VCR GTA3に心を奪われる ~小さな恋の物語~ 前編
わたしはホロライブGTAでGTAというゲームの魅力に惹かれました。そして多くのストリーマーが参加するVCRGTA3が開催されることを知り、俄然楽しみになりました。
わたしはホロライブ以外のストリーマーをあまり知らなかったので、せっかくなのでホロライブ以外のストリーマー視点でこの物語を追いかけることにしました。
結果、かなり重篤な状態ではまることになり、結局最終日までほぼリアタイで楽しく視聴しました。おかげで今も昼夜逆転の情況が続いています。
開催と同時にわたしでも名前を知っているストリーマーさんを中心にザッピングをしたのですが、結局葛葉さんに落ち着きました。いちばんわたしにとってストレスのないストリーマーだったからです。おかげでわたしの心にダメージが入ることになるのですが。いまだ甘酸っぱい気持ちで一杯です。
わたしはそれなりに年をかさねているので、物語を観たり読んだりするとき、男女どちらの主人公にも感情移入ができるようになりました。
かつてみうらじゅんさんが『ローマの休日』をオードリー・ヘプバーン側の視点(ライド)で観ていたとおっしゃっておられましたが、わたしもそうです。と、いいますかグレゴリー・ペックにもライドしました。
すぐれた物語にはライド出来る登場人物が多数いるのだと思います。
主人公にしかライドできない物語は飽きられるのも早いのではないかと。または「ある時期にしか感動できない物語」でしょうか。青春を描いた小説やマンガは多数ありますが、とくに少年モノはヒロインの描写が足りていないと思っています。わたしが少年だった頃、「いやそんな都合のいい女なんかおるかい」と思いながらもメインヒロインに恋をしていました。ですがそのマンガを読んだという読書体験は貴重で何物にも代えがたい宝物なのですが、今はもうそのマンガは本棚にありません。
今回、わたしはとおこさん視点で語りたいことが多数あります。
わたしはおもにとおこさんにライドしたということです。
さて。
本論は後に書くとしてピックアップしたい件を先に。
・杏乃みはるさんの火力が高い件について
みはるさんは今年デビューしたばかりの新人ストリーマーなのですね。葛葉さん視点にとつぜん現れ、葛葉さん同様「誰あれ?」と思い、すぐに検索したのですがものすごい過去をお持ちなのですね…。負の再生産という輪廻から抜け出した人間性。すごいですね彼女。人類の可能性を信じさせてくれました。善性ってそもそも人に宿るものなのですね。よくぞ生きていてくれました。すごい。彼女自身がすごい。自分が持つ善性を信じることが辛かった情況もあったのかもしれません。よくぞ信じてくれました。救済というリアルタイムで進行する物語。ありがとうみはるさん。
おかげで後追いでザッピングではありますが、みはるさん視点も追いかけることになり、青さんとの出会いや配信後の涙で嗚咽が漏れました。ありがとうほんとうに。
青さん、よくみはるさんを見つけてくれましたね…。火威青という人間はいったいどこまで懐が広いのか。青さんは自分一人で輝くタイプのタレントではなく、まわりのタレントを輝かせることでその光も受けつつ、さらに輝きを増すタイプのタレントさんだと思うのです。青さんのことを書くと長くなるのでこのあたりで。
みはるさんは幸運です。このVCRGTA3という群像劇で、みはるさんにとってわたしが考える最適の人間と巡り会えた。
初めて手にしたパートナーが最高の人材だった。
蛇足ですが初めて恋をした相手が、実は人生で理想の人だったということがまれにあるかと思います。この場合、次に恋をしたとしても、最初の人を超えられないことになり、人生の切り分けが必要となり、嫌な言葉ですが「妥協」をしいられます。
この場合、人生を共にする最後のパートナーが理想のパートナーであった場合と比べて、足りていない情況になるのかもしれません。
わたしもまだ若かりし頃、諸先輩たちが理想を追い求めるのではなく、身近にいる女性のなかで伴侶を選べとよく諭されたモノです。理想はあくまで理想であると。理想の女性と巡り会える運にかけるより、すぐそばにある幸せを選択したほうがいいと。今ある幸せを大切にしろ、と。
今ではほんとうにそう思います。
わたしが大好きな『ファイブスター物語』の主要登場人物、アイシャ・コーダンテはなんとこの世の神に恋をしてしまいます。彼女の不幸はそこからスタートしてしまいます。自分は歳を重ねるのに対し、神はいつまでも理想的な姿のまま。そして永遠の命を持つ神と過ごせる時間は限られている。
