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【リマスター】MT車のスゝメ(2011年3月23日)

過去に書いたブログ記事を少々のブラッシュアップを加えて再掲載する試みです。今回は2011年3月アメブロで公開した「MT車のスゝメ」という記事です。(893文字)

補足:
この記事はデイリーポータルZの読者コーナー「デイリー道場」に投稿したもので、文字数制限がありました。他記事より異様に短いのはそのためです。また、シフトレバーの写真は記事中のSさんが乗っていたRX-7のものではなく、今私が乗っているクルマのものです。
デイリー道場で紹介していただきました。
https://dailyportalz.jp/b/cs/konetadojo3/detail/110325142404/1.htm


MT車とは、一般的なAT車と違い、変速を手動で行う車の事だ。操作が面倒なMT車は人気が無く、日本国内の自動車に占めるその割合は数%(2003年、自販連調べ)。そんなMT車に何故乗るのか。それは『楽しい』からだ。

「MT は操縦しているみたいな感じですかね!」Sさんは愛車を慈しむように眺めながら語った。Sさんは僕の昔の仕事仲間で、僕にMT車の魅力を教えてくれた人だ。昔からMT車を愛好し、現在もマツダの絶版スポーツカーを駆る。Sさん曰く、MT車の魅力は能動性にあるのだそうだ。AT車は急加速すべくアクセルを強く踏むと、自動的にシフトダウンしてエンジンのパワーを出しやすく(キックダウン)する。自動でやってくれるから楽なのだが、変速機とエンジンの間にコンピューターが入るため、運転手の希望のタイミングで動いてくれない。だから機械の気分を窺いながらの運転になる。一方、MT車は変速機を運転手が操るから、自分の思い通りに動く。例えば急加速の時はローギアで引っ張ったり。MT車は思った通りに『操縦する』事が出来るのだ。AT車のように『運転させられている』のではない。

Sさんの車は故障がちで、僕から見ると面倒くさそうだ。でもSさんは車の事をとても楽しそうに話す。車を肯定する彼の姿勢によるものだろう。車を能動的に『操縦』するか、受動的に『運転』するか。人生を積極的に楽しむ事を教えてくれる存在、それがMT車なのだ。

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