TRPG「Dead or AliCe」をやってくれ
TRPG「Dead or AliCe」をプレイしたので、頼むみんなもやってくれ。
そういう記事です。
今回は製作者であるうた様にGMをしてもらい、PL3人の協力型シナリオを遊びました。
この記事も事前に見ていただいて、公開許可を頂いています。
*ルールブックを入手しよう
TRPG「Dead or AliCe」は、BOOTHで購入できるTRPGのシステムです。
特にロールプレイをしっかりめに遊びたいタイプのプレイヤーはめちゃめちゃ楽しいと思います。
購入はマテンロウ計画というショップで。お値段は1,500円(11/22追記:現在はBOOTHの手数料値上げに伴い1,600円となっています)。2020年7月4日発売。この記事を公開した時点では販売開始から一ヶ月ほどの、かなり新しいシステムですね。ちなみにオンラインセッションが推奨されています。
記事を書くほどですから、当然おすすめです。是非買ってください。回し者ではないです。
まずルールブックを購入すると、ダウンロード版ルールブック(html形式)と、WEB版閲覧用のID・パスワードが入手できます。書籍版は(少なくとも今のところ)ありません。
ルールブックにはリプレイが2本と、GM用にサンプルシナリオ、専用のオンラインセッションツール用素材(UdonariumやCCFOLIAで使えるもの)が同梱されています。手厚い!
ルールブック内は全文検索できるので、探したい情報はかなりサクッと探せます。電子の強みを感じます。
また、ルールブックそのものもかなりかわいいです。WORLDパートがしっかりしているので、世界観もよくわかる。この世界観、好きな人は本当に好きなやつだと思います。子どもの手によって破かれ、落書きされた絵本のようです。
最初はページを遷移したときのフェードインがちょっと気になりましたが、これはオンオフが選べました。画面のテーマカラーもライトとダークで選べる。
キャラクターシートの作成も、ルールブックから作成所に直行できるのが便利。PLしかやっていないのでシナリオ作成シートのほうは使用感がわかりませんが、これもシート作成所から。キャラクターシートのリストはなく、キャラクター名かプレイヤー名/マスター名で検索がかけられるようになっています。が、これは単に手元でアドレスを取っておいたほうが楽かな、と個人的には思います。複数回やると増えてきちゃうだろうし。
*「Dead or AliCe」について、おおまかな話
まず、「Dead or AliCe」公式サイト。
そして、そのトップに掲げられている文章がこちらです。
素敵ですね。タイトルにもその名があるように、「Dead or AliCe」は不思議の国のアリスを下敷きにした世界観のTRPGです。
アリスが目覚めてしまったのち衰退の一途をたどる世界に、さまざまな異世界から『救世主(=アリス)』を招待して、滅びへ向かう堕落の国を救ってもらおう(本当に?)、みたいな世界。
この世界がまあ、荒廃の度合いがマッドマックスです。ファンタジックマッドマックス。つまり、食料や水を手に入れるのも難行といったレベル。
そんな世界に招待(という名の拉致)されるのがプレイヤーキャラクターたちです。
ちなみに今回卓を囲んだメンバー3人は、ダイスによって出身世界を決めた結果、現代日本とヨーロッパ中世封建社会、あとなんだっけ、ヒロイックファンタジーだっけ? モンスターがいて、剣の先がひし形の国……と、とにかくそんなかんじの出自になりました。ほどほどにカオスですね。
まあそうしたカオスも巻き起こりますが、比較的ロールプレイ重視めのシステムかな、という感触です(もちろん、同卓者の傾向もあります)。とはいえ、戦闘もかなり面白いですね。直感的にわかりやすく、それでいてカードの引きとダイス運が進行をスリリングにしています。カードの引き次第で、あっ、ああ~! みたいなことが起きます。起きました。ああ~!
ちなみに、キャラクターのロスト率はそれなりに高そうですね。結構ロストするんじゃないかな……そんなことないかな……いや、ロストするよな?
