【パラオの神話・伝説】創世神話(翻訳)


*登場する名詞の後に付いている数字やアルファベットは、名前を覚えやすくするためのものです。アルファベットは地名や場所の名前で、数字は人や神の名前です。アルファベットや数字同士が同じであれば、同じ人物や場所です。アルファベットの小文字と大文字はあまり気にしなくていいです。丸で囲んだ数字は特定の神様の変身の姿のバリエーションです。

*保管用の意味が強いです。相当に長いし、聞き覚えのない単語もたくさん出るので、読むのには少々骨が折れるかもしれません。


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最初期時代

初めに、海には何もなかった。神の長であるウエル・エングツ(Uchelianged)1は見下ろし、地を成らせようと言った。そうして、深い水は浅くなり、そこがルークス(Lukes)aと呼ばれるようになった。ルークス(Lukes)aでは、1つの貝が育っていた。それはどんどん大きくなり、その中に一匹のエビのようなものが住んでいた。それがラトミカイ(Latmikaik)2となった。ラトミカイ(Latmikaik)2はどんどん大きくなり、貝の中から出てきて身ごもった。しかし、その出産の時がきても彼女はなぜか子供を生むことができなかった。ウエル・エングツ(Uchelianged)1はそれを見ており、彼女の出産を助けるために、嵐と強い潮流を起こそうと言い、そのようになった。

ラトミカイ(Latmikaik)2の最初の子供は魚であった。その後も彼女は魚を生み続け、いつも魚が生まれるときには小さな嵐と強い潮流が生じ、それはラトミカイ(Latmikaik)2が生まれた時と同じであった。その後、ラトミカイ(Latmikaik)2が産む子は、人間でもあり魚でもあるようになっていった。彼らは、深い海の中では魚であり、浅瀬に上がってくると人間になった。そうしてルークス(Lukes)aは、たくさんの稚魚たちでいっぱいになり混雑してきた。それで、ラトミカイ(Latmikaik)2は魚たちに、海の底を積み上げて陸を形作り、その上に住もうと言った。そうして陸が作られ、それはアンガウル島(Angaur)Aとなり、魚は陸に上がると人間として住むことができるようになった。(アンガウル島は深い海に囲まれた中にあり、周りに浅い海がほとんどないのはこのためである。)

アンガウル島(Angaur)Aは5つの酋長を持つ議会として始まった。それぞれの名前は、ウェルケムル・レケド(Ucherkemul Reked)3が第一位として、ウェルケムル・べバエル(Ucherkemul Bebael)4、ウェルケムル・チャイ(Ucherkemul Chai)5、ウェルケムル・エデン(Ucherkemul Edeng)6、ウェルケムル・ウレバンゲル(Ucherkemul Ulebangel)7である。ウェルケムル・ウレバンゲル(Ucherkemul Ulebangel)7はもう少しで人間となるところであったが、彼の内臓はまだ外からでも見えており、彼は魚と人間を結ぶ使者となった。

しかし、アンガウル島(Angaur)Aに更に人が増え続け、悪い行いが増えるようになると、神の長ウエル・エングツ(Uchelianged)1は、ルエル(Ruchel)8をオルセエアル・ラ・ルエル(Olsechal ra Ruchel)A1と呼ばれる石畳の広場に送り、ルケル(Ruchel)8を通して正当な人間にタイトルを与える事ができるようにした。残りのタイトルは、半分人間で半分白い鳥のドゥデク(Dudek)9によりオエル・ウテム(Ochel Utem=Babeldaob)bに渡された。


巨大な少年ウアブ

ルークス(Lukes)aでは、ラトミカイ(Latmikaik)2による次の世代、ウアブ(Uab)10とテレブウ(Telebuu)11が生まれた。彼らは大風によりガベアンゲド(Ngebeanged)A2に飛ばされ、酋長達によってガテルコウ(Ngetelkou)A3に送られた。

ウアブ(Uab)10は小さな子供だったがその体はとても大きかった。次の日には村人たちは彼に食べ物を与えるために竿を使った。次の日、彼の体はさらに大きくなり、空にまで届こうとしていた。人々は、ハシゴと竿のようなものを使って彼に食べ物を届けた。さらに次の日、村人たちが彼のもとに行ってみると、彼は雲と遊んでいた。そして、もう村人たちには彼のもとに食べ物を届けるための道具は何もなかった。そこで村人たちは、一人の男にどうすればよいかを尋ねた。その男は、岩を積み上げるようにと言ったが、その岩がアンガウル島(Angaur)Aで最後に使える材料だと注意した。そうして最後の岩を使い切ってしまったが、それでも届かなくなったため、一人の酋長の勧めにしたがい、天に住む神の長ウエル・エングツ(Uchelianged)1から聖なる土を買おうと言った。ウエル・エングツ(Uchelianged)1は彼らの望み通りそれを与え、「幸運を」と言った。酋長たちは村人たちに、積み上げた岩の上にその聖なる土を載せるように言った。しかし、それもあまり助けにならず、巨大な男の子はさらに大きくなりすでに空の中にいた。とうとう酋長たちと村人たちは相談し、この巨大な少年を燃やして殺してしまうことを決めた。

人々は薪を集めた。ウアブ(Uab)10は彼らに聞いた。「その薪はなんのためだ?」彼らは答えた。「料理のためだ。お前がいつもお腹をすかしているから。」彼らは薪をウアブ(Uab)10の周りに並べ、火をつけて彼を燃やした。ウアブ(Uab)10は燃え、倒れた。そしてウアブ(Uab)10は女に変わり、西を向いた状態でベラウ(Belau=Palau)cの島々となった。積み上げた岩は彼とともに落ち、彼の足先、脚、腿を覆い、それらがペリリュー(Peliliu)Bとなり、ロックアイランドとなり、オイクル(Oikull)D1まで続いた。岩の上に載せられていた聖なる土は、倒れた彼の体であるオイクル(Oikull)D1から彼の頭であるオレイ(Ollei)M1までを覆い、オエル・ウテム(Ochel Utem=Babeldaob)bとなった。

ウアブ(Uab)10の部位

西=前

東=後

頭=ガテメル(Ngetmel)M2

口=オレイ(Ollei)M1

髪の毛=ベリバー(Beriber)M3

首=レングド(Renged/Chol)L1

へそ=ガルウデス(Ngeruudes)I1

肘=ブクラエリヅ(Bkulachelid)

腹=ンギワル(Ngiwal)J

尻=アイライ(Airai)D

こうして、オエル・ウテム(Ochel Utem=Babeldaob)bが形作られ、また、アンガウル島(Angaur)Aは人々で混雑してきた。人々はペリリュー(Peliliu)B、ロックアイランド、コロール(Koror)C、オエル・ウテム(Ochel Utem=Babeldaob)bの北端のオレイ(Ollei)M1にまで散らばっていった。人々が散らばっていくにつれて各地で悪い行いが目立つようになってきた。そこで、神の長ウエル・エングツ(Uchelianged)1は最初の酋長議会を作ることにした。彼らはウアブ(Uab)10の子どもたちとして知られている。7つの村が週町議会とともに起こった。メンゲルラク(Mengellak/Ngerchelong)が最初の議会の管理者となった。

