ホロライブGTAにみる組織論

 わたしは60歳を目の前にするジジイです。
 所属していた会社の若い社員に「○○さんもホロライブ観ているんですか。へー」と感心されたことがあります。よって若い人向けのコンテンツだと周知されているのだと思います。ですが現場で部下を持つような年代にもぜひホロライブを楽しんでもらいたいです。組織論を組み立てるテキストとしてホロライブの箱物企画は勉強になるからです。

 わたしは若い人たちの動きがおもしろくて、同世代の人たちと遊ぶより、年下と遊ぶことのほうが多く、若い人たちもわたしを仲間の隅に加えてくれています。それをたいへん嬉しく思っております。
 ジジイとして上から言わせてもらえれば、若い人たちはほんとうに頼もしいです。同世代の人間よりも頼もしい。そしてなにより楽しい。彼ら彼女らはほんとうにほんとうに集団で上手に遊びます。なぜそうなのかと色々考えたのですが、両親共働き、または父、母のどちらかだけに育てられた人が多い故、学童保育等のサービスを利用した人が多く、多人数と上手に遊ぶことに慣れた人が多いからだと思っています。
 さらに個で育てるといういうことがどういうことになるのか、という反省が社会にもあったのかもしれません。子どもは子ども同士一緒に育てたほうが社会として正しかった、という結論に到ったのでしょう。これもわたしたち世代が個を重要視するあまり、利己的な人間を多出させてしまったという反省があるからなのかもしれません。
 大丈夫。社会は反省をきちんと生かしています。ホロライブはそういう社会がベースにあると感じます。

 繰り返しますが同世代のそれなりに年を食った年長者、そしてこれから組織を率いる立場になる若い人、または同僚や部下に女性がいて扱いに困っている男性、ホロライブのいわゆる「箱企画」をぜひ観てください。勉強になると思います。

 わたしはホロライブ二期生の大空スバルさんのファンです。彼女の同時視聴というコンテンツはすばらしく、女性はこういうところに感情を動かされるのか、と大変勉強になりました。同じ作品を観ていたにも関わらず、異なる視点が増えたのです。これは物語を愛するわたしにとって喜びです。幸せな気持ちになります。
 また彼女の個性も好ましく、楽しく番組を視聴しております。ですがホロライブという組織には関心がなく、存在は当然知っていましたが他のメンバーをフォローするようなことはありませんでした。
 そしてわたしは「マイクラ」というゲームにはまっています。装置が好きで探検などはほぼせず、拠点で装置を使った建造物を建てて遊んでいました。いちばん長くマイクラを続ける勢力ですね。遊んでも遊んでも遊び足りません。
 スバルさんとマイクラ、2024年に開催されたホロライブの箱企画、「ホロ鯖ハードコアマイクラ」にたどりつくのは必然でした。箱企画とは箱ゲー、つまり箱庭ゲームをホロライブのメンバーが遊ぶという企画です。
 この「ホロ鯖ハードコアマイクラ」にて、スバルさん以外のホロライブのメンバーを知りました。最初はとうぜんスバルさん視点でゲームを観ていたのですが、気になった人がいるとその人の視点に乗り換え、同時視聴ではパソコンのウィンドウを3つくらい開いてザッピングをする始末。
 まずわかったのは彼女たちはふつうの女性ではありません。配信者のプロです。女の子がゲームをやっているのを楽しく観る、というコンテンツではなく、配信者のプロの女の子がゲームをやっているのを楽しく観る、というコンテンツです。プロの仕事です。
 しかしながら配信者のプロといっても人間がやっているゲームです。彼女たちには当然個性があります。あたりまえなのですが最初は彼女たちの個性がなかなかつかめないのですが、視聴を続けるとおおよその個性が浮き彫りになってきます。
 そして彼女たちの個性のバランスがすごいことに気がつきました。ホロライブを運営するカバー株式会社の人を見る目はほんとうにすばらしい。怖ろしいほど。人事の神がこの会社にいます。
 カバー株式会社がまだヨチヨチ歩きだった頃、初期に集めたメンバーはどちらかといえばソロ向きの人材でした。しかしオーディションで人を集められるようになってから、おそらく応募者も急増したのでしょう。選抜されたメンバーの傾向が、集団向けの人材へとシフトしていったことがわかってきました。逆にいうとソロで遊ぶのが好きな、いや違いますね。少人数でしか楽しく遊べないメンバーは初期に集中していると思います。期が進むにつれて大集団でも楽しく遊べるメンバーが増えていく。これはカバー株式会社の方針だと思います。
 会社という組織もこういう人材のほうが欲しい。ソロを好む人材は組織としては優先度が下がります。いずれはメンバーを率いて欲しい。そういう人材を組織は好むからです。