みはるさんが青さんという最高の人間と仲良くなったことは幸せなことだったと思います。もうみはるさんには回り道をしてもらいたくないからです。青さんにデビューしたてで仲良くなる運。彼女の人生はそれでもまだ運に恵まれてないといっていいほど。
VCRGTA3一発で杏乃みはるさんは多くの視聴者をゲットしたのではないのでしょうか。ストリーマーにわたしがはまったのはその人の魅力がにじみ出やすいからだと思います。いろいろな人の魅力に手軽に触れることができる。GTAにおいて地味な職業であったとしても自身の魅力さえあれば視聴者を虜にできる。
結局自分がもっている魅力次第、またはそれをどれだけ上手に視聴者にアピールできるか。
そういった意味でみはるさんは天才的なタレントだと思いました。
そして繰り返しになりますが、一緒に物語を進行させたパートナーが青さんだという運にも恵まれました。わたしたちが生きる世界には運もまた必要なのです。
わたしはこれからもみはるさんの活躍を観ていきたいと思いました。青さんと同じ箱にいないのは残念ですが、青さんならば素敵なコラボを実現させてくれるはず。楽しみが増えました。ぜひ奏さんとのからみもみたいです。超絶不器用人間の奏さんが青さんにみせる配慮は解る人には解る感動ポイント。奏さんはとにかく青さんが心配なのです。
みはるさんと奏さんと青さん。どんな化学反応が起こるのか、ぜひ観てみたいところです。
・拙書「ホロライブGTAにみる組織論」にいただいたコメントにあらためて納得した件
わたしが書いた「ホロライブGTAにみる組織論」によせていただいたss a様のコメントの中にあった「スバルさんは女性のホモソーシャルに慣れていないという印象」というご意見。わたしはなるほどそういうものなのかと解った気でいましたが今回初めてVCRGTA3を観て「わがった!」と思いました。言うまでも無くVCRGTA3は男女ともに参加するヘテロソーシャルです。
男女が参加する空間は火力が高いですね。心が揺れ動く幅が広い。女性だけのホモソーシャルは楽園のよう。あらためて男女の違いをまざまざと見せつけられる結果となりました。
男性視点でしばらく観たあと女性視点に切りかえると食後のミルクティーを飲んだようなゆったりとした気持ちになります。ですが、わたしの性は男なのでまた葛葉さん視点へと戻っていきました。より自分の視点に近いからでしょうか。
そしてまた違う「気づき」ですが、各グループにおいて無線で指示をだしているのはほとんど男性でした。わたしは女性だけのホモソーシャルなホロライブの世界ではストレスを感じていたのですが、それがほとんど感じませんでした。
まずは空間認識の問題。指示を出している人はあたりまえですが地図が読める男性でした。東西南北の理解。これはほんとうにノンストレスでした。
また、全体で協力してやったほうが物事をスムーズに進行できるという最適解。その際どうしても命令する側と命令を受ける側に分かれてしまいますが、結果として最短で全体としてのメリットを享受できるので、どっちが偉いとかそういう事ではありません。
わたしの経験則ですが、ほとんどの女性は命令されることを嫌がるが故に、人に命令することを躊躇します。よって手元の作業を優先しがちで全体の流れを見て見ぬふりをします。
逆に多くの男性は命令を出すのも出されるのも大丈夫。それは全体を俯瞰で見ているからです。これは東西南北の理解度と根本は同じ理由なのかもしれません。東西南北の理解は俯瞰で自分を見ないとわからない概念だからです。
もちろんそうでない男女はそれぞれいますが、たいていそんなモノです。葛葉さんが属していた「鴉」はいい例です。葛葉さんはリーダーとして申し分のない存在でしたが、葛葉さんは命令を受けていました。自分ができていないところは他のメンバーに譲る。しかしながら葛葉さんはできていない自分を苛み、そのストレスが頂点に達したところで参加者やNPCを殴っていましたが。そんなところもまたストリーマーの魅力。わかるわぁ…と。
ss a様はスバルさんのホモソーシャルに慣れていない感を書いていただきました。その観点が頭にあったからなのか、わたしはラプラス・ダークネスさんにヘテロソーシャルに対する慣れを感じました。逆に言うとラプラスさんもまたホモソーシャルに慣れていないのかも、とも。
ラプラスさんのホロライブにおける悪ガキ具合は、男性という異なる性がいるヘテロソーシャルで育まれたのではないのかと。
わたしはホロライブという世界でのラプラスさんより、VCRGTAに存在するラプラスさんのほうが生き生きとしているように感じました。
今回、彼女には葛葉さんにより「お嬢」というロールが追加されました。「お嬢」の物語は今後どう展開していくのか。楽しみでなりません。
・ロールプレイについて
