深田萌絵さんちの技術者さん、自称「F-35に採用された技術」を自分で中国に売却してませんか?
みなさんこんにちは八洲子です☆
お元気ですか?
今回は、深田萌絵(浅田麻衣子)さんの会社の最高技術者(CTO)のジェイソン・ホー氏が、TSMCを絡めながら「オレのF-35の技術が中国に盗まれた!」という感じの被害話を色んなところで繰り広げているのですが、
いやいや、自分で中国に売却してるやんwwwwwww
・・・という事がわかる資料が出てきましたので、お伝えしておきます☆
ジェイソン・ホー氏は自称「F-35の飛行制御&画像表示システムの主任設計者」
まず、ジェイソン・ホー氏とはどんな人物なのか、簡単に紹介しましょう。
・深田萌絵さんの会社Revatron株式会社(4代目)の最高技術責任者
・初代Revatronと二代目Revatronでは代表取締役
・深田萌絵さん曰く「2000年頃F-35開発に関わった際に、技術を中国に狙われ命も狙われ、秘密結社青幇の命令で台湾検察から無実の罪で指名手配され、2005年に米国に逃れ、FBIに保護され米国籍となり名前も変わった」
・日本でも何度も技術を盗まれている(具体的技術は不明)
・何度も盗まれている技術は、彼ら曰く「米国で輸出規制されている技術」らしい(でも何故か盗まれたのに本人達は米国に処罰されていない)
・自称「F-35の飛行制御&画像表示システムの主任設計者」
私、軍事技術とかよくわからないのですが、
ジェイソン氏は、F-35開発当時は台湾国籍だったんですよね。
米国籍でもない人が、次世代戦闘機のディスプレイシステムの主任設計者とかになれるものなんですか?
ジェイソン氏のいうF-35の技術はArticiaP
ここでいうジェイソン氏の「F-35の技術」とは、ArticiaPチップの事です。
それは、プレスリリースやチップに使われた独自技術から確認できます。
①プレスリリース
ジェイソン氏の会社のArticiaPというチップがF-35のディスプレイシステムに採用されたよう事が、ジェイソン氏の会社Mai Logicが2002年7月に出したプレスリリースで述べられています。
https://web.archive.org/web/20020712113406/http://www.mai.com/news&events/PressRelease070902.html
②Genetic Computingの技術が入っている
米国の元軍人サンガリさんのチャンネルでのインタビューでも、スライドを使って解説していましたが、そのスライドにこのような記述がありました。
下の赤枠にご注目ください。
"Genetic Computing "とは、ジェイソン氏が独自考案したチップのセキュリティ技術です。
つまり、"Genetic Computing "という技術が入ったものはジェイソン氏のF-35の技術という事になります。
ジェイソン氏の会社Mai LogicのサイトにArticiaPチップのカタログが残っていました。
そこに、ArticiaPチップには"Genetic Computing "の技術が使われている事が確認できました。
さて、ここからがこのArticiaPチップの技術を「自分で中国に売却している」事についての解説です。
自分で中国に売却している証拠とは・・・
カリフォルニア州での裁判(Socle Technology vs. Mai Logic)
2004年12月29日に台湾のSocle(虹晶)という会社が、ジェイソン氏の会社Mai Logicに対して裁判を起こしました。
米国のサイトでこの裁判についての情報が確認できます。
Socle Technology Corporation v. Mai Logic, Inc. (3:04-cv-05498)
この裁判は、2006年の新新聞という台湾の雑誌でジェイソン氏がインタビューを受けた記事でも登場しています。
本当は、①虹晶がジェイソン氏の米国の会社を訴え、②それにジェイソン氏が反訴した…という構図なのですが、新新聞の記事では何故か①をすっ飛ばし、②のジェイソン氏側から虹晶に訴訟を起こした事になっています。
不可思議ですが、ここでの本題とは外れますので次に行きます。
その裁判の詳細が、こちらのブログで紹介されています↓
裁判資料とネットに残された他の情報を元に、詳細を解説しているブログですので、興味がある方は是非じっくりと目を通してみてください。
その解説の一部にこのような文章があります↓
なんと、
ArticiaPの独占製造権は、2004年11月14日に、北京のARC.9という会社へ譲渡されていた
という事が判明しました!
これはこの裁判資料にある、Mai Logicからの質問に対するSocleの回答から判明しました。
ジェイソン氏のF-35の技術であるArticiaPの独占製造権は、2004年11月14日に、北京のARC.9という会社へ譲渡されていたという事です。
この裁判の中で、Socleは2004年09月17日に以下のように中国で報道があった事も伝えています。
おいおーーーい!
あれだけ「オレのF-35の技術が中国に盗まれた!」という感じの被害話をあちこちでしているのに、蓋を開けてみたらオマエ自分で中国に売却しとるやないかーーーーーーい!ということです(笑)
以上!