 星街すいせいさん。わたしは彼女を典型的な初期メンバーだと勘違いしていました。独立独歩。わたしはひとりで輝く、と。しかし、彼女はそうではなかったのですね。今回の「ホロライブGTA」で考えが変わりました。彼女はこの企画の主催者ではあったのですが、パートナーとして一緒に企画した同じく初期メンバーのさくらみこさんに力を貸しただけなのかと思っていました。
 GTAにおいて最初、すいせいさんは集団として動くことに不慣れなのか、トリックスターとして自分のロールを固定しようとします。ロールとは役割ですね。ロールプレイングゲームのロールです。でもうまくいきませんでした。集団から浮いてしまいました。相方のみこさんは不慣れながらも上手に集団で遊べる人間です。しかも天才的なレベルです。彼女とつるむのは良しとはしなかったのでしょう。そこにすいせいさんの志の高さを感じます。
 彼女のとった選択は消えるということでした。つまり初期メンバーであり誰からも尊敬を集めるタレントであることを捨てたのです。しかも組織の中に埋没するという形で。
 まさにプロの決断だと思います。組織の中に入ったすいせいさんは他のメンバーの意見を尊重します。最終局面で自分が敵陣営に突っ込んで局面を打開しようかと提案しますが他のメンバーにとめられて自重します。これは前日譚となった別の事件で誤った判断をし、敵の逃走を許してしまったことが原因だったのかもしれません。
 しかし、ホロライブの初期メンバーであり、圧倒的な歌唱力とカリスマを持つ彼女が、集団の中できちんとその一員としてふるまったことはすばらしいことだと思います。プロの仕事です。誇り高いプロ。
 彼女はソロ向きな人材ではなく、組織の頂点に立っている人物だったのです。彼女の横には誰も並び立っていません。一見一人で立つ、つまりソロプレイヤーのように見えましたが、実は組織というピラミッドの頂点に一人で立っていた人間でした。ホロライブの初期メンバーにこの星街すいせいさんとさくらみこさんがいる。ホロライブの成功はこの二人の力が大きいとわたしは思っています。
 誰が選んだんだよいったい。すごい。

 ナポレオンはこう言いました。

「一頭のオオカミに率いられた百頭のヒツジの群れは、一頭のヒツジに率いられた百頭のオオカミの群れにまさる」

 この名言、組織を率いたことのない若い人にはピンとこないかもしれません。またはバカタレ同世代の人間にも響かない。

 組織とはナポレオンの言う通りなのです。すぐれたリーダーは一人いればいい。あとはヒツジさんで大丈夫。逆に戦闘力の高いオオカミが百頭いたとしても、リーダーがヒツジさんでは勝てないのです。
 これがよくわかるのが同じく2024年に開催された「ホロライブARK」です。
 ホロライブでは組織のルールかもしれませんが、誰がなにをしろ、という命令はしません。○○したほうがいいかな、が限度というルールのようです。各自のやりたいことが尊重されます。
 これ、思ったのですが女性だけの集団だからなのかもしれません。
 わたしは男性なのですが、このルールにストレスを感じてしまいます。男は縦社会に適応した生物です。もちろん例外もいます。例外を廃除しないと大きな論を組み立てられないので無視します。哺乳類にだって卵から生まれてくるカモノハシという生物がいるのです。カモノハシ基準で哺乳類は語れません。

 大規模な組織を形成するとき、組織が男性化してしまうのは仕方が無いことだと思います。特に一瞬の判断で人の生死が別れるような組織は男性化します。命令という怒号が飛ぶからです。ここで命令に一瞬で従うという男性の悲しき本性が生かされます。職場が男性ばかりの組織はふだんから怒号が飛び交っていると思っていい。個人の生命、または会社の財産が一瞬でふっとぶような環境では一方的な命令は必須だからです。
 しかしながらホロライブには男性はいません。ですが組織を考えるとき、彼女たちの動きはほんとうに勉強になります。

