25/01/23 個人的ブック以外オブイヤー2024
年が変わっちゃいましたが2024年もやります、個人的ブック以外オブイヤー! ブックの方はこちら。
個人的ブック以外オブイヤーとは、その年に僕が摂取して刺さった活字以外の2次元コンテンツを挙げていくものです!
なお今は2025年ですが、記事中で「今年」とある場合、それは2024年を指します。そして今年は性癖オブイヤーも併催となります。
(参考)個人的性癖オブイヤー2023
マンガ
天幕のジャードゥーガル
めちゃくちゃおもしろまんが!!!
舞台は13世紀、イランの奴隷少女ファーティマを主人公とするお話です。実在した人物ファーティマ・ハトゥンがモデル。
当時のイスラム圏は世界最高レベルの科学力を誇っていました。しかしチンギス・カン率いるモンゴル帝国の襲撃を受けファーティマは略奪され後宮へ入りこむことになります。自分からすべてを奪ったモンゴル帝国への復讐心を胸に秘めるファーティマは持ち前の知略を活かして後宮で立ち回ろうとするのですが、その後宮もチンギス亡き後の後継者争いに加えて一夫多妻制の妻同士の関係などがあって複雑に絡み合ってるんですね。しかも妻の中にもモンゴルの外から略奪されてきた女やチンギスの死によって末子が引き継いだ妻がいたりどんどん関係が変わっていくのも面白い。
今イチオシのマンガです!!
宝石の国
遂に完結。昔10巻くらいまで読んで止まってたんですけど、完結のタイミングで一気読みしました。いやー…言葉になりません。
最近単行本最終巻が発売されて本屋とか行くと目立つところに置いてあるんですけど、ちょっと勘弁してほしい。宝石の国って意識の中にあらわれるとめちゃくちゃ場所を取るから。心が宝石の国でいっぱいになる。
アイドルマスター シャイニーカラーズ 事務的光空記録
おそらく叶わないであろう望みであるとは自分でわかっているのですが、SHHisの物語はnot enoughで終わってほしい。「これからも彼女たちの人生は続いていくが、この物語はこれでおしまい」であってほしい。
というわけで次回からは森博嗣のVシリーズに相当するやつをお願いします!
と書いていたのですが、この太字部分がなんと叶いました。
過去編がはじまったときの興奮たるや。若い頃の天井も八雲なみも、ちゃんと顔を描いてえらい。この頃は更新のたびにTwitterで「ジムシャニ~!」と吠えるだけのbotと化していました。
「描ききる覚悟はあるのか」と自らハードルを上げていた2024年のシャニマスですが、天井と八雲の過去という最後に残った鉱脈を掘るツルハシをジムシャニに握らせたことは正しかったと思います。諸々の品質がだいぶ怪しくなった2024年のシャニマスにあってツルハシを預けるならジムシャニしかなかった。
ジムシャニで描かれた過去編には大盛りあがりしていたわけですが、同時に2024年進行していたアイドルの"if"の未来を描くパラレルコレクションシリーズのことは好きになれませんでした。ifの未来であってほんとうじゃないという建付けなのがよくない。
そもそもシャニマスはフィクションであり、作中の本編も別にプレイヤーからしたら本当ではないわけです。でも作中の世界を作り込み、作中の人間と本気で向き合うことで、「キャラクターたちは作中の世界に我々と同じような人間として生きていて、我々と同じようにかけがえのない人生を歩んでいる」と感じさせることができる。そしてシャニマスはこの点に関して抜きん出て成功していたと思っています。
ところが、作中にif世界を作ってifの未来を描いたことで一気に書き割りが透けて見えてしまい、作り物の世界と作り物のキャラクターであることを意識させられてしまいました。
アイドルのifの未来を直接当人で描かなくても、例えば冬優子のストーリーの中で彼女と似た経歴や境遇を持っていたタレントを描き、その人が事務所を移籍して変わってしまったことを描くことで「ありえたかもしれない未来の冬優子」と読者に感じさせることもシャニマスの筆力を持ってすればできたのではないでしょうか。凛世ならばもっと容易に、姉様を「ありえたかもしれない凛世の未来」として描くことができたでしょう。
放課後帰宅びより
性癖オブイヤーその1。
天幕のジャードゥーガルは何かマンガ勧めてと言われたら見る聞くなしに勧める作品なのですが、こっちは「この作品がこんなに刺さってるの俺だけだろうな…」と勝手に思ってるタイプ。
まあ普通に僕のTLで流行ってるんですけど…(似た者同士なので)。
佐藤瞬くんという夢を失った男の子が高校に入学すると“直帰ちゃん”こと佐藤直希という2年生女子の先輩にハイパー帰宅部という部活に誘われ、毎日「帰宅」という部活動をするようになるというお話です。この直帰ちゃんの通学路の中に様々なロマンを見出す感性がすごく素敵なんですよね。
これは僕が「わかる~~!!!」ってなったコマ。
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子供の頃ってこんなふうに小さな世界を"広く使う"ことができたな、ということを思い出させてくれる良作です。
…からの、ね!! ね!!!!
