一見オラオラのメタルエッジ、実は……。というメガネ業界の物語。
尖った印象のメタルエッジというフレーム。モードストリート系を意識したかのような個性的なデザインです。「渋谷系のデザイナーさんが生み出したブランド」と言っても違和感なし。
ところが製作しているのは、アイテックという会社。経済産業省の地域未来牽引企業に選定された表面処理の技術を誇る企業です。
なぜにメタルエッジ?
昭和23年、福井県鯖江市で創業したアイテック。表面処理加工メーカーとして眼鏡業界と共に成長してきました。メガネの企画販売を開始したのは昭和60年です。以来、質の高い製品を提供してきました。
ところが平成に入り、怒涛の海外攻勢が始まります。眼鏡業界は縮小の一途。価格攻勢に負けて世界市場を奪われていきました。
しかし鯖江では生き残りをかけた反撃が始まります。質で勝負するオリジナルブランドもそこから生まれてきました。
眼鏡業界と共に歩んできたアイテックもまた苦難に陥りました。この大きな環境変化を乗り越えるために同社は、メガネ業界以外へ積極的に進出し、同時に、優れた表面処理技術の更なる開発に取り組みます。
それが、世界をリードする表面処理技術。
アイテックの中期ビジョンは『世界にないものを!技術のアイテック』です。新たな表面処理技術の開発にも注力し、新しい商品・市場・顧客・事業を創り上げています。
同社の誇るイオンプレーティング(物理蒸着:PVD)は、真空中でプラズマ化したチタンやクロムなどの金属を窒素・炭素・酸素と反応させたセラミック膜を形成させる蒸着方法なんですが、チタン膜やクロム膜による着色加工も可能にしています。
そんな同社の眼鏡事業部から誕生したブランドの一つが「メタルエッジ」。
繊細なモノ作りをコンセプトにしながらも、非常にエッジの効いたデザインで個性を発揮しています。ロゴマークに冠した天使には「モノづくりを賛美する象徴」としての意味が込められているそうです。
アセテートとメタルの高級感あふれるコンビネーションを特徴とするメタルエッジには、同社のモノづくりに対する思いが込められているんですね。
大きな柱に育ったメイン事業を中心としながらも、出発点だった眼鏡事業をしっかりと育てている企業が、日本には少なからず存在します。