 「ホロライブARK」も最初は各プレイヤーが独自の判断で動いていました。しかしこのゲームのルールではそれが限界をむかえます。じょじょに組織の力がゲームクリアに必要だとわかってきます。これを感じている人とそうでない人がいます。そして当然それを感じた人が自ずとリーダーとして振る舞っていきます。この流れが自然すぎて組織論を組み立てるテキストとして秀逸です。
 ぜひ大空スバルさん視点で最初は観てみてください。彼女はいちはやくこのままでは集団として勝てないことを察知して行動に出ます。この企画のゲームとしてのリーダー、アキ・ローゼンタールさんはやさしいまさに女性らしい人格をもった人です。彼女自身もそれを自覚しているのでしょう。ちなみに彼女は一期生です。0期生と呼ばれるホロライブの始祖となった初期メンバーではありませんが大先輩格です。
 女性の特質として命令されるのを嫌がります。断言します。女性に命令してはいけません。これは覚えておいていいと思います。男性は命令にたいしては服従するというのがDNAに組み込まれています。そうでなければ厳しい環境で生きていけなかったのでしょう。なので集団戦が得意なのは圧倒的に男性です。これは現実を見てもらえばわかります。集団を形成するのは男性です。女性はいくらでもソロで動けます。男性は縦社会にいるほうが安心なのです。たとえ下っ端だとしても。焼きそばパンを買いにいかされるのは男性です。この心理、女性にはわからないと思います。
 アキさんは女性らしい平坦な組織でこのゲームを当初戦おうとしています。または、組織を率いる人材の登場を潜在的に待ち望んでいたのかもしれません。
 そこに一頭のオオカミが出てきました。大空スバルさんです。彼女がオオカミとして立ち上がった事を発端として、他のオオカミも立ち上がります。ここからの「ホロライブARK」がすごい。バラバラに動いていたソロたちが集団として機能しだします。
 オオカミに率いられるヒツジにはなりたくないメンバーもでてきます。組織の屋台骨を支えるのはしんどいと思うメンバーですね。彼女たちは組織には協力しながらも、組織のために身を滅ぼす、いわゆる滅私には到りません。彼女たちの気持ちもよくわかるのですよね。楽しく自由に遊びたいじゃないですか。そしてそれが女性的だと思います。このタイプの男性は反逆に走ることがあるのでたちが悪い。しかし女性ですね。滅私はしないが組織には協力的です。本来女性ってやさしい生物なのです。男性が女性を求めるのはこういうところなのではないのでしょうか。女性の平坦な思考にはほんとうに頭が下がります。そして我に返ります。逆に主義主張が強く、他を圧倒しようとする女性は男性から距離をおかれるではないのでしょうか。もうそんなの男社会で十分。辟易。女性の権利を声高に主張する人が特にそう。では男性の権利ってなにですか? 男性の権利があるとするならば男性の権利も認めてくださいね。そもそも女性は男性とは違います。そして女性のほかには男性しかいません。男女は権利を主張しあう関係なのでしょうか。性別により異なる権利ってなにですか?

 誰でも自由に好きなように遊びたい。平坦思考を愛する女性はとくにそうだと思います。誰からも命令されたくない。しかし組織として勝つためには自分はそれを抑制すべきだ、そう思う人がホロライブにも登場します。そしてこれができる人がやがて組織を率いていくのです。なぜならば好き勝手をやる人物には誰もついていかないからです。集団戦となったとき、各個人が独自の思惑で動くと結果を残せない。それでもいいという判断もありますが。
 わたしはとりわけ火威青さんを賞賛したいと思います。現状では彼女は加入したばかりでホロライブという組織では下っ端ですが、少しずつ人望を集め、やがて権力を手にするでしょう。権力とは任せられる、または彼女のために何かをしたいという人が集まるということです。「ARK」での働きはお見事でした。ひたすら石や鉄鉱石を集めるという地味でしんどい仕事をしてくれました。しかも楽しそうに。彼女の働きぶりをオオカミたちは注意深く見ていました。人が嫌がる仕事を楽しくやる、これはオオカミとなるのに必須の能力だからです。オオカミ(リーダー)はしんどい立場です。
 オオカミはオオカミを求めます。オオカミとなれる人は少数。仲間のオオカミが多ければ多いほど自分の属する集団は強くなるからです。自分の負担も減りますからね。
 彼女をヘッドハンティングして自分の会社の社員にしたいと思う経営者は多いのではないのでしょうか。
 企画で彼女をヘッドハンティングしたい企業を募集してみればどうでしょうか。大手有名企業が手をあげると思いますよ。広報ではなく現場仕事を斡旋されるでしょう。幹部候補生として。
 早めに彼女を箱企画のリーダーとしてロールを割り振ってもらいたいものです。最強集団の一角となるでしょう。

