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漢字ノート其の十七『淬』
淬
サイ
にら(ぐ)
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淬励(サイレイ)
「強さ」はどこにあるのか
剣を鍛える鍛冶職人が、ひたすら熱した鉄を打ち、冷水に浸し、また打ち続けるように、人もまた、何かに向き合うことで磨かれていくのかもしれない。
ただの刃ではなく、すでに磨かれたものをさらに鍛え上げる。これは、成長の終わりがないことを示しているのかもしれない。努力の先には、また新しい努力が待っている。少しずつ、けれど確実に、強く、鋭くなっていく。
熱と水
鍛冶の世界では、鉄は熱を加えられたあと、冷水に浸されることで強くなる。この「熱」と「水」、つまり情熱と冷静、挑戦と休息。
どちらが欠けても、脆くなる。焦りすぎても、立ち止まりすぎてもダメで、絶妙なバランスの中で人は研ぎ澄まされていく。
努力の果てに待つのは、ただの「強さ」ではない。
「たおやかに」、つまりしなやかに進むことができるようになる。強いだけでは折れてしまう。柔らかさを持ってこそ、本当に前に進めるのかもしれない。
しなやかで、凛とした静寂を宿していく。
本当に強い人は、静かだ。
騒がしく自分を誇示する必要がないからだろう。静けさの中にある確固たる強さ。その境地に至ったとき、人は初めてしなやかで、凛とした姿を手に入れるのかもしれない。
成長は、痛みを伴うこともある。
それでも、熱と水が交互に寄り添うように、絶妙なバランスの中で前へ進み続けることが、何より大切なのだ。
漢字を通したボクなりの見解
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