25/01/29 【感想】トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦

映画「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」を見ました。
レイトショーしかやってなくて、観てから帰ってきたら日付が変わっていたのですが、カビゴンだけ寝かしつけて(ポケモンスリープ)から勢いのままこの記事を書いています。

九龍城砦(きゅうりゅうじょうさい)――かつて無数の黒社会が野望を燃やし、覇権を争っていた。
80年代、香港へ密入国した若者、陳洛軍(チャン・ロッグワン)は、黒社会の掟に逆らったことで組織に追われ、運命に導かれるように九龍城砦へ逃げ込む。そこで住民たちに受け入れられ、絆を深めながら仲間と出会い、友情を育んでいく。やがて、九龍城砦を巻き込んだ争いが激化する中、陳洛軍たちはそれぞれの信念を胸に、命を懸けた最後の戦いに挑む――。

トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦 - 株式会社クロックワークス - THE KLOCKWORX

いやー面白かった! 2時間の上映時間があっという間でした。
RRRと似たテンションで語られるのをよく目にしていたのですが、それも納得。あのテンションで観られます。

なんといっても九龍城砦がいい! 生活圏すべてが吹き抜けになっていて、町全体が窮屈につながってごみごみと物が溢れている。これがたまらなく好きです。この三次元的なダンジョン感大好き。抜き抜けで見えるひとつ上の階の廊下から「こっちへ来い」とか言われても「どうやって行くんすか!?」って心のなかでツッコんじゃいました。そしてこのカオスな町の作りで繰り広げられるアクションシーンが映えること映えること!

上述のあらすじにもあるように黒社会のアウトローたちが戦う話ですし主人公もいきなり寄る辺ない境遇から始まるストーリーではあるんですが、それでいてウェットさがなくむしろ爽やかさすらあるんですよね。
この妙な爽やかさは黒社会の大物たちが皆、暗躍したり暗殺したりといったことをするのでなく自ら文字通り殴り込んで白兵戦でいくところから来ているのだと思います。「兄貴」と呼ばれるような格のある大物たちはちゃんと格闘もめちゃくちゃ強いというのが清々しい。

この白兵戦で話をつける兄貴たちの爽やかさと対称的にラスボスが本作で初めて銃火器を使ってくるところで「こいつは同じ筋が通っていない『悪』だ」と明確に印象づけられるんですよね。あと気功。気功はマジで味付けが濃くて笑っちゃった。というかあの4人がかりの激アツリンチシーンのあとの「こいつの弱点を探せ!」って台詞でほんとに笑っちゃいそうになりましたよ。いきなり能力バトルになるな。

そしてスタッフロールのバックで九龍城砦の生活が流れるのがたまらない味でしたね。本作の主役は九龍城砦そのものであり、そして九龍城砦とはなにかといえばそこに住む人達の生活の集合そのものなんだなあ。

スタッフロールの終盤、やけに尺を取って靴職人が靴を作るシーンが流れます。そこで思い出したのが、作中「主人公の持ち武器が金槌なの珍しいな」と感じていたこと。
スタッフロールで金槌は靴底を打ち付けるのに使われています。そうか、金槌って本来は生活の道具なんですね。生活の道具を持った主人公たちが殺傷にしか使わない銃火器に立ち向かうという対立は九龍城砦の生活がそこを支配する暴力に立ち向かうという構図になっていたんだなあ。というか銃火器を振り回す気功使いの支配者を倒すのって英国にも中国にも属さない九龍城砦の矜持を表していたのかしら?

あの印象的な竜巻も含めて、町そのものが侵略者をやっつけるイメージで…やっぱりこれ、RRRとかと同じく真の男の映画ですね。