 先ほど終了した「ホロライブGTA」。集団として警察、ギャング、病院があります。その他のメンバーは個人経営の店を持つことになります。
 このロールの選抜が秀逸すぎる。誰が選抜したのか。カバー株式会社の人事担当が加わっているのでしょうか。それほど秀逸。バランスもとてもいい。
 ただ割を食ったのがキャバレーの宝鐘マリンさんとタクシーの鷹嶺ルイさんでしょうか。このふたりは集団でも動ける人材だと思います。とくにルイさんは集団で輝く。
 警察署署長の大空スバルさんと副所長の獅白ぼたんさん、ギャングのボスの常闇トワさんと副ボスのアキ・ローゼンタールさん。病院の医院長の白神フブキさん。この布陣だとマリンさんとルイさんは別に動いてもらいたくなりますね。病院は組織戦というより個で動いてもらう集団なので、ここにルイさんを入れると彼女の集団戦が得意という個性が消える。マリンさんはフブキさんの個性と干渉しそう。不協和音として聞こえてしまうかもしれない。フブキさんには責任を与えつつも泳がせておきたい。人材が豊富すぎるホロライブの弊害でしょうか。嬉しい悲鳴というヤツですね。

 個人的にはルイさんが組織で働く姿が観たかったです。
 マイクラ時代からの視聴ですが最初、ルイさんは影響力が強いメンバーにしたがうコバンザメみたいな存在だと思っていました。つまり好意的ではなかったのです。でも、彼女の動きをみているとそうではないことに気がつきました。彼女は優秀なバイプレイヤーだったのです。しかも本人がそれを自覚している。彼女は責任のある人物に寄り添い、その人物を助けたいと動いていただけでした。ARKでもあったのですがリーダーの責任感の強さに打たれ、言葉につまるシーンがありました。一瞬でしたがわたしは見逃しませんでした。美しい。正に高嶺の花。
 ルイさんはリーダーがやらなければならないしんどい責務を十分に理解しており、そこから逃げないリーダーの責任感に感激し、言葉をつまらせているのです。こんなバイプレイヤー欲しいですよ。いわゆる副がつくポジションです。で、彼女は副の上にはいけないことに自覚的なのです。ここが美しい。実に素敵な人物です。
 リーダーはやっぱり天賦の才が必要。努力してなれるものではありません。リーダーは天賦の才、つまり天然モノです。副はそうではない。天賦の才を持たされなかった、神様からリーダーの素質というギフトを受け取れなかった人の頂点が副、バイス、サブ、なんでもいいのですが次点となる存在。
 ルイさんにはおぎゃーと生まれたときに、リーダーの素質というギフトを握っていなかったことを知っていると思います。逆にギフトをもらったひとが、それに無自覚な場合も多々あると思うのです…。ギフトをもらった人がそのギフトの内容にたどりつけるかどうか。(スバルさん聞いていますか?)
 つまり天才的な作曲家というギフトをもらった人が、脳内でさまざまな名曲を作っていたとしても、それに打ち込み発表する環境がなければ無駄となります。とにかく可能性の塊である子どもを持つ人は子どもが持つギフトを試すべきだと思います。多くは子どもが好きなことだと思いますよ。
 まったくもって私感ではありますが、ルイさんにはリーダー適任者というギフト持ちにたいする憧れと絶望があるのではと思うのです。だからこそ彼女は副で輝く。ルイさんのARKでの活躍はまさに名バイプレイヤーでした。彼女は職責の重い人格に自然と近づいていく。GTAではきちんとロールを割り振られた陣営で観たかった。ただ、彼女をつかんだ陣営は優位になってしまうのですよね。ソロプレイヤーとしてロールを固定した運営側の苦悩を感じました。または彼女は自分の可能性を信じてソロに身を投じたのかもしれません。