1.ゲルホル(Ngerchol/Peliliu)B1

2.ゲルミド(Ngermid/Koror)C1

3.ゲトゥキブ(Ngetkib/Airai)D2

4.イムウル(Imuul/Imeliik)E1

5.ゲルイクル(Ngeruikel/Ngchesar)F1

6.ウリマン(Ulimang/Ngaraard)L2

7.メンゲルラク(Mengellak/Ngerchelong)M4

ウアブから生まれたイルオーホル(Iluochel)③の半生

ウアブ(Uab)10が倒れてベラウ(Belau=Palau)cの島々が形作られた際、彼女の魂がガルアロン(Ngerchelong)Mから飛び出し、ディラメルロメス(Dirramellomes)①となった。昼の間は彼女は一人の人間で、夜の間はめんどりに変わった。そのため彼女はディルデウー(Dilidechuu)②と呼ばれるようになった。ある日の早朝、アイライ(Airai)Dにて、アンガウル島(Angaur)Aから来ていた一団が帰る際に、ディルデウー(Dilidechuu)②も共に付いていくことになった。アンガウル島(Angaur)Aに到着し、彼女はルケル(Ruchel)8の一人オルンギイス(Olungiis)12と出会い、結婚した。結婚式の後、ディルデウー(Dilidechuu)②はタロ畑(Taro patch)を作り始め、イルオーホル(Iluochel)③となった。彼女の最初のタロ畑はガルケイ(Ngerchei)A4と呼ばれた。彼女がタロ畑に向かうまでに海の上を歩いたためである。彼女は自分の足を使って畑に穴を開け、そこにそのままタロイモを植えていた。年配の者が彼女にアンガウル島(Angaur)Aのやり方でやるようにと伝えた。その後、彼女は夫を残しペリリュー(Peliliu)Bに移動し、そこでタロイモの育て方を広めた。

ペリリュー(Peliliu)Bのガデック(Ngdech)B2にて、イルオーホル(Iluochel)③は子どもたち13が遊んでいるのを見た。彼女は子どもたち13にシラミを取ってくれと頼み、子どもたち13はそのとおりにした。彼女は礼を言い、子どもたち13にリアメルの樹(Riamel)を与えた。そしてイルオーホル(Iluochel)③は子どもたち13のために山で地面をけり、タロ畑を生じさせ、畑の端に杖で穴をあけると井戸となり、子どもたち13がそれを飲めるようになった。

ペリリュー(Peliliu)Bのガデック(Ngdech)B2にて、イルオーホル(Iluochel)③はメンギダブルスコイル(Mengidabrutkoil)14とテラムス(Tellams)15を生み、イルオーホル(Iluochel)③は彼らを残したまま、タロ畑の仕事をコロール(Koror)Cで続けた。

コロール(Koror)にて、イルオーホル(Iluochel)③は一人の男16と結婚した。彼女はタロ畑にて沢山の葉を肥料として使った。彼女はあまり夫16に会いたくなかったのでタロ畑を山の上の方に作り、家に帰るのに時間がかかるようにして、夫16に会う時間を短くした。その後、彼女は西海岸のガルモノグイ(Ngeremlengui)Iに移動することにした。

ガルメレングイ(Ngeremlengui)Iにて、イルオーホル(Iluochel)③はタロ畑を始めた。そこでは、彼女は泥を自分の手で深く掘り、木の葉の肥料を泥の下に敷き、再び泥を重ねた。そして区画に沿って真っ直ぐにタロ芋を植えることにした。彼女のタロ畑の名前はゲルウウエル(Ngeruuchel)I3と呼ばれ、そこはちょうどゲルオフ(Ngeruoch)I4山の麓だった。

イルオーホル(Iluochel)③は今度は東海岸のンギワル(Ngiwal)Jに移動した。そしてようやくそこで愛する男17に出会うことができた。イルオーホル(Iluochel)③は愛する男17の近くにいたいため以前ほどタロ畑の世話をしなくなっていたが、しかしそれでも彼女のタロ畑は完璧だった。芋の実は温かくとても肉厚で美味しく、しかも肥料も使う必要はなかった。

イルオーホル(Iluochel)③は最後のタロ芋畑をガルアロン(Ngerchelong)Mのオレイ(Ollei)M1の丘に作った。ある時、彼女がタロ芋をガレック(Ngarek)を使ってきれいにしていると、ガレック(Ngarek)が地中に埋まっていった。そのため彼女はそのタロ畑をガルケイ(Ngerkei)M5と名付けた。

オルンギイス(Olungiis)12がアンガウル島(Angaur)Aからオレイ(Ollei)M1までやってきて、イルオーホル(Iluochel)③に結婚式の披露宴をしようと言った。彼らはアンガウル島(Angaur)Aに戻り、結婚の披露宴を行った。(その残りの大量のタロ芋はロックタロ(rock taro)としてオレイ(Ollei)M1にいまだに見られ、14の州を代表しているという。)


蜘蛛男メンギダブルスコイル(Mengidabrutkoil)

ガリアップ(Ngeriab)B3にて蜘蛛男のメンギダブルスコイル(Mengidabrutkoil)14は成長し、オエル・ウテム(Ochel Utem=Babeldaob)bへ旅に行くことにした。彼は東側のルートを通って行き、途中のガセケイ(Ngesechei)J1に立ち寄り、マンゴーの木の上に蜘蛛になって止まっていた。

そこへ、ツラン(Turang)18と言う名のガセケイ(Ngesechei)J1家のクイーンが、マンゴーを拾うためにやってきた。メンギダブルスコイル(Mengidabrutkoil)14は美しいそのクイーンを見て惚れ込み、彼女の注意をひくためにマンゴーの実を1つ彼女の近くに投げた。彼女がマンゴーを拾っている間にメンギダブルスコイル(Mengidabrutkoil)14は青年に姿を変え、木から降りて彼女の前に現れ、彼女に結婚を申し込み、ツラン(Turang)18は結婚を承諾した。二人は小さな家(Ulengang)を大きな家の側に建てそこに住み、夫婦となった。しばらくしてツラン(Turang)18は身ごもった。

(昔、パラオの女性たちは出産の時に、妊婦のお腹を竹のナイフで切り裂いて子供を取り出していた。そのため妊婦はいつも出産と同時に死んでしまっていた。)

ツラン(Turang)18を死なせたくないメンギダブルスコイル(Mengidabrutkoil)14は、出産の方法を聞くため、ガリアップ(Ngeriab)B3に住む母、イルオーホル(Iluochel)③に助けを求めた。彼女はンギワル(Ngiwal)Jにやってきて、ガセケイ(Ngesechei)J1の前にあるギブタル島(Ngibtal)J2のエデブスンゲル(Chedebsungel)19の家に住み続け、そうしてディラエデブスンゲル(Dirrachedebsungel)④となった。エデブスンゲル(Chedebsungel)19の家の前にはパンの木が生えており、段々と大きくなっていた。

ツラン(Turang)18の出産が近づいたためメンギダブルスコイル(Mengidabrutkoil)14はギブタル島(Ngibtal)J2に母を訪ねて渡り、出産の方法を聞いた。ディラエデブスンゲル(Dirrachedebsungel)④は息子に、最後の陣痛がやってきた時、妻を部屋の隅に手と足を壁に付くように座らせ、妻は壁を押すようにして力を入れ、彼は後ろから妻の背中を押したりさすったりしながら赤ん坊が出てくるのを助けるようにと伝えた。メンギダブルスコイル(Mengidabrutkoil)14はとても喜び、妻のもとに戻って行った。そしてその出産の時、彼は母から教わったとおりに行い、ツラン(Turang)18は赤ん坊を生んだ。普通、妊婦のお腹を切って赤ん坊を取り出す仕事は妊婦に近い親族が行っていた。ツラン(Turang)18の出産とほぼ同じ頃、親族がその出産を助けようと、夫婦の住む小さな家(Ulengang)に向かっていたが、家に近づいた時、彼らは家の中から赤ん坊の泣き声を聞いた。彼らはツラン(Turang)18が知らない者に腹を切り裂かれ殺されたのだと思い、怒り、近くにある石や棒などを手に持ち、その者を殺そうと考えた。しかし、彼らが扉を開けてみると、父と母と赤ん坊20だけが皆無事でそこにおり、彼らの怒りは消え去り喜んで踊りと歌を始めた。

