「あいまい」の事情
2016年ですから、ずいぶん前の話ですが、日経新聞で思わず吹き出してしまった記事がありました。内容は「原発の地下に活断層があるか、ないか」についてですので、テーマは深刻です。複数の専門家の方々に取材し、その回答が書いてあったのが下記です。
総文字数約1500字の記事の中に、まるで見本帳のようにこれらの表現があったのです。
「やさしい日本語」では、あいまいな表現を避けるというルールがあります。たとえば、津波は「来ます」か「来ません」か「来るかもしれません」の3つ、〇か✕かごぶごぶかです。「おそらく・・・」もダメ、「たぶん・・・」もダメです。
「~するものと思われます」や「~の恐れがあります」という表現はアナウンサーだと、以前、古館さんがどこかでおっしゃってました。「私が言っているんじゃないんですよ~」という責任転嫁する表現だそうです。
改めて、上記の表現を見てみましょう。
「ある」のか「ない」のか、言うに言えない立場の苦肉の表現!!
口が裂けても「ある」とは言えない専門家?
はっきり言っちゃうと、責任が、地位が、首がぁ~!?
いろいろ裏の声が聞こえてきそうですね。
日本語には様々なニュアンスを伝える豊かな表現があります。例えば上記の表現を外国語に翻訳するのは大変そうです。
ちなみに、この記事はこんなご意見で終わっていました。
「(中略)いつまでも結論が出ない状況が続くのではないか」と話している。
ウマイ!!
(記事は2016年6月17日日経新聞朝刊 「志賀原発 活断層どう判断」)