アニメ
ささやくように恋を唄う
2024年春に放送され、年末に完結した百合アニメです。長い話だったのかというとそうではなく、色々間に合わなかったらしく最後の2話だけ年末に放送されることになったため…。
高校に入学した主人公・木野ひまりが学内のバンドステージで歌う3年生の朝凪依に"一目ぼれ"するところから始まる、いわゆる百合ものなのですが、後から後からその外側に濃厚な人間関係が書き足されていくお話でもあります。そんな中でも「やることはやる」というか、ひまりと依はずっとイチャイチャするという謎の安心感もあり。
百合ものは男女のラブコメと違ってちゃんと関係が進展するからえらい。
で、本編も面白いんですが、特筆すべきは主人公・木野ひまりの容姿。
見た目における僕の好みの最高到達点かもしれません。
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僕は行く先々でボブカットで表情豊かで実はツリ目な子が刺さってるんですが(例:七尾百合子)、この木野ひまりはそのまさにド真ん中。明るいキャラクターに対してややウェットな印象を与える原作の線の多い絵柄も好みで、正直見た目の点で彼女を超えるキャラは数年現れないかもしれないと思いました。
「やが君」の小糸侑も好きな見た目だったし、この感じの想われ系百合主人公は僕への長打率が高いかもなあ。
人格も含めたキャラ造形では中盤に登場する泉志帆もめちゃくちゃ良いキャラしてて大好き。
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小悪魔め…!
負けヒロインが多すぎる!
性癖オブイヤーその2。
元々あった性癖に刺さったというよりもどちらかというと「蒙を啓いてくれた」作品です。性癖を開発されたというのもまたちょっと違って…なんだろう、持病に病名がついたというか。
両片思い状態だった幼馴染の男の子を突然やってきた転校生にとられる青髪のヒロインというテンプレのような負けヒロインが出てくるんですが、それに続いて様々な形で負けるヒロインたちが登場します。
普通ラブコメの負けヒロインって主人公の前に登場して色々と積み重ねがあってから負けるものなので一人負かすのに結構紙幅がかかるのですが、本作においてヒロインたちはそれぞれに想い人がいて開始時点で想いの蓄積があり、それぞれ負けます。そして本作の面白いところとして、主人公の男の子はその誰とも特に関係がない。
見ていてまず意識させられたのは、失恋したあとも人生は続くということ。ヒロイン争いに眼目が注がれる本格ラブコメ(?)だと、レースを脱落したあとは物語上の立ち位置はどうしても一歩引いたものになってしまう(もしくは逆に「上がり」になるパターンもあり)のですが、本作では負けた次の日も同じように日々は続くし人間関係は連続的に推移していくという当たり前のことが丁寧に描かれています。
そりゃそうだよなあ、告白せずに抱え落ちした恋心って失恋したあとも表向きの人間関係に影響を与えないもんなあ…と考えていると今度は告白するパターンが主題になったりする。こうしたフェーズごとに構図が切り替わっていくのも本作すごいですよね…勝ちヒロインの側だった朝雲さんの参画とか明確にゲームの構図が変わった感じがしたもんなあ。
すごく負けヒロインというものを意識させられる作品なんですよね。主人公の妹が出てくるんですけど、美少女の妹がめちゃくちゃ兄と距離が近くて兄に強烈な矢印を向けているのに、それが強ければ強いほど決して結ばれないことが強く意識させられる。「妹って負けヒロインなんだ」というシンプルな気づきがありました。