“A Delal a dikoie, ma ngalk a dikoie, a Delal a dikoiei, ma ngalk a dikoei, ma ngalk…”


ギブタル島(Ngibtal)のパンの木

出産の後もメンギダブルスコイル(Mengidabrutkoil)14とツラン(Turang)18と赤ん坊20はそのままガセケイ(Ngesechei)J1に住み、メンギダブルスコイル(Mengidabrutkoil)14の母のディラエデブスンゲル(Dirrachedebsungel)④はギブタル島(Ngibtal)J2に住んでいた。ギブタル島(Ngibtal)J2の人々は、彼女④には誰も他に家族がいないのにどうして食べ物に困らないのだろうと噂をしていた。さらに人々は釣りに行った帰りに彼女④の家の近くを通って、彼女④が魚をくれといっても誰も一匹も渡そうとはしなかった。

ある日、メンギダブルスコイル(Mengidabrutkoil)14がガセケイ(Ngesechei)J1から母④を尋ねてやってきた。彼女④は息子14に、島の人々はなぜか誰も自分に魚を分けてくれないのだと訴えた。彼14は自分が余所者としてンギワル(Ngiwal)Jにやってきてガセケイ(Ngesechei)J1のクイーンであるツラン(Turang)18と結婚したことが原因ではないかと考えた。そこで彼14は水の中に潜り、貝殻でできたナイフを使い、ディラエデブスンゲル(Dirrachedebsungel)④の家の庭に生えたパンの木の根を切り、その後、一本の枝も切り落とした。すると潮の流れが強い時に、波が押し寄せるたびに魚が木の根元から入り、枝から出てくるようになり、彼女④はそこから魚を獲ることができるようになった。

しばらくして、人々は彼女が最近は魚をくれといわないが一体どうしてだろう、と言うようになった。ある日、人々は数人の者に彼女④の家を偵察させ、彼女④が庭のパンの木から沢山のパンの実と魚を獲っているのを知った。彼らは嫉妬して、次の日にそのパンの木を切り倒してしまった。すると、木から水が溢れ出し、水はどんどん溢れ出て、とうとう島の人々と島全体はすべて、ディラエデブスンゲル(Dirrachedebsungel)④以外は海に沈んでしまった。ディラエデブスンゲル(Dirrachedebsungel)④は竹のいかだに乗り込み島を脱出し、ゲルエブケル(Ngerchebukel)D3に流れ着いた。


ゲルエブケル(Ngerchebukel)に流れ着いた女④と大洪水

ゲルエブケル(Ngerchebukel)D3に流れ着いたディラエデブスンゲル(Dirrachedebsungel)④は、ブカウ(Bkau)の樹の下の家に住んだ。そこで彼女の名前はディラブカウ(Dirrabkau)⑤となった。ある日、ディラブカウ(Dirrabkau)⑤はブラエオス(Blacheos)の木の枝の上に卵があるのを見つけた。彼女はその卵を家へ持って帰り、その後、卵から一人の男の子21が生まれた。彼女はその男の子21を自分のもとに置き、名前をギセラエオス(Ngiselacheos)21とした。男の子はとても早く成長し、ゲルエブケル(Ngerchebukel)D3の村の子供達と友だちになった。ある日の午後、ギセラエオス(Ngiselacheos)21とその友達22はガラオヅ(Ngeraod)D4に遊びに行った。ガラオヅ(Ngeraod)D4はルケル(Ruchel)8が住む聖なる土地である。ガラオヅ(Ngeraod)D4に行くと彼らは、テメドクル(Temedokl)23が石の椅子に座って番人として入り口を見張っているのを見つけた。誰も彼に気づかれないように入ることはできなかった。ギセラエオス(Ngiselacheos)21はテメドクル(Temedokl)23が一つ目であり、その目はクルク(Kluk)money1でできていることに気づいた。

次にそこに行った時、彼らはテメドクル(Temedokl)23の近くまで行き、ギセラエオス(Ngiselacheos)21がテメドクル(Temedokl)23の目(kluk)mone1を取り、逃げていった。次の日、ガラオヅ(Ngeraod)D4の入り口から沢山の人々がルケル(Ruchel)8に気づかれずに出たり入ったりしていた。そこで、ルケル(Ruchel)8は一人の使いを送り、テメドクル(Temedokl)23を調べるとその目クルク(Kluk)money1が盗まれていた。そこで、ルケル(Ruchel)8は再び集まり、目を取り返す方法について相談しあった。その時、神の長ウエル・エングツ(Uchelianged)1が初めて天から降りてきた。神の長ウエル・エングツ(Uchelianged)1は「次の満月の時に洪水が起こる」と宣言した後、天へと戻っていった。天へ戻ったウエル・エングツ(Uchelianged)1は、7人の使い(Tekiimelab)24を集め、集まった使いたちに熱した椰子の実を渡し、「アンガウル島(Angaur)Aから地上に降り、島々を巡りるように。その椰子の実がはじけた場所にテメドクル(Temedokl)23の目(kluk)mone1を盗んだ者がいる」と言った。そこで7人の使い(Tekiimelab)24たちはアンガウル島(Angaur)Aから地上に降り、西廻りで島を巡ったが何も起こらず、最北のガルアロン(Ngerchelong)Mまで行き、そこから東廻りで進んでいったが何も起こらなかった。しかし、一行がオイクル(Oikull)D1の前の小さな島に降り立った時、熱したヤシの実(ulechouch)がはじけて割れた。それで使いたちは、この村のどこかにクルク(Kluk)money1を盗んだ者がいることを知った。そこで7人の使い(Tekiimelab)24たちはその小さな島をウレホング(Ulechong)D5と名付けた、そこで熱したヤシの実(ulechouch)が割れたためである。

7人の使い(Tekiimelab)24たちは村に入る前に、二人の釣り人25に出会った。7人の使い(Tekiimelab)24たちは彼らから7匹の魚(rabbit fish)をもらった。村に向かう途中の丘の斜面で彼らは少し休むことにした。その場所にあった木に彼らは椰子の実の殻をつるしておいた。そしてその丘はゲルメエラブル(Ngermercherable)D6と呼ばれるようになった。7人の使い(Tekiimelab)24が村に入る前に木にヤシの実を吊るしたからである。

ゲルエブケル(Ngerchebukel)D3に到着した7人の使い(Tekiimelab)24たちは、タロ芋を料理しているディラブカウ(Dirrabkau)⑤に会った。7人の使い(Tekiimelab)24は彼女に、自分たちが村に入って大事なものを探している間、魚を焼いておいてくれ、魚は後で取りに来る。と告げた。彼女はタロ芋と魚を調理し終えた後、タロ芋を半分に割り、その中に魚を入れて縛っておき、それをバスケットに入れておいた。

7人の使い(Tekiimelab)24は失った目クルク(Kluk)money1を見つけることができず、皆お腹が空いていた。そこで彼らはディラブカウ(Dirrabkau)⑤のところへ行き、魚を引き取り、山で食事をすると言って出ていった。山で彼らがバスケットの中を見ると、そこに魚はなく、タロ芋しか入っていなかった。彼らは、あの老婆⑤が魚を食べてしまい、代わりにタロ芋を入れたのだと考えた。しかし一番歳の若いもの25が、あまりに空腹だったので、タロ芋を縛っている紐をほどき食べようとしたところ、焼いた魚が中に挟まれていることに気づいた。彼らは皆心優し老婆⑤に感謝し、老婆⑤が只者ではないことを悟った。