いやもう絶対ロールプレイがあったほうが楽しいと思いました。全員が全員ロールを演じる必要はないのかもしれませんが、ホロGTAが大成功したのはロールプレイがあったからだと断言します。物語はあったほうがいい。
葛葉さんはいくつかのロールを設定していきました。自身の「小さな恋の物語」ばかりではなく、「鴉」エピソード0、そして前述の「鴉」元首領の娘として設定したラプラスさん。
結果、どれもがハイカロリーなコンテンツとなりました。
もちろんゲームをストリームするというだけでもいいのでしょう。それで十分という参加者もいるでしょう。しかしそこにロールという物語を一滴添加しただけで、莫大なエネルギーが取り出せるのです。物語が持つ力です。これを上手にやったのがホロライブGTA。そして名だたるホロメンたち。
少なくとも葛葉さんはこのロールプレイの続きを魅(観)せてくれるはず。
「お前が始めた物語だろ」。
ご自身の「小さな恋の物語」は期待薄ですが。少なくとも鴉エピソード0.5くらいは期待できる。または-1.0。お嬢の父親と母親はいったい誰なのか。さらに「お嬢」との関係性もまた楽しみ。果たしてお嬢は「鴉」に戻ってくるのか。いや戻ってきませんね。お嬢は盟友たちとともに少数精鋭のギャング団を立ち上げるはず。激アツ物語。そして警察または敵対するギャング団に追いつめられ、悩みに悩んだ末葛葉さんに助けを求めると。単身、お嬢救出に向かう葛葉さんだがあっという間に捉えられる。葛葉さん絶対失敗するやん。いつもいつも。
ここで「絆」が発動。「鴉」全メンバーでとらわれた葛葉さんたちを救出に向かう。
結果、「鴉」メンバーにより救出されるラプラスさんたちと葛葉さん。
葛葉さんは「お嬢、これを機会に戻ってこられますか?」と尋ねるも、
「吾輩にはもう苦楽をともにした盟友がいるから…」と拒否。
「わかりましたよ。でもわたしはお嬢の帰還をいつまでも待っていますよ」と言い、鴉メンバーを引き連れ姿を消す。
そんな熱い展開が待っているかも、です。
というように、ロールがあると行間が増え、わたしのような視聴者はたいへん助かる。
これが物語の持つ力だと思うのです。
・葛葉さんのリーダーシップ
葛葉さんのリーダーシップについて不満を持つ人がいるのではないでしょうか。わたしは葛葉さんのリーダーシップには不満をいだいておりません。たしかにわかりにくいリーダー像だとは思いますが。
リーダーに必要なのはまずは人格。人柄でしょう。次に必要なのはモチベーターとしてあるということ。最後に公平性でしょうか。
葛葉さんはどれも兼ね備えていたと思います。
結果を残す組織には優れたリーダーとそれを支えるサブリーダーの存在が欠かせません。
ソニーの盛田昭夫さんと井深大さん、ホンダの本田宗一郎さんと藤沢武夫さんのように。
葛葉さんにはエクス・アルビオさんがいました。作戦はエクスさんが立て、指揮もとりますがチームのリーダーは葛葉さんでした。エクスさんがリーダーになればいいという意見もありそうですが、それこそエクスさんに「抱え込ませる」ことになります。あとエクスさんはグループ全体のストレスをそれこそ抱え込みがちでしたが、葛葉さんは上手に各メンバーにばらまいたり、または自身の軽い発言や行動で爆散させていました。こんなリーダーがいる集団は強いです。
よく巷で「神輿は軽いほうがいい」といいますが、ある意味それは真実だとわたしは思うのです。
確か司馬遼太郎が書いていたと思うのですが、かつて薩摩藩では優秀な官僚を育て、育ちきったところで重要ポスト(リーダー)にすえる。そしてそのかつて優秀な官僚だったリーダーに「よか」しか言ってはいけないという家訓を強制したといいます。
自分でバリバリ藩の財政や軍事を取り仕切っていた人材を最終ポストで「よか」、つまりイエスしか言えない存在にしてしまう。
地獄ですよね。しかしながらそのシステムが明治政府を誕生させた。同じく幕藩体制を協力して転覆させた長州藩は鋭利な切れ者が指導し続けた。しかしながら西郷隆盛のような英雄を誕生させることはなかった。
西南戦争がなぜおこったか。この薩摩藩の「よか」システムが引き金だったのではないかと。辛かっただろうな西郷さんは。
リーダーとなったらもう表だって自分の意見を押し通すことはやめろという家訓が、明治維新を成立させたのかもしれません。
葛葉さんはこの「よか」システムを理解していました。メンバーもまたそれを感じていたと思います。けして葛葉さんをないがしろにすることはありませんでした。
よいチームでした。
後に葛葉さんについて検索をしたのですが彼は男性VTuberトップなのですね。さもありなん、と思いました。
この稿、続きます。