自分は負けヒロインが好きなんだなあという性癖を自覚できた気がします。ちょうどこれを見ていた頃に摂取した他の美少女コンテンツでも、あえて自分の思いは胸に秘めたまま恋敵の背中を押すというお手本のような負けヒロインが出てきて強く心を揺さぶられました。やっぱりこう、負ける瞬間の気高さの輝きみたいなものに惹かれるんですよね。
ちなみに2024年の暮れにホンダと日産の合併というニュースが世間を騒がせていた頃、報道のなかに「台湾の鴻海精密工業が日産を買収しようと提案したことで、結果的に日産とホンダは合併を急ぐことになった」という話がありました。それを見た僕は「背中を押す負けヒロインだ!!」と一人で盛り上がってました。
〈小市民〉シリーズ
こと「オブイヤー」と冠するからには小市民に触れないわけにはいかない。僕の2024年を定義するにあたって、さすがにこのタイトルは外せない。うぁぁぁ! お…小佐内さんが美少女になって練り歩いている!
まさか小市民シリーズの冬が出てアニメ化するというとんでもない2024年になったわけですが皆様いかがお過ごしでしたか。秋期が出てから15年、まさかこんな年が来るとは。わたしはね、いまだと思う。
僕にとって小市民シリーズといえばなんといっても「シャルロットだけはぼくのもの」。大好きなミステリ短編です。大好きなミステリ短編がアニメになる、オタク冥利に尽きるというもの。当該回の感想はもう書いたので今更多く語ることはしませんが、2024年にもなって「シャルロットだけはぼくのもの」をこんなに騒げること自体が幸せですよね。ありがとうございました。
ゲーム
逆転裁判4
性癖オブイヤーその3。
性癖の話をする前にまず、本作がおもしろゲームであり大いに楽しませてももらったことを大声で言っておきたい! 第4話とかめちゃくちゃ盛り上がった! そのへんは単独記事で吐き出させてもらいました。ミステリ面での性癖に刺さったという話もこっちでしています。
加えてキャラクターでも性癖に刺さったんですよ、逆転裁判4! そのキャラクターの名は成歩堂みぬき。
本作をプレイして自覚しました。僕は…明るくてちょっぴり天然でおきゃんなヒロインキャラが実は重い宿命を背負って気丈に振る舞っていたと後に明かされるのが…好き!!
ブルアカのメインストーリーVol.5における勘解由小路ユカリとかも同じ理由で好き。
もしそんな僕が気に入りそうなキャラを知っていたら教えてね。
ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ
性癖オブイヤーその3.5くらい。
僕はもっぱらメインストーリーを追っただけではあるのですが、そのメインストーリーのボリュームがとても大きくて楽しませてもらいました。
ストーリーの「語り」のうえで本作の最大の特徴は、完全にリアルタイムであることです。我々の住む世界で1年が経過すると作中でも1年が経過し、春になると3年生は卒業し、1,2年生は進級し、新入生が入学してきます。いまは1月下旬ですが、後2ヶ月すると3年生が卒業することがもう決まっているわけです。サザエさん時空が当たり前のソシャゲ界にあってこれは非常に刺激的でした。
加えて僕は追えていないのですが作中のキャラクターがスクールアイドル活動の一環として動画配信を行い視聴者がリアルタイムにその配信を見ることができる(なんとコメントも拾うそうな)ということもやっており、極めて意欲的なコンテンツ作りをしています。
実際、僕が一番惹かれたのは「時間が進む」という点でした。今年の春にそれまでのメインストーリーをまとめて追い、最初の1年が終わって3年生が卒業したときにはたまらない感慨がありました。
そしてそれと同時に、作中の時間がリアルに進むことによって「時間の重み」が非常に大きいストーリーになっています。
僕は本作のキャラクターの中でストーリー開始時には2年生、いまは3年生となっている3人(乙宗梢・夕霧綴理・藤島慈)が特に好き!