その後、彼らは一番歳の若いもの25を老婆ディラブカウ(Dirrabkau)⑤のもとへ送り、彼女に次の満月の時に洪水が来ることを告げ、息子ギセラエオス(Ngiselacheos)21にいかだを竹と長い蔓のロープを使って作り、いかりも作るようにと指示をした。母は息子にそのように伝え、息子はそれを作り食べ物も用意した。

そして、満月の日大量の海水が押し寄せ、すべての島々を飲み込んでしまった。ディラブカウ(Dirrabkau)⑤と息子ギセラエオス(Ngiselacheos)21は竹のいかだのおかげでなんとか命拾いした。しかし、いかだの上からいかりが水の中へ落ち、引っかかり、いかだは転覆してしまった。ディラブカウ(Dirrabkau)⑤は海の中へ沈んでいき、彼女の足は山にあったケシイル(kesiil)の枝に引っかかってしまった。

洪水のあと、ウエル・エングツ(Uchelianged)1は7人の使い(Tekiimelab)24を再び送り、心優しいディラブカウ(Dirrabkau)⑤を探すように命じた。彼らはエティルア(Etiriur)山I5に降り立ち、彼女を探したが見つからなかった。その後彼らは近くの山に移動し探したが彼女は見つからなかった。彼らはそこで、彼女はどこへ言ったのだろう、と互いに尋ねあった。そしてその山はオルケリル(Olkeriil)I6となった。彼らが互いに彼女はどこだろうと尋ねあったためである。3つ目の山に移動した時、彼らはそれほど遠くないところでディラブカウ(Dirrabkau)⑤が枝に足が引っかかってぶら下がっているのを見つけた。その3つ目の山はガレメサン(Ngeremesang)I7となった。彼らがその山から彼女を見つけたためである。彼らは彼女を木からおろしたが彼女はすでに死んでしまっていた。その山はガルアフ(Ngeruach)I8となった。彼女の足(Uach)が木の枝に引っかかっていたからである。彼女の体は地面に下ろされ、7人の使い(Tekiimelab)24達は彼女を生き返らせるために天の神の長ウエル・エングツ(Uchelianged)1に会いに行こうと言い出した。

彼らは天に昇り、ウエル・エングツ(Uchelianged)1から、タロの葉に入れられた聖なる水を与えられた。彼女が飲んで生き返ることができる水である。しかし、彼らは地上に戻る途中、ハイビスカスの枝にタロの葉を引っかけてしまい、水がこぼれその根にすべてかかってしまった。

彼らは諦めかけて、ディラブカウ(Dirrabkau)⑤の体の周りを取り囲んでいる時、イデデルブ(Idedeleb)26がちょうど彼らの側を通ったため、彼らはそれを掴んで、死んだディラブカウ(Dirrabkau)⑤の体にそれを押し込んだ、すると彼女は生き返った。彼らは喜び、彼女の名前をディラブカウ(Dirrabkau)⑤からミラデルディル(Miladeldil)⑥とした。彼女が死んで再び生き返ったからである。

同じガルアフ(Ngeruach)I8山にて、ミラデルディル(Miladeldil)⑥が住みはじめた場所の真下に、洞窟があった。彼女はその洞窟に時々住み、そこで4人の子供を生んだ。ガルメレングイ(Ngeremlengui)Iが一番年上で、彼女は彼をいつもそばに置いた、メレケオク(Melekeok)Hは2番めの子で東側に座っている。イメリーク(Imeliik)Eは唯一の女の子でミラデルディル(Miladeldil)⑥からさほど遠くない場所に座った。一番若く、元気でよく喋る子はコロール(Koror)Cで南の少し離れたところに彼をおいた。

ミラデルディル(Miladeldil)⑥はそれぞれの子供に目印となるものを与えようと思い、ガルメレングイ(Ngeremlengui)Iとメレケオク(Melekeok)Hの間の小さな山に行き、5つの岩をそれぞれの村の前に投げた。小さな山はオメトヘル(Ometochel)H1となった。なぜならそこは彼女が立ち、岩を目印となるように投げた場所だからである。

イメリーク(Imeliik)Eはゲブクド(Ngebuked)L3を生み、彼女の兄弟たちも子供を持つようになった。人口はどんどんと増え続けていった。その時、神の長ウエル・エングツ(Uchelianged)1は長老たち(Rubak)27をガルメレングイ(Ngeremlengui)Iのイメイオン(Imeong)I9のガルテヘイ(Ngerutechei)I10の石の広場に送り込み、第二期のパラオの政府が作られることとなった。長老たち(Rubak)27はイメイオン(Imeong)I9に議会を作り、各村がそれぞれチーフをおいた。その結果イメイオン(Imeong)I9では4人のチーフがクオン(Chuong)となり、それぞれの妻がブクルオン(Bucheluong)となって現在にまで続いている。

ミラデルディル(Miladeldil)⑥は再び移動し、今度はイメリーク(Imeliik)Eのゲデボタル(Ngedebotar)E2にやってきた。イメリーク(Imeliik)Eでは彼女はバクラス家(Bakrus)のトゥケデルクル(Tkedelukl)28と結婚した。そして彼女はディラバケル(Dirrabakeru)⑦となった。彼女はバクラス家にしばらくとどまり、二人の男の子を生んだ。最初の男の子がテアティエイ(Techatiei)29であり、二人目の子供がカウテホン(Kautechong)30である。トゥケデルクル(Tkedelukl)28と二人の息子はとても優れた釣り人であり、いつも大量の魚を釣ってくるのであった。


パンダナスの種

ある日、ガルケロン(Ngerkerong)E3の家のウディボン(Udibong)31が子供を生んだが、生まれたのはパンダナスの種(Ongor)であった。彼女31は怖くなり、その種をバラック川(Barrak)E4に投げ捨てた。その種は浮かんでガオン水道(Ngeong Channel)E5の入り口であるガルデロン(Ngerudelong)E6の浅いところまで流れていった。

ある朝、ガオン(Ngeong)E7の二人の少年32が網を使って漁をしていた。彼らが網の一投目を投げた時、パンダナスの種(Ongor)が網にかかったので、彼らはすぐにそれを投げ捨てた。そして漁を続けたが、一向に魚が捕まらない。そこで次は先程捨てた種を網に戻して投げてみたところ、大量の魚が取れ、もう少しで網が破けるところであった。魚は村人皆に分けるのに十分な量であった。彼らは帰りながら次回もその幸運の種を漁に持っていこうと話し合った。

一週間後、食料が底をつきたので、彼らは再び漁に出ることにした。山に行ったが彼らはパンダナスの種を見つけることができなかった。そこで、一人が葉っぱだけでも持っていこうと言い、そのようにした。海に到着し、浅いところで彼らはそのパンダナスの葉を網にくくりつけておいた。最初の1投でまたしても大量の魚がかかり、魚は村人皆に分けるのに十分な量であった。

家に帰る道すがら、彼らは魔法の木について話をし、もうこれからはあの木さえあれば何も問題ない、魚市場を始めようかと互いに相談した。あの魔法の木さえあれば自分たちの収入は1,007.07くらいだろうと予想した。次の日二人の少年はとても喜び魔法の木のところへ向かったが、そのパンダナスの木まで行った時、巨大な赤い蛇33がそこで少年たちを食べるために待ち構えていた。彼らは怖くなり、村に戻り皆にこの悪い知らせを伝えた。そこで彼らはこの醜い蛇を追いかけ、蛇は北のゲラルド(Ngerard)Lへと向かった。


