2つ宣伝があるので長文を書きます。
ちょっと前にDJをする機会があって、教えてくれた友人(私が所属している劇団主宰の村岡さん)に「とりあえず20曲くらい流したい曲をピックアップしておいで」と言われ、たぶん初めて自分の中の「音楽」という引き出しを開けてみたのですが、びっくりするくらい曲が出てきませんでした。出てこなすぎて40分ものの落語を流してやろうかと思いました。
もちろん好きな歌手とかはいるんだけど、「とりあえず20曲」がこんなに難しいものだと思わなくて、いやでも私高校の頃はパンクバンドのマネージャーだったよね?とか、中学の頃は合唱部だったよね?とか、例えば「読書会やるからとりあえず人に読ませたい本20冊持ってこい」だったら全然やれる気がするのにこの差はなんなんだ…と思い、自分の音楽的素養のなさに結構引いたのですが、よくよく考えてみたら、私はここ8年くらい、演劇がらみでしか音楽を聴いてなかったな、と気づきました。
演劇のM(BGMのこと)の力は本当に強い。私が今参加しているNot in Serviceや定時残業Zも、選曲が個性的な劇団だから、演劇経由で知ったり好きになったりしたアーティストは多いし、例えばMartine Records周りのアーティストとか、村岡さんの芝居に参加しなかったらきっと聞かなかっただろうな、と思います。
村岡さんが私をよくクラブに連れて行ってくれたおかげで、あと今起業してる渋家株式会社はそもそもクラブイベントとかの演出をする会社なので、こんな私もようやく半人前くらいにはアーティストの名前がわかるようになったけど、やっぱり音楽のジャンルは正直よくわかってません。誰々のあの曲は、こういうきっかけで聴くようになったなあ、みたいな思い出先行で、きっかけは大抵演劇。だから音楽の引き出しには、椎名林檎とジュディマリくらいしか入ってないんだな…と思いました。
今テレビにも引っ張りだこになっているラッパーのDOTAMAさんも、その流れで好きになったアーティストのひとり。4年前にやった定時残業Zの公演で村岡さんがチョイスした「通勤ソングに栄光を」がめっちゃハマっていて、独特な声とちょっと8bitっぽい音と合わせてすごい好きになった。
なんか仕事ででかいプレゼンがあるとか、取引先に怒られに行く時とかはDOTAMAさんの曲を聴いて出勤していたし、去年の渋家のイベント「829」に急遽制作で関わることになった時も、DOTAMAさんが出演するって聞いて俄然やる気になったし、ワンマンに行ったりアルバムを買ったりもしたけど、私はヒップホップが…というよりはDOTAMAさんが好きなだけだったし、そのきっかけはやっぱり芝居のMでした(そのあとハマったのには、私の親の実家がDOTAMAさんの実家と同じ町だから、そこの共感もあったし、サラリーマンラッパーを名乗ってる人だからってのもあったけど)。
実はそんな演劇でラップをやることになり、音楽には並々ならぬ信念がある村岡さんの「中途半端なラップは出せねえ!」という一声のもと、この度フリースタイルの練習を始めました。
バトルの動画とかもたくさん見るし、自分もサイファーチームみたいなのにゆるく所属していて練習もするんだけど、ラップ(じゃなくてもそうなのかもしれないが)は文脈がすごい大切にされていて、名曲のビートがかかるとめっちゃみんな盛り上がるから、そこんとこ門外漢な私はなんか悔しくて、「とりあえず日本語ラップはこの100曲を聴け!」みたいにオススメされているやつを片っ端から聴いたりしてようやく、文脈がわかってないとお客さんを盛り上げられないからバトルで勝てないし、本当の意味でちゃんと楽しめないんだってことがわかってきました。ちょっと前に流行った「李徴と袁傪はズッ友だょ」を「うまいな!」って笑えるかどうか、みたいな。
ただ色々聴いていて、バトルと楽曲だと「好きポイント」が違うラッパーの人もいるな、とも思います。DOTAMAさんも、リストラクションとかニューアルバムとか13月とか聴いてた時は「この声でこの歌、独特の哀愁感じていいな」とか思ってたけど、バトルになったら「役者的な緩急鋭いな!!!」って結構意外に感じたりしたし。
バトルの戦績が売り上げに連動しないのもわかる。バトルがメディア的に脚光浴びちゃったのもあるけど、バトルしてるラッパーとその人の出している楽曲は感覚的に別物だと思う人も多いんだろうな。
ちょっと話は変わりますが、先日起業した会社で、私が仕事を引き受けすぎてパンクしてしまった時に、名乗る肩書きを絞ったほうがいいよねって話が出ました。
例えば私が人手が足りなくて無理矢理デザインを担当することがあったんだけど、それって私は肩書きがデザイナーじゃないから、そこのクオリティを担保できないことも出てきてしまうし、周りも責任を無理に押し付けない方がいいよね…とか、逆に私は会社の総務・法務・会計を主務としてやってるから、そこはちゃんと肩書きをつけて、何かあった時の責任の所在を明確にしようね、とか。
私は今回、ラップの練習の結果、社会人ラップ選手権に出ることになったんだけど(ようやく本題になった)、私は肩書きはラッパーじゃない。でも肩書きは社会人だし、役者です。だから役者としてその場を盛り上げることにモチベや責任があるし、社会人として人前で言葉を発することに責任を感じています。それはラップでいうレペゼンってことでもあるのかなと思うんだけど、その辺はいい意味で混同しないで、でも真剣にやらないなんてことじゃなくて、本職ラッパーの人に敬意を払って、私なりに勉強して、信念を持ってやりたいと思います。
DOTAMAさんも楽曲の中で、音楽だけじゃなくていろんなことに挑戦して、でも音楽業界で生き残るためには「いい曲作って歌うこと以外に何があるのか」って言ってるけど、それは彼の肩書き=ラッパーとして、ラッパーの矜持にかけて色々やってるんだろうな、ということを思ってとても尊敬します。だからDOTAMAさんはマインドサラリーマンラッパーだけど、私はマインド起業ギャル役者として、誰かを楽しませる責任を取りにいきます。
なんか昨今のラップブームについては色んなことを考えてる人がいて、参加するにあたって私もちゃんと向き合っといたほうがよさそうだったのでこんなこと書きましたが、9/4の社会人ラップ選手権本戦、出ますのでよろしくお願いします。
あ、で、もう一つの宣伝っていうのが、さっきから何回か名前が出ている村岡さんが主催するクラブイベントが8/28にあります。私が好き好き言ってるDOTAMAさんもいます。私はいつもwebをやっているのですが、今回は渋家株式会社として照明部隊でも入ります。毎回村岡さんが「俺の考えた最強のポップミュージック」を見せてくれる、めっちゃ良質なイベントです。楽しみ。来てね。
▼社会人ラップ選手権
▼KING OF POP
http://king-of-pop-nis.tumblr.com/
「ねぇ、日本のポップミュージックって、これじゃね?」
そうドヤ顔で言わせてくれ!ピース!
なんてかっこいいセリフが言えるのは村岡さんくらいだと思います。
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