メガネ屋の存在価値
メガネの潮流が変わったのは、いつ頃だったんでしょうね。
ガラスレンズからプラスティックレンズ。
軽くて耐久性に優れたチタン素材の開発。
視力を補正する医療用具としての立ち位置から、いつの間にかファッションアイテムとして重要な地位を獲得しています。
かつて、漫画の世界では、メガネッ子と太った子は絶対主役になれないけれど、脇役としては必須でしたよね。これがドラえもんで変化しています。弱っちい主役、のび太君の登場です。
そういえば、世を忍ぶ仮の姿としてセルロイドのメガネをかけていたのは、世界を救うヒーロー、スーパーマン。
いつの間にかメガネは、冴えない人の代名詞では無くなりました。
足の先からつま先まで、ファッションに気を使う人たちが、一番注目するのもメガネです。だって、目立ちますもんね。なにしろ顔のど真ん中。
正直、安いメガネは一目瞭然です。素材の持つ質感が、全く違います。個人的な例ですが、あるBARで、投資のウンチクを自慢気に語っていた男性のメガネが、推測5~6千円のレンズセットC国製だったことから、彼の話をマユツバと判断しました。
はい、C国製? 見れば分かります。質感が違います。テカテカしてて、金属部分もメッキがギラギラ。素材そのものにも柔軟性が感じられません。
一方、有名人の皆さんは、個性的、かつ、稀少価値の高いメガネを愛用しています。歌手の〇〇さんのドイツ製サングラス。お笑い芸人の▼▼さんの丸メガネは鯖江製。キャスター□◇さんはフランス製のアンダーリム、といった具合。
テレビで拝見する人たちの顔の真ん中に位置するメガネたちは否応なく目立ちます。それで気づいたのが、誰もが知る一流ブランドからファッションアイコンたちが離れているということでした。
特定のメガネが人気となる⇒大量生産・大量販売⇒大衆化⇒陳腐化⇒ファッションアイコン離れ。このようなサイクルになっているようですね。
ところで、そもそもメガネは何ぞや、という部分が現状、置き忘れられていますよね。ほんとうに、メガネって不思議なアイテムです。
ファッションアイテムとして捉える人、多いのですが、そもそもは医療補助ツール。「視え」を助けるための大切な器具。フレームも大事ですが、それ以上にレンズが大切。
ありがたいことに近年は、レンズの進化が著しく、お子様からシニア、色弱、眼疾患の方に対応できる多様なレンズが登場しています。レンズメーカーの絶え間ない努力のおかげです。
今やネットでメガネを買う時代ではあるけれど、理想はやはり、フェイスツーフェイス。まずは視力検査。視えの確認。レンズの選択。そのレンズが機能を発揮できるフレーム選び、という順番が理想。先にフレームではありません。
レンズって視えればOKじゃないんですよね。使用環境が問題になります。焦点距離、視野、明度、昼夜、メインの使用環境に合わせてレンズを決めます。
フレームにしても、ある女性がメガネの調整に来られました。ゆがんでいて、見え方が変だとおっしゃいました。そのメガネ、大してゆがんでいません。左右対称に調整してかけてもらっても、変だという。レンズも問題なし。
理由は、女性の頭骨の左右差が大きかったということ。オギャーとこの世に誕生した赤ちゃんたちの頭って、みんな違うんですよね。寝方も違います。大人になっても、人それぞれ、違うんです。この女性はその差が大きかったんですね。頭骨に合わせてメガネを調整したらピッタリ。
こういうケース、ネットで解決するのは困難です。
どうぞ皆様。伊達メガネはともかく、視えを重要視される方は、信頼のおけるメガネ店に相談して各自の使用環境に合わせた最適のレンズを選んでもらってくださいね。それが、メガネ屋の本当の、存在価値です。