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高専生が東京大学工学部推薦入試に落ちた話(後半)

こんにちは、Yashiです。
この度は、東京大学学校推薦選抜入試で工学部(学科群5)に出願して、不合格という結果を頂きました。後年受験される皆様のためにも、何かの形で記録に残しておきたいということで、このnoteを書き記す次第です。

前半はこちらから↓↓↓↓↓↓

後半は、面接と共通テストについてお話ししようと思います。
後半を出すのが遅くなった理由はいくつかありますが、かなり踏み込んだ(ともすると大学への批判ととられかねない)内容になってしまうことを危惧したことも理由の一つです。
試験を通して私が感じた率直な内容を記したまでですので、大学や制度、ましてや教員個人を批判するような意図はありませんのでご了承ください。
また、私が所属する団体とは一切関係の無い、個人の体験談であることに留意してください。

面接

無事に一次選考を突破し、二次試験まで進むことができました。面接対策は正直なところ十分ではなかったと思います。学科教員に見てもらいましたが、教務で忙しいようで教員と練習できたのは2回だけでした。ただし、自分で想定問答集をつくって対策したり、自分の書いた論文や資料を見返してきちんと説明できるように準備はしていました(この辺りは属人的な話になるので、端折ります。)。

面接は日曜日だったので、土曜日の昼に東京に着いてN/S高研究部の会合に顔を出しました。自分が学部に提出した資料について部員の皆さんからたくさん質問してもらって、緊張がほぐれました。
その後は、お友達のはるくんと会って激励を受けてきました。ご飯おいしかったです。

当日は慣れない革靴を履きつつ、上野駅から不忍池を通って、本郷キャンパスに向かいました。

はるくんの書いたnoteも勝手に宣伝しておきます。ご覧あれ

面接の内容

こんな日記のような内容はどうでもいいとして、面接の内容に踏み込んで解説します。面接官は五人でした。

前半は、
・自己紹介
・各学科群を志望した理由(私は第三希望まで入れましたが、それぞれなぜ志望したのか、なぜその順位なのかという点も聞かれました。)
という感じで進みました。このあたりまでは和やかな感じで進みました。

個人的に衝撃的(悲しかった)な出来事が次から始まりました。
面接官からの質問が
フォトトランジスタの動作原理を教えてください。」
というものだったのです。

受光素子が受けた光を電流に変換し、トランジスタで増幅して出力するという動作をする素子です。
私が製作したのは、電波望遠鏡(つまるところ、宇宙からの電波を受信するアンテナ)なのでそのような素子は一切使用していません。
「光センサなどをしっかり扱ったことがないので、詳しいことはお伝え出来ません。(少し知識にあったことを付け加えましたが)」と返答すると
「え、望遠鏡作ったのに???」と返されました。(ここで少し焦ったように手元の資料をめくりだしました。)

この時点で私は、面接官が私の提出した説明書や志望動機書を読まず「望遠鏡」と書かれた文だけを目にして私の活動を判断してきたと感じました。

続けて私は、簡単に自分がどんなものを作ったのかを説明しました。(ソフトウェア無線を利用して、天の川銀河由来の水素輝線を受信した。簡単に製作できるマニュアルを執筆して公開したなど。)
その後に、「なんでもいいので知っている回路をホワイトボードに描いてください」と言われたので、π型平滑回路を描きました。

簡単に電波望遠鏡のことを説明したので、ヘテロダイン受信における局部発信周波数をどのようにして決定したのか聞かれました。
一般的にダイレクトコンバージョン方式(SDRのフロントエンドでこれが多く使われています。)では、受信周波数(RF)と局部発信周波数の差の成分をIFとして取り出すので、RF周波数に近い周波数を選択する。といった趣旨の解答をしました。
この質問も正直なところ、自分が志望動機書や説明書に書いた内容からするとズレているなと感じました。

私が活動の中心をおいていたのは、
・天文学(特に天文学における技術)を勉強
・天文学及び、天文学と技術のつながりを社会に伝える
ということの二点で、これを中心に文章を作ったからです(工学部が社会とのつながりを意識しているからという理由もあります。)。

天文学は近年特に大規模科学の様相を呈してきており、多額の公金が投入されている。天文学を持続的に続けていくには、多くの納税者からの理解が必要だという指摘をしました。
そのなかで、自分なりに天文学に貢献したいという視点から以上のような活動をしてきたと書きました。

そして、工学部を志望した理由は、自分がこれまでに学んだ技術をもっと発展させるために、工学部で基礎物理から装置実装までを一貫して学んで、天文装置にブレイクスルーをもたらすような研究者になりたいという趣旨でした。

