22/11/28 【感想】ニセコイ(実写映画版)

週刊少年ジャンプ連載のラブコメ漫画「ニセコイ」を原作とする実写映画版を観ました。僕は原作だと橘派です。どうもこんにちは、ヤスミツです。イニシャルはYで千葉県在住です。(偶然です)

…結構アレな映画だったけどそのアレの一部はまごうことなく原作由来だからなんとも言いづれぇ…! いやでもやっぱり…ダメだよ…。

原作にない謎にコミカルなシーンや画面にバラエティ番組みたいなテロップ演出、原作の格好を忠実に再現するどころか通り越したコスプレ、スタッフロールで流れる撮影オフショット集などについてはもう触れないことにします!!
もう既にここで切り分けた脂身だけで700gくらいあるのですが、もうマンガ原作の実写映画でここの話をするとキリがない気がするので残りの300gくらいの肉の部分の話をすることにします!!
真ん中あたりでなんの脈絡もなく画面両側にテロップが出て中央に提供が出るTVドラマのCM前アイキャッチみたいな演出が出たときは目まいがしましたがこれも置いておきましょう! 「もしかしてCMって、広告料のために流してるんじゃなくて、面白いと思って流してるのか…?」と今までの人生の常識が揺らぐような体験ができました!!

原作は25巻にも及ぶ長期連載作品で、映画版も"「週刊少年ジャンプ」最長連載ラブコメ!平成最後の冬を笑い飛ばせ!"というキャッチコピーをうたっています。できることなら笑い飛ばしたいのは平成最後の冬でなくこの映画の方なのですがそれはさておき、これだけの長編を2時間に収めるために映画では原作に設定部分で多少のアレンジを加えています。

「主人公の一条楽演:中島健人は10年前に永遠の愛を誓い、楽は錠を、その相手は鍵を持っている」という根幹の設定はそのままなのですが、原作だと鍵を持つヒロイン候補が4人も現れるのに対して映画版では小野寺小咲演:池間夏海だけが鍵を持つように変わっています。
これによって原作にあった「どのヒロインの鍵が本物なのか?(=10年前に永遠の愛を誓いあった相手は誰なのか?」というテーマを外し、元々原作にラブコメの常として存在していた「ヒロインレース」という概念そのものを取り払っているのです。

そして原作のもう一つの根幹の設定である「一条楽と桐崎千棘演:中条あやみが家庭の都合で恋人のフリをせざるをえない」というストーリーの方にある種の"決め打ち"をしています。
「中島健人と中条あやみのダブル主演」というていで制作されている以上、千棘が"勝ちヒロイン"になるのは古畑の犯人くらい分かりきっているので、ヒロインレースの要素を取り払い、鍵も絞って設定の交通整理をしているのはよくできた改変だったと思います。そもそも2時間映画でヒロインレースはできないよね。

このように25巻ある原作を器用に2時間にまとめた…はずなのですが。
なぜか原作にない余計な演出が散々追加されているので「25巻を2時間に圧縮したはずなのに、見るとむしろ2時間に引き伸ばしているような印象を受ける」という奇跡の映画になっています。

さて、いくらでも文句を言いたいことがあるのにその脂身の部分を捨て置いてまで言いたかったこととは何かというと…

小野寺かわいそすぎるだろ!!!

ただ、これを言うと「でも原作でも小野寺かわいそすぎるしな…」と少し冷静になってしまう自分がいる。
言うなればこの実写映画は、原作でも散々かわいそうな扱いを受けたヒロイン候補の一人である小野寺小咲に更なる辱めを加えるあまりにも残酷な番外編なのです。

楽とはいわゆる「両片思い」状態で、しかも約束の鍵まで持っているヒロイン候補のひとり、小野寺。
当然映画でも楽といい雰囲気になりそうなシーンがいくつかあるのですが、その全てが千棘のための噛ませ犬として消費されます。

○ャニマスが分かる方には「凛世のコミュ」と言うと通じるかもしれません。ちょっといい雰囲気になりかけるたびにPに電話がかかってきて凛世が放っておかれるあれ。
凛世のPは仕事の電話がかかってきて仕方なく凛世のための仕事に向かうだけなのですが、小野寺の場合は電話を受けたPが千雪のところへ行くようなものなので本当に最悪です。

とにかく作中において「両片思いの楽と小野寺が進展しそうになるたびに偶発的な出来事で無理やり千棘に行かせる」演出が繰り返され、ひたすら胸糞が悪い。「永遠の愛を誓いあい、お互い恋い焦がれていた男女が運命のいたずらによって進展しない」というだけならよくあるもどかしい演出なのですが、それが全て他の女に行くよう仕向けられ最終的に「結局その"他の女"の方と結ばれる」というオチになるのがあまりに残酷。
でも原作も大体そういう話なんだよな…。

俯瞰した書き方をすると、原作のニセコイは少年漫画で、何人もの女の子が楽を好きになる極めて男子に都合の良いつくりがまかり通っていたのですが、今回中島健人(一条楽役)と中条あやみ(桐崎千棘役)のダブル主演として映画になってみるとそこが浮いてしまった…となるのでしょうか。原作でも全然まかり通ってなかったけどな

そして実写映画版、よりにもよって小野寺がめちゃくちゃかわいいんですよね…。
映画の好きな小野寺は橘が転校してきたときの脳を破壊されてる小野寺です。そんなとこ好きになるなって思うかもしれませんが見てほしい。いや、ごめん、やっぱり見なくていいです。

前回かぐや様の実写版を見たメンバーで今回の映画も見ました。
作中で2階だか3階だかからプールに落下するシーンがあったんですが…かぐや様にも同じシーンが映画版オリジナルで追加されてたんですけど、なんかノルマでもあるんですか???
他にも実写版かぐや様と共通点が色々あって、一緒に見ていた人たちとなんかノルマでもあるんかと言い合っていたんですが。

感想を言い合った最後に映画の情報を調べていたら実写版かぐや様と同じ監督が作っていると判明したとき、宇宙を一周して戻ってきたと思ったら出発地点と同じ釈迦の手のひらの上にいたと気づいた孫悟空の気持ちがちょっとわかりました。

ちなみに「かぐや様」の方はストーリーが普通に面白かったりで結構いいところもあったんですが、こっちのニセコイの方はそれもなかったかな…。
唯一良いところは、原作と違って主人公が難聴にならないところです。
(詳しくは書かないので気になる人は「ニセコイ 難聴」で検索してください)