Like This Parade、ayaradio727、ALEDONO - The Faveur(Chant)
ALEDONOによるピアノ独奏に歌唱を後から乗せたものだという本作はクラシカルな要素とLike This Paradeらしい室内ポップ、ayaradio727らしい透明感、全員の魅力をそれぞれ損なうことなくパッケージした作品に仕上がった。このメンバーでの制作は本作が初めてとのことだがとても息の合った合作であると感じる。
EPは2曲が収録されているが、一聴したところではそれぞれは独立した曲ではなくつながった一つの作品と見た方が良いだろう。後で紹介する本作の原曲になったALEDONOのピアノ曲は実際に全体で一曲ということになっている。The Faveur 3.1は、まずALEDONOのピアノの旋律から始まる。そしてピアノと旋律と時に重なり、時に離れつつ歌の旋律が全体を覆う。Like This Paradeとayaradio727によるユニゾンの歌はとても息が合っている。
筆者はThe Faveur 3.2の始まり方に注目した。つまりここで区切ったことの意味についてだ。ピアノはこの部分で高音域にアプローチする。旋律もほんの少し上がる。楽曲の頭にしては非常に脆いはじまりかただ。この繊細さと続くフックになっている重奏部分との対比が素晴らしい。とても淡く美しい音楽だと思う。そこから再び冒頭の旋律に戻るとある種の安心感がある。
合わせてALEDONOのオリジナルトラック、The FAVEURについて紹介したい。こちらは2021年に発表されたピアノ曲だが、本作のオリジナルである。この作品を聞くと、歌の旋律とピアノの関わり方が一層明確になる。ピアノ曲としての魅力と歌の魅力の両方を損なわずに作り込んだ作品がThe Faveur(Chant)なのだと感じる。
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