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なぜ僕らは空調衛生設備にぶちぎれているのか。【前編】


いま、私はかなり怒っています。

意匠設計(建築設計)の仕事をしているんだけどね、
どうも空調衛生設備が、理解できないんですよ!

ムズカシスギルダロ!


この間、研修の一環として設備設計部に空調衛生設備について教わる機会があった。

その研修は、最初に講義があり、その後に手を動かす演習形式のものがあって、っていう形式だったんだけどね。

講義の内容が、わからなくってさ。
でも、設備設計部の1年目のみんなはわかっている感じだしてるのさ

部の同期と話してて、
「話はわかりやすい感じでスムーズだし、理解もできそうなんだけども、もっとスッと入ってくる説明の仕方ないのん!?」とヤキモキしていた。

その研修後、
ネットで「真剣に」調べてみても、ピンとくる、カーンと冴えわたる説明にであうことはなかった。

それでいいのか??

で、今回の記事ではさ、なにをしたいかというと。
「僕は、僕らは、具体的にどの部分に怒っているか。」ということを明確にしたいな。

それがこの記事の目的、ね。



第一章 わかりません。


 まず、(あえて)あるYouTuberに突っかかってみようと思う。
それは「おしゃもじの建築設備チャンネル」というチャンネルで、その第一回目の動画への、まあ、ひとつの感想を書こうと思う。

(冒頭)
設備の講義は意味がわからないという方が多いように思います。
・何語を話しているのかわからない
・こんなの建築じゃない
・設備分野は捨てた
という声を、残念ながらよく聞きます。
某資格学校の設備の最初の授業でも、難しい単語のオンパレードで、設備知らない人に教える気がないだろ!と思いました。
設備ってほんとは楽しいのに!と思いましてこの動画をつくりました。

[一級建築士試験]たのしい設備講座①(初級編)[個別空調とは] (youtube.com)

上のような、動画の入りをする。
うんうん。わかるわかる。俺も怒っているんだよ。

と共感して動画の内容を見てみると、ルームエアコンの解説からはじまる。身近なところから説明していくわけだな。いいじゃん。

と、しばらくそのまま説明を聞いていると、
・ヒートポンプの仕組み
・ドレン管とは
といった話に入っていく。

そこでリタイヤ。

ちょっとついていけない。頭悪いから、どうしても細かい内容は覚えられず。ごめんなさい。脱落。
結果的には、おしゃもじさんの説明でも、難易度が高かった。


ここで、ひとつ提案があるんだけどさ。
空調衛生の説明するときには、
「ブラックボックス化」って考え方をうまく取り込むとよいんじゃないかなと思ってて。

 急にコンピュータの話になるんだけど、(詳しくないからつつかれると厳しいんだけどさ。)
 初期のコンピュータは単純なのでハードウェアとソフトウェアの概念は無くて。でもある程度進化して、複雑になったとき、ハードウェア(電子回路)とソフトウェア(目的の機能をハードを制御して実現する仕組み)を別々の概念として分離する考え方がでてきた。

 そうなってくると、ハードウェアをブラックボックス化して中の仕組みを見ないことにするんだよ。そしたらソフトウェアの記述に専念すればよいということになって、うれしい。でしょ?

複雑なものを扱うときに、
今回だったら空調衛生設備を説明するときには、
どこをブラックボックス化するのかってことが、一つのセンスというか、優しさなんだと思っているんです。

(実はこのあとに、おしゃもじさんの動画が理解の助けになったので、書いている今は大変感謝しております。)


第二章 いや、わからない。


何はさておき
このままでは怒りは収まらないので、一冊の本を購入した。

この本は多くの設備設計者に読まれているに違いない、
いわば教科書である。

真摯に、謙虚に読み進めて、しっかり向き合おうと思った。この教科書を読めば、
「なんだ、空調衛生設備って簡単じゃん!」


そうなると思っていた。。。

まず細かいことから指摘したい。
「2.1.2 空気調和方式の種類」の冒頭を見てみると、

空気調和の方式には、大きく中央方式と分散方式がある.
(中略)
個別分散方式の一例を図2.1-2に示す.

空気調和・衛生設備の知識 39頁

個別分散方式?新しい名前出てきたぞ。

「中央方式」と「分散方式」があるって言った次の瞬間、「個別分散方式」の一例を示す、と。

まあまあ、落ち着こう。

この文章を読んだときに、頭が混乱する。あまりここでだらだら書くつもりもないのであるが、まあ、つまりは分散方式と個別分散方式は同じものを指しているらしいのである。
・分散方式=個別分散方式

p39


その後、25ページほど読み進めると、次のような文章に遭遇する。

空調方式は、冷房や暖房用の熱をつくる熱源機器の設置方法により、中央熱源方式と個別熱源方式に大別される。

空気調和・衛生設備の知識  65頁

ここでも新しい名前がでてきて混乱する。

さきほどは中央方式と分散方式って買いてたところが、中央熱源方式、個別熱源方式と全然異なるワードで説明される。


ここもだらだら批判を書くつもりはないので結論だけ書くが、
・中央方式=中央熱源方式
・分散方式=個別分散方式=個別熱源方式

ということが、読み進めていくと理解できる。

まだある。読み進めていくとまた新しい名前はでてくる。
(117頁より。)

・中央方式=中央熱源方式=セントラル空調システム
・分散方式=個別分散方式=個別熱源方式=パッケージ型空調システム

このように、名前が煩雑になっていることが混乱する要因だ。ということがあとあとになり理解できる。


第三章 ここがわからない!!


第二章はかなり細かい指摘になってしまい申し訳なかった。方式の名前が書く人によって異なることは、まあしょうがない部分もあるかもしれない。(この本は章によって書いている人が異なる。)

次の問題は、空調設備を体系的に捉えることはできるのか?という一番大きな問題である。

空調設備についての概要を表や図に示したものを2つ載せる。

下記2つの表がどのように重なっているのか、ということが我々初学者にはまったくわからなかった

99頁 「空調方式の分類」
117頁 「空気調和設備の分類とパッケージ型空調システムの範囲」


この記事は、
2つの表、図はなぜこんなに異なるのか?なぜ統一しないのか?
という疑問で終わろうと思っている。

ここがわからない、ここに怒っている、というとこを明確にすることが今回の目標であったため、簡単ではあるが目標達成とさせていただく。

いま、我々は空気調和設備の煩雑さを恐れている。
もどかしさを感じている。ただ、空気調和設備側も、おそらく困っているに違いない。もっと明快にばちーーんと説明したいものなのであるが、それが可能なのか、次の記事で挑戦したいと思っている。

ひとつヒントがあるとすれば、
第三章に載せた2つの表に、「熱源」についての項目が載っていないということに注目してほしい。
熱源とは、空冷ヒートポンプチラーのようなものであるが、その名前がでてきていないことがわかるだろうか。


そこが見えると、この謎は簡単に解ける。


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