Kapitel 3: [Karriere]海外就職の壁
1. Aktuelle Situation
1.1. Schwierigkeit
お久しぶりです。
前回投稿から時間がたってしまいましたが、その間にもいろいろな出来事が生じており、決断を迫られる激動な日々を過ごしておりました。
ドイツからのオファーについていろいろ考えを巡らせましたが、結論としては「オファーを受けない」という方針を選ぶことにしようとほぼ決めております。正確には「半分受ける」という感じではあるのですが…。
Noteで海外転職を書いておられる方々の記事を読んでいると9割以上が今ある地位を手放し、海外で挑戦をするということを選ばれていると感じておりました。10個に1個はそういったチャンスを選ばず、現状で頑張ってみようと思う人がいてもいいと思い、この記事を書くことにしました。
このKapitelではなぜそのような経緯に至ったのか書いていこうと思います。
2. Gründe
2.1. Möglichkeiten am aktuellen Arbeitsplatz
現職での可能性。
現職ではとてもありがたいことに帰国子女でもないのに欧州とのビジネスを担当させていただいている。つい今月もイタリアで開催された医薬品関係の展示会CPHI Milanに行く機会を会社からいただいた。
この機に現職の海外事務所にも訪問した。日系企業の海外現地法人という環境で仕事をする駐在員や現地採用員に面会し、日本にいては知りえない”現地”で働くということを見てきた。今回の海外現地法人訪問をもって、欧州にあるすべての事務所を巡ることができた。
初めて訪問したのは昨年の2024年11月上旬。ここで欧州管轄の事務所を統括する人物に会い、自分という人間の紹介をしたことが大きく影響したのか薬剤師でドイツ人の妻を持つ従業員がいたということは瞬く間に海外現地法人中に広まっていたことを改めて今回のイタリア訪問でも思い知った。
この状況を鑑みると欧州駐在の扉は決して遠くにあるわけではないと実感をしている。とはいえ、日系企業であるが故、必ず私が駐在員に選ばれるという保証はどこにもなく、偶然性とタイミングが一致しなければそれは起こりえない。それでも今回のオファーを蹴ってでも駐在をしてみたいと思った。
理由はいくつかある。
2.1.1. Japanische Unternehmensgemeinschaft
現地日系企業のコミュニティー。
駐在すると駐在事務所のみが自分の属するコニュニティーではない。日系企業の現地法人で構成される現地コミュニティーがあり、そこでの横の繋がり構築を行うことで視野を今以上に広げ、新しいアプローチでのビジネス構築に活用したいと考えた。
2.1.2. Reisebüro
旅行代理店。
現職の海外事務所が存在するのは現地でのビジネスをサポートするほかに日本からの出張者のアテンドが含まれる。もちろん弊社だけではないと思うが、休日も奪われるかもしれないのになぜ理由になるのか。それは、日本の上位役職の平均給料が関係する。
例えば2023年現在で常務クラスで年収2,500万円が平均であるそうだが、一般社員なんかの給料と比べ物にならないほどのお金をもらうそういったクラスの人間がどう振舞うのか、何を好むのか、どんな人間との交友関係があるのかなどに興味がある。
僕は別にそれだけの高額な給料が欲しいとは思わない。しかし、社会を動かす決定をする人間の近くでそういった人間の思考・嗜好を学びたい。そうすることでそういった人間に対峙してもひるまない自分を形成したい。
もう一つは、そういった人間をもてなすことで知ることのできる周辺知識も学びたい。正直、赤ワインの品種にPinot NoirがあるだとかPino Monteがあるだとか、品質クラスにDOC、DOCGがあるだとかそういったことはどうでもいい。しかしながら社会を動かす人間に掛け合うには”共通言語”の習得は欠かせない。駐在することでそういったことの知識を言い方悪いが会社の金で学べる場を作れるのは自分にとってはエコロジーであると考える。
2.1.3. Auslandserfahrung
海外経験。
本来はこれが一般的な駐在の動機なのだろう。もちろん、私も同様である。海外は日本のように雇用を守ってはくれない。そう言った意味では雇用を守られながら海外で働けるのはおいしいと思う。5年ほどの任期でその後は帰国を余儀なくされるのはデメリットだが、お試し海外就職と思えば御の字か。