大蛇その1

巨大な赤い蛇33はその日の夕方遅くにゲラルド(Ngerard)Lのホオル(Choll)L4に到着した。蛇は村の入口近くの船着場の近くに穴の空いた木を見つけそこに住み始めた。

ホオル(Choll)L4のレメセカウ(Remesechau)34はいつもデュゴンのブレスレットをしており、ビートルナッツのバスケットを持ち歩いていた。彼はブテルバイ(Butelbai)35からクルク(kluk)money2を借りるためにグリル(Ngrill)M6に行った。腹が減った蛇33はレメセカウ(Remesechau)34がすぐそばを通るのを見た。

レメセカウ(Remesechau)34はグリル(Ngrill)M6に午後に到着した。二人は良い交渉ができ、ブテルバイ(Butelbai)35はレメセカウ(Remesechau)34にクルク(kluk)money2を与えた。レメセカウ(Remesechau)34はそれをバスケットに入れ、ホオル(Choll)L4の家に向かったが、巨大な赤い蛇33は、行きにレメセカウ(Remesechau)34が通った場所で彼を待ち伏せしており、彼が横を通った時に彼に襲いかかり彼のデュゴンの腕輪とクルク(kluk)money2ごと飲み込んでしまった。

その日の夕方、ホオル(Choll)L4の長老たちはレメセカウ(Remesechau)34の姿が見えないことに気づき、船着場の近くの木の上にいる赤い蛇33が彼を食べてしまったに違いないと考え、竹のトーチを明かりに武器を持ち、蛇を殺しに船着き場へ向かった。しかし、蛇は半分人間で、半分神であったため、長老たちが迫ってきていることを事前に知っていて、オレイ(Ollei)M1に逃げ、西海岸の浅瀬のそばにあるブタヘス(Btaches)の木に登った。その樹の下では、オレイ(Ollei)M1の長老たちがカヌーを停泊させていた。


大蛇その2

オレイ(Ollei)M1ではある男36とその息子37が仕掛け漁を行っていた。二人がブタヘス(Btaches)の木の下に留めてあるカヌーに行ってみると、カヌーの上が蛇33の食べかすで汚れていた。父親36はどれほど大きな鳥がこんなことをしたのだと息子37に言い、カヌーを沖に出し汚れをきれいに落とし、それから漁に出かけた。最初の仕掛けを調べたが何も入っておらず、いつもよく捕れるもう一つの方の仕掛けも調べたが、やはりそちらにも何も入っていなかった。父親36は息子37に、もし次にカヌーの上が汚れているのを見かけたなら、洗い流さずにそのままにしよう、きっと良いお守りに違いない。と言った。

3日が過ぎた。男36とその息子37は再び漁に出かけるため、ブタヘス(Btaches)の木の下のカヌーのところへ行った。すると前と同じようにカヌーの上は蛇33の食べかすで汚れていた。今度は父親36は息子37に何も触らないようにと言い、そのまま漁に出かけた。すると早速一つ目の仕掛けに大量に魚が入っており、魚はオレイ(Ollei)M1の皆に分けるのに十分な量だった。


蛇から生まれた少年オラケル(Orachel)

ある日、蛇33は人間の子供38を生んだ。蛇は生まれた男の子をオラケル(Orachel)38と名付けた。オラケル(Orachel)38は大きくなるまで母親とともに木の上で育った。少年38は大きくなってくると村の子供達とともに、木の下の浅瀬で遊ぶようになった。ある日の午後テット(Tet)39の息子40が浅瀬に散歩にやってきた。男の子たちが浅瀬で遊んでいるのを見ているうちに、テット(Tet)の息子40はオラケル(Orachel)38が気になり始めた。そこで、他の友達が皆去った後、テット(Tet)の息子40はオラケル(Orachel)38に家にあそびにおいでと言った。その晩、オラケル(Orachel)38は母親に話をし、許しを得ようとしたが、母親は全てを知っており、テット(Tet)の息子40の家に行ってもいいが、彼の母親41に、自分のためにビンロウジュの葉で編んだ財布を作ってもらいなさいと言いつけた。

次の日の朝、男36とその息子37が祭りのための魚を捕りに漁に出ようとした。ブタヘス(Btaches)の木の下に留めてあるカヌーのところへ行くと、ボートの上にデュゴンのブレスレットとクルク(Kluk)money2が落ちてあった。彼らはそれを取り、バイの石の広場のところで会議をしていたチーフ42のところへそれを持っていった。チーフ42はそれを見て、それが先週蛇に食べられたホオル(Choll)L4のレメセカウ(Remesechau)34のものであることに気づいた。チーフ達42は蛇を殺すための計画をたてるためにテット(Tet)28の家に集まることにした。

その日の夜、オラケル(Orachel)38もちょうど、テット(Tet)の息子40と過ごすためにその家に来ていた。ディナーの後、オラケル(Orachel)38は友達の母親41に財布を作ってくれと頼んだ。彼女が財布を作っている間、二人は横になり休みながら話しをしていた。しばらくするとチーフ達42がその家に集まってきた。彼らは次の日に斧とモリを使い、ブタヘス(Btaches)の木のを切り倒して蛇を殺そうと話し合った。オラケル(Orachel)38は起きており、チーフ達42の相談をこっそりと聞いていた。次の日の早朝、彼38は財布を取って母33の元へ急いだ。母の元へ着きすべてを話すと、母は全て知っていて、だからお前をあの家に送りこの財布を作らせたのだと言った。母は小さく丸くなり財布の中に入って、息子に西側を辿ってエオルダオブ(Eouldaob)cまで長旅に出よう。と言った。

ガラルド(Ngaraard)Lまで行った時、オラケル(Orachel)38は釣り人達43を見た。そして母親33にここはどこだと尋ねたが、母親は先へ行きなさい、まだここではありません。と言った。ガラヅマオ(Ngardmau)Kの所まで来た時、オラケル(Orachel)38は二人の釣り人44を見た。そして母親にここはどこだと尋ねたが、母親は先へ行きなさい、まだここではありません。と言った。ガルメレングイ(Ngeremlengui)Iを通る時、オラケル(Orachel)38は幾人かの釣り人45が大量に魚を網にとっているのを見た。そして彼らが、次の日にクレケダオル(Klechedaol=招待客、旅行客)としてアンガウル島(Angaur)Aに行くのが楽しみだと話しているのを聞いた。オラケル(Orachel)38達はそのまま進み、ブクレンゲル(Bkurrengel)E8にきたところで左に曲がった。オラケル(Orachel)38は釣り人達45をケミアンゲル(Nchemiangel)E9で見かけた。そして母親にここはどこだと尋ねたが、母親は先へ行きなさい、まだここではありません。と言った。そして深い海を超えてヘレフウ(Chelechuu)E10の前まで来た時、彼はイバンゲレイ(Ibangellei)E11で釣り人たちを見かけた。そして母親にここはどこだと尋ねたが、母親は先へ行きなさい、まだここではありません。と言った。そしてついに彼らがゲルケアイ(Ngerkeai)E12まで来て、母親に同じ質問をした時、母親はこここそがその場所だと言った。オラケル(Orachel)38と母親はゲルケアイ(Ngerkeai)E12に入り、ゲルデロン(Ngerudelong)E6を通っていった。なぜなら彼らの起源はゲルケアイ(Ngerkeai)E12だからである。ゲルケロン(Ngerkerong)E3の家のウディボン(Udibong)31がパンダナスの種(Ongor)を生んだ場所がゲルケアイ(Ngerkeai)E12だからである。彼らはこうして故郷に戻ってきた。

