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伯耆大山甲川ルートガイド

鳥取県伯耆大山の大休峠を源頭とし日本海に流れこむ #甲川 (きのえがわ)は、中国地方屈指の名渓として知られ、幾多の沢やが沢登りに挑戦している。
今回はその甲川の全貌を紹介したい。

「上ノ廊下」については、2016年10月21日の鳥取県中部地震(※推測)により廊下の左岸の岩壁が山体崩壊し、廊下の入口一体を破壊し、さらに巨大な堰止湖を形成しており、前半は消失、後半は水没という無残な状態。本記事では、あのすばらしかった上ノ廊下の備忘録にということで記載した。


ATTENTION

知識、技術、装備沢登りの知識、技術、装備が必要特に本渓谷は、水流に逆らう遊泳と10m程度の滝や岩を登攀する技術、体力、装備が必要。また入水時間が長く、上流のエリアに行くほど水温は低くなるので、防寒対策が重要。特に体脂肪率が低い方は、低体温症になりやすいので対策を怠らないこと。ウェットスーツ、フローティングベスト推奨。心まで冷える前に炭水化物を摂取しよう。豪雨の後は、渓装や水量が変わっていることがあるので、他者の山行記録をまるまる信用しすぎないように。
残置ロープや残置プロテクションが多い渓流だが、もちろん定期的にメンテナンスされているものではないので、むやみに頼らないよう。工作は、必要に応じてその場で構築・撤去するものです。

装備

大山甲川は、近隣の沢登りと異なり、泳いで進む割合が多い。そのため、入水中の保温が重要になってくる。

甲川の構成

下流の鶯橋から上流の最終堤防まで、"下ノ廊下"、"中ノ滝"、"中ノ廊下"、"上ノ廊下"の4エリアで構成される。
ちなみに上ノ廊下最終堰堤より上流は、小規模な"小廊下"(仮称)、大谷出会、甲ヶ谷(仮称)~香取の交差点、庄司ヶ滝を越えて源頭の大休峠へと至る。登山者の道迷い遭難が多発している区間。

アプロ―チ・エスケープ

ゴルジュ地形なので出入渓できる場所は限られる。
主な出渓ポイントは次のとおり。おすすめ度を★で表した。

  1. 鶯橋 ★★★
    県道橋でアプローチ0、駐車可能なスペースもある

  2. 天王滝~一息坂峠
    冬季に天王滝に訪れる際には最短、急斜面藪漕ぎ

  3. 天王滝の上流~東手飼尾
    獣道、天王滝の上流にアプローチできる

  4. 岩小屋~牛飼ノ尾
    獣道、藪濃いめ

  5. 中ノ滝起点~香取 ★
    中ノ滝からスタートしたい場合や冑滝が突破できない場合に利用できる。
    踏み跡があり籔は薄いが急斜面なのでなれない方はロープがあった方がよい。

  6. 山本沢分れ(中ノ滝終点)~香取 ★
    下ノ廊下から出渓、中ノ廊下からスタートしたい場合に利用できる。
    踏み跡があるが藪の背が高いので見つけにくいかも。

  7. 中ノ廊下終点(上ノ廊下起点)~香取 ★★
    中ノ廊下から出渓谷、上ノ廊下跡からスタートしたい場合に利用できる。2020年に上ノ廊下の下流に砂防堰堤を建造するための工事用作業道が作られたので快適にアプローチできるようになった。

  8. 上ノ廊下最終堰堤~香取
    上ノ廊下跡から出渓、小廊下からスタートするのに利用できる。堰堤下と堰堤上の2ルートある。

  9. 甲ヶ谷分れ~香取-大山古道 ★★
    香取~甲ヶ山を登山するときに通過する。

  10. 妖精の滝~大山古道

  11. 源頭~大休峠

参考図書

関西起点沢登りルート100(山と渓谷社)

下ノ廊下

一番水流の影響を受けやすく流量によっては進むのが非常に困難になる。

  • 鶯橋、幕営地⛺

  • 河原

  • 大岩の淵(仮称)

  • 三連の釜(仮称)【難所】

  • 天王滝
    船上山の天王屋敷から本流に流れ落ちる脇滝。癒しポイント。
    湧き水が合流して冷たい。

  • 天王滝の喉(仮称)【難所】
    長い淵と天王滝の奥の落込み

  • 変化に富んだ廊下;瀬の泳ぎあり

  • 河原

  • 瀬、アーガイルの滝(仮称)
    足払いの滝を目指していると左岸にアーガイル模様の滑滝が姿を見せる。

  • 長い淵、足払いの滝(仮称)【難所】

  • 二条の滝(仮称)【難所】

  • 連段の盃(仮称)
    二条の滝まで攻略したものが見られる癒しポイント

  • 河原

  • 岩小屋(仮称);⛺幕営地

  • 河原

中ノ滝

落差のある滝が連続する地帯で岩登りが基本となる。
F表記のナンバリングは、公益社団法人日本山岳会・山陰支部の大山概念図の番号を参考にした(現在の版には記載はない)

  • 支流出会(中ノ滝起点)

  • F1

  • F2 岩の橋【難所】

  • F3

  • F4

  • F5 冑滝 【難所】

  • F6

  • 河原、ウォータースライダー

  • 山本谷(上流に大流れの滝)出会;⛺幕営地

  • 河原

  • 中ノ滝終点/中ノ廊下起点;⛺幕営地

中ノ廊下

甲川の中で短く比較的易しいエリアだが、増水時は脱出不能になる淵もある。(2016年以降滝壺が大岩で埋まって脱出が容易になった。)

  • 中ノ廊下起点/中ノ滝終点;⛺幕営地

  • 河原

  • F1 渦巻きの滝(仮称)【難所】

  • 滑滝

  • 淵と落ち込み

  • 砂防堰堤(2020-2021建設)

  • 中ノ廊下終点/上ノ廊下跡起点;工事作業道、⛺幕営地

2020年に砂防堰堤の工事用作業道が旧エスケープ道とほぼ同じ法線に作られた。道迷いすることなく入出渓できる。

上ノ廊下跡

2016年秋に廊下の左岸の岩壁が山体崩壊、廊下の起点一体を破壊し、巨大な堰止湖を形成した。崩落は今も続いており、落石には十分に注意したい。

  • 中ノ廊下終点/上ノ廊下跡起点;工事作業道、⛺幕営地

  • 幻の大滝の支流との出会

  • ゴーロ

  • 堰止湖の滝

  • 堰止湖【難所】

  • 河原

  • 最終堰堤(上ノ廊下出口)


上ノ廊下(消失前)

距離は短いが、一般的にはアブミによる人工登攀が必要な滝がいくつかある。上級コース(3級IV+)

  • 中ノ廊下終点/上ノ廊下跡起点;幕営地

  • 幻の大滝の支流との出会

  • 瀬【難所】

  • F1;大きな釜と淵を持つ滝4m程度【難所】

  • F2;大きな釜と淵を持つ滝4m程度【難所】

  • F2.5(滑滝)【難所】

  • 瀞;光が差して、景観が非常によい

  • F3;大きく深い釜と淵を持つ滝3m程度【難所】

  • F4.5;小滝2.5m程度の2条の滝

  • F4;3m程度の2条の滝

  • 河原

  • 最終堰堤/上ノ廊下終点

上ノ廊下 F1
上ノ廊下 F2
上ノ廊下 F3

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