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母さんの愛を私はちゃんと知っている

母さんは私と似ている。
きっと母さんもそれはわかってる。

私みたいな母さんの愛を私はちゃんと知っている。
母さんのことが大好きだし愛してくれていることもわかってる。
ちゃんと母さんの愛を感じてるし、しつこいけどその愛をちゃんと知っている。

母さんはサバサバ

母さんはいつもとても忙しくて、私が小さい頃からずっと、そして今でも忙しい。
休みなんてあるの?ってくらい家にいないし、家にいる時は家事をして風呂に入ってスキンケアして。
その後は私が寝ちゃってるから何してるかわからない。

とてもスパッとさばさばしてるから、
「良いよ、そうしてみな」
「ダメだよ、こうした方が良いよ」
「やってみな、やめておきな」
これがとても早い。いつも頭の回転早いからすげぇって憧れてた。

学校からのお便りもばーちゃんは目が良くなかったから、母さんがささっと読んで必要なものとかをぱぱっと完璧に準備してくれてた。

ばーちゃんと一緒に無言でおぉってよく見惚れてた。
母さんはとてもカッコいいんだよね。

母さんの苦手なこと

母さんはばーちゃんの孫。
ばーちゃんが1人になってしまった時に、一人で大丈夫って言うばーちゃんを親戚一同がいる前で、私達が住んでる部屋の下に連れていくって宣言したんだって。

ばーちゃんから内緒と言われてたけど、普段あまり親戚の前で話しない母さんが、泣きながらばーちゃんと一緒に過ごしたいってお願いしたらしい。
ばーちゃんをどうする?って話になって静まり返ったときに立ち上がって泣きながら皆さんに。

中学校の時にその話を聞いたとき、私も泣いた。母さんのその時の気持ちとてもわかると思って涙でてしまって、ばーちゃんからありがとうって言われたのすごく覚えてる。
母さんはとてもとても良い人。

しかし、私のするどい観察眼は見逃さない。
母さんの苦手なことは知ってるからね。

母さんは実は人とのやりとりが苦手

相手の気持ち汲み取りすぎて、
「嫌ですよね、大丈夫。私がやりますね」
これを結構やっちゃう。
人からのお誘いとかあると表情がとても曇るの知ってる。
結構失礼なこと言われても、そういうとこ私ダメなんですよねって作り笑いして答えるのも知ってる。

母さんは本当はあまり人と関わりたくないんだよねって、小さい声でばーちゃんと話してたのも聞こえてないふりして聞いてた。

でも母さんは苦手でも逃げないで受け止めるから立派。本当に母さんは立派でカッコいい。

見た目も綺麗。
歳を重ねても変わらないナイススタイルの美人さん。
あれはモテるよほんとに。
父さん良くものにしたもんだ。

親子の関係はヘタクソ

なんというか私を育てないといけないからね。難易度は「高」。

私はばーちゃんにベッタリで口数は少ないし、こうしたいを言えない。
母さんはとても忙しい。ゆっくり話を聞けないから私のことをあまり知ることができない。

親子なんだけど世間の親子ほどの何を言っても親子だからねって感じになれなくて、お互いに気を遣い合いながら過ごしてた。

お願い事とかある時は、ばーちゃんにばかり伝えてたのも悪かったよね私が。
ばーちゃんからは自分で言いなさいって毎回怒られてたけど、母さんが困るかもってどうしても言えなかった。

だいたい母さんが察してくれて、良いよってとても優しい笑顔でやってくれるんだけど、忙しいのにごめんなさいって気持ちばっかりだった。

本当はシルバニアファミリーも欲しかったし、レゴでも遊んでみたかった。
でも言えないからね。
本が欲しいかなとか言っちゃってた。
母さんはシルバニアとか可愛いねとか言ってくれたけど、悪い気がして言えなかった。

こうしてみると、ヘタクソなのは私だね。

母さんの涙

何回か母さんを泣かせてしまったこともある。泣いてる母さんを見て私もワンワン泣いたから良く覚えてる。

大好きな人の絵

幼稚園だったかな、小学校だったかな。
大好きな人の絵を描きましょうってのがあった。

私は単純だから、はい待ってました!くらいの勢いでばーちゃんの絵を描いた。
いつも一緒にいるばーちゃんだから、髪型もホクロもシミも完璧にわかるから誰が見てもばーちゃんの絵を描いた。
先生も良く描けてるねって褒めてくれてご満悦。