・・・と言いたいのですが、
この裁判の背景をもう少しだけ解説させてください!(もう少しと言いながら結構な分量になっちゃいました!)
興味ない方はここまで読んでいただければ十分です!
どういう裁判だったの・・・?と興味を持たれた方はもう少し付き合ってください☆
なぜこの裁判が起こったのか
この裁判は、Articia Pの開発・製造している最中に、デザインサービスを担当したSocle社にMai Logicが開発費の支払いをしなかった事が発端として発生しています。
ただし!
Articia Pの開発製造は判明している限りで、2回行われています。
1回目はF-35のディスプレイシステムの製造する事になったカイザーへ納品を目指して製造されていますが、
2回目は納期的に全く間に合っていないので、実はF-35と何ら関係ありません。
ジェイソン氏はFPGAという何度でも書換え可能なチップの上で設計をしました。しかしFPGAチップでは納品できないので、ASIC用に設計を変更してチップを製造する必要があります。
簡単に説明すると、FPGA内に入れた設計(プログラム言語)は、ASICの設計(プログラム言語)とは違うものなので、設計変更をしなければいけないのです。
デザインサービス会社にはFPGA→ASICへの変更サービスがあります。
たとえばこんな感じです。
ジェイソン氏にはASIC用に設計を書換える技術はないようで、デザインサービス会社にASIC用の設計に変更してもらい、デザインサービス会社がマスクデータまで作り、そのマスクデータを元にファウンドリがマスクを作って製造する…という行程が必要でした。
ArticiaP(1回目)
1回目はMai Logic→inochip(デザイン会社)→TSMC(製造)で、
Mai Logicに納品されましたが、動かなかった。
つまり失敗作を製造してしまい、カイザーへ納品できませんでした!
【1回目の流れ】
①ロッキードマーチン(F-35開発製造受注)
↓(下請け)
②カイザーエレクトロニクス(F-35のマルチファンクションディスプレイシステムを受注)
↓(チップの共同開発?)
③Mai Logic(マルチファンクションディスプレイシステムに使用されるチップ製造を受注?FPGA で開発)
↓(デザインサービス依頼)
④inochip(FPGAでの設計をASICチップ用の設計にデザイン変更)
↓(マスクデータを渡し、IC製造依頼)
⑤TSMC(マスクデータからマスクを製造し、IC製造)
↓(製造したICチップを渡す)
⑥Mai Logic
↓
動かない!失敗作だった!
Mai Logicとinochipで責任の擦り付け合いで、開発が進まない!
困ったカイザーの下請け・サプライヤー部門から、台湾総統とAITにヘルプのお手紙が送られる
・・・という感じでした。
その後カイザーは、2004年6月にマルチファンクションディスプレイシステムの設計レビューを終了し、10月には納入しています。
動かないチップは使えませんから、Mai LogicのArticiaPチップは使われなかった事になります。
別の会社のチップを使ったと考えられます。
②→③のカイザーエレクトロニクスとMai Logicの共同開発に【?】がついているのは、プレスリリースがMai Logic側のものしか確認できず、カイザーエレクトロニクスが共同開発を発表した形跡が見当たらないからです。
Mai Logicからの一方的なプレスリリースの可能性が考えられます。
また、納入されたカイザーのディスプレイシステムは、背面投影型で視認性やメンテナンス頻度などの問題があり、量産型F-35のディスプレイシステムには採用されず、L-3社のものが採用されています。
※2005年11月16日のプレスリリース内容
「F-35 fighter jet will use cockpit display from L-3 Communications」
ArticiaP(2回目)
そして2回目に関わってくるのが、この裁判を起こしたSocleです。
2回目はMai Logic→Socle(デザイン会社)→IBM(製造)という流れでした。
(※当時のIBMには受託製造事業もしていたんですよ。Socleの当時のサイトにも掲載されています)
ただし!
先にお伝えした通り、この2回目はF-35とは全く関係ありません!
