出てしまう不安を感じている。
もちろん、全ての活動や事業を行政が金銭的に補うのも違うと思っているが、家庭・学校・地域の信頼と連携を構築できるその日まで、信用できる事業者を中期的に支援していくことは大切だと思っている。
最後に、子ども食堂に限らず、子どもたちを支える全ての事業者に寄り添い、耳を傾け、必要な支援や効果的な連携を継続・強化してもらえるようお願いして終わります。

委員会:文教経済委員会「とまこまい型部活動地域移行ビジョン」について

質問先:教育部・学校教育課
目 的:部活動地域移行に伴う学校施設利用について
▼嶋中
とまこまい型部活動地域移行ビジョンの推進業務の中に、今後加えてほしい内容について提案します。
地域への完全移行後の学校施設利用や、学校備品の活用について。拠点校部活動のうちは大きな問題にはならないが、スポーツ・文化問わず様々な単一クラブの比率が増えていく前に、学校施設利用について、管理やオペレーション、各種設定を検討しておかなければならない。
例えば、グラウンドの利用については土日使用の場合も体育館などのトイレを開放するのか。土日や夜間に教室を使用したい文化クラブが出てきたらどうするか。楽器などの備品は単一クラブも使用できるのか。生徒数の多い地域は使用希望クラブが多くなると予想できるが、希望する曜日や時間など誰が調整するのか。
今回はこれら一つひとつに対する回答は求めないが、地域移行が進めば子どもたちの移動時間や指導者の仕事の都合で確実に活動時間が遅い時間に広がると思っている。これを拒み、今までの部活動時間での実施を求めれば教員の指導参加も難しくなり、指導者が圧倒的に足りなくなる。
しかし平日の夕方から夜間に活動時間が広がれば、施設の管理という形で教員に何らかの業務負担が一定量残ってしまう。
解決手法として、学校施設管理を地域の事業者に委託したり、札幌市のように予約管理システムを構築して利用者や予約の管理をする方法もある。現時点でどのような方針で検討しているのか。
▼答弁
学校施設の利用については地域移行が進む中で、地域クラブの数が増えていくことが想定され、体育館やグラウンドなどの学校施設の管理が重要になると認識している。
現時点では現在小学校で行なっている学校開放事業を中学校に広げる形を想定しているが、鍵や制限区域を管理するための施設整備を全中学校で完了するには数年程度の時間を要すると考えている。
そのため当面の間は利用規約を策定しルールを定めたうえで、学校長による学校使用許可により、中学校の施設利用を認めることで準備を進めている。
提案された学校施設の管理委託や予約管理システム導入の可能性も含めて、令和10年度を目途に地域クラブの運営母体として設立予定の「仮称とまこまい地域総合クラブ」において、施設利用等の管理を一元化できるような方向で検討していく。
▼嶋中
ハード面を伴うことから時間を要する部分があると共に、関係者の認識とのズレによる不満等は過渡期において避けるべき部分。できるかぎり早く広い範囲に情報を提供していただきたい。
学校施設の利用についてもう一点、学校開放事業の条例を理由に「営利団体は使用できない」という対応にならないようにしてほしい。
単一クラブに移行していく中で、受け皿団体を分類しようとしても、営利団体の境目は確実にあやふやになる。
もし、指導者が報酬を得ている団体の学校使用に制限をかければ、参入できる事業者の数や形態に大きな制限がかかる。指導を生業とする事業者も、学校施設が使用できなければ活動場所の不足を理由に断念せざるをえなくなる。
平成23年にスポーツ基本法が成立し、学校施設については民間事業者含め積極的に地域に開放するようにと促されているが、本市も含め多くの地方自治体が、昭和36年に公布されたスポーツ振興法に記された学校施設利用に関する条文に則り、学校開放については営利活動を禁ずるという文言が残っている。
「営利団体」や「営利活動」という文言のあやふやさも踏まえ、今のうちに見直しや新たな条件など考慮しておく必要があるのではないか。
▼答弁
「苫小牧市教育委員会学校使用規則」では、第3条「使用の禁止」で“興行その他私的営利を目的とすると認めたとき”は使用を許可することができない、と定めている。
地域移行の受け皿としての地域クラブは、この“私的営利を目的とする”に該当しない、と考えられ、生徒の放課後活動の受け皿となる民間事業者が学校施設を利用することは認められると考えている。
しかしながら、営利団体の基準を明確にすることの困難さや営利か否かについての受け止め方には個人差もある。継続した活動実態があるかどうか、指導者を一定数確保しているかどうかなど、地域クラブの運営体制や年間計画などを確認することも含めて使用を許可するか否かについての判断基準を示していく必要があると考えている。
▼嶋中
私は部活の地域移行に対して終始、肯定的・協力的な立場をとっているが、それは決して子どもたちの活動の場が減っても良いと思っているわけではなく、地域への移行は必ずしも子どもたちにとってマイナスと決めつけるに至らないと信じているから。
しかしこの考えの大前提は、地域、いわゆる市民や民間事業者の参入が最大化すること。
もし「学校施設内での営利活動を認めない」や「施設使用団体は部活動と同じ諸条件」だったり、最悪「移行完了後は学校施設は単一クラブには貸さない」など、過去の慣例や悪い意味での行政対応が弊害となり、新たな仕組みや文化の醸成が滞れば、その皺寄せとして子どもたちの選択肢が狭まる。
ここまで言うのは前職時代に、「校長判断から一変して教育委員会による退去指示」「人事異動後の方針の転換」「古い地域指導者による圧力で決定が覆る」など、民間事業者に対する様々な厳しい行政対応を経験しているから。是非、答弁のとおり「判断基準を示す」ことを徹底してほしい。
移動手段や金銭面の支援ももちろん重要だが、事業者や市民による挑戦や活動を活性化するような、柔軟な姿勢や規制緩和も立派な行政支援だと思う。
何卒、先ずは「子どもたちの放課後時間を最大限充実させる」ことを軸に、そのためであれば過去の慣例や規則の修正も厭わないという姿勢を見せてほしい。
こちら要望として終わります。

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