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『加波山周辺八郷町』の紹介

 前川康司(まえかわこうし)氏による『加波山周辺八郷町』の冒頭を紹介します。この本には『八郷町誌』および『八郷町史』(誌史)に記載されていない内容も記されており、八郷の歴史を知るうえで非常に貴重な本です。

 地元の人々も忘れ去らんとしている各村々の旧祠堂社地及廃寺等を各村々で指導をうけ、確認したものを記してある。従て何十年か先に役立たせんとするものである。
 八郷町は周囲山岳に囲まれ、旧村境は山頂が多く、夏の難台山の大沢には南西の日射をうけ、背丈の草を押分け、仏生寺より旧不動峠道は、雑木に身動きもできず枝を切り切り一歩つつ、日陰なき斜面を登り、夏は日射に目もくらみ、冬は寒風はだをさし、殊に松山は枯松が雑草の中に横たわり、蔓草に足をうばわれ、茨にさされ、全く苦難の連続であった。かかる処は古道もとぎれ、その続き道を見失う。かくして六年の苦闘の記録をまとめたものである。
 大増、大塚は安田治助氏案内、他地区は吉沢源寿氏(明治三十八年生)が少年時代を思い出しながら案内していただいた。この作業は両人の奉仕であり、両人なくしては完成し得なかった。
 地図は小幡、茨城食品の小池敏次氏のもので、大正期の耕地整理前のものを部落別にしたものである。小字名も他町に比して多く、約四千八百もある。
 加波山周辺(岩瀬町)は岩瀬町史研究五号岩瀬町寺社に、加波山については、同六号加波山を参照されたい。八郷町旧村々の支配及三役一覧は、今瀬文也氏提供の資料である。
 昭和六十一年四月十五日 東京都江東区住吉一丁目十六ノ三 前川康司

加波山周辺八郷町

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