2.2. Fehlende Erfolgsbilanz
実力不足。
圧倒的実力不足である。入社して3年半。まだこれと言って外に自慢できるような実績を現職で作っていない。
そんな奴が転職しようとしたとして「で、あなたは何ができるんですか?」と聞かれても腹の底から語れるストーリーを持ち合わせていない。それは裏を返せば自信となるような経験もないということである。
もちろん、社内で新しいチャンスをもらうことについても新しいロールに抜擢する人間を選ぶとなっても自分に声がかかることは奇跡に等しいだろう。
そのため、第一に実績。第二に実績。そして、第三にやっぱり実績。もちろんそれだけではないだろうが、説得力に重みをもたせるためには必要だと改めて認識する。自分が今考えるキャリアプランを考慮すると2~3年以内に現職で実績を作り、それからがようやく私のチャレンジ時なんだと考える。
2.3. Risiko (Marktfähigkeit)
業界リスク。
オファーを頂いた企業のポジションは自社の美容製品の日本展開を担当するプロジェクトマネージャー。聞こえはとても良いし、得られる経験としては日本への輸入規制対応、日本用の処方組検討、プロジェクトディベロップメント等、決して悪くはない。
しかし、大前提として、1年の契約社員としての採用なのだ。ドイツで1年働いたという経歴は日本の転職市場で重宝されるだろうと考えるので、仮に更新されなくても帰国すればまた現職より良い会社への転職が叶うかもしれないという楽観的な考えもある。
それでもリスクととらえるのは契約期間よりも大きな因子があるからだ。彼らはすでに自社品を中国に展開するビジネスで成功を収めている。それを日本市場にも当てはめて更なる利益の向上を目指していると推察している。しかし、円安、原料費高騰、人件費上昇の波は日本の家計状況をかなり圧迫しており、加えて給料は増えないし、手取りは増税で減少するなんて言うケースも巷では聞く。そのような状況で高級美容製品を手に取って使用してみようと思う人間が日本にどれほどいるだろう。外資系ブランドが日本市場から撤退するという事態も生じている。
そんな中で1年以内に彼らが期待するパフォーマンスを現時点での自分の実績では出すのは非常に無謀であると考えた。だからこその第一にまず実績だとも考えている。
2.4. Familiäre Umstände
家庭事情もないわけではない。実は私事ではあるが、近々に父になるのだ。まだ未経験の育児をこなしながら異国の地ドイツで実績を求められるというのはかなりハードであるし、私一人の話ではなくなる。妻と子どもの理解も得ながら、決断する必要が生じた。
当然、1年以内に辞めるような奴に育休を付与する企業は日本にはいない。となると、有給を削りながらの育児サポートを強いられる。それはドイツ出身の妻にとっては日本での出産・子育ては不安の連続であり、当たり前のように夫である私のサポートは不可欠である。ここで選択を誤ると今後の家庭環境・妻との関係性にひびが入るし、生まれてくる子どもとの時間も取れず、一瞬で過ぎ去っていく幼少期を棒に振る可能性がある。
2.6. Finanzielle Probleme
最後に記述するのは財政問題である。前述の各論を取り合えず考慮しないで、移住したらどれだけ費用が掛かるのか見積りをしてみた。
ドイツの最低賃金は税引前でEUR3,600/月くらいと聞いている。仮に最低賃金で家計を回そうとした場合の概算を推定して検討した。
家賃 EUR1,100
光熱費 EUR250
食費 EUR400
所得税 EUR1,200(大体37%)
上記以外にもかかるコストはあるし、住む州・町によって増減があるが、試算上でもEUR2,950となり、月当たりの貯金はEUR600程になるという計算だ。日本円にして約10万円ほど。悪くはないが、ほかにかかってくるコストでさらに減少することを考慮すれば資産形成は非常に困難を極める。ドイツに行って貧乏になるなんて子どもを抱える親としてはそこまでのリスクを負うことはできない。
3. Zusammenfassung
まとめると今は挑戦を取るべきタイミングではないというのが持論である。もちろん最終決定ではないし、今はリモートワークも進んでおり、ある意味副業的に時短でオファーを頂いた企業のために日本市場の情報を集めるということもありかなと思っている。そう言った選択肢を出しながら交渉を行い、今は日本でもう少し実績を出すことに的を絞って頑張っていきたい所存である。
Bis Bald!