彼らはゲルケアイ(Ngerkeai)E12のゲルケロン(Ngerkerong)E3でその晩を過ごした。オラケル(Orachel)38は母親33に、今日ガルメレングイ(Ngeremlengui)Iを通る時、釣り人達45が明日アンガウル島(Angaur)に旅に行くといっていたので、自分たちも一緒に行こうと聞いた。母親は心配しなくても良いと言い、お前に目印を渡すから、お前はそれをボイド(Boid)E13で掲げるように、そうすれば彼らは近くを通った時それに気づいて止まるだろう。と言った。

次の日の朝、オラケル(Orachel)38は目印をボイド(Boid)E13にあるビンロウジュの木の近くにおいた。ガルメレングイ(Ngeremlengui)Iから来たクレケダオル(Klechedaol=招待客、旅行客)の人々はゲルンゲル(Ngerngel)E14まで来た時に目印を見つけ、ウフラミイ(Uchulamii)E15で止まった。

オラケル(Orachel)38と財布の中の母親33はドックまで走っていき、椰子蜜を取っているテレングウラン(Telenguulau)46に会った。オラケル(Orachel)38は彼にアンガウル島(Angaur)Aに一緒に行かないかと尋ねた。テレングウラン(Telenguulau)46は共に行くことにした。クレケダオル(Klechedaol=招待客、旅行客)の人々も同行を許してくれ、皆でアンガウル島(Angaur)Aへ行くこととなった。

{{{イメリーク(Imeliik)からアンガウル島(Angaur)まではとても長旅であり数日を要する。まず西海岸のアイライ(Airai)の前のゲルへバル(Ngerchebal)という小さな島の前を通っていき、西のゲルケベサン島(Ngerchebesang)の前を通り、ゲル−島(Ngerur)を右手に通り過ぎると、ゲルクタブル(Ngeruktabel)の大きな島が左手に見えてくる。ゲルクタブル(Ngeruktabel)の終わりに近づくと、大きな水道クロウエルトイ(Klou el toi)を通ると西側にウーロン島(Ulong)が見えてくる。そこから先はロックアイランドの島々で、ゲルメアウス(Ngermeaus)が左手に、少し南に70islandと呼ばれるゲルケウィヅ(Ngerukewid)がある。そこからまっすぐに南を見ると2つのロックアイランド、ゲメリス(Ngemelis)と、少し東にカープと呼ばれるゲルヘウ(Ngercheu)がある。そしてさらにそこから少し南下したところにペリリュー(Peliliu)があり、そこから少しの浅いところが、ラトミカイ(Latmikaik)が生まれたルークス(Lukes)である。}}}

一行はアンガウル島(Angaur)Aに到着し、村人たちの歓迎を受けた。村人たちは、タロ芋や亀、サメ、パロットフィッシュなどを用意し、皆ヤシのジュースを飲んだ。ディナーの後、チーフ達は石の広場に座り、話したり、伝統的な歌を聞いたり、女たちは伝統的なダンスでもてなしたりして良い時間を過ごし、皆眠りについた。

次の日の朝早く、一行は村人たちに別れを告げアンガウル島(Angaur)Aを出発した。ルークス(Lukes)aの近くにやってきた時、オラケル(Orachel)38は海の底の方からなにかの音がするのを聞いた。オラケル(Orachel)38は母親33にカヌーの上で待っておくように伝え、海に飛び込んだ。母親の蛇は尾を伸ばし、サンゴにそれを巻き付け、カヌーが進んでも自分の体が伸びてカヌーが戻ることができるようにした。漕手達は誰もそれに気づかず、正しい方向に進んでいると信じていた。オラケル(Orachel)38は、ルークス(Lukes)aの底(Uchel)dでルケル(Ruchel)8が石のアバイ(Abai)を作っているのを見た。そして、彼らが穴に詰まったゴミを吹き飛ばす時にチリが目に入り赤くなっていることに気づいた。そこでオラケル(Orachel)38は彼らに見本を見せ、目をつむりながら息を吹きかけるとゴミが入らなくていいということを教えた。ルケル(Ruchel)8は大変喜び、オラケル(Orachel)38にアバイ(Abai)を建てる方法を全て教えた。彼はとても喜んで水面に上がろうとしたが、黒いインク(Chas)を底に忘れてしまったため、イカ47に取りに行かせた。イカ47が取りに戻った時、カヌーはもうすでにそこにはなかったので、イカ47はそれを自分の中にしまっておかなければならず、今でもそうである。

オラケル(Orachel)38が戻った時、母親33はとても気分が悪く小さくなり財布の中に入っていた。イメリーク(Imeliik)Eに到着したが母親はますます調子が悪くなった。彼女がカヌーを遠くまで行かさないように体を伸ばしている間も漕手達はどんどん漕ぎ続けたためである。ゲルケロン(Ngerkerong)E3の家でその晩を過ごし翌朝を迎えた母親は息子オラケル(Orachel)38にテレングウラン(Telenguulau)46と一緒に自分を山に連れて行ってくれと頼んだ。

オラケル(Orachel)38は病気の母親33を財布の中に入れ、テレングウラン(Telenguulau)46とともにその日の午後山に向かった。母親はたいへん弱っており、のどが渇いていたので、息子に川に連れて行ってくれと頼んだ。オラケル(Orachel)38は母親が水をのむのを手伝おうとしたが、母親は彼にただそこに立っているように、と言い、彼の背中に捕まり頭を伸ばして水を飲んだ。オラケル(Orachel)38はその川をゲルブイト(Ngerbuit)E16と名付けた。母親の水の飲んだやり方と、その場所がイメリーク(Imeliik)Eとゲツバン(Ngetbang)Gの間に位置したからである。

水を飲んだ母親と彼らはすぐ近くの山に向かったが、そこで彼女は死んだ。

オラケル(Orachel)38は彼女を椰子の葉の上に横にして、木のもとへ行き、全ての動物たちを集めて葬式をした。オラケル(Orachel)38とテレングウラン(Telenguulau)46そして他の動物達は一晩中嘆き悲しんだ。それでオラケル(Orachel)38はそこの名前をゲルバドエルマンゲル(Ngerbadchelmangel)E17とした。

次の日の朝、オラケル(Orachel)38とテレングウラン(Telenguulau)46は母親を埋葬した後、ガルベソン(Ngerubesang)H2に向かった。

長い道のりを歩き、二人はガルベソン(Ngerubesang)H2にやってきた。彼らがアバイ(Abai)を通り過ぎようとした時に、一人のチーフがギラベルソエフ(Ngirabersoech)48と呼ばれているのを聞いた。オラケル(Orachel)38はとても驚き、テレングウラン(Telenguulau)46を待たせ、チーフのもとに向かった。その年配のチーフ48はオラケル(Orachel)38に、ギラベルソエフ(Ngirabersoech)48はタイトルの名前ではなく、彼の家の名前だと言った。オラケル(Orachel)38は彼に、自分の母33を彼の家の庭に埋めてくれないかと頼み、自分も家族の一員にしてほしいと頼んだ。ギラベルソエフ(Ngirabersoech)48はその願いを受け入れたため、オラケル(Orachel)38はテレングウラン(Telenguulau)46にここに残るように言い、自分は母親の亡骸を取りにゲルバドエルマンゲル(Ngerbadchelmangel)E17へ戻った。彼は母の亡骸を掘り出し、背中にそれを背負って再びガルベソン(Ngerubesang)H2に向かった。途中小さな山で休んだ時、沢山のハエが母の亡骸に集まってきた。そこで彼はその山の名前をツベケウレアエス(Tbekeuliaes)H3とした。勇気あるハエたちという意味である。ガルベソン(Ngerubesang)H2では、オラケル(Orachel)38とテレングウラン(Telenguulau)46はベルソエフ(Bersoech)H4の石の広場へ行き、そこに母の亡骸を埋めた。その後彼らはガルベソン(Ngerubesang)H2にしばらくとどまり、その後、隣の村ガラメス(Ngerames=Ngerang)H5に移動して、そこに住むことにした。ガラメス(Ngerames)はガラン(Ngerang)の古い名前であり、天から降りてきた人々の名前からそう呼ばれている。ガラメス(Ngerames=Ngerang)H5にいる間、オラケル(Orachel)38は、ルークス(Lukes)aのルケル(Ruchel)8にもらった設計図に基づき、最初のアバイを立てようと思い立った。彼は必要な材木をすべて切り出し、メレケオク(Melekeok)Hとンギワル(Ngiwal)Jの間にあるガリウアテル(Ngeriuatel)H6にアバイ(Abai)を建てた。

