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中島らも 「今夜、すべてのバーで」

中島らもさんの「今夜、すべてのバーで」を読みました。
youtubeでらもさんの動画をお勧めされて、それが面白かったので、興味を持ったのがきっかけです。
小説を読むのは本当に久しぶりでしたが、これは面白かったのであっという間に読めました。

この本は、なぜ酒を飲むようになったか、なぜ飲むのか、なぜ体を壊しても辞められないのかについて延々と綴られています。

「アルコール中毒」という病気について、正直実態は良く分かっていなかったのですが、この本のお陰で非常に良く理解できました。ノウハウ本としてもお勧めですし、小説としても面白いです。
作者の実体験が元になってるというだけあって、とても生々しかったです。
読み終わった後は、自分までお酒を飲むのがちょっと怖くなる程でした。

らもさんというと、「明るい悩み相談室」のイメージで「面白い、ユニークな人」というイメージしかなかったので、ここまで苦しんでいたのは驚きました。
人は誰でも弱い所があるので、誰にだって破滅する可能性はあります。
特に作家とかクリエイティブな仕事をしている方は、新しいアイデアを渇望しているので、そういうモードになるために、辞めないと死ぬかもしれないお酒を辞められない。「一種の狂気を持って」お酒に手を出してしまう。

しかしそんなシリアスなテーマでも、やはりらもさん、ユーモアは出し惜しみしていなくて、とても面白かったです。
入院中の患者達もクセがある人ばかりで笑えます。
最後の、担当医師とお酒を飲むシーンは、哀しいはずなのに、その乱闘シーンの絵を想像するとかなり笑えました。
主人公は果たしてこの後もお酒を辞められるのかは、少し疑問ですが、自分を想ってくれる人に引っ張ってもらって節度を持って飲んでくれれば良いのですがね・・・

久しぶりに集中して小説を読めましたし、らもさんの他の作品も読んでみたいです。

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