笑力の研究②〜日本特有の笑力・コンビ笑力〜
(笑力“ショウリキ"についての基礎知識は→笑力の研究① をご覧ください。)
1.コンビを組む日本のコメディアン
さて、今日は笑力の中でも日本特有の笑力と言われる『コンビ笑力』について。
日本のコメディアンの特徴の一つに、“複数人で活動する”というものがある。
もちろんピン芸人も落語家もいるが、漫才にしろ、コントにしろ、日本の演芸は2人で演じるものが多い。
漫才が元々は1人が鼓、1人が踊りという2人組で構成される演芸だった事に起因すると思われるが、現在の日本のコメディアンの大多数は2人組、つまりコンビである。
なぜコンビを組むのか。
それはもちろん前述のように芸を演じる上で必要というのが第一だ。しかし、笑力的観点からコンビを眺めてみると、また別の側面が浮かび上がってくる。
コロラドにある国際宇宙笑力研究発電センターが、2014年に「個人の笑力は、側にいる人間によって増減する」という研究結果を発表した。
さらに、その特徴は日本のコメディアンに多く認められ、笑力の増減の幅は隣にいる人によって大きく異なるという事も分かった。※1
つまりコンビを組むメリットは、漫才やコントを演じられる、という事に加え、互いの笑力を上げるというものがあるのだ。
皆さんも「このコンビの掛け合いは面白いなぁ。」と感じた事があるだろう。それこそが、コンビで生み出した笑いであり、互いに上げあった笑力を合算して笑いを生み出す、つまりコンビ笑力が発動された瞬間である。
2.簡単には計算できない『コンビ笑力』
コンビ笑力と聞くと、笑力1000の芸人と笑力1000の芸人がコンビになった場合1000+1000=コンビ笑力2000になると思ってしまう人がいるかもしれないが、そう単純な話ではない。
イギリス笑力学会の議長を務めた実績のある、エドワード・オモンナイ博士(通称:サウサンプトンの恥晒し)は、コンビ笑力発動時における笑力増加の鍵を握るのは、対象となる2人の関係性だと主張している。
オモンナイ博士は1人のおっさんAに対して、旧知の仲であるおっさんB、たまに会うくらいで関係性の薄いおっさんC、そのへんのおっさんD、たぬきE、を交互に会話させ、どの組み合わせの時の笑力が高いかを調べる臨床実験を行った。※2
その結果、笑力の上昇の割合は、
A>B>C>D>E
であった。この実験により、一般的にコンビ笑力発動時の笑力上昇割合は関係性の深さと比例する事が分かった。これが笑力・関係性比例の法則(オモンナイの法則)である。
この法則を念頭に置けば、コメディアンが関係性の深い人間を相方として選び、2人で活動する事はまさに自明の理と言えるだろう。
3.比例の法則の否定
イギリス笑力学の権威である、ケンブリッジ大学のロバート・エビスガオ教授(通称:ケンブリッジの歩く老害)はまた別の研究結果を示している。
世界中のコメディを鑑賞したエビスガオ博士は、笑力の上昇幅は必ずしも関係性とばかり比例するわけではないとしている。
博士の最新の笑力スカウターを用いた調査によると、コメディアンの中には関係性の全くない一般人と絡む時に笑力が上昇する人間、或いは目上の者と絡む時に笑力が上昇する人間などがおり、非常に多彩な上がり方が認められた。※3
例えば、日本を代表するシットダウンコメディアン笑福亭鶴瓶師匠などは誰と絡んでも笑力が大幅に上がるという調査結果が出ている。さすが「もっと笑力上げたい!」という名言で知られる大師匠である。
この調査結果によって最初に紹介したオモンナイ博士のオモンナイの法則は否定され、博士は学会を追われ島流しとなり、今はその島から逃げ出してトレジャーハンターをしている。
互いの笑力の合計値であるコンビ笑力についても、実に多彩なデータが取られている。あるコンビのコンビ笑力は互いの笑力を足した数値しか計測されなかったが、また別のコンビは互いの笑力を掛け合わせたコンビ笑力が計測された。
つまり、コンビ笑力はコンビの相性により足し算にも掛け算にもなり得る事が分かったのだ。
関係性や相性など様々な要素が絡み合ったものがコンビ笑力の上昇の鍵を握っており、何か1つという事は無いようだ。
コメディアンではないが、日本プロレス史上屈指のタッグチーム、天山・小島(通称:テンコジ)の小島聡選手は自身のコンビについてこう答えている。
「1+1は2じゃないぞ、俺たちは1+1で200だ!!10倍だぞ10倍!!」
戦闘力のみならず笑力も跳ね上がっている。まさに名タッグである。
4.歴代最強コンビ笑力
歴代最強のコンビ笑力を発揮したのは一体どのコンビかご存じだろうか?ダウンタウン?とんねるず?遡ってやすきよ?最近だとブラックマヨネーズ?
この疑問に答えてくれるのが、ロシアのウラジーミル・スベッテモータ博士(通称:粗大ゴミ)である。
スベッテモータ博士は、全世界のありとあらゆる複数人で活動するコメディアンを対象に独自の計算式を元にコンビ笑力を測る研究をしており、それによると商業的に成功しているコメディアンは軒並み掛け算で笑力が上がる傾向にあった。※4
中でも最も笑力の上がり幅が大きかったコンビはなんと
おすぎとピーコ
であった。並み居るコンビコメディアンを差し置いて映画とファッションの専門家が一位という意外な結果に学会が震撼したの言うまでもなく、今後の更なる研究が待たれる。
※1『月刊 笑力の不思議』(2014年9月号)より引用
※2『笑力のすべて』(エドワード・オモンナイ)より引用
※3『オモンナイ博士の嘘』(ロバート・エビスガオ)より引用
※4『ロシアより笑みを込めて』(ウラジーミル・スベッテモータ)より引用