![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/3276127/rectangle_large_adce8d26827a96803aec6c3628c6f7d2.jpg?width=1200)
映画レビュー『ヒメアノ〜ル』 - 笑いから叫びと様々な感情に揺さぶられる至極のエンターテインメント
※ネタバレ注意
今期(裏)アカデミー賞候補ではないでしょうか。15R指定で少し過激ですが、今年一だと思います。(半年経った現時点で、すべての映画を観ているわけではありませんが)
いったい何本の映画を同時に観たのか
という錯覚に陥る作品です。
前半はとにかくシュールで面白い。古谷実(稲中的)ワールド全開です。淡々と進むストーリーに個性豊かなキャラクター、巧みな言葉のキャッチボール。映画館で久しぶりに声出して何度も笑いました。
特に濱田岳演じる岡田が気になるカフェ定員佐津川愛美演じるユカちゃんから告白されるのを影からムロツヨシ演じる安藤先輩に見つかるシーンなんて最高です。笑
それと、ユカちゃんが友達を連れてきて、岡田と安藤先輩と4人で合コンする場面、その友達のキャラに大爆笑しました。古谷実っぽいキャスティング絶妙です。
岡田とユカちゃんのイチャつくシーンも観ててニヤけます。笑
タイトル挿入&場面切り替えの妙
それらの笑いを楽しんでいると忘れたころの中盤にいきなりタイトル『HIMEANOLE』の文字が浮かびあがり主要キャスト名が流れるとともに音楽が転調。そこから一気に映画の空気が変わります。
そこからは恐怖の連続です。
その場面切り替え、森田剛演じる殺人鬼の森田が人を殴り殺すシーンと、岡田とユカちゃんがセックスするシーンが重なり合うようにシンクロしていきます。この構成考えた監督天才です。
もはや、笑いのギャグ映画、恐怖のホラー映画、キュンキュンする恋愛映画と途中何を観ているのか迷い呼吸が苦しくなるぐらいです。
見た目が9割、伝え方が9割、演技が9割
その空気をつくり出すのがもちろん監督の演出と、名俳優陣。ジャニーズにこんな演技ができる人がいたのかと思わせるほどの恐怖の殺人鬼を演じきる森田剛さん。今回の映画で一気に森田剛さんに興味を持ちました。宣伝で出ていたバラエティでの不思議なキャラも含め。
そして、おどおどしたその絶妙な間を持ち合わせた濱田岳さん。独特なシュールな旋律を奏でるムロツヨシさん。
その他、先ほどの合コンの友達や、森田の友達(しもべ)の和草くんなんて古谷実っぽくてたまりません。
いったい誰が一番ピュアなのか
本作品は、いじめが人の人生を大きく変えること。それを周りが止めてあげられる可能性があること。友達を信じ好きになる友情。どれだけ人格が狂ったとしても人の根底には優しさが残っている。といったメッセージが込められていました。
印象的なシーンはラスト。車で逃げる森田は前に飛び出した犬を避けようと電柱にぶつかり事故をして捕まります。最後の回想シーンで小さい頃に飼っていた犬が映る。
犬を思う優しさが猟奇的な殺人を犯してきた森田の心にも最後の最後まで残っていたということなんですよね。
そう考えると、実はこの映画の登場人物で一番ピュアなのは森田なのかもしれない。
その他の人はそれぞれ何かしらの闇を抱える。人の幸せを許せない安藤先輩、先輩との友情を自分の下心で裏切ってしまう岡田、誠実そうに装いながら不純な一面を見せるユカ。
森田は最後まで自分の過去をひとりで背負い、やっていることは最低でも、心の奥底では信念がぶれずに存在していたのではないかと。
いじめが問題となる学生にこそ見て欲しいけど、R15なんですよね。。苦笑
原作は?
ちなみに、あまりの衝撃で観終わってから速攻原作読んでみました。かなりストーリーを厳選してはいるものの大事な筋は通してますが、全然違うという印象でした。
この原作からこの映画を創り上げた監督吉田恵輔さん、すさまじいですね。
久しぶりに余韻に浸って心踊る映画でした!
いいなと思ったら応援しよう!
![有賀 雄規(やりが)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/21239391/profile_14f9cf5547c709e2bc6a383b9c7ff490.jpg?width=600&crop=1:1,smart)