 そして。本来はソロとして活動したいのにもかかわらず、その人格を抑えて組織人としてロールを演じた兎田ぺこらさんと天音かなたさんに賞賛を。このお二人はソロで活動しても十分数字をとれる演者です。でも組織に殉じた。組織を率いる能力(ギフト)があったマリンさんと逆の立場ですね。両名ともすばらしい助演でした。筋書きの無い物語の中で。
 本来であればもっと大人数でプレーすべきGTAというゲームの中で、ぺこらさんとかなたさんはソロではなく組織の中で上手にロールを演じてくれました。すごいなぁ。より自由度の高かったARKでのお二人の活動を観て下さい。
 ぺこらさんはマイクラハードコアという大規模な催事を主催し、主催者側の観点を手に入れたのでしょうか。彼女の成長を感じました。そしてARKでの活動を経て、GTAでの名助演に結実したのだと思います。マイクラハードコアを主催したぺこらさんは大跳躍を果たしたのだと思います。
 大きな責任を果たすということの大切さをホロライブはあらためて教えてくれました。

 ぺこらさんが属したギャング陣営に関しては書くことはあまりありません。それだけ完成された組織でした。トワさんとアキさんを頂点とする組織。書くことはありません。こんな組織で働いてみたい、という感想しかでてきません。トワさんが誰よりも勉強して誰よりもメンバーを思っている。次回GTAがあるとするならば、ギャング陣営に配属されたメンバーの去就に注目です。みなさんトワ陣営に駆け込むのではないのでしょうか。トワさんを愛し、トワさんに愛され成功を手にしたい。

 これは逆もまたしかりなのですがね。ただ動機が違うと思います。つまり警察署陣営のこと。警察署陣営は今度こそスバル署長をにしたいと思い駆けつけるのではないのでしょうか。
 そしてスバル署長の下で働きたいと思うメンバーもほかに出てくると思いますよ。これは彼女の人徳ですね。まさにリーダーとしての資質。ギフト持ち。

 しかしながら組織の完成度で勝敗を分けるゲームとするならば、わたしは警察署陣営の負けだと思っています。
 トワさんにあってスバルさんになかったモノ。それは自賛と取り組み方の姿勢です。
 スバルさんは物語において最後まで自賛しなかった。彼女はメンバーを讃辞しましたがついに自分を褒めなかった。これは組織としてマイナス。トワさんはみんなも頑張ったけど自分も頑張ったと発言していました。逆にスバルさんはバイスキャプテンのぼたんさんが署長も頑張ったよと言ってくれているのにもかかわらず、いやいやと言って逃げた。そうつまり逃げた。いやわたしも頑張ったよ!!と言うべきでした。そういうリーダーのほうが人を安心させます。このスバルさんの弱さが際立ってしまいました。彼女はリーダーとしてのギフトをしっかりと握っておぎゃーと誕生したのにもかかわらず、そこから目をそらしたのだと感じました。
 彼女はトワさんよりも自分は頑張ってないと思っていたのでは。スバルさんはリーダーとしての経験が浅かったのだと思います。スバルさんは同じくGTA初心者の署員を軽く超越するスキルが足りなかった。それは時間と努力でどうにでもなったと思います。
 自尊心は誰でも持っています。いや持っていないと生きていけない。水や空気みたいな存在です。誰でも自分がいちばん大事。それが自尊。トワさんはそれがわかっています。なのでわたしも頑張ったとみんなに言える努力をした。そしてそれを聞いたメンバーは「それはそう。正直だな」と思う。
 トワさんは完璧すぎて言及する気にもなりません。みんな本当によくやってくれた。でもわたしも頑張ったよありがとね、のような発言を何度かしていたと思います。いやほんとうになにも書くことがない。

 自賛をしないのは逃げです。本当に責任を全うしようとしているの? 余力を残しているの? と疑念さえ生じる可能性があります。

 スバルさんは次回もまた警察署署長をやりましょう。やってください。せっかくリーダーとしての能力をグリップしているのですからその責をまっとうしてください。持つ者の責任です。ノブレス・オブリージュです。ARKでもうバレてしまいました。スバルさんはオオカミです。オオカミはヒツジの中に隠れるオオカミを許しません。