望遠鏡に関していえば、「英国の研究者が製作したシステムを参考に、だれでも作れるように簡単に手に入れられる部材で電波望遠鏡を製作し、マニュアルを執筆した。そして日本各地で簡易電波望遠鏡について様々な活動を展開した」と記入しましたが、面接官から「え?望遠鏡イチから作ったの??それともマニュアル書いただけ??」と聞かれました。悲しくなりました。

所謂アウトリーチ的な活動を押し出したので、そこを沢山問われると予想していましたが違いました(ここは私の読み違いですが)。

そのあとは、「今後勉強していきたい」と書いた内容について詳しく問われました(特に超伝導について)。ほとんどの時間がこれだった記憶がありませす。

・(例)SIS素子の原理を教えて
<解答>超伝導素子の間に薄い絶縁体を挟んだ構造を持っている素子。非線形なI-V特性を持っているのでミキサーとして使用できる
→そうでなくて、電子のふるまいまで立ち返って、なぜ非線形になるのか教えて
<解答>そこまでは勉強できていないので、この場では皆さんに伝えられない、大学に入ってから学びたい

のような感じで、大学で学びたいと書いた内容をかなり詳しく問われました。これが大変だった。。

面接の終わりに、
「スイスに長期間滞在していたようだけど、特に語学の資格などは持っていないんですね。」と言われました。
特段そのような意味がないと理解はしつつも、「大して語学力ないんだね」と言われたような雰囲気を感じてしまいました。

「もちろん語学の必要性を感じました。同級生のように先頭にたってドイツ語でディスカッションできたわけではありませんが、きちんと授業に参加して理解することはできました。一年間滞在して感じたことは、流暢な言葉を話すことよりも、『こいつの話なら聞いてやろう』と思われるような知識や技術を身に着けることが一緒に活動していく中で最も重要だということです。」というような内容を話しました。頷いてくれていたような気がします。

面接は45分でした。面接終わった直後から落ちたなと思っていました。感触は最悪でした。

面接を通して、自分が推し出したことについて一貫して問われなかったので、単に東京大学工学部とのミスマッチだったんだと考えています。
「社会の多様な課題を、科学技術を通じて解決することに意欲を持つ」(中略)
というところを軸に攻めましたが、自分は欲しい学生には当たらなかったようです。

出願学部はよく考えましょう。

共通テスト

共通テストに関しては、特段私からお話することはありません。
念のために、高専入学時の入試スペックを書いておくと(これくらいしか皆さんに伝わる指標がないです)、北海道の札幌南高校にボーダー+10点(記憶があいまいですから不正確です。)で合格するくらいの学力でした。

高専生で大学受験のための勉強は全くしていませんでしたし、高専で触れていないような内容ばかりでした。加えて、学校推薦なので進級しないと推薦に受かっても入学できませんから、高専のテスト、レポート、実験をやりながらの生活でした。ゼロの状態で半年前からはじめるのは大変でした。
とても厳しかったです。お勧めしません。共通テスト2日前にストレスで手の震えが止まらなくなりました。病院に行って薬を飲んで止めました。高専での成績も落ちてますね、仕方ない。
2日目の帰り道に微分方程式のテキストを読んでました。そのあとすぐにテストだったので、、、
今思うと、周りの受験生からは痛い奴だと思われたかもしれない、、、

ただ、共通テストだけにコミットすることを考えると、半年あれば十分(精神的にやられることなく終われる)と感じました。

共通テストの過去問を軸に勉強しました。基礎問題精巧をつかったりしてぼりぼち対策しました。英語も、共通テスト特有の読み方を知らないと解けない雰囲気を感じたので演習をたくさんしました。

自己採点では当日も8割に載せることができましたが、実際のところはわかりません。8割では不十分だったのかもしれません。
馬鹿力で乗り切ったことを大学には評価してほしかったですね(笑)

今後の展望

今のところは、高専に残って天文の活動を続けつつ、編入試験の対策をしようと考えています。
面接で気持ちがやられたので、日本の大学を受験する気が失せているのも事実です。英語資格をとって、海外大学(English-taughtに限りますが)を受けるのも手なのかなと思います。ただ、学部教育を母語で受けられるというメリットも享受したいという気持ちもあります。
気持ちはやられてますが、落ち込んではいないので闘います。夢をかなえるために。

おわりに

後半は、だいぶお気持ちベースな文章になってしまって申し訳ないなと思っています。自分の視点から伝えられることはこれが限界です。
東大推薦の制度自体は素晴らしいもの(進学振り分けにとらわれずに学べるなど、、)だと思うのでチャンスのある人にはどしどし受けてもらいたいと思っています。
自分が東大には合わなかったということなんだと思います。
大学も、基本的には活動をきちんと見てくれていると思います。受験生のみなさんにおかれましては、ぜひ頑張っていただきたい所存です。




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