きずなメール✕やさしい日本語
NPO法人きずなメール・プロジェクトさんは、医師・看護師が中心となり、妊娠から出産、子どもが3歳になるまで約500通の情報をメールやLINEで届ける活動をされています。
そして2022年3月からは、「やさしい日本語」で外国人住民向けに配信をスタートされました!!
このプロジェクトには日本語教師の方々やボランティアも加わっておられます。全国の行政でも採用されているところがあり、関西では神戸市で採用されています。
3月15日の日経新聞の夕刊にも、きずなメール・プロジェクトの記事が掲載されていました。
本来なら人生の最大の喜びである妊娠と出産。
日本人にとっても、迷いや不安がつきものですが、外国人住民にとって、日本人以上に迷いや不安が大きいのではないでしょうか。中でも技能実習生の場合は、それこそ「どうしよう!」という感情が先に立ってしまうこともあるのではないでしょうか。日本人なら高校生から大学生のお年頃です。遊びや恋愛も、いたって自然なこと。熊本県でベトナム人実習生が流産し、どうしたらいいかわからないままに死体遺棄で逮捕された事件は余りにも悲しい話です。
先日行われた完成報告会に参加し、「やさしい日本語」に書きかえるときに、どんなことに気をつけられているのかをお伺いしました。そのポイントをご紹介いたします。
・原文理解を徹底すること
妊娠、出産、育児など専門的な知識も必要となるため、わからないことは調べたり、専門家に聞いたりし、しっかり内容を把握して書きかえをするとのこと。この姿勢はとても大切ですね。
・ルビがカッコ書きで入ることを想定した書き換えを行う。
SNSでの表記ではルビが使えないために、漢字の読みを漢字に続けて()の中に書きます。例えば、「男の子」のように、漢字+ひらがな+漢字で単語を表す場合、この法則を使うとかえって読みにくくなるため、ひらがなで表記されているそうです。私も、最終形態を意識することはとても大切でであることを再認識しました。そして、実際に届くメールを見ても、文節で改行がしていなくても、分かち書きに全角のスペースが使ってあるので、とても読みやすいことがわかります。
・連体修飾語と減らすこと。
単語の説明が長いとわかりづらくなります。
文を二つに分けてわかりやすくするのが基本中の基本ですね。
・一文を短くすること。
これも、基本中の基本です。
・言葉がわからない時に検索しやすくすること。
これは大きな気づきでした。すべてを無理にわかりやすく書きかえる必要はありません。その単語が母語にもある場合は、今時、翻訳アプリで簡単に調べることはできます。コロナ感染が始まったころ、内閣官房の新型コロナウイルス感染症対策のチラシでは「ひまつ」を「口から でる ちいさい 水の つぶ」と書きかえていました。???です。「唾(つば)」は外国語にもありますよ。
・妊婦さん、お母さん、家族の気持ちに寄り添う言葉選び。
これは「やさしい日本語」のコンセプトでもあります。
日本語にはその単語ごとに「いい意味を表現する」「悪い意味を表現する」というニュアンスがあり、上下関係や感謝、恩恵、時には迷惑の気持ちを含んだ言葉が多くあります。心がこもった言葉選びが大切ですね。
より多くの行政や国際交流団体でも、このきずなメールを採用してくださることを心から願っています。私も行政向けの講習の中で紹介し、微力ながら支援していきたいと思っています。