簡単に流れを説明すると・・・
【2回目の流れ】(F-35は関係ないので①②はありません)
③Mai Logic
↓(デザインサービス依頼)
④Socle(FPGA上での設計をASICチップ用の設計にデザイン変更)
↓(マスクデータを渡し、IC製造依頼)
⑤IBM(マスクデータからマスクを製造し、IC製造)
↓(製造したICチップを渡す)
⑥Mai Logic(チップを受け取り)
・・・・という流れでしたが、
裁判にまで発展したトラブルは、④→⑤のSocleからIBMにマスクデータが渡った後、IBMが製造を開始する前の段階で、Mai Logicが支払いをしなかった事が原因です。
Mai Logicに支払いを求める裁判を米国と台湾で起こしています。
台湾での裁判の詳細は今も不明ですが、Socleに保証金の返還がされているので、和解もしくはSocleの勝訴と思われます。
米国での裁判は、
2004年12月29日 Socle→Mai Logicで起こされ(本訴)
2005年3月9日 Mai Logic→Socleの反訴がありました。
反訴の内容はまあ・・・あの、、、今、日本でやっているいつものやり口とあんまり変わらないですw
ていうか凄く似ていますw
Socleが技術を盗んだ!詐欺だ!中国共産党とつるんでいる!というような感じです(笑)
Socleからしたら、デタラメな内容過ぎて勘弁してくれって感じだったことでしょう・・・
2006年1月18日 Socle→Mai Logicの本訴はSocleから取り下げ通達をしました。
しかしMai Logicはこれを認めず、
2006年1月23日 修正反訴をしています。
2006年と言えば、台湾の新新聞でジェイソン氏のインタビュー記事が掲載された年ですねぇ。
Socleから本訴を取り下げられたのをいいことに、インタビュー記事では「オレが訴えてやった!」ということにしたのでしょうか。
何故Socleは本訴を取り下げ通達をしたのか・・・
実は、SocleがMai Logicへ裁判を起こした後、北京のARC9がSocleへ残りの支払いを行ったようです。
これは、Socle→MaiLogic(本訴)のMai Logicからの抗弁(2005年3月5日)で確認できます。
これ、支払いを求める裁判を起こされた後に、ArticiaPの権利を譲渡した北京のARC9から支払いがあったのに、
「支払いは終わっている!二重請求だ!詐欺だ!盗まれた!」などという反訴を起こしているんですよ。
酷くないですか・・・?
もう支払いをされているし(利息分は支払ってもらってないけど)、支払いを求める裁判だったのにこんな陰謀論に付き合っていられないですよね・・・
Socleが本訴を取り下げようとした気持ち、私にはよくわかります。
この裁判関連の流れを時系列にすると、
■2004年11月14日
Arc9がSocleに書面送付「Mai LogicからArticia-Pの独占製造権を取得した」
(ジェイソンの同意サインあり)
※Arc9に発注、パッケージング、テストを含むArticia P製造に関する全ての事項を処理する権限を付与
■2004年12月12日
Arc9がSocleに書面送付「SocleとのArticia P関連契約、技術ノウハウ、特許権をすべて北京のARC-9に譲渡することに同意する」と記載
■2004年12月29日
SocleがMai Logicを提訴 請求書未払い、総額144500ドル
■2005年01月12日
SocleがIBM(日本)に手紙 マスクワークセットの権利がSocleにある事を確認する内容(マスク差押え)
■2005年03月09日
・Mai Logic本訴抗弁で「訴状に記載された損害賠償は、すでにARC-9が被告に代わって支払っている」と抗弁するとともに反訴
■2006年1月18日
Socleが本訴を取り下げ通達
■2006年1月23日
Mai Logicは本訴取下げを認めず、修正反訴
・・・となっています。
Socleの視点で見ると、
・Mai Logicからの開発費の支払いが滞っていたところに、
・突然北京のARC9という会社から開発中で支払いが滞っているArticiaPチップの全ての権利がウチに譲渡されたからーという通知が届き、
・さらに追い打ちで技術やら特許やらの譲渡通知も届き、
・Mai Logicに支払いを求める裁判を米国で起こしたけど
・支払いもされていないのに勝手にARC9からIBMに製造指示が出たから止め
・ARC9から開発費の支払いがあったと思ったら
・Mai Logicが「開発費は支払われている、詐欺だ!盗みだ!」と反訴をされ
・支払いされたから、利息の支払いは目を瞑り本訴取下げようとしたら、
・Mai Logicからさらに被害妄想だらけの修正反訴がされ、マジ勘弁してくれ
・・・という感じでしょうか。
白目むいちゃいますね・・・
反訴の主張では、色々と盗まれただなんだと主張していますが、実はこの裁判のやり取りの中にF-35計画(JSF計画)に関わっているなんてことは一切出てきませんでした。
守秘義務だから・・・?
いやいや、もしArticiaPチップにF-35の技術が入っっているんだったら、特許やら独占権を中国北京の会社であるARC9に渡しちゃったら、それこそヤバいですよ!!!!!!!
ジェイソン・ホー氏は「Lead designer F-35 Flight Control &Image Display Systems」という肩書きで様々なインタビューを受けていますからね。
「F-35フライトコントロール&画像表示システムの主任設計者」を自称しているんですよ。
主任設計者が自ら中国に技術を渡してる事になっちゃいますからーーーーー!
それなんていうスパイですかーーーーーー?!?!?!?
というお話になってしまうんです。
何故中国のARC9にArticiaPチップの独占権を渡す事になったの?
