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2/24|余白の美しさ

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2/24|等伯忌


2月24日は等伯忌。安土桃山時代から江戸時代初期に活躍した絵師、長谷川等伯の命日だ。彼の代表作である《松林図屏風》は、日本美術を語るうえで欠かせない作品のひとつとされている。

正直に言うと、私は美術に詳しいわけではない。長谷川等伯の名前も、聞いたことがある程度だった。
そんな私でも、《松林図屏風》を初めて見たとき、その静けさに引き込まれた。淡い墨の濃淡だけで描かれた松林。霧が立ちこめるような余白。まるで、そこに風が吹いているのが見えるようだった。


等伯はもともと仏画を描いていたが、狩野派のような当時の権威ある流派には属さず、独自の道を歩んだ人だったという。
そして晩年に描いた《松林図屏風》は、極限までそぎ落とされた静寂の世界。派手な色彩や細かな装飾ではなく、たった数本の筆の線で空気や時間まで描き出す。その「余白の美しさ」に、私はなぜか心を動かされた。


社会人になって、日々の暮らしの中で「余白」を意識することが増えた。
スケジュールが詰まっていると落ち着かないし、SNSで常に情報を浴びていると息苦しくなる。
だからこそ、《松林図屏風》のように、あえて「余白」を残すことで、そこに想像や感情が入り込む余地が生まれるのかもしれない。


等伯の描いた静寂の風景は、今もなお、多くの人の心を惹きつけている。彼が命をかけて追い求めた表現の先にあったもの。飾り立てない、シンプルで研ぎ澄まされた静謐さ。
それを私も、自分なりの「余白」の中で感じてみたいと思う。





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八坂みつ
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