読書感想文【ホラー・ジャパネスク読本:東雅夫】
就寝前に少量の読書を習慣にしていますが、怖くて眠れなくなった1冊。
ホラー・ジャパネスクとは、
20世紀最後のおよそ10年間にいたってにわかに顕在した(東雅夫)
有名なあのホラー作品や、あれら・・・の国産ホラーの潮流のことを指すそうです。
宮部みゆき、津原泰水、岩井志麻子、福澤徹三、加門七海、京極夏彦、三津田信三 とそうそうたるメンバーと、東編集長との対談形式なのですが、「恐怖」をテーマに様々な角度からお話が進みます。それぞれの作家に対して、「恐怖」というテーマで本人が追っている部分に編集長が深堀してゆきます。
例えば宮部みゆき氏なら「江戸東京の怪談話」、フィールドワークで実際オカルト研究をされているという加門七海氏なら「日本文化のなかの怪異、土俗」、福澤徹三氏は「恐い夢」、志麻子姉さんなら「岡山の因習・奇譚」というように・・・ ・・・
ひとくちに「恐怖」といっても、人間が「こわい」と感じることって本当にさまざまなんですよね。
加えて読者にはどうしても気になってしまう、作家は「見えているのか」問題!笑 作家さん達は様々な様でした。中には、完全に「見えて」いるという方もいて・・・^^汗
岩井志麻子さんの、「ぼっけえ、きょうてえ」はずいぶん前に大変面白く読ませていただいていたんですが、他人から「霊体験」だと思われるような出来事を彼女自身はいくつも経験しており、それでも「ヘン」なものを見た位な程度で「見える」とは認識していないらしいのです。。。
子供の頃、
(父が忘れ物をして)車の中に独りで残されて、ぼんやり空を見ていたら・・・
灰色の作業着を着たおじさんがヌッと現われて、ものすごい無表情で別のところを見て・・(中略)ものすごい勢いで車を揺さぶりだした
というエピソード( ノД`)
こエエよ~おじさん。。。
本人認識と他者認識が乖離しているというのはだんだん怖くなってきました。。。自分は見えないし感じないと思っているけれども果たして本当にそうなの・・・どうなの?・・・
太陽の明るい真昼間にはそんな疑問さえ思いもつかない、又は笑い飛ばしそうでも、そうそうたるホラーの作者の醸し出す言葉の節々、暗い夏の夜の部屋で1人そんな箇所を読んでいたら急に中二病的に怖く・・・( ノД`)笑
日中・・・改めて読み直しましたが笑
日々、どう人々に読むことで「恐怖」を感じさせるか研究している面々の、しかも深堀(マニアックな部分)という点でとても面白く読みました。
怖さって、自分自身の問題として捉えるから怖いんですよね。他人事じゃ怖くない。(京極夏彦)