実は、ジェイソンさん、カイザーと共同開発でF-35用チップ!
・・・というのと並行して、中国で売り込みをしていました。
Inguardというジェイソン氏の中国での活動の為の別の会社があるのですが、そこでの活動をご紹介します。
ジェイソン・ホー氏の中国での活躍
・2001年1月 北京に駐在員室を開設
・2002年1月23日 北京・釣魚台国賓館「Open Compute Platform製品発表会」を開催
・2003年9月24日 北京・釣魚台国賓館で「先端コンピュータと半導体技術に関する国際セミナー」
・2004年9月8日 北京・人民大会堂 西安交通大と中国IBMでLINUX共同開発 署名式
・2004年9月14日 北京の九冠电脑(Arc9)とArticiaチップ、Teronシステムをクロスライセンス報道
このような中国国内でのジェイソン氏の活躍の流れがありますので、突然売却された訳ではなく中国でしっかりと売り込み活動をしていたからこその売却という事がわかります。
これね、台湾での刑事事件~指名手配もこの頃なんですよ。
この頃のジェイソン氏はもうしっちゃかめっちゃかで大変だったんだろうなーと思います(笑)
全て自分で蒔いた種ですけどね!
興味がある方は時系列を整理している年表を作成しているので、眺めてみてください。
自分で北京のARC9にArticiaPチップに関する特許やら独占製造権やらを譲渡しておいて、TSMCやWinbondの焦佑釣氏が盗んで中国に渡したなんて話にして触れ回るより、どうして自ら中国に売却しちゃったのかを説明してほしいですよね。
ArticiaPチップはF-35の技術と紹介しているセキュリティ技術 "Genetic Computing"が入っているんですよねぇ?
1回目に製造されたArticiaPチップがなんか色々あって動くようになってカイザーのマルチファンクションディスプレイに組み込まれていたのであれば、そんな重要な技術を自分で中国に渡しちゃったって事ですよねぇ?
ヤバくないですか?
まあ、カイザーのディスプレイシステムは量産版では採用されていませんけどね。
北京のARC9という会社
実は、北京のARC9という会社は、ジェイソン氏の会社Inguardと同じ住所である事が確認できています。
【ARC.9】
Madian Guangchen North Garden 13#C, Haidian Dustrict, Beijing,China
【Inguard】
Madian Guangchen North Garden 13#C, Haidian Dustrict, Beijing, China
同じビルの一室に居を構えていた会社という事でしょうか。
英語→中国語に自動翻訳すると・・・
中国北京市海淀区马甸广辰北苑13#楼C座
になるのですが、住所をきちんと翻訳できているかは不明です。
しかし、ARC.9とInguardが同一住所である事は、裁判資料で明確になっています。
ARC.9は2004年夏に北京に設立されたようです。
Mai Logicの2004年9月15日のプレスリリースにこのように紹介されています。
Inguardとはクロスライセンス契約したとの報道が確認されましたが、
上記のMai Logicのプレスリリースを読むと、Mai Logicもクロスライセンス契約を締結したということですね。
クロスライセンスどころか、この後ArticiaP等の特許や独占製造権なども譲渡しているわけですが、
同じ2004年夏(2004年9月13日)に、中国北京に北京九冠电脑技术有限公司という会社が設立されている情報を確認しました。
つまり、Arc.9(北京九冠电脑技术有限公司)は、
・Inguardと同一住所(Madian Guangchen North Garden 13#C, Haidian Dustrict, Beijing,China)
・2004年9月8日の人民大会堂でのフォーラムのすぐあと9月13日に設立
(設立日よりも前に、人民大会堂でのフォーラムの主催の1社であるとMAIはプレスリリースで発表)
・Mai LogicとInguardと、クロスライセンス報道
・Socleに「ArticiaPの特許等を含む独占製造権を譲渡された」と通知した
・SocleにMai Logicの未払い金を支払った。
ということでした。
設立したばかりの北京の企業と随分親密ですね。
時系列年表
ごちゃごちゃしていてわかりづらいので、ジェイソン・ホー氏がF-35の重要技術が入ったArticiaPというチップを、中国企業に特許を含む独占製造権を譲渡した件の時系列図を作りました。
拡大してじっくり見てくださいね。
関連情報
裁判の内容を、もっと詳しく知りたい!という方は、
冒頭にご紹介したブログをじっくりと読み漁ってください☆
今回ご紹介した内容は、以前に八洲子の部屋で解説していますので、
よければご確認ください☆
(ARC.9やSocleとの裁判の詳細については新情報の為、動画では解説されていません。)
ジェイソン・ホー氏の足跡を時系列年表として可視化
カイザーエレクトロニクスから送られた手紙を読み解く
2005年にFBIに保護されたはずのジェイソン氏が、2007年に中国に売り込みをかけていた。