あいつ、アイス的に踊る(3)

(3)

 そもそも今回の食料計画ミスにおいては、コックの吉田の非によるところが大きかった。

 大きくない、なんて誰が言えただろう。

 "ほとんど吉田のせい"と誰もが認識していた。船内の内務、外務問わず、どのような見地からも。

 船員の中で、食糧計画のマネジメントを行わなければならないのはコックの吉田だけであったし、吉田にはその責務があった。

 その吉田が、ミスをしたということ。

 内実を簡単に説明すると、コックの吉田が食糧計画を立てるために閲覧していたカレンダーが、おとどしのものだったのだ。

 それがすべての始まりだった。

 そこから、いろいろな過失要素がタイミングよく折り重なった末、不能な食糧計画が出力された、というストーリーになる。

 「上官。食料が"尽く"かもです」

 吉田の第一報には、さすがの上官も「なに、おい!」と持ち前のカンシャク玉を炸裂させたものだった。

 寝耳に水。そういう雰囲気だった。

(つづく)

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