 スバルさんはみんなを褒めたあと自分も褒めてあげれるようになってください。それで救われるメンバーもいるのです。もっと頑張ろうと思うのです。自分を褒めないリーダーに仕えるのはしんどい。これはスバルさんも実感として理解していただけるかと思います。

 警察陣営は受け身です。これは実社会でも同じ。犯罪が起こってからの対応です。警察の予防措置は難しい。警察は法の番人でしかありません。むつかしいところですが仕方がありません。警察に予防措置の権限を与えてしまうと社会がどうなるかをわたしたちはもう知っているからです。恐怖政治の始まりです。どんどん無実の市民がしょぴかれて監獄行きです。この暗黒時代の反省の結果、受け身専門の組織になったのです。
 しかしながら地図を暗記することくらいはできたはず。全部の地番を覚えることは難しくてもブロックで覚えることはできたでしょう。あと東西南北の概念は習得してほしかったです。
 こっち、そっちは論外。主観でしかありません。左右も論外。こちらも主観。左右はどっちを向いて左なの? って必ずなります。自分から見て左なのか、それともスバルさんから見て左なのか。また指示を出したい人間がスバルさんと向かいあっている場合は左右が逆になります。なので絶対的な指針にはなりません。
 ぼたんさんがアナログ時計の針の位置で方角を表現するやり方をアドバイスされていましたが、これはマストで習得すべきでした。地図は「北天」(きたてん)で覚えてください。上が北で固定されます。GTAの地図も北で固定されいましたから、地図で12時方向と言えば絶対的な指標になります。方角だと東西南北くらいしか即座に言えないでしょう。北北西とか南南東とか言われてもピンときません。それを10時の方向、4時の方向と言ったほうがピンとくる。もっと細かく11時の方向、5時の方向とまで伝達できます。メンバーに部屋にあるアナログ時計をパソコンの前に置いておいて、と助言するとさらに良かった。アナログの腕時計くらい持っているでしょう。持ってないならパソコンに時計アプリを表示させておけばいいい。
 このあっちこっち、左右という指示出しに勉強不足を感じました。また、パトカーを好き勝手に塗らせたのもまずいと思いました。現実社会を見てみてください。パトカーは匿名性を重んじています。色も無彩色、つまり白と黒。街中に溶け込む色です。ギャング側の視点ではパトカーの色でトワさんは指示を出していました。そりゃそうなるわな。「黄色いパトカーを撃って」など。ではどうやってヘリコプターで上空から指示を出すのか。これも現実社会を真似ればよかった。パトカーの屋根に数字を書けばよかったのです。これ、数字限定です。現場慣れしたぼたんさんを「ぼ」、ラプラスさんを「ラ」と書くのは論外。なぜならばギャング側にもそれが認識されるからです。ギャング側は「ぼ」と「ラ」と書かれたパトカーをまずねらうでしょう。だから匿名性が高い数字にすべきなのです。ほたんさんとラプラスさんはさらに匿名性の高い8とか9とかがいいです。1とか2だとねらわれます。
 事前に準備ができない警察側はそれくらいの下準備が必要だと感じました。
 さらに射撃の訓練をすべきでした。アトラクションでサバゲーがあったようでしたから、みんなでサバゲーで遊べばよかったのにと思いました。ガンシューティングはギャング側は場数を踏んでいたのでみなさんうまかった。しかし警察陣営は…。
 サバゲーならばみんな楽しく遊んだと思うのです。みんなで楽しく自由にGTAを遊んで欲しかったと念じるスバル署長の限界がここにありました。結果、現場でなにもできずに射殺された署員は果たして本当に楽しめたのでしょうか。最終局面でなにもできず散っていく署員の姿は悲しすぎました。
 逆にほとんどレクリエーションに参加できずにもくもくと任務を果たし続けたギャング集団。集団としてのモラルの高さは彼女たちが最上位だったと思います。彼女たちはトワさんを支え続け、そして感動的なフィナーレを迎えます。耐えきれず泣き出すトワさん。いい組織でした。自分も頑張ったと思えないとあのとき泣けませんものね…。