完成したアバイ(Abai)を、沢山のチーフ達が買いたがった。しかしオラケル(Orachel)38はそれを断った。ある日、イメリーク(Imeliik)Eのチーフ、エサウ(Esau)49と、ペリリュー(Peliliu)Bのチーフ、オバクラルイール(Obakraluiil)50がオラケル(Orachel)38のもとにやってきた。オラケル(Orachel)38はもともとはイメリーク(Imeliik)Eの生まれであるため、オバクラルイール(Obakraluiil)50には先にアバイ(Abai)を測ることがないようにと言い、エサウ(Esau)49を先に測らせた。エサウ(Esau)49は戻ってきて、やはり買いたいと言った。オラケル(Orachel)38は自分にマスタービルダー(棟梁のようなものか)としての対価を払うようにとエサウ(Esau)49に言った。エサウ(Esau)49はゲレオルバイ(Ngereolbai)money3と呼ばれるバケル(Bachel)、パラオの歴史の中で一番大きなものでそれを支払った。このときからマスタービルダーはアバイ(Abai)を建てた働きに対する支払いを得ることができるようになった。支払いの後、オラケル(Orachel)38はエサウ(Esau)49の名前をレングルバイ(Rengulbai)49に変え、妻をディルレングルバイ(Dilrengulbai)51とした。また、彼の集落の4つの村はエオアルバイ(Eoalbai)E18と呼ばれるようになった。また、アバイ(Abai)に集まる4人のチーフはガルケアイ(Ngarkeai)52と呼ばれるようになった。なぜなら、彼がビンロウジュの葉で編んだ財布に母親を入れて運んだからである。

最初のアバイ(Abai)を建てた後、オラケル(Orachel)38はテレングウラン(Telenguulau)46とともにガラメス(Ngerames=Ngerang)H5にしばらくとどまった。ガラメス(Ngerames=Ngerang)H5では人々が天に旅しようと相談していた。オラケル(Orachel)38はテレングウラン(Telenguulau)46とともに彼らに付いていこうと言った。

彼らはプレアデス(Mesikt)星に乗り、天へと向かった。天に到着するとオラケル(Orachel)38はテレングウラン(Telenguulau)46にそのまま進んでくれと言い残し、神の長に会いに向かった。オラケル(Orachel)38は神の長ウエル・エングツ(Uchelianged)1の家に入ることができた。なぜなら、彼の母の蛇も同じように神であったからである。神の長ウエル・エングツ(Uchelianged)1は、何をしにやってきたのかと彼に聞いたが、彼はただ挨拶をしに立ち寄っただけだと言った。神の長ウエル・エングツ(Uchelianged)1は少し用事があり立ち去るが、自分の石の椅子には座るな、魔法の貝殻にもさわるなと言い残して去っていった。

しかし、神の長ウエル・エングツ(Uchelianged)1が立ち去った後すぐにオラケル(Orachel)38はその石の椅子に座り、魔法の貝殻(omesechel Kim)を開けた。貝殻を開けるとイメリーク(Imeliik)Eのゲデボタル(Ngedebotar)E2のゲルケアイ(Ngerkeai)E12の西海岸の浅瀬に一人の女が立って、黄色い生姜を潰して海に投げ、泣いているのが見えた。彼女はオラケル(Orachel)38がいなくなったと泣いているようだった。オラケル(Orachel)38もそれを見て涙を流した。ウエル・エングツ(Uchelianged)1が戻ってきて、オラケル(Orachel)38の目が赤いことに気づき、なぜそんなに目が赤いのかと尋ねた。オラケル(Orachel)38は火をつけて体を温めようとしていたからだと答えた。ウエル・エングツ(Uchelianged)1はすべてを知っており、お前は感心できないやつだと言った。ウエル・エングツ(Uchelianged)1はオラケル(Orachel)38にオレンジの実を与え、アンガウル島(Angaur)Aより降りて、イメリーク(Imeliik)Eまでいくように、と言った。オレンジを持ってアンガウル島(Angaur)Aから降りたオラケル(Orachel)38は、ロックアイランドを通り、イメリーク(Imeliik)Eにまで歩いていった。その途中彼はロックアイランドに指の跡をつけて行った。それがいまだにウーロン(Ulong)C6、ゲルクタブル(Ngeruktabel)C4、オンゲルングル(Ongelungel)D8に見られる。

オラケル(Orachel)38がゲルケアイ(Ngerkeai)E12の前までやってきた時、彼の足から膝にかけてが石に変わっていった。ウエル・エングツ(Uchelianged)1が、自分の石の椅子に座り、魔法の貝殻に触れたオラケル(Orachel)38に罰を与えたのである。ゲデボタル(Ngedebotar)E2の前まで来た時、彼は疲れ果て、喉が渇き、足はほとんど石になり、それは尻にまで達そうとしていた。

ちょうどそこへ、トゥケデルクル(Tkedelukl)28と二人の息子テアティエイ(Techatiei)29、カウテホン(Kautechong)30がゲデボタル(Ngedebotar)E2の前へ釣りに行こうとしており、オラケル(Orachel)38は彼らを呼び止めて、水を求めた。トゥケデルクル(Tkedelukl)28は彼に水を与え、オラケル(Orachel)38はそのかわりに彼にオレンジの実を与えた。オラケル(Orachel)38は彼に、この実はウエル・エングツ(Uchelianged)1からのものであり、とても貴重なものだと伝えた。その後、オラケル(Orachel)38はなんとか進み、ゲトゥバン(Ngetbang)Gの小さな島メヘベフベル(Mechebechubel)G1の前にまでやってきた。その島の上で、彼は岩に変わって、それはいまだにそこにあり、オラケル(Orachel)島G2と呼ばれている。


オレンジの行方

トゥケデルクル(Tkedelukl)28はディナーの時、オレンジをデザートとして食べ、中の種を取っておいた。次の日の早朝、トゥケデルクル(Tkedelukl)28は種を庭に植えた。すると沢山撒いた種のうち一つだけが成長し、毎日どんどん大きくなっていった。そして、4日目の朝、トゥケデルクル(Tkedelukl)28がオレンジの木を見ると、緑色の大きな実が一つだけなっていた。そしてその日の午後、更に実は大きくなり、その色も黄色に変わっていた。次の日の早朝、その実はとても甘い匂いを放っていた。そしてその日の午後、その実は赤黄色(オレンジ)に変わった。

その日の晩トゥケデルクル(Tkedelukl)28は漁に行かなければならなかった。そこで彼は妻=ディラバケル(Dirrabakeru)⑦に、オレンジがもし落ちたならそれを取っておいて誰にも渡すことがないようにと言った。そして彼とその息子たちは漁に出かけた。

