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#061 仕事で必要なことはすべてアルバイトで培った

写真:2018年11月、ミャンマーひとり人旅にて。空港から町まで馬車に揺られるやさかも。タクシーの客引きと喧嘩し、「うるせー、俺は馬車で行く!」と啖呵を切った後の写真w。タクシーと料金変わらなかったけど、断然こっちが良かった(はず)!

大学時代の居酒屋アルバイト

僕は大学生のとき、宮城県仙台市で3年間ほど居酒屋でアルバイトをしていた。最初は厨房で採用され、途中からはホールスタッフになった(厨房で使い物にならなかったからだw)。

僕にとって、これまでの人生で3本の指に入るくらい、のめり込んだ活動と言える。僕はその居酒屋で働くことが大好きだった。その理由はきっと、スタッフが同じ方向を向いて仕事をするというチームワークを礎とした、高揚感と一体感を感じていたからである。

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100万円を売り上げた日

毎年12月の忘年会シーズン、1日の売り上げが100万円を越えそうな日は、店内のスタッフ全員がその1点に向かって120%の力を出す。この100万円超えはひとつのベンチマークであり、きっと店長にとっても評価の対象になるのだろう。イケそうな日は、事前の団体予約の埋まり具合と、17時30分に出勤したときの、当日客の入り具合でだいたいわかる。そう、

100万円のニオイがするのだ(笑)。

行けそうな日に100万円を達成できなかった日は、部活の試合で負けた時のごとく悔しい思いをしたし、逆に達成できた日はバイト・社員関係の一体感と高揚感に包まれた。まるで部活で全国大会出場を決めたかのような盛り上がりである。業務終了後に店長がみんなに店の生ビールをふるまい、閉店後の夜中0時から全員で飲みに繰り出す(笑)。

居酒屋でアルバイトをするメリット

大学生だけでなく、社会人になってからも、僕は居酒屋でアルバイトをすることを周りにお勧めしている。それは以下の3点からだ。※なお、学生起業しちゃうような意識の高い諸君には役に立たないので読まなくてよろしい。

1.社会人としての話し方、マナーが身に着く

居酒屋でのお客様は、全員が酔っ払いである。時には厳しいクレームを受けることもあるし、からまれることもある。謝罪、感謝、不利な状況での説明、トラブル対応(お客様の衣服を汚してしまった、グラスを割ってしまった、など)も経験できる。

僕の経験の一例だが、まだホールに出て間もないころ、クレジットカード払いのお客様の伝票をレジ係から受け取って席までお持ちした。そこでお客様に一喝される。「お前、俺にボールペンをよこさないのか。常識だろ。」と。そっか、サインをするからボールペンをお渡しするのがマナーなのか、とそこで身をもって理解するのである。まさに、走りながら学べる場なのだ。

スタッフとのやりとりの中でも、チームで働くことの基本が叩き込まれる。例えば、社会人として基本中の基本である報連相は、このアルバイトで身に着けたと言っても過言ではない。これはどんな会社に就職しても生かせるスキルになるはずだ。

2.理不尽なできごとに耐性ができる

社会に出れば理不尽な出来事はいくらでもある。理不尽に叱られる、理不尽に異動させられる、など忙しい居酒屋では日常茶飯事だ。若い人が入社してすぐに辞めてしまうトレンドをよく耳にするが、きっと理不尽への覚悟や耐性がないからなのだろう。

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余談だが、これから新社会人になるひとや、新しい業界へ転職する人にはこの本をお勧めする。立川談春著「赤めだか」だ。Amazonの中古で1円から買えるのでお勧めである。落語家になるための入門、つまり弟子入り生活というのは、「理不尽との折り合いをつけること」らしい。世の中いつも正論が通るわけではないし、努力が必ず報われるわけでもない。

3.業界の裏側がわかる

社会人になって居酒屋に一度も行ったことがない人はいないだろう。一度でも働いたことがある人は、各メニューの粗利や調理過程、お得感のあるドリンクが何か、などがわかるようになる。一例をあげると、

・居酒屋は生ビールをたくさん注文してもらうほどに儲かるようになっている。→単価が安くて粗利が大きい上、早くたくさんさばけるため。

・逆に、「わたしビール飲めませーん」という人が30人規模の団体様で一斉にカクテルを注文した日には、地獄である(さすがに全員は経験したことはないが、団体様の半数がカクテル注文という経験がある)。→粗利がビールよりも小さい上、手間がかかるし種類も豊富だから、たくさん在庫を抱えなくてはいけない。

他には、お通しで出されたものを見て、原価はこれくらいかな、とか、宴会が終わった後の片づけで、腹を空かした大学生スタッフが残り物をむさぼっている様子が目に浮かぶ、とか(笑)、まあいろいろだ。

4.汚れ仕事も「いいからやるんだよ。」

世の中には、「やりたくない仕事」をやらなければならないシーンが必ずある。3K仕事「汚い、臭い、きつい」や、単調でつまらない仕事など。居酒屋で言えば、洗い場の仕事、厨房の清掃、お客様の嘔吐後の後処理、怒っているお客様への謝罪、閑散期のビラ配り・・・など、いくらでもある。これらの作業は、「他の人がやりたくないこと」だからお給料がもらえる「仕事」なのである。

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メディアは「好きなことを仕事に!」とか、「得意なことで稼ぐ!」みたいなキャッチであふれているが、被雇用者として働く以上、これはあり得ない。そもそも、「好きなことを仕事に」と起業した社長の多くは、「やりやくないけどやらなくてはならない仕事」に追われるはずだ。

5.部活とアルバイトの経験は、いまの僕の土台

社会人になって18年が過ぎた。泣くほどきつい経験や挫折もあったし、体を壊したりもした。でも、高校の時の部活と、大学時代の居酒屋バイト経験があったからこそ、僕はここまで何とかやってこれたと思っている。

実は、僕は居酒屋以外にも、実に多くのアルバイトをしてきた。しかも、社会人になってからもいくつか経験している。

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新聞配達、テレアポ、新築マンションの床材塗装の下地処理、試験監督、選挙の出口調査、イタリアンレストランでのウェイター、新規薬剤の被験者(記事はコチラ)、融雪槽の清掃、屋根のペンキ塗り、ご遺体用の防腐剤作成・・・などなど。これらはすべて僕の仕事に役立っていると思う。単に根性と体力の話ではなくて、なんかこうビジネスマンとしての厚みがでるような気がするのである。

6.いま学生や無職の人へ

社内外問わず、一緒に働く自分より年上の人達を見ていて、社会人としての振る舞いがなっていない人をよく見かける。いい歳して、自分の主張ばかりを繰り返す人、上司からの指導に不貞腐れる人、チームプレーができない人。あなたの周りにも居ないだろうか。そんな人たちには、「居酒屋でいったん働いてこい!」と言いたくなる(笑)。

学生だけでなく、僕は社会人であってもアルバイトをいくつか経験することをお勧めする。インターンでもよい。全く別の業界で雇われる経験をしてみることは、決して無駄にならない。最近の大学生や専門学生は、親御さんからの仕送りだけで生活できてしまうケースも多いようだが、金銭的に問題なくても、親御さんはアルバイトを提案してみてはいかがだろうか。

社会は理不尽で溢れていて、人間は勝手で、世間はぜんぜん優しくないことに気づく。

それでも、その中にキラリと光る喜びや高揚感が味わえるはずだ。

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学生時代にこれらを経験できていることは、講義を真面目に聴講することや、課題レポートをせっせと書くこと以上に有益かもしれない。

まぁ、知らんけど(笑)。

61日目 おわり。