同じキャラを長くずっと使いたい! という気持ちが強くある場合には、ちょっぴり悲しいことが起きる、かもしれない。
*ざっくりとしたシステムの話
有料システムなので、さらっとめにいきます。
初期値の決まっているものを除き、キャラクターとして考えなければならないのは、ごくごくシンプルなステータスと、戦闘に使う技能のデッキ。所持品。ロールに関わってくるものとして、出身世界。必要であればイメージカラー。最後に、データ・ロール両面に深く関わる、キャラクターの抱えた「心の疵」。終わり。
この……「心の疵」ってシステムが……美味しい!! あまりにも美味しいので、「心の疵」については後述します。
この「Dead or AliCe」というTRPG、キャラクターデータを作るのが比較的簡単で楽しい。楽しいのは大事。楽しいです。
今回は初心者卓だったので、GM含めて全員でボイスチャットしながらワイワイやりました。協力傾向シナリオであれば、初心者じゃなくてもみんなでワイワイやるほうが楽しい気がします。出身世界なんかをダイス振って決めるのがすごく面白かったです。全部ダイス振って決めたよ我々は。ただダイスにすべてを委ねると、場合によってはスペースオペラ出身者と平安京出身者が同じシナリオに存在する、みたいなことが起きる可能性があります。正直そんな状況があればかなり見たいけれども、やばいでしょという気持ちもかなりあるな……。もちろんダイスではなく自分で好きなものを選んでも大丈夫。
セッションの流れ自体は、お茶会パート、裁判パートの二部制。お茶会では主に「心の疵」を取り扱い、裁判で戦闘です。判定は概ね2d6で行い、裁判ではダイスに加えてトランプを使用します。ちなみに、ルールブックに同梱されているトランプの素材がとてもかわいい。
*「心の疵」
ロールプレイヤー!! これやって!! というシステムですね。わたしはかなり好きです。かなり。とても。大変、好きです。これをやってくれという気持ち八割でこの記事を書いている。
「心の疵」とは、キャラクターの持つ異常性やトラウマのこと。キャラクターはみんな持ってます。それもふたつ。
自分で決めることもできますが、我々はこれもダイスで決めました。一例として、わたしが引いたのは「潔癖症」と「愛する者との死別」。メンバーの中には「ネクロフィリア」なども。
セッション中、「心の疵」は、キャラクター同士で舐めあったり、抉ったり抉られたりします。
要するにいちゃいちゃして癒やしを得たり、痛いところを遠慮なくつついてぐしゃぐしゃにしてやったりということです。しっとりとした交流シーンをやってもいいでしょうし、キャッキャウフフしても、相手の弱みを激詰めしてもいい。ゲームなので、途中で妨害を受けたりもしますけれども。
この舐めあい/抉りあい、キャラクターの掘り下げがかなり捗ります。そりゃあロールをやれば普通キャラクターは掘り下がるのですが、「心の疵」というのは隠された痛みや性癖そのものなので、それに触れるのは心の中にぐっと手を突っ込む行為なわけです。そうやって相手の心の深い部分を覗き込むこと、あるいは曝け出すことをシステムが推奨している。ロールプレイヤー諸氏、そういうの好きじゃないですか?
当然データとしても、疵を舐めて(癒やして)もらえばメリットが、抉られればデメリットがあります。趣味と実益を天秤にかけて、舐めるか抉るか決めましょう。
余談ですが、わたしはPK(敵対NPC)である小学三年生のかわいい女の子の疵を抉って泣かせました。これが趣味と実益を兼ね備えた選択だ!!
*所感
これは実際にセッションをやってみた振り返りと感想ですね。
今回は「救世主の箱庭」というシナリオを遊びました。「Dead or AliCe」入門用のシナリオです。
これです。
プレイヤーは3人。舞台はお屋敷ひとつでほどよく狭く、やることもはっきりしているので、はじめてのシステムを遊ぶのにとても良かったです。さすが入門用。所要時間は、計12~13時間くらいだったかな。
で、まず卓の勝敗(?)的な部分を結論から言いますと、完勝しました。
完勝……してしまった……。裁判パートの、カードの引きがね。PC側がものすごく引きが良くって……ダイスも走ってて……割り込み技能が死ぬほど刺さって……。
GMがね。こんな感じでね。GMが5回も生死の境を彷徨い、6回目で倒れたその瞬間、(回復技能を複数回挟んではいたものの)PCサイドのHPは1しか減っていないという……あの……えっと。はい。
いやっ、ただ普通はこんなならないよ! ならないでしょ!! なりません!!!
なんかPKの最大HPを超えるダメージが一発の攻撃によって叩き出されたりもしたけど……不調(状態異常)のスリップダメージで生死の境を彷徨わせたりもしたけど……!
ええと、結果的にはそんなこんなでしたが、戦闘はそれでも、ターゲット変更技能や妨害系の割り込み技能のダイスが振るわなければ、あれだけカードが良くても普通に死にうるなと思います。最大HPほどのダメージが出る、スリップダメージでやばいことになる、というのはPC側にとっても同じだからです。GMは5回生死の境を彷徨いましたが、1回目彷徨った段階で死んでもおかしくはないシステムです。当然、PCも一発で落ちることがありうる。
このゲームには攻撃を回避するという動きがないので、戦闘が割合スピーディーに進みます。その速度感はかなり気持ち良いですが、それは同じだけスピーディーに死が訪れる可能性があるということでもあり。言い忘れていましたが、裁判中にキャラクターのHPが0になった場合、ダイス目次第では無力化ではなく即死する場合がありまして、……うん、みんな生きててよかった!