次の日の朝、ディラバケル(Dirrabakeru)⑦が外に出るとオレンジが地面に落ちていた。彼女⑦はそれを自分のビートルナッツの葉のバスケットにしまった。そこへ、イメリーク(Imeliik)Eのハイチーフ49の妻であるディルレングルバイ(Dilrengulbai)51がゲルケアイ(Ngerkeai)E12から二人の女の子53と共にやってきた。トゥケデルクル(Tkedelukl)28に会って、村のまつりのためのタピオカ(chelbakl)を出してくれとお願いをしにやってきたのである。二人の女の子53はトゥケデルクル(Tkedelukl)28のためにタロ芋をバスケットに入れて持ってきていた。ディルレングルバイ(Dilrengulbai)51は長旅で疲れており、のどが渇いていた。そこでディラバケル(Dirrabakeru)⑦に水をくれと頼んだ。ディラバケル(Dirrabakeru)⑦はヤシの実の入れ物に飲み水を入れて彼女に渡した。水を少し飲んだ後、ディルレングルバイ(Dilrengulbai)51は、そこにあるオレンジを少し絞って飲みたいと言った。ディルレングルバイ(Dilrengulbai)51がまだ話しているうちに、ディラバケル(Dirrabakeru)⑦は自分のバスケットからオレンジを取り、彼女に与えた。ディルレングルバイ(Dilrengulbai)51は驚いたが笑顔で礼を言った。

皆が座っている間、ディラバケル(Dirrabakeru)⑦はビートルナッツの噛みタバコを用意していた。ディルレングルバイ(Dilrengulbai)51はガルク(ngark)を取り出し、それでオレンジをカットしようとしたが、オレンジの真ん中でその端が何かにあたり音を立てて止まった。ディルレングルバイ(Dilrengulbai)51がオレンジの中を開けてみると、そこには黄色いケルブケブ(Chelbucheb)money4が入っていた。ディルレングルバイ(Dilrengulbai)51はオレンジを自分のバスケットにしまい、急いで出立の準備をした。彼女はディラバケル(Dirrabakeru)⑦に、タピオカ(chelbakl)をもらいにやってきたが、すでに十分な報酬はもらったと夫に伝えるように、と言い残して感謝を述べ、ゲルケアイ(Ngerkeai)E12へ向けて帰っていった。

そのケルブケブ(Chelbucheb)money4はメラエルケド(Meraelked)money4と変えられた。ディルレングルバイ(Dilrengulbai)51と二人の女の子53が丘を歩いて来たからである。

次の日の昼間、トゥケデルクル(Tkedelukl)28と二人の息子は漁から戻ってきた。トゥケデルクル(Tkedelukl)28はオレンジの実が木からなくなっているのを見てとても喜び、二人の息子たちに漁の後始末を任せて妻の元へ行ってオレンジについて尋ねた。彼女は、それをディルレングルバイ(Dilrengulbai)51に渡してしまったと話した。トゥケデルクル(Tkedelukl)28はとても怒り、妻にお前はすべての女の中で最も馬鹿な女で、死んでしまえと罵った。その後、トゥケデルクル(Tkedelukl)28は妻をリーフの外に流してしまうことに決めた。彼は妻に明日は皆で釣りに行くからタロ芋を明日の昼食として用意するように言いつけた。ディラバケル(Dirrabakeru)⑦はすでに夫の計画をすでに知っており、タロ芋を泣きながら調理した。彼女⑦が泣いていると、ある強い男が突然現れた。そして彼女の近くに座り、何故泣いているのかと聞いた。彼女は全てを説明すると、彼は心配するなと言った。オボハヅ(Obechad)54は彼女にヤシ殻の半分、目と口のついたほうを持ってくるようにと言った。そして、彼はその中に灰とハイビスカスの枝を入れ、彼女に、もし夫が彼女をリーフに置き去りにして、満潮のときの潮があなたを流しさろうとする時、ゲルフア島(Ngerchur)M7から流れ始めて、ゲルフア島(Ngerchur)M7が見えなくなったところで、その灰を海に撒き、ハイビスカスの枝で底を叩き、枝のもう片方にヤシ殻をさしておくなら、小さな島があなたのために現れるだろう。と言った。

次の日の朝、トゥケデルクル(Tkedelukl)28はディラバケル(Dirrabakeru)⑦と息子達とともに漁にでた。彼らはいつもオレイ(Ollei)M1で漁をするのであった。そして、トゥケデルクル(Tkedelukl)28はこっそりと息子たちに自分の計画を知らせた。漁場についた時、自分が母親に貝を取りに行くように言うので、その時に一斉に逃げるという計画だった。二人の息子たちはそれをたいへん嫌がったが、父親が怖かったので従うしかなかった。そして、漁場について母親が貝を採っているときに小さな嵐が来て、それを合図にトゥケデルクル(Tkedelukl)28達は彼女⑦を置き去りにしてゲデボタル(Ngedebotar)E2へと戻っていった。

置き去りにされたディラバケル(Dirrabakeru)⑦のもとに満ちた潮が押し寄せ、彼女は沖へ流されていった。どんどん流され、ゲルフア島(Ngerchur)M7を通り過ぎ、それが見えなくなったところで、彼女は指示されたとおり、灰を海に撒き、ハイビスカスの枝で底を叩き、ヤシ殻をハイビスカスの反対側の枝に刺したのである。すると、小さな島が海の上に上がってきて、その島にはヤシの木とハイビスカスが生えていた。これが現在ではカヤンゲル(Kayangel)Nと呼ばれている島である。

トゥケデルクル(Tkedelukl)28が妻を流してからしばらく経ったある日の朝早く、彼と二人の息子たちは漁に出かけた。ゲルアロン(Ngerchelong)Mの漁場についたが、彼らはほとんど魚を捕まえることができなかった。そしてその時、彼らは今までに見たことがない島がそこにあるのを見つけた。島に近づき、その周りでカヌーを漕いでいると、嵐が起こり、あたりが暗くなった。トゥケデルクル(Tkedelukl)28は島の中に火を見つけた。そこで息子達に島の南の岸でカヌーを止めようと言った。そして彼は、一人目の息子テアティエイ(Techatiei)29に、火をとってきてこちらでも火をおこして体を温めようと言った。テアティエイ(Techatiei)29は火が焚かれている小屋に近づき、音を鳴らした。すると、中から「テアティエイ(Techatiei?=who is it?)」と声がした。そこでテアティエイ(Techatiei)29は、はい。と答えた。なぜならそれが彼の名前であったからである。彼の母親ディラバケル(Dirrabakeru)⑦は彼を中に呼び体にヤシ油を塗り火の近くに座らせて体を暖めさせた。

トゥケデルクル(Tkedelukl)28は二人目の息子、カウテホン(Kautechong)30を呼び、様子を見て火をもってこい、さもないと寒くて死にそうだと言った。カウテホン(Kautechong)30は小屋のそばに行き近くで音を鳴らした。すると、中から「カウテホン(Kautechong?=who are you?)」と声がした。そこでカウテホン(Kautechong)30は、はい。と答えた。なぜならそれが彼の名前であったからである。こうして母親と二人の息子は再会をはたし、三人は火のそばで体を温めた。

トゥケデルクル(Tkedelukl)28は息子たちがいつまでたっても帰らないので、仕方なく自分で小屋の方に向かった。そして、小屋の外にたどりつき寒さで凍えそうになりながら、外から人を呼んだ。そして扉が開いた時、そこにはディラバケル(Dirrabakeru)⑦と二人の息子がそこに立っていた。トゥケデルクル(Tkedelukl)28はとても申し訳なく思ったが、ハイビスカスの樹の下でその体は黒い岩に変わってしまった。
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