 わたしは大空スバルさんのファンです。だからこそもう少し続けます。彼女にはできると信じているからです。
 最終局面において、特攻をしたのは逃げです。わたしはスバルさんが重責から早く逃れたいからその役をすすんで演じた、と見てしまいました。と同時に、メンバーが誰もそれを止めなかった。これがなにより悲しかったです。逆はなかった。トワさんが責務を最初に手放すことはなく、またそれを志願したとしてもメンバーがそれを阻止したはずです。
 実際の戦場の話です。すぐれたリーダーは戦場で部下から守られます。なんとしてでもリーダーだけは死なさないようにします。なぜかわかりますか?
 なぜならすぐれたリーダーの下で戦うのが、もっとも生き残れる可能性が高いからです。このリーダーを失ってアホなリーダーの下で戦うのは死につながる、と思うのです。なのですぐれたリーダーを失うのをなによりも恐れるのです。たとえばあの局面で、ぼたんさんが特攻を志願したらみんなが止めたでしょう。ラプラスさんが特攻を志願しそれを許可されたゆるさがあったとしても。ラプラスさんは最後まで生きて指示する立場にいるべきでしたね。次々に部下が死んでいく。それを受けとめるのもリーダーとしての責務です。
 しかし署長が特攻することを誰もが認めてしまった。これは署長の責任です。まずは自分を褒めるべき。褒められるような自分であるべき。自分の指示出しがうまかったと皆の前で誇るべき。実際にスバルさんが指揮した戦いでは勝利していたのです。あのとき勇気を持って自分を褒めていればなと思わずにはいられません。その後の流れが変わった可能性があるからです。自賛をしたのだから後には引けません。さらなる勝利が必要となる。そのための準備を始めたのかもしれません。
 あとラプラスさんなぁ…。スバルさんはラプラスさんをもっと現場でほめて、彼女に分隊の指揮を任せるべきだったと思います。実際に彼女は現場指揮官として有能でした。現場の指揮はぼたんさんとラプラスさんに任せて署長は所長室で指揮をとってもよかった。少なくとも序盤で。ならばラプラスさんは自分のロールを感じてくれたはず。

 しかしながら。スバルさんは誰よりも自責をしていることでしょう。なので次回、大空スバル署長は一皮むけています。職責が人を大きく成長させるのです。まずは自分を褒め称える勇気と自信。実際にスバルさんは頑張っていました。それをリスナーのためにも口にしてもらいたかったです。

 そして今、ありとあらゆる組織人たちよ。下っ端は良きリーダーになれるように立候補を。なんでもいいです。小規模なプロジェクトを率いる、または宴会の幹事に立候補する。なんでもいいです。PCなどの機材のレンタルを管理する役、掃除当番などの雑務をまとめる役でもいいのです。やってみてわかることがあります。逆にいうとやらなければ解りません。やりたくなければずっと下っ端でok!と割り切ることです。組織が性に合わないと思えば辞めてフリーランスで活躍。ソロ活動です。
 部下を持つ組織人は部下をよく褒め、そしてみなの前で自分も頑張ったよと自賛できるように。すべて部下よりできる必要はありませんが、部下のやっていることは人並みくらいにはできる勉強をすべきです。それを自分よりできる部下は見ています。
 リーダーとしての素質を持っていないと感じるならば、リーダーになれそうな人材を社内から探してそいつを自分と対等の地位まで出世させてください。いないならよそから引っ張ってくる。

 人事権を持っている人は集団の中からオオカミを見つけること。自分に世辞ばかりいってくるようなオオカミはいません。オオカミは現場にいます。自分はオオカミだと主張してくるありがたいオオカミもいますが、ヒツジの群に隠れているオオカミもいます。そいつをつまみあげて責務を与えてオオカミとして活動させてください。ヒツジの群に隠れているオオカミをあぶり出す方法は、社員旅行などのレクリエーションを定期的に開催し、その幹事を当番制にすればいい。オオカミはその能力を隠せないので、きれいに集団をさばき、楽しい催事とした担当者、そいつはオオカミです。すぐに責任を与えて部下をつけ、現場に放り投げましょう。

 ほんとうにリーダーは大変! リーダーの皆様、お疲れ様でした。

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