いわゆる102期生にあたるこの3人はストーリー開始時で2年生ということで、「我々の知らない過去の1年間」を持っているんですよ。それは高校3年間で3回しか挑戦の機会がないラブライブのうち1回を既に棒に振っているということ。本作のフォーマットが持つ時間の重みがここに効いてくるんですよね。
僕は「ストーリー開始時点で既に何かがあって損傷している人間関係が出てきて、その過去が掘り起こされる」という話づくりが大好き!
この過去があって生まれるこの3人のぎこちない関係も、そこからの修復も、そして3年生になってからのどこか吹っ切れた間柄も好き。昔は噛み合わなかったのがお互い年を取ったことで「噛み合わないまま受け入れあう」ような距離感になっているのがすごく良いんですよね。同じ部活を3年間やるってこうだよなあ~!ってリアル感がすごい。
過去の精算ということ以外にも「後輩を持つことの難しさ」だとか、リアルな部活の2年生の悩みが繊細に描かれていて、本作の一番好きな部分がこの3人には集中しています。
学園アイドルマスター
めちゃくちゃおもしろゲーム!!
こ、こんなにゲームとしても面白くてストーリーもハチャメチャに面白いソシャゲがアイマスから出てくるんだ!
学マスの話はTwitter等でも散々していますし話し出すときりがないのでここでは絞りますが…一番刺さったのは初めて見たTrue、藤田ことねのTrue!
当時はまだことねのバックボーンがメインストーリーで語られるよりも前だったので、Trueに至ってそれを僕(藤田ことねのプロデューサーである私のことです)に語ってくれたというのが嬉しかったですねえ。
プレイ後、「こういうアイマスがやりたかった…!」と万感の思いが深い溜め息と胸を満たす満足感となって腹の底から湧き上がってきました。「アイドルマスターSP」にはじまり10年以上アイマスシリーズをやってきて、まだこんな喜びを味わえるなんて!
ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン
2024年一番面白かった、それどころかここ数年でも一番面白かった据え置きゲーム!
極めて完成度の高いRPGでした。尖ったシステムでありながら完成度が高いって本当にすごい。しかもそのシステムがストーリーと不可分な物語上の仕組みにもなっているのですからゲームとして理想形。
深夜に起動すると夜ふかししちゃうから気をつけないといけないんですよ。いい年してね! こんなにRPGを熱中して遊んだのは数年ぶり…トライアングルストラテジー以来かも。僕はつくづくスクエニに育てられたゲーマーです。
Pokémon Sleep
2024年、一番遊んだゲームです!!
毎朝起きて最初にすることはカビゴンに朝食を作ること。仕事の合間にきのみや食材の回収。そして起動してないときもポケスリのことを考えています。できることは少ないのに極めて奥深い、そして息が長い。コツコツゲー好きの僕にこの上なく刺さるゲームでした。
1.5周年おめでとうございます。ゴールド旧発電所が登場してからそんなに経ってないような気がしてしまうのですが、春には次のフィールドも来るのでしょうか。
これはポケスリをやってる方には共感していただけるんじゃないかと思うんですけど、ポケスリって「何もイベントやってない週」が楽しいんですよね。ゲーム側がちょうどいい具合にやりたいことを供給してくれているからなんだろうなあ。
じゃあ、僕はデデンネを厳選したいのでこのへんで…おやすみなさい。