山中千尋さんの短編小説『フェイシング・ユー』
山中千尋さんがもしバークリーに留学しなければ、"美咲" になっていた?と思わせる彼女が主人公の短編小説。『たちばな学園』という高校から大学までの一貫教育の私立音楽学校に通っていたという設定もファンにはツボである。
しかし山中さんとは違い美咲はアンチ・ジャズで、幼馴染みのジャズ・トランペッターの敬太とはとにかく意見が合わない。決定的に違うのは十二個の小さな・・・。おっと、このくだりはネタバレにならぬよう伏せておこう。
アンチ・ジャズの美咲が最後に残すセリフは、アンチのようでそうではない、むしろ山中さんのど真ん中の心をストレートに代弁しているのではないだろうか。音楽にとってもっとも大切なことはなにか…?
私はその最後のセリフの最後にもっとも心を打たれた。