コロナ渦不染日記 #75
十一月二十四日(火)
○今朝の体温は三六・一度。
○新しいPCに乗り換えた。Thinkpad X1 Carbon Yogaである。
タッチパネルのディスプレイが、三六〇度回転して、タブレットとしても利用できるところがウリである。タッチペンも付属しているので、この日記に使わせていただいている、「ダ鳥獣戯画」さんのイラストを、カスタマイズするのに適していると思ったものである。
○本日の、全国の新規感染者数は、一二二九人(前日比-二八九人)。
そのうち、東京は、一八六人(前日比-一二五人)。
十一月二十五日(水)
○今朝の体温は三六・〇度。
○今日は、取引先に新人を同行した。今年入社のぼくが、半年で、新人を同行させる「先輩」になる、というのも、どうにもめまぐるしいことである。ぼくの働いている業界が、今年に入り、これまでにない大変革を遂げているということなのだが、それは、半分がた、予定されていることであるものの、もう半分は、新型コロナウィルスの感染流行に関することなのである。好むと好まざるとにかかわらず、世のなかは次へ、次へと進んでいく。
○作家の小林泰三氏が亡くなられた。
小林泰三氏は、間違いなく、現代日本で活躍する、ホラー小説家のうちでも、唯一無二の存在感を持つ作家のひとりであった。デビュー作の「玩具修理者」からして、その独特の言語センスや、作中世界を見る目つきが、あきらかに他の作家とまったく異なっていたのである。今でも覚えているが、ぼくは『玩具修理者』の初版単行本を一読して、そのすさまじさに仰天したのである。おぞましく、おそろしかったが、同時に、奇妙で、どこかかわいげがある。単行本に書き下ろされた、中編「酔歩する男」もまたすさまじかった。「ウナイテコナ」の名前は、いまも忘れがたい。
続く第二作品集『人獣細工』も素晴らしかった。ここに収録された短編「本」は、奇想と恐怖と怪奇とユーモアが混在して、そのバランスは、まさに「この作家にしか出せない」味わいであった。この作品をはじめ、小林氏の作品には、いわゆる「クトゥルー神話」のタームがおおく用いられていたが、それが単にクトゥルー神話の枠組みに寄りかかるような使い方ではなく、むしろ、自作の世界にクトゥルー神話の世界を取り込もうとするような、フェアなスタンスであったのも、素晴らしいことであったと思っている。
氏の、奇妙なユーモアセンスが炸裂する作品として、『目を擦る女』に収録の「未公開実験」は忘れがたい。「(奇妙なポーズをとる)」というフレーズの繰り返しは、「ループ」というよりは「天丼」である。
長短ふくめ、すべてが傑作とはいいがたくはあるものの、この方以外に、こんな作品は書けまいと思うような作品を作家であった。彼を超える作家も、彼のような作家も、二度と現れないであろう。本当に、才能のある、唯一無二の、きら星のような作家だった。
○本日の、全国の新規感染者数は、一九四三人(前日比+七一四人)。
そのうち、東京は、四〇一人(前日比+二一五人)。
十一月二十六日(木)
○在宅勤務の日であるが、いちおう、体温は計るのである。
今朝の体温は三六・〇度。
○報告書をしあげ、それとは別に提出原稿をしあげたのであるが、ふたつができあがるまでに、スーツがひとそろい、きれいになってしまった。
○在宅勤務後、相棒の下品ラビットが、居酒屋で飲みたいと言いだしたので、イナバさんを誘って、行きつけの居酒屋へむかった。
イナバさんがウニを食べたいというので、ウニありの刺身盛り合わせをたのみ、下品ラビットがチーズを食べたいというので、きのこのチーズグラタンをたのんだ。
○本日の、全国の新規感染者数は、二五〇三人(前日比+五六〇人)。
そのうち、東京は、四八一人(前日比+八〇人)。
十一月二十七日(金)
○朝から暖かい一日。
今朝の体温は三六・二度。
○出勤中、電車で爆睡してしまう。あやうく遅刻するところだった。
退勤後、帰途の電車で爆睡してしまう。あやうく、どうぶつマッサージに遅刻するところだった。
○どうぶつマッサージで、腰を重点的にメンテナンスされる。どうやら、昨日の在宅勤務で腰をいわしてしまったようである。
○勝田文・作画/原作・山田風太郎『風太郎不戦日記』の二巻を読む。
山田風太郎『戦中派不戦日記』のコミカライズは、一巻が春であったから、二巻が夏となる。夏といえば、八月十五日である。ある意味、原作のクライマックスである、八月十五日は、それにふさわしい演出がなされている。
○本日の、全国の新規感染者数は、二五三一人(前日比+二八人)。
そのうち、東京は、五七〇人(前日比+八九人)。
またぞろ、東京での新規感染者が増えてきている。
引用・参考文献
イラスト
「ダ鳥獣戯画」(https://chojugiga.com/)