あとはそうですね、もし戦闘の動きまで含めてきっちりかっちりしたリプレイを作りたい場合は、カードの動きのログを取ったりまとめたりするのがちょっと大変そうだなと思いました。いや、わたしはそもそもセッションツール(CCFOLIAとか)の挙動に詳しくないのですが、結構な勢いでカードが引かれ、捨てられ、びゅんびゅん、というのは……なんか上手いことログ取れるんでしょうか。
と、ここまで裁判パートの話をしてきたので、セッションを遡って、お茶会パートについて。
これはもう……やってくれ……という気持ちでいっぱいです。すでに見出しを作って書いたのであれですが、「心の疵」……美味しい概念……。
今回はお茶会が1サイクルだったため、わたしは自分の手番ではGMのキャラの疵を抉ったんですけど、PC同士の疵の舐めあいシーンもかなり楽しいですね。今度は舐めたいな。いや、抉るのは……完全に趣味としては抉るほうが好きかもしれないんだけど……いちゃいちゃもしたいしな。せっかくならね。
一応、「心の疵」を舐める/抉るほかに、デッキの一部入れ替えやアイテム調達などもできます。今回はしませんでしたが。やはり2サイクルないと疵以外は触れられないよな。まあ入門ですからね(通常のセッションは2サイクルで進行するようです)。
大枠の感想としては、生まれも育ちもぜんぜん違う、各々持っている世界観がばらばらのキャラクター同士が、それでも何か、ふと触れあえるようなものを見出しあうさまって良いな~と思いました。あるいは、上手く触れあえなかったさまも。そしてその触れあいが、痛みを伴って疵を引き裂くさまもまた良し。
わたしはこのセッションで、14世紀イングランド、時は百年戦争とペスト大流行のど真ん中、という出自の男性のPCをしたんですけど、彼はねえ、小学三年生を「まだ幼い子ども」として扱ってくれなくて……昨今の常識から見ればおとなげなさすぎるだろうがよ、という疵の抉り方をしましたね。まあそういう時代(個人の雑な認識)の人間だよな、と思ってそうしたんですけど。
そんなふうに、倫理観とか常識とかそういうなにがしかについて、いわゆる現代の日本人をやるのとは別の枠組みを持てるのはかなり面白かったですね。これはそのキャラクターがどういう世界や時代の出身か、そしてPLがそれにどういうイメージを持っているかでものすごく色が出ると思います。大江戸、とか。スチームパンク、とか。常識……かどうかはともかく、卓内では(これは裁判パートの話ですが)、現代日本出身者とファンタジー世界出身者が「目からビームが……」とか言っているのに突っ込めずにウオオってなりました。あと現代日本出身がトカレフを抜いてきて……火縄銃の発明すら15世紀なんだぞ!!
いや、トカレフはトカレフでもよくて、……ビームもまあいいでしょう。
ええとつまり、キャラクター同士のコンフリクトが自然に生まれやすいのが良いですね、ということです。
疵を舐めあうときでさえ、互いに「当然」だと思うものは違う。だから、話をしよう。きみとわたしで。そんなかんじ。
それが優しさのようにも、容赦の無さにも思えました。
*まとめ
いろいろ書きましたが、改めて。おすすめです。是非やってほしい。
世界にもキャラクターにも、ロールプレイのフックがたくさんあります。「心の疵」は特に美味しく、使いやすく、良いフックです。
戦闘も楽しいですね。わたし実はデータ面結構……下手なんですけど……それでもスルッと理解できるシステムをしていました。でも、勝つのが簡単というわけではない。いい感じのピリッと感があります。
お茶会では互いに癒やしあい、傷つけあい。裁判では、カードとダイスの運があり、手札の切り方に選択がある。
総じて、行動の取捨選択のバランスが心地よいゲームだなと思いました。
ということで、3人集まるようなら、上に引いたうた様のツイートに応募してみてもいいかもしれません。したらいいんじゃないかな。是非3人集めてほしいな。
なにしろ、とっても楽しかったので!
あっ、でも対立型2サイクルシナリオとかやったら、やっぱりもっとバチバチに煽りあい抉りあいが多発したりするわけかな?
それはそれでめっちゃやりたいですね。ウフフ。