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あのときの自分とあなたへ
少し前、人生に参ってしまっていた時期があった。入ったばかり職場でなにをやってもうまくいかず、毎日が辛くて孤独で、絶望していた。
毎日が襲いかかってくるようで、窒息寸前の息苦しさを耐えつづけるような日々。
そんな毎日が続いて、ある日限界が来た。
張り詰めていた糸が切れるような、風船が破裂するような。自分を保っていたものが崩れるような感覚になった。もう、明日死のうと、そう思った。
そんなとき、ふと聴いた昔好きだった音楽、なんの気力もなくただ、音楽に身をあずけるように聴いていると、今までの生きてきた記憶が頭の中を走馬灯のようにかけめぐった。ちいさいころ、家族で過ごした思い出や、学校でのこと、友達とばかやったりしてたこと。色んな思い出が頭の中をながれた。
そのどれもが美しかった。
気づけば自分は泣いていた。うまれてはじめて息がつまるくらい号泣した。
まるで過去の自分が、いまの自分に生きてほしいて言っているように感じた。
そして思った。またこの美しい思い出をつくりたいと。またこんな美しい気持ちに出会うために生きてみたいと。
また、違う日に聴いた音楽には、誰にもわかってもらえなかった、自分ひとりで抱えていたこの苦しみをわかってもらったような、いまの自分のままで許されている、そんな気持ちになれる音楽に心が救われた。
そしてこう思った。この世の中のどこかに自分と同じようにくるしんでいる人がいるのかもしれない。誰にもわかってもらえないくるしみを抱えている誰かがいるのかもしれない。自分がこの気持をわかってもらえたことにすくわれたように、その誰かのすくいになりたいと。
人はみんなひとりだ。人の苦しみはそれぞれ違う。
完全に苦しみを辛さをわかってあげることはできないのかもしれない。同じ気持ちを感じてあげることはできないのかもしれない。
でも、もしいまどこかで苦しんでいる誰かがいるのなら、だれもわかってくれないと感じている人がいるのなら、同じ苦しみという感情の近くを通ったものとして、いっしょにがんばろう、いっしょに生きていこう、と伝えたい。
こんなどこのだれかもわからない人間が書いたことだけれど、これを読んだ誰かのこころが楽にになってくれたらうれしい。
そしてもう少し生きてみようと思えたなら、そんな自分をどうか大切にてあげてほしい。