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共鳴が呼び起こす消費行動で、応援すべき人へエールを届ける。

今回のCOMEMOのテーマ企画は「#世の中を変えるお金の使い方」です。

「世の中を変える」ってすっごく壮大な話ですよね。

企業としての利益を生み出しながら社会に貢献でき、顧客に対して良質な価値を提供していくことは、持続可能な社会を作ることにつながります。 そして、貧困対策はもちろん、健康、福祉、教育、環境対策などの社会問題の解決に取り組み、わたしたちの社会をよりよい方向に前進させていくためのツールとして、お金をどのように使っていけばよいでしょうか。はたして社会貢献と利益追求は両立するのか、社会をよりよくするためのビジネスとはなにか。

上記のCOMEMO記事文中にも書いてあるように、しっかりと事業をまわして、健全な状態で利益をだして、社会に還元していく。これを全ての企業や働くひとたちがしっかりと取り組んでいけるような世界をつくることは結構重要なのではないかと思っています。

動機善なりや、私心なかりしか

少し話はずれますが、わたしが以前から大事にしている言葉があります。それがこの「動機善なりや、私心なかりしか」です。これは京セラの名誉会長の稲盛和夫さんのフィロソフィの中に出てくる項目のひとつ。

動機善なりや、私心なかりしか
大きな夢を描き、それを実現しようとする時、「動機善なりや」ということを自らに問わなければなりません。自問自答して、自分の動機の善悪を判断するのです。善とは、普遍的に良きことであり、普遍的とは誰から見てもそうだということです。自分の利益や都合、格好などというものでなく、自他ともにその動機が受け入れられるものでなければなりません。
また、仕事を進めていく上では「私心なかりしか」という問いかけが必要です。自分の心、自己中心的な発想で仕事を進めていないかを点検しなければなりません。動機が善であり、私心がなければ結果は問う必要はありません。必ず成功するのです。

このフィロソフィにまつわるエピソードで下記のリンク先に書かれている第二電電(現KDDI)の設立に関するエピソードがあります。

いまとなっては当たり前のようにインフラとして利用している通信網ですが、昔は距離の離れた電話も通信も誰もが容易に使えるものではありませんでした。そしてもともと全く専門分野ではない事業領域に対して「国民のためにぜひともやるべきである」という強い信念だけをもとに新規参入したことによって現在のKDDIが存在しています。

もっと手元でトライアンドエラーができるような事業であればちょっとチャレンジしてみようかなと思う人はたくさんいるかもしれませんが、ここまで大規模な失敗が許されないインフラ事業に、ただただ儲けたいなどの私心からではなく、「リスクを負ったとしても、国民のためにやったほうがいい」というこの想いだけで切り込んでいくという信念と熱量は、もはや想像の域を超えるものだと思いました。

エピソードにあるように、通信事業に参入する際、稲盛さんは毎晩、「通信事業を始めようとする動機は善なのか、そこに私心はないのか」と自分自身に厳しく問い続け、この事業に参入する決心をしたそうです。

世のため人のために尽くそうという純粋な気持ちで第二電電を創業し、その考え方に共鳴した社員が誰にも負けないほど一生懸命努力したからこそ、第二電電は成長を続け、今日のKDDIの姿がある

この想いに「共鳴」して世の中が動くというところにも、ありとあらゆるところで「ストーリー」が重視されている風潮の現在の日本では、社会や周囲の人たちを巻き込んでいくヒントがあるのではと感じました。

共鳴が呼び起こす消費行動で、応援すべき人へのエールを

では、実際どんな風にお金を使えばいいのでしょうか。第二電電のようなレベルでの「#世の中を変えるお金の使い方」はもう少し視野の広い方におまかせして、わたしが想像しうる個人単位でのいち消費者目線でのお金の使い方を考えてみます。

いまや街の中にはモノがあふれかえり、ネットでもリアルでも何かを買うにしても選択肢が無限にあるわたしたちの生活の中で、自分が経済活動をする指標はどこにあるのかを考えました。個人的には「体験」「共感」「応援」の軸でお金を使うことが増えました。でもこの3つへの投資が進めば、より良いお金の使い方ができると考えています。

「体験」は物理的に手元には残りませんが、最も重要視している内容です。いわゆるモノ消費よりコト消費ですが、体験にお金を使うことは、お金はもちろん自分の時間をその瞬間にどこに投資するかです。この投資した結果が素晴らしい体験であればあるほど、またこの体験を増やしていこうと消費行動が増えて、素敵な体験のできる場所が増えていく。このサイクルをみんながいろんな切り口で体験していけば、おのずと体験への消費が増えていき、体験による幸福度の向上や社会の活性化が見込めるのではないかと感じています。

「共感」と「応援」については少し似ています。共鳴が周囲の行動や世の中を変えていくのに近いかもしれませんが、クラウドファウンディングでの支援や、ストーリーに共感して購買を決意することが以前に比べて増えました。これは自分の消費活動に対して自分自身がそのモノやコトに対して対価を払うことに意味付けをしているのだと思います。たとえば見た目や使用感はほぼ同じモノがあったとき、商業的に大量生産された2,000円のものより、自分が本当に支援したい人がこだわってつくっている5,000円のものを買いたい。この差額に対しての意味付けが「共感」と「応援」だと感じています。

これは同時に、労いや感謝をあらわすための「お金の使い方」でもあると考えています。良いものには、その内容に見合う対価を。ただ安いものを消費する世界ではなく、本来支払われるべき価値に対してしっかりとお金を払うことで、新たなビジネスの芽を育てていく。むしろ、現時点では何も残らなくていいから、その想いに対して投資したい。そんなお金を使う側の想いがお金の使い方を変え、応援すべき人へのエールを届けていくのです。

世の中に変化をもたらしたいという想いをもった人や活動を、その想いに共鳴したひとたちで支えていく。これもこれからの時代のひとつの「#世の中を変えていくお金の使い方」なのではないかと感じています。

「おいしいものを食べている時がいちばん幸せそうな顔をしているね」とよく言われます。一緒においしいもの食べにいきましょう。