ばーちゃんの喜ぶ顔と、母さんと父さんにも上手だって褒められる。兄さんの冷めたヤキモチを想像して家に持ち帰ったら違った。

いつも上手だねって私の絵に笑顔見せてくれる母さんが、
「ごめんね、いつもごめんね」
って涙ポロポロ流してた。

褒められる気満々だったから私はあたふたしちゃって、ばーちゃんは母さんの頭撫でながら「あんたは良くやってる良いお母さんだよ」みたいなこと言って慰めてた。

ばーちゃんにおいでって呼ばれて怒られるのかなって思ったら、母さんの胸に頭つけられて母さんに抱き締めてもらった。
やわらかいセーターを母さんは着てて、暖かくて良い匂いでとてもとても気持ち良かった。

母さんの泣き顔はやっぱり悲しいから母さんよりも私が泣いてしまって、母さんに逆によしよしされたの覚えてる。私が泣いた話だねこれは。

私が行方不明

こんなこともある。
共働きの我が家は夜まで子供だけになるから、学校の後はばーちゃんの家にいた。
住んでる部屋の下の階ね。
ばーちゃんからの呼び出しは、下の階から床下をホウキで突かれる。コンコンって。

ばーちゃんと買い物に行った時、ご近所の方が具合悪くなって慌ててばーちゃんがその方の家にむかって、私だけで部屋に戻るように言われたときがあった。
嫌な予感するだろけど、わけわからん子の私はたまには良いねと歩いて15分くらいのとこの線路に電車を見に行った。
機関車トーマスがその頃好きだったからね🚂

ここから地区上げての大捜索が開始されたらしい。
私が誘拐されたって、ご近所のじいさんばあさん総出で大捜索。
警察にも探すのお願いしたんだって。
たまにご近所だった方からあの時は~て話をされるからね😵‍💫

無事発見されたとき、私は線路の横の金網の前にある石に座って歌を歌ってたらしい。
呑気なもんだよね。

母さんにも連絡してくれてて、線路のとこまで母さんは来てくれた。
スーツ姿のまま小走りで遠くから来てくれる母さんを見て泣いた。
じいさんばあさんに囲まれてばーちゃんは皆に謝ってて警察もいて、何だこの状況って中に母さんが走ってきてくれてる姿に安心してワンワン泣いた。
母さんの方に走っていった気もする。

母さんは走りながらあきらかに泣いちゃってて、手で涙拭きながら走ってた。
あの姿を思い出すと母さんには迷惑かけてはいけないって強く思う。
出来ることなら大金持ちになって母さんのやりたいって思ってること全部やってあげたい。
今は完全に大金持ちの逆側にいるけど。

母さんの愛に代われるものはない

母さんとは今でも絶妙にお互いに気を遣ってしまう。
住んでるところも遠くないしいつでも会えるけど、盆と正月くらいしか会わないし連絡もほぼとらない。
とても忙しいし疲れさせてはいけないからね。

なんだか寂しいってなる時は母さんのことをやっぱり想い出す。
ばーちゃんからはたくさんのことを学んだし、想い出もありすぎる。
ばーちゃん大好き。

でも辛い時、寂しい時は母さん。
母さんの暖かさとか柔らかさとか良い匂いが湧きでてくる。
湧き出てきてより寂しくなったりするけど。

私がもっと素直に甘えたりして何でも話出来れば良いだけなんだけど、出来ないんだよね。

恥ずかしいと言うか困らせたくないと言うか。母さんもそんな感じ。困ったとか辛いとかは私に絶対言わない。
似てるからね親子だし。すごくわかる。

母さんはとても優しい人だから。

人のお母さんを見てちょっと羨ましくなることもある。ちょっとだけね。
一緒に出かけたとか、お弁当作ってもらったとか、お下がりの服とか。

ほんとは母さんに甘えたいし、大人になった今でも毎日抱き締めて頭を撫でて欲しい。
昔の想い出とか、今日あった楽しかったこと嫌だったこと聞いて欲しい。
一緒の布団で寝て欲しい。

母さんは私と似てるからきっといつもそうしたいって思いながら寝てるね。
いつも心配してくれてる。

私のために泣いてくれるし笑ってくれる。

母さんの愛はちゃんと知ってる。
母さん大好き。世界一好き。
ずっと好き。

いつかこの記事を母さんに見せて、また泣かせてやろう。そうしよう。

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