逆噴射プラクティス解題 #6
目次
ごあいさつ
こんにちは、うさぎ小天狗です。
この記事は、二〇一八年十月八日から三十一日の間に開催された「逆噴射小説大賞」の投稿作品の自主解題です。
何を考えて書いたか?
どんなイメージなのか?
今後の展開の予定は?
などを、簡潔に語る予定です(たくさん語るなら続きを書いたほうがいいですからね)。
各回ごとに四作品ずつ解題していきます。
今回は投稿第十七作目から第二十作目を扱います。
なお、湯舟を洗い終えた下品ラビットがコメントを書き込みたいと言っているので、彼のコメントも併せてお楽しみくださいませ。
それでは参りましょう。
No.17 「タイムバースト・ウォッチング」
時間SFは物語の花です。なぜなら、時間遡行あるいは歴史改変という、現実に存在しない現象と、その可能性を扱うからです。まさにSF!
もちろん、現実に存在しない現象を扱う上では、さまざまな解釈が成り立ちますし、それをいかに「らしく」見せるか、いかに面白く受け取ってもらうかが問われるわけで、数々の面白い先行作品はそこに成功しているわけです。
で、ぼくもその世界に挑戦しようと思ったとき、「時間SFの面白さに大切なのは時間移動のロジックである」と思ったのでした。こういうときはどうなるの? こうなっちゃったら大変じゃない? そうか、その手があったか! そうしたドキドキワクワクを生み出すのは、時間SFにあっては時間移動のロジックなのです。
浅学な身で同じ理論でお話が作られている作品を知らないからでかい顔してオリジナルと謳っておきますが、以下に「タイムバースト」の理論を図式化したものを置いておきます。こういうアイディアメモを残しておくと、いざというとき使えるわけですね。
時間遡行の結果、元いた時間が変化してしまうかと、いわゆるタイムパラドックスが起こってしまいますが、では、それが起こらないとしたらどうなるか、という考察は、「時間は元に戻る」「過去は変えられない(時間旅行者は過去で現実に影響できない)」という結論を導きましたが、そこに「時間はなんとかして元に戻ろうとする」「その時なにか劇的な変化が起きる」として、「それを楽しみに行く」話を作ろうとしたわけです。
あとは、その現象をどのように「面白い」ものとして描くか、それをお話の起承転結にどう盛り込むかです。
下品ラビット:
設定を縷々語るだけの話にならなきゃいいな。お話ってのは動きだからな、設定語りは停滞だぜ。
ジャンル
時間SF、青春、恋愛
参考・引用文献
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(監督:ロバート・ゼメキス/出演:マイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイド、クローディア・ウェルズ)
『見かけの二重星』(つばな/講談社KCデラックスKiss)
No.18 「バレットプルーフ・バンク!」
メキシコでガンアクション、なんか人がたくさん死ぬ、女上司にがみがみいわれてぐッと来る、みたいな話がやりたいことです。こういう話で楽しんでもらうためには、実はいろんなことを設定しておかないといけないので、出だしからその先へ行くまでが大変です。
下品ラビット:
「はわわ~」ってなんだ。キャラ設定をナメすぎだろ。もうちょっとしっかりやれ。
ジャンル
ガンアクション、メキシコ、強盗、コメディ
参考・引用文献
『ジオブリーダーズ』(伊藤明弘/少年画報社ヤングキングコミックス)
No.19 「ぼくと、マリィ」
オスとメスは地上の生物の基本単位として考えられるくらい、メジャーな形態ですが、それだけにいろいろな固定観念が生まれます。その固定観念に挑戦し、固定観念にゆさぶりをかけるのがフェミニズムSFといえるのではないでしょうか。
ぼくもそれに挑戦してみようと思います。男たちが女と一緒に暮らさなくなったら、男たちはどういう文化を持つか。女たちはどういう文化を持つか。そしてそういう世界で性自認が多数の同性と異なる人はどうなるか。いろいろ考えることはありますが、やってみる価値ありますぜ。
下品ラビット:
「mallee」は本来人の名前ではなく、ユーカリの木のことだ。「別に『ぼくのマリー』のことではない」というつもりかね。
ジャンル
SF、思春期、ヰタ・セクスアリス
参考・引用文献
『ノーストリリア』(コードウェイナー・スミス/浅倉久志・訳/ハヤカワ文庫)
「人生の事実」 (クリストファー・エヴァンズ/美濃透・訳/『アザー・エデン イギリスSF傑作選』ハヤカワ文庫)
No.20 「ザ・スモウハンター」
「逆噴射小説大賞」の投稿作品の一部で、「相撲」ネタが流行っていました。そういうのもあるのか、と思ったので、ぼくもやってみることにしましたが、ネタかぶりはつまらないので、ざっと流してみたときに、スチームパンクものだけはないようだったので、そこから始めてみることにしました。
「スモウ」と「相撲」の違いを第一行で示してあるので、そこから話が展開することになるでしょう。神殺しの話、あるいはテクノロジーや改変世界への叛逆になるのかな?
下品ラビット:
こういうばかばかしいことはいかにまじめにやるかで面白さが変わる。せいぜいがんばれよ。
ジャンル
相撲、SF、スチームパンク
参考・引用文献
特になし
以上、投稿第十三作目から第十六作目の解題でした。
(うさぎ小天狗)
イラスト
『ダ鳥獣戯画』(http://www.chojugiga.com/)
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