やすみと暮らし
こんにちは、『やすみ』です。
東京に馴染むには時間がかかりました。
というよりも、一人で暮らすことに、と言い換えたほうが正しいかもしれません。
仕事の都合で東京に出てきた私は、友人たちよりも遅めの上京となりました。
一人になって気付く、自分以外誰もいない空間の心地よさと心細さ。
また、世の主婦の方々が日夜奮闘している "名も無き家事" が私を苦しめました。
一般的な家事、いわゆる掃除、洗濯、炊事などとは違い、名前がないほど細かな仕事が家では山のようにあるのです。
お母さんってすごい。
この一言です。
はじめの頃は、おしゃれな家具並べて、夜は優雅に映画とともに晩酌して……
なんて、期待に胸膨らませていたものです。
それがどうでしょう。
今ではすっかり "寝るための場所" と化しています。
名も無き家事はやったりやらなかったりで、ふと目をやれば残りわずかのティッシュ軍。
靴下の神経衰弱にも日々手を焼いています。
一人暮らしは自由だけど自由じゃない。
生きるための職業訓練所。
日々みっちり訓練してますからね。
だから私は結婚したとしても立派に家事ができるはず。
……はず。
火照った頬に、汗が流れて反射する。
波間に映る景色がゆらぎ、真夏と戦うあなたも私も、ほんの少しのひとやすみ。
やすみ