![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/63012119/rectangle_large_type_2_bcd28bf1b4b22a106e17475ec53dbbdd.jpeg?width=1200)
山登りに必要な装備とその理由~アンダーウェア編~
このシリーズでは、登山時に必要な装備を、1つの記事につき1つ取り上げ、山登り初心者だった頃の自分の経験や失敗を振り返りながら、”その装備がなぜ必要なのか”を書かせて頂きたいと思います。
今回のテーマは『アンダーウェア』です。
アンダーウェア選びを誤った登山は危険
ご存知の方も多いとは思いますが、登山時の着用するウェアに、コットン(綿)素材はおすすめできません。
登山にコットン素材のウェアを着ていった結果、汗や雨でウェアが濡れた後から、どんどん冷えていき、寒い思いをした。という経験がある方もいるのではないでしょうか。
かくいう僕もその一人です。
〜〜〜
モンベル入社当時の僕は、モンベルに気に入るデザインのパンツが無かったことで、街着として愛用していたアパレルブランドの“山っぽい”お洒落なパンツを履いて山小屋泊登山をしたことがあります。
パンツの素材はたしか「綿」と「麻」の混紡。デザインやコンセプトもアウトドアファッションよりのブランドでしたが、使っている素材は登山向きではなかった。「綿」は濡れたら冷たくなるし、「麻」は天然の冷感素材です。
季節はGW。標高約1800mの鳥取県大山の頂上で一泊。上半身はきちんとアンダーウェアを着ていたのでまだよかったのですが、下半身はキンキンに冷えてしまい、なかなか寝付けませんでした。
ここで僕はようやく、アウトドアで使う製品は機能性を最優先するべきであることに気付きました。お洒落さやアウトドアっぽいコンセプトではなく。
山小屋泊は寒い
アンダーウェアは体温調節の要
僕の例で書いたのはパンツでしたが、登山時のウェアはどれも素材が重要で、身体を濡れや冷えから守る体温調節という役割があります。
特に、肌に触れるウェアの機能は体温調節の要となり、アンダーウェアは一番重要といっても良いウェアです。
そんなアンダーウェアの素材で代表的なのは主に2種類。ポリエステルを主とした化学繊維素材と、メリノウールなどの天然素材です。
ポリエステルなどの化学繊維のアンダーウェアの特徴は、吸水速乾性。肌にかいた汗などの水分を瞬時にウェアが吸い取り、素早く乾く。これにより汗冷えを防いでいます。
ウールを使ったアンダーウェアの特徴は、湿気を吸い込むことで、ウールの繊維が発熱する吸湿発熱性です。乾きはポリエステルより遅いのですが、ウールは濡れても暖かいままで寒くならないのです。
逆にスポーツ時のアンダーウェアに向かない素材である「綿」は、濡れたら冷たくなります。夏でも寒くなります。これでは、登山時に体温をキープできないのです。
標高が高ければ夏でも冷え対策を
アパレルメーカーのアンダーウェアはそもそもの目的が違う
登山やアウトドアメーカー用のアンダーウェアの目的は、「保温性」と「汗冷え防止」です。特に重要なのが「汗冷え防止」機能。汗や雨で濡れてしまった際の極力冷たくならないように作られています。
アパレルメーカーのアンダーウェアは、「保温性」は申し分ないですが「汗冷え防止」機能が弱い。なぜなら綿が少し混ざっていることが多いからです。ここが登山用品とアパレル用品の大きな違いです。
普段、街中で着用するためにはアパレルメーカーのアンダーウェアで十分なのですが、登山する時はアウトドアメーカーのアンダーウェアを着用することが重要です。
(参考:モンベルHPより)
適切なアンダーウェアを選ぼう
登山の道具を揃えていく時、目に見えない部分のアンダーウェアは見落とされがちです。
レインウェアや靴、バックパックなどは目立つし必要性はわかりやすいのですが、肌に直接触れる部分のアンダーウェアはそれらと同じくらいに重要なモノです。
アンダーウェアを始め、ウェアの素材をどう選択するかで、登山やアウトドア時の快適さが大きく変わってくるのです。
以下で、参考までに僕のウェア(素材)の選び方を書いておきます。良かったら参考にしてみてください。
〜〜〜
メリノウールは、先に説明した吸湿発熱性以外にも、天然の消臭効果があり、臭くならないので、数日間にわたる登山やアウトドア時に持って行きます。
他にも真冬に少しでも汗冷えを防ぎたい場合も、ウールを選びます(※化学繊維は乾くときにどうしてもヒヤッと感じてしまうので)。
化学繊維なら、夏でたくさん汗をかく時、水に濡れるようなアクティビティで使います。外気温がそんなに低くなく、水に濡れるのが分かっているなら、早く乾いてくれる化学繊維が使い易いです。
綿のウェア(特にアウター)を積極的に使いたいシーンは、キャンプや焚き火の時です。化学繊維に比べて綿素材のアウターは、燃えにくい。化学繊維のアウターで焚き火したら、かなりの確率で火の粉が飛んできてウェアに穴が開きます。(何度かやらかしています笑)。
~~~
以上、「山登りに必要な装備とその理由」。今回はアンダーウェア編でした。
皆様も季節やアクティビティに応じたウェア選びで登山やアウトドアを快適に過ごしましょう。
適切なウェアで楽しい登山を
(写真:Yuya Nojiri)