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全員の給料を下げるか?人数を減らすか?

世の中の変動幅が大きくなると、中小企業の経営環境は厳しくなる。コロナ禍では売上が激減するし、材料費や光熱費の値上げは利益を圧迫する。

コンサルタントとして企業のサポートをしている身としては、常に確実な手立てがあるわけでなく、頭を悩ませる日々である。2022年10月現在では、雇用調整助成金が支給されているので、なんとか経営ができている企業も多いが、支給が止まると大鉈を振るわないといけない状況も予想できる。

経営者として最も断腸の思いになるのが、人件費に手をつけるということである。

人件費に手をつける方法は、

・ボーナスカット

・給料カット

・人員削減

となるのだが、どう手をつければいいのかは、悩みどころである。


一律カットか人員削減か?

人件費を削減する場合、2つの選択肢が生まれる。

1:全員一律のカット

2:人数を削減する

あなたはどちらの方法を選択するだろうか?

この質問を投げられた時、僕は、全員一律カットを選択しようとしていた。しかし、クライアントの社長は、人数を減らすことを選択すると言う。理由は、仕事をする人のモチベーションを下げないということであった。人員を削減するということは、特定の社員をクビにするということだ。当然ながら、その社員に会社(中小企業の場合は社長)は恨まれる。しかし、全員の報酬をカットした場合、全員のモチベーションが下がってしまう。これは経営においての大打撃である。それなら、特定の社員に恨まれることを選択するというのだ。

賛否はあるかもしればいが、僕は実践的な経営判断だと思う。


非正規労働者という問題

この会社は景気にかかわらず、一定数は派遣社員を雇用している。その中から、仕事ができる人を正社員として採用をしている。中には、派遣の方が、責任が少ないという理由で、正社員になることを望まない人もいる。

派遣社員を雇用している理由は、人件費を削減しなければならない時のバッファーである。

社会で言われる「派遣切り」を想定している。

この考え方には賛否があるかもしれない。派遣の当人からすればとんでもない話であろう。実際、不安定な雇用状態や賃金格差という非正規労働者問題について無視するわけにはいかない。

しかし、この問題は制度で是正できるものではないと考える。

実際、正社員はどうか?

身も蓋もない話ではあるけど、人間は非常時になれば、自分が一番大切であることを如実に証明する。派遣切りはかわいそうだと言いつつも、自分が代わりにやめるのかという話にO Kをする人はいない。少なくとも、優秀でやる気のある人は正社員への道があるのだから、派遣のままの人は、斬られることも覚悟しているはずという論法になる。


それそれが、それぞれで身を守る

自分の身は自分で守る。この話は、自己責任という話をしているわけではない。しかし、失業保険の対象にならない経営者や役員フリーランスの場合は、自分の身は自分で守るしかない。

これからは労働者でも、自分の身を守ることができる人ほど、企業にとっては有能な人材になり得る。

非正規社員問題から抜け出す方法はあるとすれば、まずは仕事を選ぶよりも優先して、正社員になることであると思う。そこで何らかの実績を出す。そうすることで、転職をして、自分のやりたい仕事に就くことが可能になってくるだろう。

人員削減というのは、経営者にとっては苦渋の決断になる。しかし、我が身があってこその経営である。結局のところ、我が身を守ことができる社員の多い会社が生き残っていくのだと思う。

だから僕は、万が一の時、クライアントの人員削減を支持している。


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