やすみと香水
こんにちは、『やすみ』です。
すれ違いざまに鼻先をくすぐる香り。
匂いは形がない分、
記憶としては非常に強く深く刻まれます。
特定の香りを嗅いだときに呼び起こされる記憶。
沈殿した川底の泥に大きな石を落としたかのように
言語化できない、淡くて不透明な思い出にハッとします。
昔、好きな香水があったんです。
柑橘系でもなく甘ったるくもない心地よさ。
きらきらとした宝石のような香りが大好きでした。
残念ながら廃盤となってしまいまして、
もう手の届かぬものとなってしまいました。
いや、ネットで調べるとヒットはするんですけどね、
4万円近くするわけですよ。
さすがに買えません(笑)。
似た匂いを探して別の香水を纏ってるんですが、
やっぱりなんか違うなって思います。
なんだか恋愛に似ていませんか。
昔に消えた誰かを探して似た人を探しても、
それは顔も中身も違う別の誰か。
思い出の中で生き続ける人を
忘れずに胸にしまっておきましょう。
今そばにいる人を愛してあげて。
そうだね、今はこの匂いが好き。
ねずみ色の空を見つめて浮かぶ。
すき間ない雲に、吸い込まれては馴染んでく。
私はここだよ!叫んだ声も消えていくなら、その場でじっとひとやすみ。
やすみ